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『鉄道遊撃隊』(TVドラマ版)

2013年1月 3日 (木)

『鉄道遊撃隊』18話~20話 感想

 というわけでやっと『鉄道遊撃隊』18話~20話です。

 今回はピックアップシーンから行ってみます。



ピックアップシーン

 なんか最近、鉄道遊撃隊の出番が少ないのですが、それに代わって大活躍なのがドラマオリジナルキャラクターの田六子。

 愛しの藍妮を振り向かせるため、一旗揚げてやろうと崔団に参加。そして田六子が「命の恩人」の情報を知っているかもしれないと思うといきなりぽ~~んと中隊長の地位をあげちゃう崔団長(汗)、いいのかおい。

 しかも中隊長になったものの部下はつけてもらえなかった田六子は、自分の弟分の20人のチンピラを集め、「おまえらは今日から正規軍だー」とか言い出してチンピラたちは「はっ? 正規軍ってなんじゃらほいい?∑ヾ( ̄0 ̄;ノ」状態になりつつも、面白がって田六子とともに「正規軍様」を目指してみるものやっぱりどこかずれています・・・・・・・もうこのへんのノリが笑えるのなんの・・・・・・

田六子「王虎、全員集めたか?」

王虎「ああ」

田六子「さあ、てめえら、今日から俺たちは国民政府軍の正規軍、つまり国軍だ!」

チンピラたち『はぁ・・・・・・・』

田六子「こいつはなぁ、遊撃隊なんかよりよっぽどすげぇシロモノだ」

王虎「あ~、六の兄貴・・・いて、中隊長! 俺たち国軍なんて無理ですぜ」

田六子「なんだと?」

王虎「俺らには今でもこの銃しかないんですし、みんなのがありませんよ」

田六子「俺の話はまだ終わってねぇんだよ、口をはさむな。それと、今後は俺に話しかける時はまず『報告します』と言え」

王虎「あ、はい!」

田六子「兄弟たちよ。今の俺たちが武器も軍服もないことは気にするな。俺らの団長と閻特派員は言った。蒋(介石)委員長はすでにそれらを用意してくれている。そう遠くないうちに俺らのとこにも届くだろう」

チンピラたち『なるほど、なるほど』

田六子「今の俺たちの一番の任務はまず部隊を立ち上げることだ。で、俺らはもう国軍だったのに、こんなだらしないことでどうする? 今から任命するぞ。王虎、おまえ第一小隊隊長な」

王虎「はい!」

田六子「二狗、おまえは第二小隊長だ。で、おまえは第三隊長」

チンピラたち『俺は!? 俺は!?』

田六子「あー、落ち着けおまえら。俺たちは十数人、まだ鉄道遊撃隊の一中隊より少ない。おまえらはもっと人を集めてきな」

チンピラたち『え~どうやってだよ!?』

田六子(一人の肩を叩きながら)「おまえもな、新しく一小隊できたら小隊長にしてやっからな。(他の男を見て)おまえもだ、わかったな?」

チンピラたち『おう! じゃあ、人集めてくるぜ』

王虎「報告します!」

田六子「ああ? おまえはまたなんだ?」

王虎「ヘヘ中隊長。俺らには一丁の銃も部隊もありますが、まだ足りないものがあります」

田六子「何が足りないって?」

王虎「姉御さんですよ」

チンピラたち『そうだよ、姉御さんがいなきゃな』

王虎「(チンピラたちに)いいか、これから可愛い娘を見つけたら連れてこいよ。俺らの中隊長に女房になってもらうぜ」

田六子(王虎を叩いて)「おまえもくだらんこと言うな。俺が好きなのは藍妮だけだ。・・・・・・・(みんなに)いいか、おまえら。現在の主要な任務は藍妮の行方を探すことだ!」

みんな『あいあいあさー』

Photo
田「俺ら今日から正規軍だぜー!」みんな「え~~??」

 その後、田六子の部下が藍妮を見つけ、彼女をかっさらってきますが、連れて来られた藍妮は怒って田六子の足を踏みつけ悠然と去っていきます。慌てて藍妮を追いかける(ついていく?)田六子と部下たち。

 その瞬間、突然京劇風の軽妙なBGMがかかり、みなの動きがスローモーションとなり、藍妮以外の人々の姿が少しぼやける。この一連の演出が本当に素晴らしい。ぜひ直に見てほしいですね。

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悠然と去っていく藍妮。ドラマと言うよりアニメーション作品のような演出が絶妙




今回の感想


 原作や映画版は敵味方の関係がはっきり分かれたやや単純な構造の話でしたが、TVドラマ版はそれぞれの関係が複雑に絡まりあい、物語の視野がより広くなっています。

 18話以降はいよいよその人間関係が水面下でそれぞれ絡み合いはじめ、それぞれ関係無いように見える個々の縁がどのように合流しあってそれが物語をどういう方向に動かしていくか先が楽しみになっていく回となっています。


 で、どういう縁が紡がれ始めているのか個々に見ていくと



・劉洪と崔団長のニアミス

 これは1話からあった伏線がやっと形になったというか、1話で劉洪に救出されて以来ぱったり音沙汰がなく無かったことにされたのかと心配していた崔団長が16話にして再登場。

 ちょうど鉄道遊撃隊も崔団長の国民党軍が根拠地とする微山湖中の島を根拠地にし、崔団と共同戦線を張りたいと思ってたところ。この「命の恩人」の縁で崔団と鉄道遊撃隊の共同戦線はあっさり成立か!・・・・・・と思いきやどっこい、なんと劉洪が護送中の崔団長を助けたのは暗闇の中でのことだったので、劉洪も崔団長も互いの顔を確認しておらず! 微山湖で会談を持った際もどっちもあの時助けた/助けられた相手だとはまったく認識できず!! え~、じゃあ、あの1話での伏線はいったい・・・・・・

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互いの正体(?)に気づかず再会した二人

 しかも微山湖の崔団は最近日本軍に取り込まれてしまった高敬斎とも関係があり、さらに重慶からの特派員・閻は実は日本軍のスパイ。密かに会談から戻る劉洪を襲ったあげく、鉄道遊撃隊に奇襲された、と崔団長にウソの報告。近づきかけた両者の仲を徹底的に決裂させようとする。

 だが、そんな両者を結ぶ以外な縁の糸が・・・・・



・縁結び(笑)の六子

 

 さて以外な縁の糸役になったのが、田六子。彼は単独行動をとる李九の弟子であり、鉄道遊撃隊の彭亮の恋人・藍妮に横恋慕する男。すでにこの段階で、いろいろな繋がりの萌芽があるわけですが、18話以降は大活躍。

 まず銃を盗みに高敬斎邸に忍び込んだで捕まったのをきっかけに後述のように李九と高敬斎を結びつけます。

 そして次に国軍に入って一旗あげて藍妮を振り向かせようと微山湖の崔団に志願。崔団長に出会い、彼が謎の命の恩人を探していることをしり、自分の情報網でその男を探すことを約束。一気に中隊長の地位を与えられます。

 この段階ではまだ彼は劉洪こそ崔団長の探している「命の恩人」だとは気がつかなかったが、王強のたくみな聞きだしによって、その事情を鉄道遊撃隊にもたらすのです。それによって鉄道遊撃隊はその「命の恩人」が劉洪であることに気がつき、王強はそれを利用して崔団との関係を築くべく再び微山湖島へ向かうことになります。

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恋愛相談をしながら田六子から崔団の情報を引き出す王強

 

 でも田六子、みんなの縁を結んでいるのに自分の恋愛はからっきしだね!




・高敬斎と義兄弟に?

 そして先にも触れた田六子が紡いだもう一つの縁とは、一匹狼・李九と大地主・高敬斎の義兄弟化。

 李九には紫玉という恋人がおり彼女は生き別れの姉を探しています。一方、高敬斎には紅杏という妻がいて、彼女も生き別れの妹を探していたのです。

 高敬斎邸に銃を盗みに行って捕まった田六子を引き取りに行った李九。高敬斎はかねたから彼を自分の民団に引き入れたいと思っており勧誘しますが、どこにも属したくない李九は一顧だにしません。しかし、紫玉そっくりの紅杏の姿を見た李九は彼女こそ探していた相手だと直感し、紫玉を連れてきて姉妹は無事に再会を果たします。

 紫玉を深く愛している李九は彼女の大事な姉を保護してた高敬斎に対しても深く感謝し、両姉妹の縁により二人は義兄弟となります。相変わらず民団に入ることは謝絶する李九ですが、これにより今まで接点の無かった李九と高敬斎の間に太いきずなが完成。

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高敬斎と杯を交わす李九



 ・・・・・・・・・・・でもこの高敬斎、すでに日本軍と通じている男。いったいこの出会いは李九・ひいては鉄道遊撃隊にどのような運命をもたらすことになるのか?



・負の因果を巡らす高敬斎


 さて、田六子が「正」の方向に縁を紡いでいるとすると、もう一人のキーパーソンである高敬斎は「負」の方向に縁を紡いでいると言えます。


 元々高敬斎は微山湖に依って抗日を堅持する崔団に経済的援助を行っていましたが(って、何も生産をしていない200名以上の集団を養う高敬斎の経済力ハンパねぇ)、その以前には身分を隠していた日本軍特務・松井と義兄弟の絆を結んでしまっており、それを盾に松井にむりやり日本軍への協力を強いられるようになります。

 松井は高敬斎に崔団に投降の説得をするよう依頼され、それに一歩遅れて鉄道遊撃隊も共同戦線を組むため高敬斎に接触。しかし李正は高敬斎がすでに日本軍に篭絡されている可能性を見抜き、そうであれば崔団の抗日体制も危ういと崔団長との交渉を急ぐことに。

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高敬斎に不審を覚え辞去する李正

 その一方で高敬斎は妻の紅杏を介して李九と関係を持ちます。そのようなわけで結局高敬斎は日本軍・(李九を介して)鉄道遊撃隊そして崔団と関係を持つなかなか重要ポジションに立つことに。



 時系列順に見ると

①松井、正体を隠して高敬斎に接近(ドラマ開始以前)→②紫玉と紅杏、それぞれ李九と高敬斎に保護される(ドラマ開始以前)→③劉洪、日本軍の捕虜になった崔団長を救出(1話)→④崔団長、微山湖に拠点を築きつつ命の恩人を探す→⑤高敬斎、崔団長を援助→⑥松井、高敬斎を対日協力者として取り込む(17話)→⑦鉄道遊撃隊、高敬斎に接触(17話)→⑧高敬斎、崔団長に日本軍への投降を勧める(18話)→⑨鉄道遊撃隊、微山湖で崔団と接触(18話)→⑩李九、紫玉と紅杏を介して高敬斎と義兄弟になる(19話)→⑪田六子、崔団に入隊(19話)→⑫田六子、王強に崔団長の「恩人探し」の話を伝える(20話)

 と、伏線が回収されつつ、それが新たな物語を紡ぎだしていって、しかもそれが吉と出るか凶と出るかまだまだ不分明なあたりが見ていて心躍ります。


今週の李正様

 さて、前回政治工作もできて子守もできるスーパー政委ぶりを発揮した李正様ですが、今回も(政治工作以外の面で)大活躍。

 負傷して芳林嫂の家に担ぎ込まれた劉洪に会いに来たとき、劉洪と芳林嫂のためにちょっとした気遣いを発揮。

 王強と二人していかにも困っているといったふうに大げさに以下のようなことを実にわざとらしく大声で言います。

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わざとらしいやりとりをする李正と王強

李正「なあ、王強よ。(劉洪)大隊長のこの傷はどうやらちょっとやそっとじゃ治らないみたいだなぁ。ああ、いったいどこで彼を療養させればいいものか

王強「まったくだ。いったいどこで彼を療養させるべきか頭が痛い問題だ

芳林嫂「何を悩むことがあるんですか。彼は我が家で預かります」

こっそり顔を見合わせて笑う李正と王強。

王強「なんだって、あなたの家で?」

芳林嫂「なんですか、まだ私を仲間の一員として扱うつもりがないんですか」

李正「い、いや」

王強「そういう話なら、実はな、大隊長はあなたの家で療養すれば気分も快適だろう。そして気分が快適ならそれだけ傷の治りも速いというものだ

 とまあ、実にうまく劉洪を芳林嫂の家で療養させる方向に持っていきます。さすが鉄道遊撃隊きっての(唯一の)策略家コンビ。もうこの二人のわざとらしいやりとりが笑える。



※それでは以下はちょっと腐向け内容になります。でも微腐なのでOKな人はぜひ。

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2012年11月 7日 (水)

『鉄道遊撃隊』18話 離間の計 19話 風雨来りて情深まる 20話 藍妮、結婚に抗う

※鉄道遊撃隊,支援者=赤,国民党軍,在野=青,日本軍,協力者=緑で示しています



18話 あらすじ

 

 李正王強を引き留めようとする高敬斎。だが彼の意図を感じ取った二人は屋敷を後にする。李正は高敬斎はすでに日本軍と接触しているかもしれないと考え、微山湖崔団に対する工作を急ぐことにする。

 松尾は日本軍に投降するよう崔団長の説得を高敬斎に命じる。話を聞いた崔団長は激怒するが、その心に迷いが生じる。実は日本軍のスパイであった閻特派員は状況を松尾に報告する。日本人に家族を殺された紅杏は高敬斎が松尾と会うのを疑問に思うが、商売の話だ、と高敬斎になだめられる。

 崔団長との交渉のため微山湖に向かおうとする劉洪を心配する芳林嫂。芳林嫂は自分の心配を意に介さない劉洪に腹を立てるが、劉洪は彼女の気持ちを察し小坡を同行させることとする。

 劉洪の来島に驚く崔団長だが、閻特派員に促されてとりあえず会うこととする。会談の席で閻特派員は遊撃隊と共産党に関する悪い噂を言い募るが、劉洪はすべてデマだと反論し崔団長に日本軍が中国の土地を奪い人々を殺戮している現状の前に中国人同士が手を取り合わなければならない道理を説き合作を求める。閻特派員は二人を匪賊と決めつけ処刑しようとするが、崔団長はそれを止め、しばらく考えてほしいと二人を帰す。しかし、閻特派員は団長命令を偽装し、二人の襲撃を部下に命じる。

 船を下り帰途についていた二人は突然銃撃され、劉洪が撃たれてしまう。小坡は劉洪を抱えてなんとか芳林嫂の家へ逃げ込む。芳林嫂は二人を地下室に隠し、その直後に閻の率いる部隊が家に押し入ってくる。

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芳林嫂の家を家探しする閻らと怯える一家
 

芳林嫂は一時的に劉洪を寝かしていた布団に血の跡が残っているのに気づき、怯えて泣く娘の小鳳を叩いて鼻血を流させ布団の血痕をごまかす。なんとか閻らをごまかし帰らせた後、芳林嫂は小鳳に泣いて謝る。一方、微山湖に帰還した閻は、劉洪らに闇討ちされたと虚偽の報告をし、崔団長は劉洪に怒りを燃やす。




19話 あらすじ


 芳林嫂に看病される劉洪李正王強は二人の気持ちを慮って、わざと劉洪が芳林嫂の家で療養できるよう仕向ける。

 李九とともに藍妮の元を訪れた田六子は彼女が彭亮と仲良くしているのを妬き、銃の腕勝負を持ちかける。李九の立会いの元、神業的な銃の撃ち比べをする彭亮と田六子。しかし皇軍将校から盗んだ銃を扱う田六子の方がリードする。

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注:銃の腕比べです・・・・・・・

だが藍妮は、亮が鉄道遊撃隊の中隊長であることのほうが素晴らしいと言い、もし田六子が彭亮よりえらくなることができれば結婚してもいいという。

 田六子はもっといい銃を手に入れてやろうと高敬斎の家に忍び込むが、見つかって捉えられてしまう。高敬斎は彼が李九の弟子と知り、李九を自分の味方につけるべく彼を呼びつける。田六子を迎えに来た李九はすぐに帰ろうとするが、偶然紅杏の姿を見、彼女こそ紫玉の生き別れの姉だと確信する。

 李九はすぐに紫玉を高敬斎邸に呼び、生き別れの姉妹は再会を果たす。李九は紅玉を保護していた高敬斎に感謝し義兄弟の契りを結ぶものの、彼の民団への参加は固辞する。

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再会を喜ぶ姉妹と高敬斎(左)、李九(右)




20話あらすじ

 

 芳林嫂の村に日本軍の捜索が入り、彼女は劉洪を湖の葦の中の船に隠すことにする。療養しながら小坡とともに鉄道遊撃隊の歌作りにいそしむ劉洪。劉洪と芳林嫂の仲を応援する小坡と藍妮は、二人を船の上で二人きりにする。

 芳林嫂は劉洪に自分の過去―小さいころから母一人子一人で苦労してきて、やっと結婚して落ち着けたと思ったらその夫は日本軍に殺されてしまったーを語る。劉洪も自分の過去ー貧困の中で父母は餓死し小さい頃から働いて、地主の牛を逃がしてしまったために村にいられなくなり、流浪を重ねたあげく共産党の部隊に入って生き延びることができた―と語る。船の上で気持ちを近づける二人。

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いい雰囲気の芳林嫂と劉洪

しかし、船がいつの間にか湖の真ん中まで流れてしまい、崔団の警戒隊に見つかってしまうものの、芳林嫂の機転で難を逃れる。

 田六子は藍妮をふりむかせるため、彭亮より高い地位につくべく劉洪に鉄道遊撃隊への入隊を申し込む。しかし劉洪に、遊撃隊は個人の出世のための場所ではない、と諭されてしまう。

 思い余った田六子は師の李九に、しばらく側を離れ崔団へ行かせてほしい、と頼む。李九は激怒するが、紫玉のとりなしもあって最後には弟子の好きなようにさせてやることにする。

 微山湖に上がった田六子はさっそく不審人物として崔団長の前に連行される。いきなり中隊長にしてほしいと言う田六子を崔団長は一笑するが、彼が<爬車>をすると聞いて態度を一変させる。崔団長は人払いをし、一本のナイフを田六子に見せ、このナイフの持ち主を知らないかと問う。それは二年前、日本軍の捕虜になっていた崔団長と部下を救った男の持っていたもので、崔団長はずっとその命の恩人のゆくえを探していたのだ。田六子にはナイフの持ち主に心当たりが無かったが、自分の人脈を通じて必ず持ち主を探し出すと言うと、崔団長は彼に中隊長の地位につける。

 田六子は自分の舎弟であったチンピラたちを集めて部下とし、「今から俺たちは国民党正規軍だ」と宣言する。よくわからないまま盛り上がる男たち。第一の舎弟の王虎は「士官さまになったなら、夫人が必要だろう」とからかうが、田六子は自分が思うのは藍妮だけと言い、正規軍かした最初の任務として藍妮を探し出し自分の元へ連れてくるよう命令をくだす。

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「今日から俺ら正規軍だぁ!」・・・え~?

 微山湖をうろついていた王虎は藍妮を見つけ、その場で拉致して田六子の前に連れていく。田六子は自分の「部隊」を見せるが、藍妮は200人の部下でもいなければ田六子の元へ嫁がないと言う。

 ともかくも李九の家に集まる一同。李九は兄の言う事を聞くよう迫るが、藍妮はこのままでは彭亮と結婚できなくなることに絶望して田六子の銃で自殺を図ろうとする。李九と藍妮の母はその光景に卒倒し、駆けつけた王強たちの仲裁もあって騒動はあいまいなまま終わる。

 いじける田六子は、女性の扱い方についてアドバイスしてくれた王強に心を許し、崔団についての情報を彼に提供する。崔団長は二年前に命を助けてくれた恩人を探しているとの話に王強は思い当たることがあった。

 王強の話を聞いた劉洪は、崔団長の探している恩人とは自分のことだと確信し、再び島に上がろうとするが、代わりに王強がその役を買って出る。

 渋る田六子に自分を崔団長の元へ案内させる王強。鉄道遊撃隊の副隊長と知って崔団長は王強を拘束する。田六子は王強を監禁場所から逃がそうとするが、かえって「おまえはこの島で中隊長の役をしっかり果たすように」と言われてしまう。さらに田六子は崔団長に王強の釈放を頼むが・・・・・・

2012年8月 5日 (日)

『鉄道遊撃隊』15話~17話 感想

 はるか昔に書いたあらすじはこちら



 前回、棗庄での地下活動をたたみ、農村で公開ゲリラ闘争(←ちょっと形容矛盾みたいな感じもするが)をはじめた鉄道遊撃隊ご一行。

 15話から17話にかけては、新天地の混沌とした状況が語られる。すなわち微山湖に陣取る国民党敗残部隊、どの陣営にも属さない自衛組織・民団を組織した大地主の高敬斎、その高敬斎を取り込もうと暗躍する日本軍特務・松尾、そしてそれらとは特に関係なく気の向くままに状況を引っかき回す李九と田六たち!!

 そんなカオスな地に飛び込んだ新参者の鉄道遊撃隊だが、彼らに待ち受ける波乱は今回はひとまず置いておいて、美恵子と田中の二人の捕虜を送ったり、劉洪と芳林嫂との仲が進展したり・・・・・・。まあ、そんな嵐の前の静けさながら今回も見所が多い。一つずづつ紹介してみよう。




1、男だぜ、張駅長

 捕まった恋人・藍妮を救出するため棗庄に戻った彭亮。危機に陥った二人は鉄道遊撃隊の援軍に助けられ、みなは張駅長の運転する列車で脱出を試みるが日本軍の装甲車が線路上を追いかけて来る!! と、張駅長は突如列車あから飛び降り、日本軍の砲弾が飛び交う中を転轍機へ向かって走り出す。張駅長は転轍機を動かして線路を切り替え、装甲車の追撃をかわそうとしたのだ。

 しかし日本軍の銃撃が張駅長の身体を貫く! それでも彼は最後の力を振り絞って転轍機を切り替え、そのまま絶命!! 彼は死んでも転轍機を放しませんでした!!

 ・・・・・・と言う軍国美談は置いておいて、なかなか張駅長の男気が溢れるシーンでした。彼は鉄道遊撃隊員のような奇人超人ではなく、本当に市井の堅実な鉄道員で、そんな人が仲間の危機に勇気を奮うというのが良い。死ぬかどうかはあくまで結果論と言うか、でないと本当に殉国美談に回収されちゃうからね。

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最後の力を振り絞り転轍機を動かす張駅長





2、すぐには分かり合えません(あるいは夕焼け小焼け)

 李正と劉洪は前回の客車攻撃で捕虜にした田中と美恵子を抗日根拠地に送ることに。その任務を請け負った魯漢,小坡,林忠,黄喜二だが、本音では日本人を優待するなんてことなんて納得していない。そんな中、美恵子のせいで小坡が負傷し、怒った林忠が二人を射殺しようとしたり、黄喜二が美恵子を乱暴しようとしたり。田中と美恵子の二人は二人で魯漢たちに怯えてばかり。両者の間には歩みよりのかけらも無い。

 そんなこんなでなかなかグダグダな旅になっていたが、田中と美恵子は魯漢たちが二人にもちゃんと自分達と同じ食事を与えたり日本軍が中国人にどのような災厄をもたらしているかを知ったり、魯漢たちは日本の民衆がむりやり戦場に駆り出されている事情を知ったりと、「歩みより」とまではいかなくてもその基礎となるものはこの旅で出来上がったように思える。

  まあ、魯漢たちのふるまいにはちょっと度が過ぎているものがあったけど、抗日闘士と捕虜の日本人がそう簡単に分かり合ったり、立場を割り切ったりしないあたりがかえってリアリティがあってよかったんじゃないかと思う。凡百な抗日ドラマだと八路軍兵士は捕虜優待政策について非常に物分かりがいいし、捕虜の日本兵もあっという間に改心してしまう。それよりはなかなか分かり合えずぶつかりあった果てに仲良くなったほうがが話としてはいいんじゃね? と思うしだいです。


 でさ、笑えるのが田中と美恵子が二人で故郷のこととか話すそういうしんみりした場面で決まって流れるBGMが『赤とんぼ』なんだよ。なんでぇ!? いや、なんとなく意図はわかるんだけどね。歌詞の意味を知っているのかはわからないけど、いかにも日本的でもの悲しげな歌ってことで採用されたんだろうね。でもしんみりした場面で毎回のように「夕焼け小焼けの~」が流れるのはかなり笑えます。かと言って『荒城の月』とか流されても笑うけど。




3、李九無双

 日本軍は嫌いだが、だからといってどこかの組織に縛られて抗日するのはもっと嫌、ということで今日も一匹狼の「飛賊」として各地を旅する李九。しかし、鉄道遊撃隊の評判が「飛賊」李九よりも高くなるのはおもしろくない様子。とある街で自分の実力を思い知らせるため、日本軍の馬を盗みだしてくることを宣言する。

 まあ、変なところで子どもっぽい李九ではあるが、首尾よく日本軍駐屯地に侵入し手に入れた日本軍将校の軍服を着て盗んだ馬に乗って堂々と正門から出ていく。李九を将校だと思っている門番はそのまま彼を通してくれたが、あまりに事があっけなく終わってしまって物足りない李九はわざわざ一騒動起こすことに。

日本軍将校の軍服を着た李九、馬に乗って正門から出る。門番二人が敬礼。

(門を出てしばらく行き)李九「・・・・・・これではおもしろくもなんともない」

李九、再び正門に戻る

門番「はいっ」

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わざわざ戻ってくる李九

李九「何が、はいっ、だ。貴様らこの俺を誰だと思っている!」

門番「はいっ」

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自分から正体を暴露する李九


李九「俺は李九様だぞ!」

門番「はいっ」

李九「まったく、骨が折れる。俺は李九、今からおまえらの馬を盗もうとしている李九だ」

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日本軍の軍服を脱ぎ捨てる李九


李九、軍服を脱ぎ門番に投げつける。

李九「よく見るがいい! 俺こそおまえらの馬を盗んでいく李九だ!」

門番「この馬鹿!」

李九、笑いながら馬を走らせ逃げさる。

李九「はははは!!!」

門番「待てぇ!!」

 いやいやいや、さすが怪盗ルパン・・・・・・もとい「飛賊」李九。わざわざ戻って日本兵の前で自分の正体を自分で暴露するとはなんという火遊びを。この後、彼は街の連中に約束通り馬を盗んできたところを見せつけるが、案の定日本軍に追いつかれ包囲されてしまう。しかし、圧倒的に不利なそんな状況でもなんなく脱出してしまうのが李九という男。

 まあ、小学生男子みたいなバカをやるものの、いつでも飄々としている李九はやはりかっこいいと言わざるをえないだろう。一匹狼の義侠の徒の鑑。




4、乙男おやじ再び

 覚えているだろうか? 1話で日本軍の捕虜になっていたところを颯爽と現れた劉洪に救出された国民党軍将校のオッサンを。

Cap1281

劉洪に銃を向けられる国民党軍将校(1話)


 1話でかなり印象深く登場しレギュラーになるかと思いきやその後音沙汰がなくなってしまったあのオッサンで、まさか登場はあれっきりかと思いかけていたところ16話目にしてやっと再登場。おいおい、どれだけの視聴者がその存在を覚えているんだ? 物語の時間軸からしてもすでに1年以上が経過しているはず。せっかくあからさまな国共合作フラグ(抗日ドラマにおいて主人公の共産党員と国民党員が出会いがしらに銃を突きつけるなど衝撃的な出会いをすると後にこの両者は共同作戦を採るようになるというフラグ)が立っていたのに、もうすっかり折れてしまっていたんじゃない?


 しかし、この崔団長と呼ばれるおっさん。1話と同様、登場するなりばっちし視聴者に印象を残した。すごいのだ、彼のなまりが。

 文章では伝えることができないが、とにかくなまりがすごく田舎者丸出しの喋り方で、日本語に訳すなら「私」を「ワス」と訳さなければならないだろう。中国は地方ごとに方言があり、各地で発音が違うので違う地方同士の者が会話するのが困難なのだが、この崔団長にしてもよく周りの人々は言っていることがわかるなぁ、というレベルである。中国語よくわからない私でも明らかにイントネーションが著しく違うのはわかる。

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16話目にして再登場



 私はなんとなくこのおっさんのことを乙男だと思っているのだが、だとするとこの国民党軍将校は


おっさん+乙男+なまり

のコンボキャラということになる。前回出てきた「セーラー服」+「ざんばら髪」+「ツンツン娘」のコンボにも勝るとも劣らない。しかも彼の部隊は鉄道遊撃隊が拠点を築きたいと思っている微山湖の島に陣取っており劉洪たちは彼と連絡をとりたいと思っている。国共合作フラグの回収もうまくいきそうだ。

 まだ顔見せ程度だが今後の展開と劉洪との合作展開が楽しみなキャラである。




5、男だぜ(?)金山さん!!

 棗庄で鉄道遊撃隊にさんざん利用されたあげく、利用されていただけなのに遊撃隊の協力者とみなされ日本軍に捕まり軍法会議にかけられちゃった金山さん。まあ、彼も善人ってわけじゃぜんぜんないんだが、さすがに同情を禁じえない境遇である。

 しかし今回、日本人の想像を超える中国人の「義理人情」というものを語る特務の口から信じられない発言が、

司令官「棗庄の金山という男には王強という部下がいたが、彼は実は八路軍であり、義理と人情の心を利用して金山を騙していた。そして今に至っても、金山は王強が八路であったことを信じようとはしないのだ・・・・・・中国人の「義理人情」とはなんと恐るべきものよ」

 うえええええええ!!! 金山さんはあれだけ利用されたあげく捨てられ捕まっている身だというのにまだ王強のことを信じていたんかい!? ちょっ、王強さん、いくら何でも金山さんを救うために何かやってあげなよ、いくらなんでも可哀そうっす、って言うかいっそすげーいい人やなぁ金山さん(;´Д⊂





今週の李正様

 鉄道遊撃隊みなのアイドルであり、最強&最凶の政治委員である李正様(←なんとなく「様」をつけねばならない気がする)だが、今回は目立った活躍もなく今後のことについて思案している様子。しかし、思わぬ一面も明らかになった。

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 ↑は芳林嫂の娘をあやす李正様。なんと隊員の男たちだけでなく子どもの面倒までもみれるとは。しかも劉洪と芳林嫂の間にある感情も承知していてなかなか粋なはからいまでしてやっている。

  私は今まで彼のことを有能な政治委員だと思っていたが、どうも違ったようだ。単なる政委ではなく、政治工作も子守もできて男女の機微にも通じるスーパー政委と呼ぶのがふさわしい。

 ・・・・・・ところでこのスーパー政委、やたら子どものあやし方がうまかったり男女の機微にまで通じているのはまさかと思うがすでに結婚して子どももいるのだろか? うええええ、この「歩く革命倫理」男が?



 なんかこの3話はまだまだいろんなことが起こったけど、キリが無いので今回はここまでです。

 

2012年5月 8日 (火)

『鉄道遊撃隊』15話虎口からの脱出 16話微山湖の畔で 17話 前門の虎後門の狼 あらすじ

※赤=鉄道遊撃隊・共産党、緑=日本軍、傀儡軍、青=国民党軍、在野を表します



15話あらすじ


 
彭亮棗庄の列車運転手であるを訪ね、藍妮を探すため街に潜入する。

 棗庄にやって来た山本将軍は、一連の騒動は包囲を突破した八路軍主力によるものではないと判断し、八路軍の根拠地への包囲を引き続き継続する。

 一方、鉄道遊撃隊の捕虜となり怯える日本兵の田中美恵子はジュネーブ条約で捕虜の安全は保障されていると慰める。しかし、田中から日本軍は捕虜を殺してきたと聞かされ、なぜ叔父の山本将軍が自由な取材を許さなかったのか知る。

 彭亮は夜道で特務隊副隊長の丁二牛を捕らえて藍妮の居場所へ案内させ、特務隊長の張三と対決する。張三と丁二牛をのした彭亮は牢から藍妮を救出するが、復活した張三に捕まってしまう。しかし張三に恨みを持つ丁二牛が彼を殴り倒し、二人を油断させて外に連れ出すが、そこで警報を発し憲兵隊を召集する。

 丁二牛を射殺したものの、憲兵隊と特務隊に追われ絶体絶命の二人を救いに鉄道遊撃隊の仲間たちが駆けつける。皆は苦戦しながらも駅に向かい、張運転手が動かしてくれた列車に乗り込み脱出を図るが、装甲車が線路を走って追ってくる。張運転手は列車から飛び降り、銃弾を浴びながらも最後の力で転轍機を動かし、線路を動かして装甲車が後を追えないようにする。

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銃弾を受けながらも最後の力で転轍機を動かす張運転手


 劉洪は彭亮の勝手な行動が犠牲を招いたことを諭し、反省した彭亮は二度と勝手な行動はしないことを誓う。藍妮と彭亮は結婚を許してもらうため藍妮の母に挨拶に行くが、いざとなると彭亮はどうしても結婚を切り出せず逃げ帰ってしまう。

 二人のことを聞いた田六子は慌てて藍妮の家に行くが、藍妮から彭亮は漢奸から銃を奪うほどの男なのだと言われ、ならば自分は直接日本軍から銃を奪い藍妮を振り向かせようと考える。

 美恵子と田中は八路軍の根拠地で預かることとなり、日本軍に食料を運ぶ農民に扮した魯漢小坡林忠黄喜二の4人は二人を連れて根拠地に向かう。

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日の丸を掲げて偽装する魯漢たち

しかし、日本軍と特務隊と行き会った時に荷馬車の荷物の下に隠していた美恵子が暴れたため異変に気づかれてしまう。荷馬車の荷物を投げて逃げる魯漢たち。その途中で美恵子が転げ落ち、助けに行った小坡が腕を撃たれてしまう。

 何とか追撃を振り切った魯漢たちだが、美恵子のせいで小坡が負傷したことに怒った林忠は彼女を手荒に扱い、さらに美恵子をかばった田中を撃ち殺そうとする。魯漢は捕虜を優待するよう言って止めるが、林忠は聞く耳を持たない。そこで魯漢は二人で賭けをすることにし、一発だけ弾を込めた銃で一度だけ引き金を引き、それで林忠が田中らを撃ち殺してもお咎めなし。しかし、それで弾が出なかったら以後林忠は二人の扱いについて魯漢の言うとおりにする、とした。

 その賭けに乗った林忠は二人に銃口を向けるが、結局引き金を引くことはできず、自分の負けを認める。魯漢は実は最初から銃に弾を込めていなかったことを明らかにし、林忠はまんまと騙されたことに苦笑する。

 皆は食事にしようとするが、食料も逃げる時にすべて捨ててしまっていた。林忠が得意の投げナイフで鳥をし止めたが、美恵子はあれだけの食料ではとても自分たちにまでまわさないだろうと思うが、ちゃんと自分達にも分け与えられたことに驚く。しかし、黄喜二は一番良い部分を二人に分け与えたことに憤り、深夜、見張り役を買って出てよからぬ計画を立てる。



16話あらすじ

 黄喜二美恵子を襲おうとするが、気がついた林忠に殴り飛ばされる。黄喜二は日本人に思い知らせてやるんだと言うが、林忠は魯漢に倣って賭けを申し出る。しかし、魯漢と違い、林忠は確かに銃弾を一発仕込んだ銃を自分の額に突きつけさせ、引き金を引くよう黄喜二に迫る。黄喜二は恐れ入り、もう捕虜に手出ししないことを誓う。

 翌日、徒歩で目的地に向かう途上で、田中は自分よりも幼い小坡も徴兵されたのか興味を抱く。田中の疑問が理解できない小坡に美恵子は、日本では長引く戦争で兵力が枯渇し兵隊に取られる年齢も下がる一方だと説明する。小坡は、自分が戦うのはいわば日本軍に迫られたようなものだと言い、美恵子は複雑な気持ちになる。

 一方、藍妮を見返してやろうと日本軍の銃を狙う田六子は弟分の王虎とともに騒ぎを起こして、それに乗じて小林司令官の銃を盗む。その銃は小林の祖父が天皇より下賜された朝鮮王族由来の品で、小林は岡村に捜査を命じる。そうと知らない田六子は見たこともないような銃を珍しがり、その思わぬ威力を喜ぶ。

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銃の威力で真っ白になる田六子と王虎・・・ここは笑うところです

 銃の捜索をする岡村の前に近隣の愛護村の保長(日本軍支配下の村で防共・反抗日運動の責任を負った人間。しばしば日本軍と抗日勢力の二股をかけたり、ぶっちゃけ実は抗日勢力の味方だった、のを知らないのは日本軍だけ)・朱三が現れる。朱三は岡村に媚び、銃や飛虎隊(鉄道遊撃隊)の行方がわかりしだい報告する、と約束する。

 田六子は李九に銃を見せに行くが、彼は不在であった。田六子は彭亮を超えるべく、王虎とともに銃の鍛錬をする。

 街で酒を飲んでいた李九の耳に鉄道遊撃隊の噂が入る。鉄道遊撃隊は飛賊・李九よりもすごい、という人々の評に腹を立てた李九は自分は日本軍の馬を奪ってくる、とみなに宣言する。

 深夜、李九は日本軍士官の服を奪って駐屯地に侵入し馬を盗みだすが、あまりに簡単に事が運んでおもしろくない、とわざわざ門番に自分の正体をさらして追いかけさせる。

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わざと自分の正体を暴露する李九

李九は街の人々に約束通り馬を盗んできたことを見せ、日本軍に包囲されるものの巧みな体術で切り抜け逃亡する。度重なる不祥事に怒った小林は李九を指名手配する。

  鉄道遊撃隊の軍歌作りにいそしむ劉洪たちの前に、実は抗日勢力の味方だった朱三が報告に来る。新たな根拠地を探す鉄道遊撃隊に、朱三は付近の微山湖の中にある島を紹介する。しかし、そこにはすでに、かつて台児荘戦役の際に中央軍に捨てられた崔団長率いる三,四百人の国民党軍が駐屯し抗日を堅持しているという。彼らはすでに中央に見捨てられ、代わりに付近の大地主・高敬斎から物資・食料の提供を受けているのだという。

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微山湖に駐屯する崔団長(左)

 李正はこの崔団と高敬斎の抗日意識が高いことから協力関係を築けないか考える。しかし、会議の場所に家を提供していた芳林嫂は、高敬斎こそ自分の夫を日本軍に売り死に追いやった男だと訴える。朱三は、高敬斎には臨城で貿易会社をやっていた松尾という日本人の友人がいたが彼はすでに帰国したはずだ、と李正らに教える。

 微山湖の島のではその高敬斎からの給与が長らく途絶え、崔団は困窮していた。崔団長は重慶の政府から派遣されて来た閻特派員に文句を言うが、閻はしばし耐えるよう諭す。

 その頃高敬斎は住民を集めて共産党・国民党・日本軍のどの勢力とも距離を置く自衛組織・民団を結成していた。武器はどうするのかと村民たちから問われ、高敬斎はこれから買い集めると答える。

 李正は微山湖の島に新たな根拠地を築くためやはり崔団や高敬斎と同盟を結ぶべきと結論付け、芳林嫂はそれに激怒し飛び出して行ってしまう。劉洪は彼女を追い説得を試みるが、芳林嫂は聞く耳をもたず、二人は決裂する。



17話あらすじ

 もの別れしてしまった劉洪芳林嫂。芳林嫂は後で藍妮に、統一戦線とは何かと尋ね、抗日のために必要なことだと言われる。

 芳林嫂がいつまでも寡婦でいることを心配した彼女の母と朱三によって、新しい嫁ぎ先が紹介される。ためらう芳林嫂だが母に説得され、また劉洪にすっかり嫌われたと思い、その縁談を了承する。

 李正は大地主の高敬斎との同盟に対する不満が部隊内に渦巻いていることを察し、芳林嫂の不満も放置しておいてはいけないと考える。李正は自分が隊員の説得にあたり、劉洪には芳林嫂の説得をまかせる。自信が無く断りたい劉洪だが、二人の間にある感情を理解する李正はぜひ劉洪に頼みたいと押す。

 芳林嫂と仲直りするため、街で彼女に贈る赤い布を買っていく劉洪。しかし、彼女の母から先ほど嫁ぎ先の隣村に向かったと聞き、慌てて追いかける。劉洪は芳林嫂を呼び止めるが、彼女はあくまで冷たい態度で接する。彼女の再婚を止めたい劉洪だがそれをどうしても口に出すことができず、赤い布だけを渡して去っていこうとする。その贈り物を見た芳林嫂は意固地になるのを止め、その布を頭にまとって来た道を戻る。

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劉洪の前で赤い布をかぶり、彼の気持ちに応える芳林嫂


劉洪は喜び、鉄道遊撃隊の軍歌を歌いながら、ともに村に戻る。

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芳林嫂の無言の回答に喜び照れ、歌を歌い出す劉洪


 一方、日本軍棗庄の治安を安定させ、高敬斎を取り込むため、中国通の松尾を派遣する。松尾の上官は中国人を理解するために『水滸伝』を研究することを勧め、中国人の「義の心」を理解し、これを利用するように言う。

 高敬斎は自宅に紅杏という一人の美女を養っていた。紅杏はかつて父を日本軍に殺され、唯一の肉親の妹・紫玉とも生き別れになっていたところを高敬斎に保護されたのだった。高敬斎は彼女のために妹の紫玉を探し、父の敵を討つことを誓い、彼女に結婚を申し込む。高敬斎のことを愛するようになっていた紅杏もそれを承諾する。

 盛大に行われる高敬斎と紅杏の結婚式。そこで民団のための武器が届いたとの報が伝わり、高敬斎は密かに確認に行く。しかし、そこに現れたのは黒服の男達を引き連れた旧友・松尾であった。

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(悪の)雰囲気たっぷりで登場する松尾
 


 高敬斎は松尾の正体が日本軍の特務であったことを知り愕然とする。松尾は民団を日本軍の傘下に置くよう迫り、高敬斎は「漢奸」にだけはなりたくないと突っぱねようとするが、松尾はすでにおまえは「漢奸」だと告げる。かつて高敬斎が松尾に教えた臨城や微山湖の国軍の状況は、日本軍の作戦に利用されていたというのだ。高敬斎は逃げ道が無いことを悟り、松尾の要求を受け入れてしまう。

 民団を日本軍の傘下に置く作業をしながら苦悩する高敬斎。紅杏は何か困ったことがあるのかと問うが、日本軍が父の仇である彼女に高敬斎は本当のことを言えない。そこに、知人だと言う二人の商人を名乗る男が訪ねてくる。

 不審に思いながら高敬斎が面会すると、二人の男はかつて彼が死に追いやった芳林の兄弟だと名乗った。高敬斎は驚き、自分は芳林が八路軍だと誤認していた、と釈明する。すると、二人の男は自分達こそその八路軍だと言い、鉄道遊撃隊政委の李正と副隊長の王強だと名乗った。

 李正は礼儀を尽くして高敬斎の抗日に対する意識を尋ね、高敬斎は話を合わせて自分の抗日の意識は人後に落ちるものではない、と主張する。

 

2012年4月16日 (月)

鉄道遊撃隊13話~14話 感想

 長い間ご無沙汰していました。中国を西に東に移動しておりました(南に北にはあんまりしていない)。何とか再開していきたいところですが、まだ西に東にしなければならないので更新は遅れまくると思います。って言うか、中国ってやたら移動に時間かかるから嫌だよね。しかも移動中はほとんど何もできないし!・・・・・・まあ、日本の私の老郷は狭いとこなんだけど田舎なんでバスが来なくて結局ある意味中国並みに移動に時間がかかるんだけどさ。

 で、中国の列車に苦しんでいる現状にふさわしく『鉄道遊撃隊』13話~14話感想行ってみます。



役割分担からが遠足です

 今回は『鉄道遊撃隊』の中でも見せ場の一つ「客車の戦い」が描かれた。これは乗客として遊撃隊メンバーが客車に乗り込み列車の日本兵(何か警備のためなのかなんなのか、いつも列車には数名の日本兵が乗り込んでいるらしい)をぶっ殺すというたまたま乗り合わせた一般乗客にはなかなか迷惑な作戦。実際に、作戦が終わった後、一般乗客を降ろして「乗客のみなさん! ご迷惑をおかけして申し訳ない!」って李正が言ってたもん(でもその後、鉄道遊撃隊の宣伝)。・・・・・で、列車が止まってしまったので乗客たちは次の駅まで歩いていったんだろうね。

 まあ、そういう現実的な問題は置いておいて、やっぱり見せ場らしく(今回も)満足な出来。とは言っても、客車の戦い自体は結局やることは目の前の日本兵を列車の窓から突き落としたり撃ち殺したりといったいつも通りの単純な殺戮アクションで、しかもチートキャラである李九のようにアクションそれ自体だけで魅力になるほどの切れ味はない。

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列車内アクション!


 今回の見所は「客車で日本兵を襲う」という企画を立て、そのために各々役割分担をしたり、情報を収集したり、いざ客車に乗り込んだ時に一般乗客としていかに怪しまれず日本兵に近づき一斉攻撃の合図を待つか、そういう準備過程が楽しみ所なのではないかと思う。

 まずは企画立案。今回の作戦は鉄道遊撃隊が公開闘争となったことで、民衆の前でその活躍ぶりを披露し支持を取り付けるという大目標がある。実際、客車に乗っている数名の日本兵を殺したところであまり意味はないが、民衆の前で派手な戦いぶりを披露することは宣伝効果抜群というわけだ。しかもこの作戦により山岳部の抗日根拠地を包囲している日本軍のかく乱もできる。

 企画を立てたら次は情報収集。これは女性で怪しまれにくい芳林嫂が担当。乗客として列車に乗り込み、日本兵は各車両に一人ずつ乗り込んでいるほか、専用車両にさらに数名が乗っているとのこと。

 情報も収集したところで次は役割分担だ。まずは何はなくても列車に乗り込んで日本兵を襲う役を選定。この刺客役に選ばれたのは王強、魯漢、小坡、黄喜二。彼らがそれぞれ各車両に乗り込み一人づつ日本兵を襲う作戦。そして列車を運転できる彭亮が、列車を乗っ取た後の運転士役をやることに。

 と、ここで一つ問題発生。それぞれが別々の車両に乗り込んだら、どうやって一斉攻撃を行うのか。もしどこかの車両の人間が先に攻撃を始めたら別の車両の日本兵が駆けつけて来て作戦はダメになってしまう。そこで劉洪が彭亮とともに運転車両に乗り込み、銃を撃ってその音をもって攻撃開始の合図とすることに・・・・・・一番戦闘能力の高い劉洪が単なる合図係りとはちょっと配置に問題があるような気もするが。

 ところでこの劉洪が合図の銃声を放つシーンは映画で最も有名な構図のシーンとなっている。

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1956年映画版

 で、映画をリスペクトしている(もしくは映画『鉄道遊撃隊』のファンへのサービスを心得ている)ドラマ版でもこのシーンはしっかり同じ構図で再現。どちらかというと映画の方が良いが、こういう押さえるべきところはちゃんと押さえる心遣いはポイント高い。

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2005年TVドラマ版

 さて列車乗っ取り&攻撃組が決まったが、襲撃をより確実にするために別働隊も組織することに。彼らは残りの鉄道遊撃隊一般隊員ら数十人で、指揮は李正がとる。所定の場所で列車が彭亮によって止められたら一斉に列車に乗り込み列車組の加勢に入る役だ。ここで李正が花形の列車組に加わらず、あくまで戦闘役からは一歩引いて全体の司令塔的な役を負うのもなんかほっこりconfidentする。純戦闘員で無い李正にはぴったりの役どころだし、そもそもこういう後方から攻撃部隊をサポートする役ってのが昔から好きなんだよね。

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司令塔&サポート役が似合う李正

 そして役割分担の最後。そもそもこの襲撃は鉄道遊撃隊の名を民衆に知らしめ、日本軍に大部隊の仕業かと誤認させてかく乱することが目的である。宣伝は大事だ。そこで芳林嫂が襲撃と同時刻に街にこっそり抗日標語を書いたビラを貼りまくるという役を引き受ける。この時、抗日ビラを焼餅(小麦粉を薄く延ばして焼いた中国のパン)の中に隠して街に持ち込むというアイデアが良い。

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パンの中に抗日ビラを隠す


 こうしてさまざまな打ち合わせや準備の果てに「列車乗り込み組(襲撃組&運転・合図組)」+「加勢組」+「宣伝組」という役割分担が出来上がっていく過程がおもしろい。

 次は列車乗り込み組の4人がいかに怪しまれず合図の時まで標的の日本兵に近づくかの問題だが、これは後述する。



新キャラセーラー服美少女登場!!

 さて、この回では原作に無いオリキャラが数名登場する。一人は女性従軍記者・美恵子。そしてこの「客車の戦い」で鉄道遊撃隊の捕虜になる日本兵・田中。まあ、この二人はいろいろと重要な役回りをすることになるのだが、当分特に活躍しないのにその二人より強烈な印象を与えたのが、美恵子の友人で女学生の松尾櫻子。後に彼女は日本軍大物特務・松尾の娘と判明するが、とりあえずそんなことよりも大事なのは彼女のビジュアル&キャラ設定である↓。

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左が記者の美恵子、右が女学生の櫻子

 セーラー服! 長身!!(ってか並べるとマジででかいよ) プチザンバラ髪!!!

 いや、これはすげぇーよ。中国でも実はセーラー服(とそれを着ている女学生)は人気なんじゃないかと思うけど、それに長身ザンバラ髪少女という組み合わせがすごい。一つ一つはたいしたことなくてもそれらが融合すると化学反応が起きていっそ斬新な可愛さをかもし出している。ってかマジで不思議に可愛いよ、この娘。


 で、その性格だけど、実にお高くとまったツンツン娘だったりするのだ。例えば中国人と親しく接する美恵子に対し「支那人なんか相手にすんのやめなさいよ」と傲然と言い放ち、「そんなこと言わないでよ」と美恵子に言われてもフンっとそっぽを向く。中国人に対する差別感情もあるだろが、彼女自身もキツイ性格のツンツン娘なのだろう。

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 いや、セーラー服+長身+プチザンバラ髪+お高くとまったツンツン娘って、制作陣はどんだけ萌え要素を理解しとるんですか!? しかもこれは単なる萌え要素の詰め合わせではなくて、単体では必ずしも萌えとはいえない要素を融合させるという高等テクニックではないですか!? ほんとすばらしいよ。

 残念ながら櫻子ちゃんのセーラー服姿はこれで見納めとなり、しかもしばらく登場が無いが、ドラマ中盤でこれをはるかに上回るインパクトある「姿」で再登場する。・・・・・・いや、ほんと天井知らずのインパクトなのですよ・・・・・・。

 もう一人の新キャラ美恵子について。彼女は実は山東における日本軍の総指揮者・山本の姪という設定。従軍記者見習いだが軍の報道規制を嫌って、お付きの日本兵や櫻子の隙をついて列車に乗り、自由な取材の旅に出ようとしていたところで鉄道遊撃隊の列車襲撃に遭遇してしまう。

 彼女は小坡と李正に殺されかけていた若い日本兵・田中君を勇敢にもかばい、彼を捕虜として扱うよう頼み、李正もそれを受け入れる。民間人である美恵子は解放されることになるが、田中君が心配な彼女はかなり強引に鉄道遊撃隊に同行する。この時、あの李正さえも「私も一緒に行く!!」という美恵子の決意に一瞬圧倒されてしまう。いや、あの李正様を一瞬とは言え黙らせるとはこの女ただものではない。

 しかし、李正も負けてはいない。続いて美恵子が「あなたたちの列車襲撃に強く抗議する」と言うと、怒りを抑えた声で「そもそも中国を侵略し、民衆のすさまじい災厄をもたらしているのは誰だ」と彼らしく理論整然と反論。今度は美恵子が何も言えなくなる。

 でさ、この李正と美恵子の出会いから一連のやりとりがなぁぁぁんかおいしく感じるんだよね。カプ厨としては、これからの二人の間で恋でも始まるんじゃないかと妄想してしまう。だって鉄道遊撃隊の政委で筋金入りの堅物で歩く革命倫理な李正と日本軍山東司令官の姪で開明的で勇敢だけどミーハーな美恵子とか、それってなんて禁断デコボコカプ! 超おもしろいと思うんだけどね。

 実際、美恵子は列車襲撃の前に知り合った藍妮と恋バナで盛り上がった時、「まだ恋人はいないけど、いつか素敵な人と出会いたい」とか言っていたから、やはりこれは李正とのカプフラグか!?

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「抗議」する美恵子に毅然と反論する李正

 で、この美恵子もだいぶただ者じゃない。鉄道遊撃隊が勝利集会をしていたら日本軍が報復にやって来てその砲弾が炸裂するなか彭亮が危険を顧みず行方不明になった藍妮を探しに行く場面。田中君が「彼はいったい・・・・・」と言うと、美恵子はうっとりとした顔と声で「愛のためよ」と言う。

 ・・・・・・・・・・・・いや、(自分の意志とは言え)列車強盗まがいの集団に捕まっていて、しかも周囲には日本軍の砲弾が炸裂している状況で、いかにも「なんてロマンチック!」とばかりに陶酔するとは!!(田中君もちょっと引いているよ!) やっぱりこの女ある意味李正とお似合いなんじゃないの?(でこぼこカプ的な意味で)

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↑そんなうっとりしている場合ではないが・・・・・・




ピックアップ場面

 今回は列車に乗り込んだ襲撃組がどうやって各車両の日本兵に近づき、攻撃の時を待ったかについて。このやり方にも各人の個性が現れていておもしろい。

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一般客のふりをして列車に乗り込むメンバー


 まずは王強。彼は日本兵の向かい席を確保し、炭坑の経営者を名乗って持ち込んだ徳洲焼き鳥(山東の名物料理)を勧めて歓談する。その様子は経営者が強者に取り入る姿そのもので、近くの中国人乗客は思わず眉をひそめるレベルだった。

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乗客1「なぁ、あれでも中国人と言えるのかね?」

乗客2「中国人の面汚しだな」

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乗客1「まったくだ!」

乗客2「しっ、聞こえるぞ」
 

 魯漢は持ち込んだ酒を日本兵に勧めて上機嫌にさせる。

 彭亮はやはり持ち込んだ卵でちょっとした曲芸を演じ、日本兵の注意を引く・・・・・・って彼のナイフ投げの才能はこんな応用も聞くのか、いやその前になんで列車でこいつはいきなりこんなことをしているのか誰も疑問に思わんのか!?

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こんなことを無表情のまましているから笑える

 黄喜二はハンカチを使った手品で日本兵の気を引く。

 そして小坡は琵琶をつま弾き、その音色に魅かれて一人の若い日本兵が近づいてくる。彼が後に捕虜になる田中君だ。純粋に音楽が好きで、年の近い小坡にてらいなく近づく人懐っこい性格というのが短い場面でうまくわかるようになっている。

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なかなかいい光景だったんだけどねぇ・・・・・・

 なんかこんなにお互い親しげにしていたのに、いざ攻撃の合図があったら小坡は一転してこの琵琶をも使ってほんの少しの容赦もなく田中君を殺しにかかるんだから、むごいというかなんというか・・・・・・

 さて、以下は腐ネタなので大丈夫な人は続きを読むからどうぞ。

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2012年3月16日 (金)

『鉄道遊撃隊』13話再始動 14話客車の戦い あらすじ

13話あらすじ

※赤=鉄道遊撃隊、緑=日本軍、傀儡軍、青=その他


 魯漢李正に対しても暴力を振るおうとしたことに劉洪は激怒し、彼は痛い目に遭わないとわからない、と棍棒を持って魯漢を追い回す。しかし李正は劉洪を止め、このような家父長主義的なやり方で皆を従わせようとしてはいけない、と諭す。

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棍棒を持って魯漢を追い回す劉洪

 魯漢は李正の説得によって地主らも自主的に武器を提供したのを見て、李正に謝罪しに行く。魯漢は自分の粗忽さにはほとほと嫌になると嘆くが、李正は毛沢東の「間違いを犯した同志も良い同志である」という言葉を用いて、欠点は改善できると励ます。魯漢は共産党に入党したいと言い、李正はそれを歓迎する。

 一方、藍妮彭亮棗庄からいなくなったと兄の李九から知らされる。再び田六子から言い寄られるようになるが、彭亮を探すため旅に出る。

 劉洪と李正は日本軍の抗日根拠地掃蕩作戦をかく乱するため、日本軍が乗る客車を襲い彼らを殺害する作戦を立てる。一般の中国人乗客の目の前で戦えば、宣伝効果も大いにある。芳林嫂は偵察の役を買って出て、客車の日本兵の様子を観察してくる。李正らは攻撃と連動して日本軍支配下の臨城に抗日のビラを大量に張り、日本軍をさらに動揺させようと計画する。危険すぎるという劉洪を振り切って、芳林嫂はその役目も引き受ける。

 決行当日、芳林嫂は焼餅(小麦粉を焼いて作る中国風クレープ)売りのふりをして臨城に。その焼餅の中には大量に抗日宣伝ビラが隠されていた。

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焼餅の中に抗日宣伝ビラを隠す芳林嫂

王強魯漢小坡林忠黄喜二はそれぞれ武器を巧みに隠し、一般乗客として客車に乗り込む。

 偶然、その同じ列車に藍妮も乗り込み、そしてホームには二人の日本人女性・従軍記者の美恵子と女学生の櫻子がいた。美恵子は駅の日本兵らの制止を振り切って列車に飛び乗り、藍妮はなりゆきから彼女を助ける。美恵子は自由に取材するため、日本軍の監視下から逃げるチャンスをずっと狙っていたのだという。

 王強らは、それぞれ「担当」とする日本兵の乗客を決め、親しげに彼らに近づく。王強と魯漢は日本兵に酒と食事を勧め、林忠と黄喜二は手品を見せて彼らの気をひく。得意の琵琶を演奏していた小坡の所には、その音に誘われて一人の少年兵がやってくる。他の中国人乗客たちは日本兵と親しげに接する彼らに眉をひそめる。藍妮と美恵子は小坡を見つけて近づき、小坡は怪しまれないために藍妮と恋人同士のふりをする。

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日本兵に取り入る王強らにあきれる中国人乗客




第14話あらすじ
 


 線路の脇に潜んでいた劉洪彭亮はやって来た列車に飛び乗り、運転士を倒す。代わりに列車を運転する彭亮は計画通り次の停車駅で停車させず走り去らせる。知らせを受けた棗庄岡村は部隊を出動させる。

 駅から充分離れたところで、劉洪は行動開始の合図を放ち、王強ら客車に乗り込んでいたメンバーはいっせいに目の前の日本兵を襲う。

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客車の中で戦う林忠

自分の担当を倒し、他の車両から駆けつけた日本兵らとも死闘を繰り広げる王強たち。しかし小坡少年兵の激しい抵抗にあって苦戦し、他の車両から日本兵に駆けつけられるが、藍妮が縄術を駆使して彼らを倒す。

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隊員たちの戦いを縄術で支援する藍妮

 王強らがあらかたの日本兵を片付けたところで列車は停止し、待機していた李正率いる部隊が列車を占拠する。李正はいまだ少年兵ともみ合っている小坡の元へ駆けつけ、少年兵を射殺しようとするが美恵子が間に入ってかばい、彼を投降させてくれるよう必死で頼む。李正は少年兵を捕虜として確保する。美恵子は彼らが日本兵を襲撃したことを李正に抗議するが、李正は日本が中国を侵略しているという現実に目を向けるよう反論する。

 李正らは乗り合わせていた一般中国人乗客を集め、自分達が「鉄道遊撃隊」であり抗日のために戦うことを皆に知らしめる。

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民衆の前で自分達の戦いの目的を宣言する鉄道遊撃隊

美恵子は少年兵と話し、彼の名前が田中で故郷に母と兄嫁がおり、兄はすでに中国で戦死していることを知る。

 そこに岡村の部隊が到着し、劉洪らは乗客らが安全なところに逃げるまで彼らと応戦する。美恵子は捕虜として連行される山田を心配し、強引に鉄道遊撃隊についていく。彭亮は混乱の中で行方のわからなくなった藍妮を心配し、劉洪の制止を振り切って探しに行ってしまう。

 まんまと鉄道遊撃隊に逃げられた岡村は、列車の中を探すが美恵子の行方はつかめなかった。実は山東省一帯の日本軍のトップである山本将軍の姪である美恵子の行方を皆は案じる。また列車襲撃と時を同じくして、臨城で大量の抗日ビラが貼られたことから、日本軍は北山の八路軍正規軍がいつのまにか包囲を突破して今回に襲撃を起こしたのではないかと疑い、そうであれば八路軍の根拠地の包囲を解いて部隊の配置を換えなければならないと考える。

 棗庄の特務隊長・張三は、副隊長・二牛の愛人が美人だと知り、ある夜二牛に夜勤を命じて彼の愛人を奪ってしまう。愛人も張三に乗り換えたことを知り激怒する二牛だが、張三にこてんぱんにされてしまう。張三は例の列車襲撃がやはり鉄道遊撃隊のしわざと調べ、岡村は捜査の強化を命じる。

 再び彭亮を探す旅に出た藍妮は特務隊に見つかり、抵抗するものの多勢に無勢で捕まってしまう。藍妮は特務隊の牢獄に囚われ、張三の愛人になるよう迫られる。

 

 

2012年3月 8日 (木)

『鉄道遊撃隊』10話~12話 感想

 うおおおおおお、先日見た『鉄道遊撃隊』30話燃えるわぁぁーーー!! おもしれぇぇぇ!!!  『鉄道遊撃隊』はどの回も安定しておもしろいけど、この30話は特に神回。

 鉄道遊撃隊の根拠地・微山湖の島に押し寄せる日本軍の大軍! 南ベトナム解放戦線ばりのトラップと工夫をこらした武器でそれを三度まで撃退する鉄道遊撃隊! だけどいい加減兵力の差で疲れてきて次の攻撃は乗り切れるかちょっと心配な隊員の面々、と、そこで小坡が歌いだす『弾起我心愛的土琵琶(愛する琵琶をつま弾いて)』!! その歌声に元気づけられ、立ち上がって悲観的な雰囲気を吹き飛ばし「日本軍の最後の日は近い」と歌いだす隊員たち。しかぁし! 日本軍は「日が沈む前にいかなる犠牲を払っても微山湖を落とせ」との命令に最後の総攻撃を開始! 圧倒的火力差の前についに鉄道遊撃隊の防衛線は崩れ撤退を余儀なくされる、しかしそうはいってもすでに日本軍に包囲されてしまっている、いったいどうすれば!? そこで元日本兵、今は反戦同盟かつ同遊撃隊の隊員でもある田中が満を持しての大活躍!!  日本語を使って日本軍を騙し、みごと日本軍の眼前での鉄道遊撃隊微山湖脱出を成功させる!! 原作でも簡単な日本語を使える隊員が日本兵を騙していたが、今回は日本語ネイティブの人物(日本人だし)田中君を使うことでよりリアリティと緊迫感あるシーンとなった。くぅぅぅ、お姉さんは君の活躍を待っていた!!30話冒頭から田中君を目立たせていたので、原作既読者としてはそういう展開になるだろう(って言うか田中君が反戦同盟になった15話あたりからそういう展開になるかと思っていた)と思っていたらやっぱりそういう展開になった時のカタルシスはひとしおである。

 さて、30話語りはここまでにして、ここでの紹介はまだ10話~12話です(汗)。

 今回の最大の見所と言えば劉洪VS山口大佐の超人バトル!



君はあの人外魔境バトルを見たか!? 


 切れ者山口大佐に抗日組織の隠れ蓑ではないかと疑われる「義和炭廠」。洋行の金山を免職にし着々と証拠を集めていく山口大佐! 対する鉄道遊撃隊一の司令塔・李正は、先手必勝とばかりに証拠が揃う前に山口大佐を亡き者にすることに! 

 ・・・・・・いやぁ、殺られる前に殺ってしまえとためらわず決断する、さすが李正様です、ガクガクブルブル・・・・・・しかもその方法が夜中に洋行に押し入って寝込みをヤッてくる、というこの前と同じと言うか、大丈夫ですかそんな単純な方法? って作戦です。


 ともかく、夜の闇にまぎれていつの間にか十数名に増えていた隊員たち(←本当にいつの間に増えたんだ?)は洋行に侵入。劉洪はザコの日本兵は隊員たちにまかせて山口大佐の部屋に向かったが、李正はどうしていたか? なんと純戦闘員とは言えない李正も今回ばかりは襲撃に参加、日本兵の一人を拳銃の背でめった打ちに殴打し倒れた所を後ろから馬乗りになって首を羽交い絞めにし一気に絞め殺す、もしかしたら首の骨を折ったのかもしれない・・・・・・ううう、いかにもおとなしくて温和そうな顔していてやる時は徹底的に容赦の無い李正様、やはりこの人を怒らせては絶対にいけない、ということがよくわかる場面でした。


 さて、それは置いておいて、一人部屋の山口大佐はすでに死装束・・・・・・じゃなくて真っ白い着物を着て眠っていた山口大佐は異変に気づいて飛び起きるが、その瞬間、劉洪が障子を破壊して部屋に入ってくる。暗闇の中、突然劉洪に懐中電灯の明かりを顔に当てられ、思わずまぶしさで目を腕で覆ってしまう山口大佐。しかし、すぐにキッと劉洪を睨みすえ傲然と言い放つ。

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「貴様、何奴!」

 それに対してやはり劉洪は堂々とした返答。

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「鉄道遊撃隊だ!」

 このあたりのテンポがものすごく良い。 


 ・・・・・・だが、この山口大佐、戦傷のためか片足が不自由で松葉杖が無ければ歩くことも出来ない身体という設定。いくら宿敵・特務の大物とはいえ遊撃隊最強の男が足の不自由な男を襲うのは絵的にどうよ? とか、そんな敵とバトルになってもおもしろくないんじゃない? と通常ならそんな疑問も起きるが、そんな心配はいらなかった。山口大佐と言う男は、歩けないくらいは何のハンデにもならないような男だったからだ!


 山口大佐は劉洪が襲いかかるより一瞬早く、おそらく痛めていない方の足でそばにあった小さな机を劉洪に向かって蹴り飛ばす。なんなくそれをよけた劉洪は刀を振り下ろすが、大佐はすばやく床を転がって攻撃をよけ・・・・・・片足で屏風を蹴りその反動でジャンプ! そのまま空中を回転しながら立てかけてあった松葉杖を掴みとる!!

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 ・・・・・・・・・・・・いや、ちょっと、寝転がっている状態からどうしたら片足だけで↑のような回転ジャンプが可能になるのか・・・・・・とツッコミを入れたかったが、すぐにそんなものは何の疑問でもなくなるような驚愕の展開に続きました。


 なんと山口大佐は二本の松葉杖を畳につきたてて再びジャンプし、襲ってくる劉洪の頭上を飛び越えて攻撃を回避したのだった! その瞬間をカメラは捉えた!

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 見よ! この白鳥が飛び立つがごとき美しき飛翔を・・・・・・・・・・・・・・・・・・って、そんなバカなぁぁぁぁ!!!

 いやいや、この前に李九の一対多数での列車バトルに匹敵する超人バトル再びである。多少痛めて無いほうの足の力はあったかもしれないが、これは基本的に松葉杖を持つ腕の力だけで飛んでいるということに・・・・・・はっ!? これがもしかしてあの有名な「テコの原理」!?(←違う)。しかも劉洪の攻撃を避けつつ、天井に激突しない程度のなんとも見事な力加減!!


 ありえない方法で攻撃を回避された劉洪だが、さすが歴戦の戦士と言うべきか、今さっき起こった超常現象っぽい何かに動揺することもなく、青竜刀で切りかかる。その攻撃を木製の松葉杖で次々とさばく山口大佐! さすが日本製と言うべきか、メイドインチャイナな青竜刀の斬撃を受け止めても切れないらしい。しかも松葉杖を二本とも地面から離しているので、痛めて無い方の足一本だけで踏みとどまりながら剣戟を繰り広げているというわけである。

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 しかし山口大佐はついに松葉杖の一本を畳に突き立てる。さすがに足一本では支えられなくなったかと思ったが違った。なんと片足でジャンプし、その松葉杖を軸に駒のように空中で回転し劉洪の攻撃を避けたのである!! 見たままを書いているが、たぶん何のことか意味不明なので再現画像を↓

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 まあ、こんな感じです。一説によると現代中国の特殊部隊は棍棒で人喰い鮫の群れと一人で戦うことができるようなので(超強台風参照)、かつてアジア最強と言われた日本軍の大佐が↑のようなマネが出来たとしても何も不思議はない。


 しかし、この曲芸、あんまり意味が無かった。

 なぜなら、劉洪が青竜刀で駒の軸となっている松葉杖をぶった斬ってしまったからだ! ・・・・・・あ、一応斬ることができたんだ、松葉杖。さっき青竜刀の斬撃を受け止めていたからもしかして木製に見えるだけで実は鉄製なのかと思った。


 と、せっかくの曲芸があだとなり体勢を崩す山口大佐。しかしどういう原理からか場面が切り替わると体勢を立て直しており、片足だけで劉洪を追い詰めてふっとばし(このへん、もはやドラマ制作陣もどういう原理の攻撃なのか説明を諦めているっぽい)、倒れた劉洪に日本刀で襲いかかる! しかし、駆けつけた王強の助太刀でなんとか山口大佐の刺殺に成功!

・・・・・・ああ、こんな素晴らしい敵キャラを物語後半で殺してしまうとは、生きていればこれからどんな人外魔境な動きで鉄道遊撃隊の好敵手となっただろうに・・・・・・しかし、毎回こんな技を繰り出されては、このドラマが何のドラマかわからなくなるのでこれで良かったのかもしれない。 




金山さんの悲劇?


 さて、ちょっと超人バトルから離れて今回で退場になったもう一人の前半重要キャラ・金山について。

 まず最初に原作との違いを説明すると、ドラマ版の金山は原作ほど悪いことはしていないし、根もそこまで悪い人間では無いかのようになっている。原作では中国人の王強の前で、かつて現役軍人時代に捕まえた中国の農民を日本刀で試し切りしたことを得意になって話すような人間だったが、ドラマ版ではそのような描写はない。(最もドラマ版では全体的に日本軍の戦争犯罪はあまり描かれることはない。原作では従軍医師たちが捕虜を生体解剖した話や、彭亮の妹が強姦されかける場面があるが、ドラマではすべてカットされている)。


 そういうわけでドラマ版の金山にはそこまで悪い人間という印象は無い。もちろん中国人労働者にいばりちらし、時にはためらいもなく暴力も振るうが、基本的には金儲けが何より大切な小物という印象である。「大日本帝国のため」「大東亜共栄圏のため」というのはあくまで建前にすぎないのがよくわかる。金山の前任者もそういう人間ではあったが、それをもっとうまく糊塗し、収賄と流用を行いながら表向きはあくまで「忠実なる天皇陛下の臣民」を演じていた。

 金山はもっとあからさまだ。あるいは本音を建前で隠すことがうまくできなかった。そして仲の悪かった上司二人が抗日組織(劉洪たちね)に殺害されると、その死を悲しみ抗日組織への復讐を誓うどころか、自分の出世のチャンスとして密かにその事態を喜びさえする。一般の中国人労働者には傲慢な態度を取るが、「命の恩人」(実は自分を殺しかけた相手なのだが金山は知るよしもなし)で良い商売仲間と認めている王強に対しては好意を隠そうともせず、彼が憲兵隊に疑われるたびに身体を張って守ってやっている、まさしくそういう所を王強に利用されているとも知らずに。金山はもちろん善人ではないし、これはこれでタチの悪い人間ではあるが、どこか憎めない小悪党であった。


 しかし、その金山は山口大佐によって収賄と不正取引の疑いで洋行社長の座をなすすべもなく追われてしまう。元々、洋行は日本軍の特務組織的位置づけだったし(ちなみにたぶん金山はそのことを忘れ去ったかのように自分の金儲けに邁進していた)、日本のために棗庄の物資を収奪する機関だったわけだが、それでも経営陣に退役軍人を配するなど表向きはあくまで「民間」会社としての体裁を保っていた。しかし、それが山口大佐の乱暴な措置によって、あからさまに日本軍の直営会社とされてしまったのだ。金山は信頼していた憲兵の岡村の元に助けを求めてに行くが、かえって岡村も山口大佐と結託して自分の洋行追い出し=日本軍直営化にかんでいたことを知ってしまい愕然とする。

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山口大佐(左)の前では蛇ににらまれたカエル状態の金山(右)


 この一連の出来事から何が読み取れるか。金山は確かに洋行の中国人苦力にいばりちらしていたが、山口大佐の前には手も足もでない。金山は確かにタチの悪い人間ではあったが、そんなものは日本軍という組織をバックにした山口大佐や憲兵・岡村の力の前には何ほどのことも無い。本当に怖いのは個人的に人を2,3人殺した人間ではなく何万人の人間の運命を握る権力者である、と言う言葉を思い出すべきか。

 ただ自分のために己の欲望に忠実に金儲けに邁進していた金山は、「大日本帝国のため、大東亜共栄圏のため」というご立派な「公の正論」を掲げた山口大佐と憲兵・岡村によってあっさり捨て去られてしまった。本当に悪質な恐るべきものは何か? 金山の哀れな転落は、時勢に乗って出世した庶民のその足元が砂上の楼閣であること、そして「公の正論」と「個人の欲望」の矛盾と後者の無力さを体現しているように思えてならない。


 ところで山口大佐によって窮地に立たされた金山が、訪ねてきた王強の前でうなだれはげまされる場面がある。さすがにかつての部下に自分の苦しい立場や泣き言を直に言ったりはしないが、すでに王強に対して藁にもすがるような思いになっている様子が見て取れ、二人の立場が少なくとも精神的には逆転してしまっていておもしろい。こういう所も金山が根は素直で単純であるのが見て取れるし、またそこまで自分を信用させてしまっている王強の手腕のすごさがわかるというもの。でも王強は金山に全然同情していないけどね☆

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王強の前で弱気な態度を見せてしまう金山、立場逆転





驚愕の事実、金山(本物)は知っていた!?




 と、ドラマ版のお人よしな金山さんはさんざん鉄道遊撃隊に利用されたあげく、内通を疑われて岡村に逮捕され軍法会議送りとなるまあ可哀そうと言えば可哀そうにな運命になったわけだが、史実は実はちょっと違ったようだ。

 前にも書いた通り、原作の『鉄道遊撃隊』の登場人物には具体的なモデルがいる。この金山にもモデルとなった日本人がいて、その名も「金山」(そのまんまやん)。洋行の日本人経営者の中でも下っ端で、二人の日本人上司にいじめられる日々を過ごしていたが、洪振海(劉洪のモデル)と王志勝(王強のモデル)らが二人の上司を暗殺したため、棚からぼたもちで洋行のトップの座につくことが出来た。そして襲撃の際に自身も重傷を負うが生き延び、翌朝何食わぬ顔で出勤してきた王強に助けられて以来、彼を命の恩人として優遇している。ここまでは原作・ドラマと同じ。

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「洋行」のモデルとなった実際の「正泰洋行」跡

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市の文物保護単位らしい


 ところがドラマ『鉄道遊撃隊』のDVDにはおまけとしてメイキング映像ついているのだが、ここに出演している棗庄の歴史家がこんな証言をしている。それは日本軍の直営となった洋行を再度襲撃するため、王志勝が醤油を買いに行くふりをして洋行に偵察に行った時のこと。

 実際のところ、金山はすでに王志勝が八路軍の人間だということを知っていた。ただ、彼は(洪振海と王志勝の)が最初に洋行を襲撃した件で、(憲兵隊によって)不公正な疑いをかけられて裁判にもかけられていて、そのことをとても恨んでいた。彼は王志勝を利用しようとし、(偵察に来た)王志勝を洋行の中に入れてやった。

 なのだという。ではなぜ金山が王志勝の正体に気づいていたかどうかわかるかと言うと、同メイキング映像には王志勝の息子の証言もあり

 彼は(洋行の)部屋という部屋について、どこに何人住んでいるか武器庫には何があるかその他の部屋には何があるか、洋行の中を一回りしながら父に教えた。(略)それで最後に(持って来た)瓶に二斤分の醤油入れてもらって支払いをしようとした時、まずいことに気がついた。金は内ベルトにはさんであるが、銃も内ベルトに隠してきたのだから。もし金を出そうとすれば、銃も見えてしまう。ちょうど他の日本人も近くにいて父は大いに焦った。いったいどうすればいいのかと思っていた時、金山が代わりに代金を出しながらこう言った「どうやら王さんは金が多過ぎて持ってくるのを忘れたようだね」。

 とのことだ。ちょっとこの証言では金山が王志勝と共謀していたのか、それとも互いに直接的な打ち合わせはせず以心伝心でいたのか不明だし、金山が本当に王志勝の正体を知った上で洋行の内情について明かし窮地を救ったのかすべて単なる偶然だったのかはっきりしないと思うが、もし本当に知った上で協力していたのだったらおもしろい。

 祖国のため大日本帝国軍のためなどということよりも個人的な恨みを優先し、敵国人に自分をふみにじった同胞を襲わせて一矢報いる。これはこれであの時代になかなか見上げた根性を持った日本人にもいたものだと思う。

2012年2月 7日 (火)

『鉄道遊撃隊』10話「囚われた小坡」11話「洋行、再襲撃」12話「魯漢、酩酊」あらすじ

※鉄道遊撃隊員=赤、日本軍人・中国人特務隊員=緑、その他人物=青、地名・会社名=太字で表記しています。



10話あらすじ

 山口大佐を追い返した「義和炭廠」に魯漢が酔いつぶれた李正を担いで戻ってくる。魯漢は自分に引けを取らなかった李正の飲みっぷりを褒めるが、王強に李正は酒が飲めないと言われ驚く。魯漢はそこで小坡黄喜二と日本軍の物資奪取作戦を計画していたことを思い出し、劉洪らは慌てて二人を探しにいく。

 日本軍の列車から物資を奪った小坡と黄喜二。しかし小坡は途中で足をくじいて動けなくなり、黄喜二は先に自分の荷を運んでから迎えに行くことにする。しかし、その間に小坡は日本軍に見つかって憲兵隊に連行され、抗日組織との繋がりを質される。

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日本軍に取り込まれてしまう小坡

小坡はあの荷は誰かが放置していたのを拾っただけと言い、拷問を受けても仲間の秘密は喋らず、単なる泥棒と判断されて奴隷労働力としてどこかに連れて行かれる。李正は勝手な行動がいかなる被害を生むか皆に諭し、小坡の行方がわかり次第救出に行くことにする。

 李正は次の「政治授業」で世界を作るのは資本家ではなく労働者であり、この棗庄の富も一人一人の底辺の労働者が日夜炭鉱を掘り、鉄道を動かすことによって作られたと教える。魯漢をはじめ皆は李正の話を喜び、今までこき使われ貶められてきた自分たちの価値や労働の意味を知る。次の日、劉洪は王強が「洋行」との繋がりも深い滑子を「義和炭廠」に雇っていることを知り懸念するが、王強はあくまで滑子をかばい雇ってやる。

 山口は収賄や不正取引の容疑で「洋行」の金山を免職し、「洋行」を完全に日本軍の管理下に置く。金山は岡村に訴えにいくが、彼も山口と同じ意見だと知り愕然とする。

 特務隊副隊長・二牛を訪ねた王強は、彼を抗日分子だとは疑っていない二牛から「義和炭廠」が山口に抗日組織として疑われていることを知る。李正と劉洪は先手を打って再び「洋行」を襲い山口を始末すべきだと決定する。

 王強は客を装って「洋行」を偵察に行くが、今は特務隊になっているかつての部下・陳四に入館を阻まれる。王強は金山の案内で中に入れてもらい、武器やここに宿泊している日本兵の配置を確認する。王強は民衆の憎悪を買うから特務隊など辞めろと諭すが耳を貸さない陳四をわざと金山を怒らせて暴力を震わせ、日本に忠誠を尽くしても報われないことを教える。

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金山を使って対日協力者の報われなさを教える王強

 その頃、遠くの地で強制労働をさせられていた小坡は、隙を見て近くを通る列車に飛び乗り、脱走する。


11話あらすじ

 「義和炭廠」では7人の中心隊員の他にも従業員らを鉄道遊撃隊に組織し、「洋行」夜襲の準備を整える。そこに小坡が帰還し、みなは再会を喜んだ後、襲撃に出発する。休んでいるように言われた小坡だが、強引にみなについていく。

 鉄道遊撃隊は闇にまぎれて外壁を壊し、「洋行」敷地内に侵入。銃声をたてるのを避け、刀などで駐屯していた多数の日本兵を殺害する。混乱の中で林忠は高価な懐中時計を見つけ、懐におさめる。

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ついに対峙する山口大佐と劉洪 

劉洪山口大佐を襲うが、杖を駆使して足が不自由とは思えない戦闘能力を発揮され苦戦に陥るものの、王強の助けを得てやっと倒す。

 しかしみなで「洋行」から撤退しようとした時、魯漢が銃を使ってしまい、外の日本軍に異変を気づかれてしまう。皆はいくつかに分かれて離脱し、無事落ち合ってそれぞれ奪った銃を隠しもっておくことにする。自宅に帰った黄喜二は銃を弄んでいるところを、滑子に見られ固く口止めをする。

 李正は襲撃の成果を評価しつつ、棗庄での地下活動は潮時として、今後は棗庄を出て公開でゲリラ闘争を行うことを決める。劉洪はせっかく軌道に乗っている「義和炭廠」を閉めることをしぶるが、自分たちは金儲けのために商売をしているのではないと諭され、同意する。

 山口大佐を殺された岡村はますます「義和炭廠」への疑惑を深め、捜査に来る。あやうく隠してあった武器が見つかりそうになるが、小坡の機転で発見は免れる。李正はもう一刻の猶予もない、と三日後の撤退を決めるが、他の仲間たちはぜいたくができる町を出て、貧しい農村で厳しい闘争を行うことを渋り、まだ大丈夫だろうという。しかし、滑子が特務隊副隊長・二牛の夫人と喧嘩した時に、義和炭廠の銃でぶっ殺してやる、と口を滑らせてしまう。それを知った李正は即刻棗庄からの離脱を決定。劉洪は王強に滑子や隊員の家族を棗庄から脱出する任務をまかせ、隊員たちを連れて町から離れる。

 「義和炭廠」内に武器が隠匿されていると二牛からの情報で知った岡村はただちに「義和炭廠」を襲撃。しかし、すでに内部はもぬけのからであった。

 滑子は病気の母を抱えて王強の元へ急ぐが、途中で憲兵隊に捕まり連行されてしまう。滑子は二牛らから激しい拷問を受けるが、劉洪らの行方を漏らすことはなかった。


12話あらすじ

 新しい落ち着き先となる農村に向かう途中、案内役の馮老人はある家に立ち寄り、劉洪に自分達の戦いを支援する女性連絡員・芳林嫂を紹介する。劉洪と芳林嫂は、互いにあの葬式で会った者だと気づき驚く。

 岡村は「義和炭廠」で発見した写真により鉄道遊撃隊の隊員の顔を把握する。一方、山口が殺されてまた自分が「洋行」の主人になれると喜んでいたが、八路軍である王強に協力していた罪に問われ、岡村に逮捕されてしまう。

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可哀そうと言えば可哀そうな金山

 数日後、新拠点である農村・李庄で劉洪らは当地で活動していた申茂率いる遊撃隊と合流する。この合流で鉄道遊撃隊の規模はさらに大きくなったが、また武器の不足が問題になる。李正は民間人に所有する銃を提供してくれるよう皆で説得することにする。

 一方、棗庄では滑子の見せしめ処刑が行われる。日本軍は八路軍に協力すればどうなるか住民に教えようとするが、滑子は自分は最後まで日本軍に屈しなかったと叫び殺されていく。

 李庄には隊員の家族たちを避難させる役目の王強が、家族に加え累が及びそうな炭廠関係者を連れて合流する。しかし、滑子は救うことができなかったと知って、劉洪らは彼の仇を撃つことを誓う。また、王強に連れられてやってきた人も鉄道遊撃隊への参加を希望し、受け入れられる。

 芳林嫂は、今まで貯めていた金を劉洪に渡し、改めて夫の仇討ちを依頼しようとする。しかし、劉洪は金銭の受け取りは拒みつつ、改めて仇討ちを約束する。

 当面、農村で人々の農作業などを手伝いながら暮らす鉄道遊撃隊。しかし、黄喜二は仕事をさぼり、村の女と遊んでいたところを魯漢に咎められ、銃の収集を手伝わされる。

 魯漢,黄喜二,林忠は銃の提供を拒んだ地主を暴行し、殺害しようとする。駆けつけた李正は地主を救出し謝罪するが、三人は地主に対しても丁寧に対応する李正に大いに不満を覚える。三人は決まりを破って酒を飲み、李正の注意にも耳を貸さないばかりか、魯漢は李正にも暴力を振るおうとする。

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李正に殴りかかる魯漢と止める黄喜二・林忠

 

 

 

2011年12月10日 (土)

『鉄道遊撃隊』8~9話感想 李正が来た!

 またしても間が開きましたが、『鉄道遊撃隊』8~9話の感想です。あらすじはこちら



 さてさて、今回は原作ファン(日本人で私だけだと思うが)が待ちに待った部分まで話が来ましたよー。



 何って? 劉洪たちの元に八路軍から政治委員として李正が派遣されて来たのです!


 ここで政治委員(政委)とは何か簡単に説明すると、共産党の連隊(中隊)以上の部隊に設けられるポストで当該部隊の運営管理に責任を負う人のこと。これは元々ソ連赤軍が始めた制度だが、むしろ中国共産党の紅軍の方が制度としては発展している。「党」は革命のために暴力装置である「党の軍(中共の場合、紅軍→八路軍→解放軍)」を適切に制御する必要があり、政委はそのために当該部隊のリーダー(連隊なら連隊長,師なら師長)と協力しつつ監督し、兵士たちの政治意識を高め、党の政策を軍内部で貫徹させる役目を担う。政委は当該部隊のリーダーと同等またはそれ以上の権限を持ち、部隊のリーダーが発するいかなる命令も政委と連名でなければ無効である。

 で、そんな重要で特殊なポストである政委がどんなキャラに設定されているか、そしてその役職ゆえの部隊リーダーとの基本的に良好ながらもどこか微妙で危うい関係も中国戦争ドラマを楽しむ上で要チェックのポイントだ。


 そして『鉄道遊撃隊』の李正だが、原作の『鉄道遊撃隊』も50年代に作られた革命題材作品の限界として、登場人物が画一的で深みが無いと批判されている。中でも「評『鉄道遊撃隊』」(招明(王西彦)『文芸月報』1954年5月号)では以下のような書かれていたという(この論文が手元に無いので記憶だけで書いてみる)。

 李正は『鉄道遊撃隊』の中で最も重要な人物であり同時に最も(人物設定が)失敗している人物である。彼の存在はもっぱらみんなに正論を話すためだけにあるようだ。


 確かに原作では李正が登場してから物語の様相が変わった。それまで水滸伝的冒険活劇の世界が階級闘争も交えた革命物語へと変わり、「義侠の徒」であり擬似家族的な絆で結ばれていた劉洪たちのグループは、李正によって政治的に目覚め共産党の「同志」となっていく。李正は没個性的な優等生的存在と言った印象しか無かった・・・・・・。

 でも、↑の批評を見て考えがガラリと変わったよ。


 
「正論を言うためだけ」の存在。つまり正しいことしか言わない男!


 いや、むしろそれってある意味おもしろいキャラじゃねぇ? しかも荒くれものの「政治?なにそれおいしいの?」的な劉洪グループにそんな歩く革命論理な男がポッと混ざるんだよ? どんな波乱が起こるか・・・・・・って言うより、不良グループの中に優等生が混ざるとむしろその優等生の方が変人に見えるんじゃね?

 単なる没個性の優等生政委と考えているよりもいっそ↑の批評くらいまで突き抜けた見方をすればいろいろと何だかおもしろい展開になりそうだ。ここまでドラマ『鉄道遊撃隊』は原作の雰囲気を壊さないままエンターテメントとして充分成功していた。「人物設定が浅い」と評されがちな50年代革命小説の登場人物たちにも一人一人豊かな個性を与えている。その制作陣が、最も重要な人物でありならが最も設定が失敗している男、没個性の極み、正しいことしか言わない優等生あるいは歩く革命論理である李正をどのように料理するか・・・・・・否が応にも期待が高まるというものである。

 おそらく制作陣にとってもこの「李正」をいったいどうイジるかは最大の課題の一つにしてリメイクものの腕の見せ所だったんじゃなかろうか。



 さて、そんなわけで期待が高まる8話中盤。劉洪の元に山岳地域の八路軍から「政委を派遣してあげるよー」との通知が。先にも書いた通り、政委は「連隊以上」の部隊に設けられるポストだから、正規軍の体を成しておらずしかも隊員も実質7人しかいない部隊に政委が派遣されるとは破格中の破格な扱いである。

 喜び急いで待ち合わせの食堂に向かう劉洪。地下連絡員である食堂のおばさんは劉洪の「派遣されてくる政委ってどんな人?」という質問に

「私もよく知らないけど、何でも聞くところによると二丁拳銃の使い手らしいわよ」


 
李正のスキルがアップした!! いや、原作では確かそんな設定無かったような気がするが・・・・・・林忠が「ナイフ投げの名人」って言う設定も無かったし、やっぱりドラマ化にあたってそれぞれスキルアップが施されているのね・・・・・・でも先に言っちゃうと今30話あたりまで見終わったんだが、李正が「二丁拳銃」で活躍する場面なんて皆無だったけどね。


 そしてたっぷりと(ドラマの流れが)もったいつけて李正登場。

 ところが、李正の姿を一目見たとたん、それまで期待で満面の笑顔だった劉洪の顔が強張ってしまう・・・・・・。原作では、李正は八路軍だとばれないように羊飼いのようなかっこうに扮してやってくるのだが、山岳地域なら問題ないが炭鉱の街である棗庄ではそんなかっこうは目立ちすぎる!むしろ「自分は八路軍の抗日根拠地からやってきた怪しい人間です!」と全力で日本軍にアピールしているようなかっこうだったので劉洪は困ってしまった、というような説明があるんだが、TV版ではいっさいそんな説明が無いので、どうして劉洪の態度が急変してしまったのか原作読んでない人にはよくわからない。

Cap1318

こんなかっこで現れました

 まるで李正が予想以上に美人さんだったから、劉洪は恥ずかしくて目を合わせられない! ・・・・・・っていう展開にしか見えないんですけど!? 


 え? って言うかこの李正
なんか可愛くない? いや、冷静に見ると「可愛い」というふうには見えないだろうが、ちょっと冷静じゃない気分で見るとなんか可愛いよ?




 その後、劉洪とともに「義和炭焼き場」に向かう李正。しかしそこで「義和炭焼き場」でこれから自分が政委を務める部隊のメンバーたちのごろつきぶりを見て唖然としてしまう。そりゃあね、農村部で規律正しく清い生活している八路軍から来たら、賭博と酒にまみれている男たちが「同志」って言われてもちょっとハードル高いわ。まじで不良校に赴任した元エリート進学校の教師の気分。

 そして不良校になぜかやって来た美人転校生(教師説は捨てた)にさっそくちょっかいをかける魯漢。

魯漢「老洪、なにが会計係だ。この男ときたらまるで羊飼いみたいななりじゃないか」

劉洪「李先生、彼は魯漢。「黒い旋風」って呼ばれています」

李正「「黒い旋風」、それはいい名前だ」

 李正、魯漢と握手する。

魯漢「あいよ! あんたの手、すげぇ柔らけぇな! こりゃ羊飼いってより、娘さんみたいな手だ

 ・・・・・・柔らかい・・・・・・娘さんみたい、って(汗) どんな手だよ、思わず腐女子が喜んじゃうようなことサラリと言わないでくれ。

 そして、娘さんみたい、と言われた李正・・・・・・怒っている、明らかに静かに怒っている・・・・・・目が笑っていない。

 握手していた手を強く握り返し、そのまま無言で腕相勝負をはじめる李正。おもしろがった魯漢はそれに乗る。ところがバカ力では人にひけを取らないはずの魯漢が、まったく李正を倒すことができない! それどころか李正は逆に魯漢を机の上にねじふせてしまう!

 TV版李正強ぇぇー!! って言うか可愛い顔して怒らせると怖ぇぇぇーー!! (このへんですでに「李正様」の片鱗を見せていたわけか)。



 さて、この夜棗庄にやって来たのは実は李正だけではない。棗庄で抗日地下活動と輸送列車への攻撃が止まないことに業を煮やした山東の日本軍司令部から
特務の大物・山口大佐がやって来たのだ。

 もうこの山口大佐が棗庄の駅に到着した時のドラマの緊迫感が凄いことになっていた。山口大佐は(たぶん戦争のケガで)足が不自由で二本の松葉杖を使って歩くハゲのおっさんなのだが、なんとも禍々しい雰囲気をまとっており、なんだか「やばいのがやって来た!」という気分になる。

Cap1320

「ザクとは違うのだよ、ザクとは!」な山口大佐

ちょうどRPGゲームで、まだあんまり強くなってないのにラスボスと遭遇してしまった! っていう感じかね。とりあえず「今までの(マヌケな)敵とは格が違うのだよ格が」という有無を言わさぬ緊張感が画面から溢れている。

 こういう視聴者を絶対に飽きさせないシナリオとか、そういう見せ場を盛り上げるカメラワークと音楽とかが絶妙に絡まりあっていて、やっぱりこのドラマって凄いなぁ、って思える。



 そんな危険が迫っているとも知らず、劉洪たちは何はともあれ宴会宴会。李正を歓迎してみんな彼との乾杯を求めるが・・・・・・李正は「いや、ちょっと・・・・・」と皆から勧められた酒を断ってしまう・・・・・・あああ、一番やっちゃっいけないことを。こういう「炭鉱の男たち」にとって、自分の勧める酒を断られるのはもう自分を拒絶されたのと同義なのにね(彼らには「アルハラ」なんて通じません)。

 宴も一応終わり、李正は皆と会議を開こうとするが、皆は会議の席上でも酒と食事を止めない・・・・・・そしてついに李正がぶち切れた、まあ共産党の会議の場で酒を飲んでいたら(共産党の擬人化のような李正的には)ぶち切れたくもなるだろう。


 だが、そんなこんなで劉洪と王強以外のメンバー(特に魯漢)の李正に対する印象はかなり悪化。しかし李正の方は自分が失点を重ねているという自覚が無く、日本軍に山口大佐という強敵が現れたことと、隊員たちの政治的自覚の無さを憂いて夜ごとに「政治授業」を開くことに。

 わけもわからぬまま授業に出席させられる魯漢たち。席にじっと座っていること自体苦痛な魯漢たちに対し李正はまず「世界ファシズム戦争情勢」について話始めるが、このあたりがかなり笑えるのでちょっと長いが引用してみよう。

Cap1326

授業をはじめます

李正「同志たち。今、ファシズムの形成について話したが、次に枢軸国の形成について話そう。皆も知っている通り、ドイツのナチスの党首はヒットラーという。彼は政権を握った後、実にすばやくドイツをファシズム国家へと変え、続けて第二次世界大戦を引き起こした。

 反ファシズム国家に対抗し、世界をファシズムで覆うため、ドイツのファシストヒットラーとイタリアのファシストのムッソリーニ、そして現在中国を侵略している日本政府はファシズムの同盟を結ぶことにした。これを枢軸国という」

皆「・・・・・・」

Cap1327

李正「これらの国家は国内的には軍事独裁制をとり、対外的には軍事力を行使する。侵略の魔の手を世界各地に伸ばし、手をとりあって世界を制覇しようとしている。それについて中国の話をする前に、欧州の情勢について説明する」

皆「・・・・・・」

Cap1328

 魯漢、いびきをかき始める。

Cap1329

李正「欧州の情勢は極めて厳しい。ポーランドに続いてフランス、チェコ、スペインが相次いで陥落し、現在の欧州は・・・・・・」

 李正、魯漢のいびきに気づく。皆が魯漢を見る。

小坡「魯兄さん・・・・・・兄さん・・・・・・魯漢、酒を飲むよ!」

 魯漢、目を覚まし皆が笑い出す。

魯漢「誰が酒を飲むって?」

小坡「ヒットラーが一緒に酒を飲みたいって」

魯漢「<シットラー>って誰だ?」

王強「ヒットラー」

魯漢「あいっ、俺は知らない奴とは飲みたくないよ。で、ヒッなんとかって?」

 と、李正がにらんでいるのに気づいて魯漢縮こまる。


 と、誰もついてきてなかった授業だが、李正は気にせず次の日も夜も「政治授業」を開講。今夜のお題目は「
中国の抗日戦争」について。

Cap1330

カッカッカッ!と音が聞こえる勢いで黒板に書き込む李正。特に最後の「争」のハネ部分を書く手の動きがまるでテニスで球を打ち返すような激しさ。やる気に満ち溢れている李正だが・・・・・・

Cap1331

「じゃ、今日の授業は・・・・・・」と振り返ると

Cap1332

・・・・・・・・・・・・・・・・・。李正、絶句。


 いやぁ、このあたりの流れが最高すぎる。ベタな展開ながらテンポのつけ具合が絶妙で爆笑ものなのだ。

 後からやって来た王強によれば、他の皆は昼間のうちに親戚が来るだの急に腹が痛くなっただの言い立てて早退してしまったとのこと。

 さすがにショックを受けた様子の李正に、王強は「じゃ、じゃあ、自分がちょっとみんなを連れ戻してきます!」と、言いつつ体よくこの重い雰囲気の場を逃げようとしたが、李正は劉洪と王強に尋ねる。

李正「・・・・・・私の話は少し難しかっただろうか? もしかして皆は聞きたくなかったのかい?」

 うん、まあ、誰もついてこれなかった程度には難しかったね。

Cap1333

緊急発足した「政委を慰める会」


 ともかく落ち込む李正を見かねた劉洪は明日こそ皆を逃がすまいと決意。翌日、「今日、仕事が終わったらボーナスを出すぞ」と皆をだまし、のこのこ現れた連中をそのまま「政治授業」に出席させる。騙されたことを知った皆は当然ブーブー言うが、「政治授業に出ない奴は給料をやらん」と労働基準法もへったくれもないようなことを劉洪に言われ、しぶしぶ授業に参加。

 かなり最悪な雰囲気の中で李正は初歩的なマルクス主義について講義することに。私もあまり詳しくないが、マルクス・エンゲルスの著作には「人間と労働」の関係を述べるために進化の話をするものがあるらしい。李正は教条主義者らしくまずそこから話を始めるが、進化論のことなどもちろん知らない魯漢らは「人間はサルから進化した」という話にバカにされていると感じ、今での李正への不満もあって怒りを爆発させてしまう。彼らの怒りはあくまで李正をかばう劉洪にも向かい、ついに魯漢らは「こんな仕事辞めてやる!」と出ていってしまう・・・・・・。


 そんな失敗続きの李正に劉洪は「彼らとうまくやるためには、まず彼らの友人にならなくては」とみなを「ボーナスを出す」と騙して授業に参加させた人とは思えないようなアドバイスをする。



 というわけで李正は、林忠が賭博に金をつぎ込んでしまったため困窮している彼の妻に金と食糧を渡す。また賭博をやってしまって妻に会わす顔が無い、と落ち込んで帰ってきた林忠は李正のこの厚意に感動し、彼に対して心を開きもう2度と賭博はしないと誓う。


 金で解決したようにしか見えないが、ともかく林忠の心をゲットした李正は、次に最大の問題児・魯漢の元へ。賭博中毒で困窮している林忠の家には現金と現物であったが、アル中の魯漢の元へは酒を持参。

 魯漢は(お決まりな展開だが)「この酒瓶2本を飲み干せたらおまえを仲間と認めてやるぞ!」的なことを言い出し、捨て身の覚悟で来た李正は受けて立つ! その映像がこれ↓

Cap1334


 (明らかになるのは10話だが)
実は李正は酒が全然飲めない人なのだ! だから最初の宴会でもみんなの酒を断ってしまった。しかし、今は政治委員としてみなをまとめるためそんなことを言っている場合ではない。顔をしかめたのもこの一瞬だけ。あとは笑顔で酒豪・魯漢の酒につきあっていくのである。なんという共産党員の鑑! 



 というわけで、TVドラマ版の李正は原作とはまた別の意味で強力なインパクトのあるキャラになったようだ。なにか不気味な強敵・山口大佐も加わってますます目が離せない展開になってきた。


 ちなみに私、この8話を見ていた時まだ日本にいたのでtwitterというものにちょっと手をだしていて(今は中国なのでできない)、この8話見た時思わず
「ちょっっっ!! 「正しいことしか言わない男、李正」かわぁぁいいい!!」とか誰にもわからないことをつぶやいてしまっていたわけですが、この先の話を見ていると李正はただ可愛いだけのキャラじゃなかったね。30話まで見た段階で、今は畏敬を込めて「李正様」って呼んでるよ、ブルブル。





ピックアップ場面


 日本軍の捜索を逃れ一緒に「義和炭焼き場」へ向かう劉洪と李正。その途中で特務隊と行き会い・・・・・・

特務隊「やあ、劉社長。どちらにおいでで?」

劉洪(笑って)「なに、ちょっと散歩だよ。兄弟達、お仕事ご苦労さま」

(略)

李正「・・・・・・老劉、君はどうしてあんな連中と親しくしているんだ?」

劉洪「こんな狭い地域では、『西で屁をすれば東で聞かれる(何も隠すことはできない)』ってやつですよ」

 そこにさらに検問所の偽軍(対日協力の中国人部隊)兵士が二人を止める。

偽軍兵士1「おい、ちょっと待て。良民証(日本軍が占領地の中国人に所持を義務付けた身分証明書、日本軍や検問所で要求されたら見せなければならない)を出せ」

劉洪「あ? 兄弟、もしかして君は新入りかい?」

偽軍兵士1「よけいなことを言ってないで早く出せ」

偽軍兵士2(四狗子)「劉社長!」

劉洪「おお、四狗子! なんだい、君の兄弟(偽軍兵士1)は、この俺のことさえ知らないのか?」

四狗子「その二人は新入りですよ。後ろの男は誰ですか?」

劉洪「ああ、彼は俺たちの炭焼き場で会計係に雇った先生だ。・・・・・・四狗子、これ受け取ってくれ」

Cap1319

偽軍のみなさんともすっかり仲良しの劉洪

劉洪、金のつまった袋を四狗子に投げ渡す。

四狗子「毎度どうも、劉社長!」

(中略)

四狗子「二柱(偽軍兵士1)、その二人を通らせてやれ」

劉洪「今度この新入りたちも呼んで、うちの炭焼き場で一杯やろや」

四狗子「いいですね!」

劉洪と李正、検問所を通りすぎる。(中略)

劉洪「鬼子の目の前で活動するなら、毎日演技しなくてはいけません。俺はさっきあなたを『会計係』と言ってしまったから、あなたは今からうちの『会計係』です」

李正「私が・・・・・・(李正、自分のボロボロの牧人スタイルを見て)そう見えますかね?」

劉洪「大丈夫ですよ」



 どうやら劉洪は炭焼き場(と日本軍から奪ったもの)で儲けた金を気前よく特務隊や偽軍にばらまき、すっかり彼らを懐柔しつくしていたようだ。白昼堂々賄賂を渡したり、兵士たちも気前の良い劉洪にすっかり甘く接したりと実にゲンキンなもの・・・・・・まあ、実際対日協力者の下の兵士たちなんてそういう感じだったと思うよ。別に本気で日本軍に忠誠つくしたい奴は少数派だったろうし、お金をくれた、とか、ちょっと形勢がヤバそう、と思ったらどんどん日本軍からの命令なんてドブに捨ててしまうよね。そんないいかげんな感じが良い。

 そして、劉洪が対日協力者たちと親しげに話すことに驚く李正。このへん、日本軍の占領都市で地下活動をする劉洪と抗日根拠地である農村部で日本軍とガチンコで戦ってきた李正の意識のギャップがうまく表現されていていい。李正にとって日本軍と一緒に部隊を攻撃してくる偽軍はただ戦って倒す相手だけど、劉洪にとっては真の目的貫徹のために時には一緒に酒を飲んだり賄賂を贈る相手なんだよね。


 で、いきなり「会計係」ということになってしまった李正。自分のズタボロなかっこう見て(「会計係」なんて学校出のプチインテリがやるもの)、 
「見える?」とかちょっと上目づかいで劉洪に聞く李正がかなり可愛いんですけどー!! なに、この李正、やっぱり可愛いよ。



 そして「義和炭場」に到着した翌日、劉洪から「会計係らしく見えるように」と、それなりに立派な服を着せてもらう李正。そしてなぜかその服の横側についているボタンをはめてあげる劉洪・・・・・・なんでわざわざボタンはめてあげているんだろ? やはり李正にさりげなく触りたいのか劉洪隊長? 

 そして人に服のボタンはめてもらうという状況を特に疑問も感じず受け入れている李正。なんかまるで使用人に服の着替えを手伝わせるお嬢様のようにも見える。

Cap1323

 着替え終わった李正は自分のなりを見て「こんな立派な服、私には似合わないよ」といいつつかなり気に入っているもよう。内心はしゃぎぶりを抑えた笑顔がなんとも可愛い。しかもちょっと恥じらいもある。・・・・・・すばらしい、すばらしいお仕事だよ制作陣と役者さん!

2011年11月 3日 (木)

『鉄道遊撃隊』第8話「<会計係>の到着」第9話「李正の失敗」 あらすじ


※鉄道遊撃隊メンバー・共産党・関係組織=赤,日本軍・傀儡軍・関係組織=緑,その他=青、地名=黒太字でお送りします。



第8話あらすじ



 
劉洪は逃げ込んできた李九を匿い、王強は追ってきた特務隊に対応する。王強は賄賂を渡して捜索を免れようとするが特務隊長の張三は応じない。しかし、仕事が遅れれば取引相手の「洋行」の金山が怒ると言うと、金山に逆鱗に触れることを怖れる張三は引き下がる。

 劉洪は李九に自分達と一緒に戦うことを勧めるが、李九は「他人とやる煩わしさに比べれば一人で戦ったほうがまし」といって拒絶する。

 彭亮とのデートを楽しむ藍妮。しかし自転車の操作を誤り、ちょうど行き会った張三とぶつかってしまう。張三は美しい藍妮を憲兵隊に連行しようとするが、彭亮と藍妮の抵抗で川に落とされてしまう。李九は結婚の話はなかったことにするから臨城に戻るよう妹の藍妮に言い、彭亮も特務隊に目をつけられたことを案じて帰宅を勧め、藍妮は不承不精従う。

 劉洪の元には、山地の司令部から政治委員を派遣するとの知らせがくる。しかし喜んで待ち合わせ場所に行く劉洪に周区長が紹介したのは、やけにみすぼらしい「牧人」のようなかっこうをした李正という男で、劉洪はその姿に違和感を覚える。
Cap1318_2

街中では目立ちまくる格好でやって来た李正

 日本軍の捜査が行われていたので、話もそこそこに李正を「義和炭場」に連れて行く劉洪。李正は劉洪が特務隊と親しく話したり賄賂を贈って検査を免れたりすることに驚くが、すぐに日本軍占領地での闘争のあり方として納得する。

 しかし、紹介された「義和炭場」の魯漢ら荒くれものたちの様子には違和感を覚えてしまう。劉洪は一般の労働者たちには、彼はこの炭焼き場の「会計係」と紹介する。魯漢は李正のことを優男とからかうが、逆に思わぬ強さを発揮した李正に制されてしまう。

 夜、李正の到着を祝って「義和炭場」で宴会が開かれる。みなは李正と乾杯を交わそうとするが断られてしまい気分を害する。その後、劉洪ら幹部七人で会議が開かれるが、会議の場でも酒を飲もうとするみなを李正は叱責する


Cap1321_2

会議の場でも飲酒と食事を止めないみなを叱責する李正

 李正はその場で八路軍からの正式な指令として「魯南鉄道遊撃隊」の成立を宣言する。あわせて隊長は劉洪、副隊長は王強、政治委員は李正との辞令を伝えるが、劉洪と王強以外の皆はやって来たばかりの李正が劉洪よりも高い地位にいることに不満を隠せず、劉洪は「組織の決定」と言って皆をなだめる。



第9話あらすじ

 劉洪李正の「牧人」スタイルは農村部ならともかく街中では目立つと諭し、彼を表向き「義和炭場」の会計係りとしてそれらしいかっこうをさせる。

Cap1325_2

何気に「会計係」の演技を楽しんでいる李正

 一方、棗庄で抗日活動が止まないことを受けて、日本軍は杖が無ければ歩くことができないながら敏腕特務の山口大佐を派遣する。山口は「洋行」の現場検証をし、一人生き残った金山が殺された二人の上司と不仲だったことから、彼が犯人と共謀し二人を殺してその地位を奪ったのではないかと考え、「洋行」と親しく取引している「義和炭場」にも疑惑の目を向ける。

Cap1322_2

「洋行」殺人事件を洗いなおすことにする山口大佐(左)

 特務隊副隊長の二牛の家を訪ねた王強は、彼を抗日分子だとは疑っていない二牛から山口大佐の疑惑を聞き、劉洪と李正に報告する。李正はこのような危険な状況でみながあまりに勝手で規律を理解しないことを憂慮し、「政治授業」を行って隊員の政治意識を高めることにする。

   就業後の夜の授業で国際情勢やヨーロッパのファシズム体制についての講義をする李正。

Cap1329_2

超はりきって欧州情勢について話す李正

しかし誰一人李正の言っていることが理解できず、魯漢などは途中から眠り込んでしまう。

Cap1328_2

誰一人ついてきていませんが・・・・・・

 翌日、李正の授業にうんざりしたみなはそれぞれ用事を言い立てて早引けし、その夜「中国の抗日戦争の状況」について講義しようとした李正の元に現れたのは、劉洪と王強だけであった。

 次の日、劉洪はボーナスを出すと騙して皆の早退を阻止し、「政治授業」をさぼったものは給料を下げると脅す。それでも姿を現さなかった林忠を除き、皆はしぶしぶその日の授業を受ける。李正はマルクス・エンゲルスの「人間を人間たらしめる労働」について講義をはじめるが、人間は猿から進化したという話に魯漢は馬鹿にされていると感じて激怒し、劉洪が止めるのも聞かず小坡黄喜二とともに出ていってしまう。

 さすがに落ち込む李正を慰める劉洪と王強。そこに林忠が賭博で大負けし、金を支払わなければひどい目にあわされるという知らせが来て、劉洪は人に金を待たせて賭博場へ走らせる。李正はそのやり方に眉をひそめるが、劉洪は「彼らの信頼を得るには、まず彼らの友人にならなければならない」と諭す。

 翌日、劉洪から借りた金をまた賭博につぎ込んでしまった林忠は、そんな自分を恥じて家にも「義和炭場」にも帰れずにいた。李正は林忠を探し、妻が心配しているから家に帰るよう諭す。帰宅した林忠は、家の財産を賭博につぎ込んだため困窮していた妻のために李正が食料を贈ってくれたことを知り、賭博から足を洗って「義和炭場」そして鉄道遊撃隊に戻る決心をする。

 魯漢と一緒に何日も「義和炭場」に戻らない小坡は、孤児であった自分にとって「家族」も同然の魯漢と劉洪の板ばさみになるのはつらい、「家族」の元に戻りたいと魯漢に訴える。そこに黄喜二が日本軍の物資輸送情報を持ち込み、魯漢はその物資を奪って手土産とし、劉洪と仲直りすることにする。

 小坡と黄喜二を先に準備に行かせた魯漢の元に、李正が酒を酌み交わしにやってくる。酒を二本飲み干すことができたら俺とおまえは兄弟になれる、と魯漢に言われ、李正はそれに応じる。魯漢は李正とともに酒を飲むうちに彼へのわだかまりも氷解していくが、輸送物資奪取の計画をすっかり忘れてしまう。小坡と黄喜二は魯漢がいつまでも来ないので二人だけで計画を実行する。

 その頃、「義和炭場」には山口大佐が訪れ、金山と「義和炭場」の間に不正取引がないか問いただす。しかし、劉洪がソツなく対応し、山口は帳簿だけ預かって引き上げる。