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『西安事変』(TVドラマ)

2010年12月12日 (日)

『西安事変』36話(最終回)

祝『西安事変』全話見終わり!

西安事変勃発の12月12日にこの記事を書けるようがんばりました。

あと、総合評価の未完成部分に書き足しました。

http://red-theatre.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/post-8af7.html



※以下には、TVドラマ『西安事変』の最終話すべてのネタばれがあります。

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2010年12月11日 (土)

『西安事変』34話~35話

あらすじ

 
 宋子文は共産党が西安入りしているのを聞き蒋介石の救出を絶望視するが、彼らも蒋介石の生存を望んでいることを知り、いったん洛陽に戻る。洛陽で合流した宋子文,宋美齢載笠ウイリアムは共に西安へ赴く。

 宋美齢は、多くの人の恨みを買っている載笠を同行させるのに難色を示すが、戴笠は蒋介石とともにいたいと主張する。また、美齢はもし張学良たちが自分も捕らえようとする時は自分を射殺してくれ、とウイリアムに頼むが断られる。

 西安についた宋美齢は張学良楊虎城に出迎えられまず張学良公館へ。宋美齢の身支度を手伝っていた趙一荻は、二人の関係に心を痛めながらも張学良と宋美齢を二人きりにする。宋美齢は起こしてしまったことについては言及せずこれからのことを話し合う。また張学良に一定の理解を示しつつ、毅然とした態度を崩さない。

Cap1203

張学良と面会する宋美齢

 また、蒋介石と面会した戴笠もその場で土下座し、蒋介石を守れなかったことを謝罪する。

Cap1204

(美齢より早く)蒋介石の監禁場所に飛び込んで土下座する戴笠

蒋介石と宋美齢は再開を涙ながらに喜ぶ。蒋介石は殉国の覚悟を告げるが、美齢は最後まで諦めてはだめだと諭し、周恩来と会談しに行く。

Cap1205

再会を喜ぶ蒋介石と宋美齢

 周恩来,宋美齢,宋子文の三人は話し合い、正式な談判を行うことに同意する。蒋介石は国家元首の権威を守るため、宋兄妹に全権を委任して自身は臨席せずその結果の承認は口頭のみとすることを条件に談判を認める。

 12月22日~24日にかけて、張学良・楊虎城,周恩来ら共産党代表,宋兄妹の三者が話し合い、政府の改造,内戦停止,言論の自由など抗日に向けての態勢作りの合意を見る。

 周恩来は蒋介石に会い、旧交を温めようとする蒋介石を牽制しつつ、今後のことを話し合う。

 自分の要求が叶った今、張学良は一刻も早く蒋介石を解放しようとする。しかし、東北軍内部では口頭のみでの承諾で蒋介石を解放することへの不満がうずまく。

 張学良は、自分も蒋介石を送って南京に行くことを提案するが、部下や周恩来に反対される。特に楊虎城には合意にサインしなければ蒋介石を解放すべきではないと主張され、すっかり頑なになった張学良は彼と決裂してしまう。

 また、東北軍・西北軍内部には、蒋介石を帰すまいと街の警備を強化する動きも出てくる。刻一刻と不安定になる西安内部と迫る何応欽との停戦期限終了を前に、張学良は今すぐ蒋介石と宋兄妹を南京に帰すことにする。

 趙一荻は、父を殺され故郷を失い不抵抗将軍と罵られてきた張学良の長年の苦難を理解するものの、彼との別れに嘆き悲しむ。張学良は自分が生まれて間もない頃に父・張作霖が作ってくれたお守りを一荻に贈り、彼女だけが自分のことを本当に理解してくれた、と言う。

 張学良は楊虎城を呼び出し、今から蒋介石とともに南京に行くことを告げ、さらに自分が帰らない場合は東北軍の処遇を楊虎城に一任するとの委任状を押し付ける。驚き抗議する楊虎城だが、そこに話を聞きつけた張学良の部下たちも入ってきて東北軍20万の兄弟を見捨てないでくれ、と張学良に嘆願する。しかし、張学良は拳銃を差し出し、自分を行かせるか今ここで射殺するか選べと迫り、呆然とする部下たちの横を通り抜け、楊虎城と空港に向かう。

 空港にて、蒋介石は南京に戻ったら自分にもおまえを守ってやることはできない、と言うが、張学良はやはり同行を願う。飛行機に乗り込もうとする張学良の腕をとっさに楊虎城が掴んで止める。張学良はしばしその場に留まるが、静かにその手をはずしタラップを上がっていく。自分の名を呼ぶ楊虎城に敬礼を残し、飛行機の中に消えていく。



感想

 いきなり急展開(しなきゃドラマが終わらんのだが)。

 とりあえず周恩来が来て美齢が来て、問題は解決しました・・・・・・みたいな。今までの蒋介石の抵抗はなんだったんだ? 的なものがあるが、美齢が張学良と蒋介石、二人の男の態度を軟化させたということなのだろう。しかし、美齢の登場が張学良の余裕をなくさせ、視野を狭めてしまった面もあるようだ。

 そして、ばたばたと話し合いが終わって、そしたら蒋介石の解放を巡って東北軍内に不穏な空気が流れ初めて、張学良はそれを何とかすることもせず蒋介石を送っていく! とか言い出して、共犯者の楊虎城の承諾を得ることもせず空港に行っちゃって(一応、直前には言ったが・・・・・・もはや後戻りできない段階で告げられてもね~)。

 25話目にして突然張学良の態度がここまで頑な、いや意固地になってしまって視聴者もとまどうんじゃないかと思う、しかもその理由も不明だし。蒋介石を抱えたまま何応欽と一戦交えることも厭わなかった張学良だが、一転して蒋介石の解放を急いだのも美齢までが西安に来てしまって、彼女を戦火に巻き込むわけにはいかないとでも思ったのか?・・・・・・ってだいぶエゴイスティックな論理だな。

 と言うか、29話から33話にかけてあれだけ堂々巡りに話数かけるくらいなら、この談判やら西安内部の不穏な空気やら張学良と楊虎城の決裂やら張学良の南京行き決断の経緯やらをもっと時間をかけた方が良かったんじゃないかと思うが・・・・・・。

 しかし、これも一種の製作者の苦肉の策だったのかもしれない。やはり西安事変のクライマックスは、張学良が南京行きの飛行機に乗り込むシーン。・・・・・・・だが、根本的な問題は、史実上のこの張学良の行動が意味不明という点だ。ドラマでは東北軍内部の不穏な動きとか、停戦期限の終了とかがもっともそうな理由付けが少しされているが・・・・・・やっぱり意味不明なものは意味不明だ(まずトップなんだから自分の軍の動揺を抑えろよとか、停戦何々だって蒋介石だけ帰せばいいじゃん・・・・・・)。

 それを長々と書いたりもっともらしくしようと小細工すればするほど破綻することを、この賢い製作者はわかっていたのかもしれない。だからスピーディーな展開でその変をごまかすという一種の力技に訴えたのかも・・・・・・。


 まあ、それはともかく、理由は不明だがこの時期に張学良がひどく頑なであったのは史実。その頑なぶりを(理由も不明なのに)シナリオ、役者さんともによく表現できていたと思う。

 あと、可哀想なのは趙一荻。彼女は張学良の宋美齢に対する気持ちを充分すぎるほど理解した上で、美齢の身支度を手伝ってあげたり、空気を察してさりげなく部屋を出ていった二人きりにさせてあげたり・・・と、すごく傷ついているのにあくまで笑顔で何事もなかったように対応。その「従順な愛人」ぶりがまた切ない。




ピックアップシーン

 今回は、張学良と楊虎城のやりとりが良かったのでそこ中心で。二人が蒋介石の釈放を巡ってケンカし、張学良が飛行機で行っちゃうまでの流れを。

張学良「虎城。解放しないわけにはいかない。南京にはもうすぐ王精衛も帰国してくる。日本も何か動き始めている。このままにしていては、きっと状況は悪くなってしまう」

楊虎城「ああ、漢卿。私だって決して彼の解放に反対なわけではない。しかし、それには条件が必要なんだ」

張学良「じゃあ、どんな条件ならいいというんだ?」

楊「委員会は三つの条件を提案している。一、委員長がこの西安から命令を発する 二、合意書にサインする 三、彼個人が声明を発表する。私としてはこのうちどれか一つでも実現できれば、解放していいと思う」

張「委員長はすでに自分の人格を担保に約束した。我々はそれ以上のことを彼に迫ることはできない。それに夫人と子文と保証人となってくれている」

楊「人格で保証? 言わせてもらうが、委員長には信頼に値すべき人格なんてものはないんだ。私は君よりもいくらか長く委員長と付き合っている。1929年から、彼のやりくちというものをさんざん見てきた。あいつは政治的なごろつきなんだ! 中国のいかなる軍閥、私や君も含めてだがね、彼にはかなわない。・・・・・・蒋介石にもし礼節や恥というものがあったなら、中国は今日のようなものではなかった! 漢卿、「虎を野に放せば、将来必ず人を傷つける」ということだ。蒋介石は南京に帰れば、すぐさま約束を反故にするに決まっている!」

張「私たちが今回事を起こしたのは、委員長に抗日の指導者になってもらうためであって、私たちがどんな結果を蒙ろうとそれは重要ではない。現在、彼はすべての条件を飲んでくれた。なのに、君はまだ何が必要だっていうんだ!」

楊「彼が帰ってしまえば、私たちの首はすぐに落とされると言っているんだ!」

張「楊虎城! 兵諌の前に、君は言っただろう。すべて私の指示に従う、と。その私が決めたことなんだぞ!・・・・・・事を起こす前、私たちは自分の利害や危険のことは顧みない決意だった。私も今回のことの指導者としてすべての責任を負うつもりだ」

楊(諭すような口調で)「・・・・・・張漢卿。君はきっと後悔する」

張学良、無言で背を向けて立ち去ってしまう。

 互いが感情的になってしまって、なんともまずい話し合い(この場合、内容が問題ではなくて互いに妥協点を探ろうとしていない点が感情的)。それでもどんどん頑なになるばかりの張学良に対して、最後にちゃんと冷静になるのが楊虎城(相手に感情的になられると、冷静になってしまうタイプか?)。

 「後悔する」という言葉も脅し的な意味ではなく、視野の広い楊虎城にはそれが既定のこととして予見できるのであり、激昂する張学良を諭し心配しての言葉というのもいい感じ。 

 しかし、ここでいったん二人は(と言うより張学良が一方的に)決裂してしまうのだが、後で張学良は楊虎城を呼び出し、

張学良「虎城、ここ数日、私もいらいらしていてね、君に当り散らしてしまったこともあると思う。あとでぶつなり罵るなり好きにしてほしい」

楊虎城(軽く苦笑)

Cap1206

張学良「でも今は時間が無い。君の助けが必要なんだ。(張学良、机から書類を出して渡す)これを」

楊「『東北軍の各軍長各師団長へ。私が陝西を離れた際に万一事故が発生した場合は、各自楊虎城の命令を聞き、その指示に従うこと。私は楊虎城を私の職務の代理に任ずる』・・・・・・漢卿、なんだこれは?」

張「・・・・・・ああ。君に私と一緒に空港に行って、委員長を送ってほしい。そして私も委員長と一緒に南京に行く」

楊「なにっ?・・・・・・漢卿、おまえ・・・・・・漢卿! 私は、どんなに止めても君が蒋介石を解放するつもりであることはもうわかっていた。だが、一緒に南京に行くのはだめだ! おまえはなんて奴なんだ。私に君が死に行くのを黙って見ていろと言うのか!漢卿!」

張「・・・・・・・私は他の誰も巻き込みたくないんだ。これは私がやったこと。だから私が行くべきなんだ」

 
 
 
 最初に、さっきは言い過ぎてごめんね、的なことを言う張学良をあっさり笑って許す楊虎城・・・・・・そんなに甘やかすからだめなんだよ、と言いたくもなるが・・・・・・次に張学良の一方的な宣言および20万の将兵押し付けに対して・・・・・・

「私に君が死に行くのを黙って見ていろと・・・・・」。

 これだけやられて、怒るポイントそこかよ!・・・・・・もう、なんていい人なんだ・・・・・・。

 そして張学良の部下の乱入もあって、いろいろうやむやのまま結局一緒に空港へ行くことに。その西安事変クライマックスの張学良蒋介石同行シーンをノンストップで再現。

空港に着き、蒋介石夫婦の後をついていく張学良。ふいに、楊虎城がその腕を掴む。

Cap1207

楊虎城「漢卿。ここまでだ」

張学良「・・・・・・」

Cap1208

蒋介石「・・・・・・そうだな。漢卿、ここまでにしておきなさい。南京に行ったら、ある者たちはおまえを罰するよう求めるだろう。向こうに行ったら、私もおまえを守ってやることはできない」

Cap1209

張学良「・・・・・・学良には、兄を送っていく義務があります。その後に何が起ころうとかまいません」

Cap1210

蒋「・・・・・・漢卿。それならこれだけは私の言う通りにしなさい。洛陽で飛行機を乗り換えろ。私と一緒の飛行機に同乗するな。南京の空港では、私の歓迎を準備しているだろう。おまえが私と一緒に飛行機から降りてきたら、彼らもいろいろと怪しむだろう」

張「・・・・・・」

蒋「美齢はどう思う?」

美齢「・・・・・・私もそれがいいと思います」

張「・・・・・・はい、ならば私はそのようにします」

(略)

蒋「よし、それでは行こうか」

(蒋介石、宋美齢飛行機へ。付き従う随員らとともに張学良も歩みだすが、再び楊虎城に腕を捉えられる)

Cap1211

楊「漢卿!」

Cap1213

張「・・・・・・」

Cap1196

 張、楊の手をはずし、タラップを上る。それを見つめる楊虎城。

Cap1214

楊「張学良!」

Cap1215

 張、振り返り、しばし見詰め合った後、ゆっくりと敬礼。

Cap1200

Cap1201

その後、飛行機の中に入り扉が閉ざされる。

 いやぁ~、もう感動的な場面ですね。楊虎城(泣)・・・・・・当たり障りの無い感想は書けないので、以下反転で当たり障りのある感想を(ここまで読んで嫌な予感がしている人は見ないでね☆)。

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2010年11月29日 (月)

『西安事変』32話~33話

あらすじ

 何応釣宋美齢の反対を押し切って、ついに軍の出動を命じる。

1187

孫文の公墓の前で出征式を行う何応釣

 その何応釣の元を日本の大使・川越が訪れ、国民政府は張学良楊虎城らの要求を断固として拒み、日本と防共について連携するようにとの大日本帝国政府の要求を伝える。何応釣は中国の内政に干渉しないよう川越に要求し、また秦橧ら中国歴史上売国奴と呼ばれている者たちも自分の評価を犠牲にして国のために尽くしたのだ、と思いをはせる。

 西安では東北大学の学生らが、西安防衛のための義勇兵にしてくれるよう楊虎城に頼む。上空では、爆撃機が何度も往来し、最後通牒をつきつける。張学良は西安に迫る中央軍と戦うため、捕虜の中央高官らや蒋介石に別れを告げる。蒋介石は内戦を停めるため、何応釣に三日間の停戦を命じる手紙を出す。

 孤立無援の張学良は、延安周恩来に手紙を出すが、楊虎城はソ連があのような否定的な見解を出している中で中共には期待できないと言う。

 一方、解放された雷剣邦は部下の金徳茎と蒋介石を救出しようと計らう。

 延安の周恩来から返事が来る。期待していなかった張学良であったが、すぐに西安へ向かう、との返事を聞いて大いに喜ぶ。

 17日夜、雷剣邦と金徳茎は、蒋介石の警備部隊の食事に毒を盛って彼らを殺害し、蒋介石の奪還を図るが、発見され銃撃戦の果てに射殺される。

 同じ頃、延安から到着した周恩来ら共産党の代表を張学良は歓迎する。

1189

西安に到着した周恩来ら共産党一行

 張学良と話し合った周恩来は、早期和平解決を提案。蒋介石に「内戦停止、一致抗日」誓わせを早期に解放する方向で話をまとめる。

 楊虎城は蒋介石を解放するのは反対であったが、最も蒋介石に恨みを持っている共産党がそれを放棄するのを見て、ついに周恩来の案に賛同する。

 20日、宋子文は国民政府における公人の地位を捨てた上で、西安に来て張学良と面会する。



感想

 28話の西安事変勃発以来、急に展開が遅くなった! と言うより、展開していない!

 なにしろこの5話でやったことと言えば、

・蒋介石の説得→失敗→説得→エンドレス

・宋美齢と何応釣のケンカ→エンドレス

 蒋介石なんて28話以来33話までずっとガウン姿だよ!

1194

 残り3話となってしまったけど、このペースで本当に終わるのかね、心配になってきた。

 

それはそうと、今回は憲兵隊の特務・雷剣邦と金徳茎が蒋介石の奪還を狙って失敗して死亡・・・・・・

 ・・・って、なに、このすっげーあっさりな殺されっぷり! まるでもうすぐドラマが終わるから手際よく片付けられたみたいな死に方だったよ!

1193

蒋介石奪還を図る雷剣邦と金徳茎(なんかすごいいい雰囲気だったのに、ヘタレ部下×苦労性上司的に

 趙文青と鐘父子の件といい、製作者はオリキャラを皆殺しにするつもりらしい! まだ生き残っているオリキャラ・柳葉児もヤバイな、これ。



 それともう一つのポイントは、張学良と会談するために美髭公と言われていた立派な髭を剃る周恩来。これは史実上でも有名な西安事変のプチエピソード。

1191

・・・・・・・・・私、ずっと前から思っていたのだけど・・・・・・

西安事変が周恩来に髭を剃らせた功績はもっと評価されていいと思うんだ!

 だってあの明らかに似合わない髭がなくなってこんな美人さんになったんだよ?

 1190

 でも周恩来は、きっと髭があったほうがいいとか見当違いな自己認識だったと思うんだ。だから西安事変で会談なんてことがあって髭を剃るのもいいかもって思う機会がなかったら、最悪建国後まであの髭ついてたかもしれない・・・・・・やはり西安事変はその点から見ても偉大だ。

 あ、あと何応釣が、中国史上最大の売国奴と言われる秦檜(北宋時代の宰相。宋に攻めてきた金と和睦し、その代償として金に抵抗する岳飛を無実の罪で処刑した)と自分を重ねて「国のためにあえた売国奴と言われることも厭わない」とか決意する場面があるけど・・・・・・こーゆー自己陶酔が一番タチ悪いんだよね☆

2010年11月17日 (水)

『西安事変』29話~31話

あらすじ

 張学良楊虎城は、捕らえた中央高官たちの前で南京政府の改組や西安に臨時軍事委員会を発足する宣言を下し、同意の署名をさせる。

 西安に連れて来られた蒋介石に面会する張学良。張学良は抗日を迫るが、蒋介石は彼を罵るばかりであった。続いて楊虎城が面会に来るが、彼が事件に関わっていないことを最後の希望としていた蒋介石は、楊虎城と西北軍も共犯であることを知り、絶望する。

 一方、西安市内では学生達が蒋介石の処刑を求めて集会を開いていた。

 12日の夜、蒋介石の妻で上海に滞在していた宋美齢や兄の宋子文の元にも西安の事件が伝わり、二人は居合わせたアメリカの友人・ウィリアムとともに南京へ向かうことにする。

 また陜北の共産党も張学良からの電報で事件を知り、彼らが蒋介石を捕らえたことを喜ぶが、今後の対応を巡って会議が紛糾する。

 南京でも何応欽らを中心に残っていた政府高官らによって対応策が話し合われる。張学良らと話し合うべきか、断固とした対応をするべきかで会議は紛糾するが、最終的には全会一致で蒋介石を危険にさらしても西安に対して軍事行動をとることを決定する。

 陜北の共産党支配地域でも蒋介石逮捕の報が広まり、蒋介石の処刑を求めて民衆が共産党に押し寄せてきた。

Cap1187

蒋介石の処刑を求めて中共中央に押し寄せる農民たち(羊付き・・・と言うか羊が可愛い)

 いったん自宅に戻ってきてくれた張学良を迎える趙一荻。彼女はためらいながら「このようなことをして、蒋介石夫人がどう思うか考えたか」と張学良に尋ねる。

 一方、要所を守る馮鉄哉らの裏切りによって西安の軍事的危機は一気に高まった。張学良らは紅軍と連携を図ろうとするが、その間にも中央軍の一部が東北軍と戦端を開く。

 南京に着いた宋美齢ら宋家の人々。西安の空爆が決定したことを告げられた宋美齢はそれに反対し、何応欽と激しく対立する。宋美齢は、蒋介石の夫人ではなく公人の立場から国内を混乱させるだけの軍事解決案を批判し、自分が西安に乗り込んで張学良らと交渉する、と主張する。

Cap1188

軍事行動を主張する中央高官と対決し、西安行きを宣言する美麗

 自宅に戻った楊虎城は、養女の趙文青が恋人の青年と行方不明になっていることを知ってショックを受け、妻を責め立ててしまう。

 張学良は再び蒋介石の元を訪れ、自分達が宣布した宣言を見せてその志を理解してもらおうとするが、蒋介石は聞く耳を持たなかった。

 張学良と楊虎城はホテルに軟禁中の中央高官を見舞う。雷剣邦は前非悔いていることを張に告げ、一人釈放してもらう。蒋介石は楊虎城だけを呼び出して、自分を南京に帰してくれればおまえの罪は問わないと持ちかけるが、楊も自分達の案に同意しない限り解放はできない、と言う。

 宋美齢、宋子文、戴笠らは何応欽らの軍事行動を抑えるため、黄埔軍校の卒業生である軍幹部たちに命令に応じないよう働きかけたり軍事費の支出を止めたりと対策をこうじる。また、美麗が乗り込む前に張学良の友人でもあるウイリアムに西安に行ってもらうことにする。

 張学良らは事件を報じる各国の新聞を読んでそれぞれの国の反応を分析する。しかし、ソ連の機関紙が思いもよらず西安事変を親日派と結託した陰謀と断じているのを知り、驚愕と怒りにとらわれる。

 ソ連の機関紙の社説は毛沢東ら中国共産党も知るところとなる。西安事変は日本の陰謀,ソ連は蒋介石を中国の唯一の指導者と認める,中国共産党は蒋介石を救うため尽力すべきとの主張に毛沢東は怒り狂い、張学良らに向けて中国共産党はあくまで今回の行動を支持する旨を伝える。

 一方、山西省閻錫山は張学良と南京の双方から協力を求められ困っていた。結局、それまで張学良の「内戦停止、一致抗日」を支持していた立場を捨て、そのため西安はますます孤立することになった。

 西安入りしたウィリアムは、蒋介石と面談し、宋美齢から預かってきた手紙を渡す。その手紙には、故郷を失った東北軍の抗日の主張には道理があり彼らと話し合うこと,自分も西安に行くことなどが書かれていた。蒋介石はウイリアムに宋美齢は決して西安に来てはいけない、と伝言を託す。

 何応欽は警備の名目で憲兵隊を宋美齢の家に配置し、彼女を軟禁しようとするが、戴笠ら復興社によって彼らは追い払われる。



感想

 今回は、宋美齢の独断場という感じ。と言うか、西安事変も起こしてしまって張学良サイドは逆にこれといった動きがなくなってしまった感じ(連合政府に向けていろいろ準備こそしているが)。

 皮肉なことだが、蒋介石を捕らえても蒋介石があくまで翻意しない限り、実は何も変わらない。事件を起こす前は、どこか事を起こせばすべての問題は解決するかのような雰囲気がドラマや西安サイドにはあったが、実際起こしてみれば逆に閉塞状態になってしまった。

 張学良は蒋介石という「切り札」を手に入れたが、「切り札」は適切な時に適切な相手に対して切らなければ意味がない。中国内外を震撼させ、主導権を握っているかのような張学良だが、実は彼も相手のリアクションを今は待つしかないという受身の立場に逆に置かれてしまったのだ。


  とりあえず、以前は対日問題でさんざん張学良に連携の意思を見せていた閻錫山が(やっぱり)速攻で裏切ったのが笑える。まあ、それこそ閻錫山らしいか。

って言うか、羊可愛いよ羊!




ピックアップシーン

 今回は国民党の恐怖の特務・戴笠の活躍(?)を。

 西安に軍事行動を起こしどさくさにまぎれて蒋介石を亡き者にしようとする軍事部長・何応釣とあくまで和平解決を主張し、交渉のため西安行きを計画している蒋介石夫人・宋美齢は激しく対立。何応欽は美齢の動きを封じるため、「身辺警護」の名目で美齢の自宅周辺を憲兵隊で封鎖。

 まさしく憲兵隊が美齢を軟禁状態におこうとした時・・・・・・数台の黒塗り高級車から黒服に身を包んだ男達が降りてきて、憲兵隊に「ここは我々の管轄になった」と告げて退去を要求。

 怒った憲兵隊の隊長は黒服の男を殴りつけるが・・・・・・そこに上海マフィアもかくやというような雰囲気で国民党の恐怖の特務組織・復興社のボスにして蒋介石の忠実な僕の戴笠が登場!

Cap1189

マフィアのドンのような登場の仕方をする戴笠

 彼はごく穏やかな雰囲気で憲兵隊の隊長に話しかけるのだが・・・・・・

憲兵隊長「戴、戴処長」

(戴笠、帽子をとってホコリをはたく)

戴笠「銃」

隊長「・・・・・・えっ?」

戴笠「おまえの銃のことだ」

Cap1190

隊長「あっ・・・銃ですね」

(隊長、とまどいながら自分の拳銃を戴笠に渡す)

Cap1191

戴笠「手」

隊長「・・・・・・えっ?」

戴笠「おまえの手だ」

Cap1192

隊長「は、はい」

(隊長、とまどいながら自分の片手を出す。戴笠、その手を取るといきなり拳銃を彼の手のひらに押しつけ、引き金を引く)

Cap1193

隊長「ぎゃああああ!!」

(手を打ち抜かれて倒れ、もがき苦しむ隊長)

戴笠「おまえの部下を撤収させろ。今後は、好き勝手に人を殴るな。よく覚えておくように」

(戴笠、歩きながら血で汚れた白手袋を捨てる)

 さすが戴笠! 隊長さんも額じゃなくて手を打ち抜かれただけで済んでよかったね!

・・・・・・・・・・・・じゃなくて。

 戴笠怖えぇぇーー!!

 いや、もう「おまえの銃」あたりで嫌な予感はしていたのだけど、「おまえの手」とか言いだいたら、隊長さん逃げて逃げてぇ~(←どこに?)、と心の中で叫んでしまった。もう、隊長さんが撃たれるまで何も気づいていないのに、バックに怪しげなBGMが流れていて、ほとんどジョーズが迫っているのに船の上の人が何も気づいていないシーンみたいだった。(戴笠はジョーズか?)

 確かに先に戴笠の部下を殴ったのは隊長さんだけど、殴られたなら殴り返すまでで止めておこうよ。殴ったら手を銃で打ち抜くって、いったい何倍返しだよ。

 ・・・・・・まあ、戴笠も大切な蒋介石があんなことになってしまって、冷静な顔をしつつも実は腸が煮えくり返っているんだろうな。


 ちなみに中国のTVドラマっていろいろ容赦ないので、手を撃ち抜かれて穴をあけられるシーンもばっちし画面に映ってましたが・・・・・・ここでは割愛させてもらっちゃうぞheart

 あと、中国のドラマでは反抗する部下を問答無用で撃ち殺すシーンとかけっこうあるのだけど(たいてい額を撃たれて殺される)、命に別状は無いにも関わらず、こっちのシーンの方が怖い。「おまえの手」って・・・・・・。


 もう一度、羊を見て癒されよう。

Cap1194

 

 

 

2010年11月 7日 (日)

『西安事変』28話

※11月8日一部訂正あり

あらすじ

 華清池襲撃と同時刻の12月12日朝5時、東北軍は省憲兵隊を、西北軍は中央高官が泊まるホテルを襲撃。

 省憲兵隊主任の雷剣邦は、部下の金徳茎の助けで逃亡を図るが、結局捕まってしまう。ホテルでは就寝中の中央高官が次々捕まり、同じホテルに泊まっていたアグネス・スメドレーは事態を知りたがるが、西北軍将校に止められてしまう。

Cap1125_3

西安事変の現場に居合わせるアグネス・スメドレー 

 張学良楊虎城は、無事に西安を制圧し要人を捕られたことを喜ぶ。しかし肝心の蒋介石が未だに捕まらないとの報告に衝撃を受け、張学良は華清池襲撃の劉多茎になんとしてでも蒋介石を保護するよう厳命する。

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2010年10月27日 (水)

『西安事変』第26話~27話(ついに西安事変勃発)

Cap1103


あらすじ

  張学良は憲兵の目をごまかすため、孫銘九劉圭五ら実行部隊の核となる5人を人夫に偽装させ、張学良公館に呼んで具体的な打ち合わせをする。特に劉圭五には、東北軍内には蒋介石に恨みを持っている人間も多いことから、蒋介石の身を守るよう任務を与える。張学良は口実を設けて劉圭五らを華清池に連れていき蒋介石に会わせるが、そこで彼が12日の朝に西安を発つことを知る。

  鐘本鶴虎城家に招いた趙文青は手料理で彼をもてなすが、忙しい楊虎城が一緒に昼食を取る約束を破ったことに腹を立て、鐘本鶴ともケンカになってしまう。本鶴を追い返した文青は、鐘笑天が楊虎城への土産として本鶴にもたせた酒を飲んで、スケートに行く。

 一方、張学良は13日の決行予定を12日の早朝、蒋介石が西安を発つ前に前倒しすることにし、趙一荻を楊虎城の妻に接触させ、その情報を知らせる。

  鐘笑天は楊虎城が酒を飲まなかったことに失望し、すべての真実を明かす。すなわち、自分は楊虎城を暗殺するため酒に遅効性の毒を仕込んでいたのだ、と。なぜなら楊虎城は抗日を策しているが、日中間で戦争になれば多くの若い日本軍人の命が失われる。自分の親友であり、本鶴の父親と同じように。それを防ぐために楊虎城を殺したかったのだと。

  本鶴は慌てて楊虎城家に戻り、趙文青が酒を飲んでしまったことを知る。本鶴はいつも二人で会っていた厚い氷の張った湖でスケートを滑る文青を見つけ、文青は本鶴が来てくれたことを喜ぶ。しかし、本鶴の目の前で文青は苦しみだし、そのまま息絶えてしまう。嘆き悲しむ本鶴は湖の氷を破り、いつも文青が憧れていた「氷の下の世界」に文青の遺体とともに身を沈める。

  暗殺に失敗した笑天の元には、特務の「天狼」が彼を始末するためにやってくるが、逆に笑天に殺されてしまう。

Cap1096

湯飲みに毒を塗って始末をつけに来た天狼を返り討ちにする鐘笑天

 笑天は西安から逃亡するため人力車に乗って駅を目指すが、そこにはすでに載笠の手が回っており笑天はそのままさらわれてしまう。

 11日夜、東北軍幹部との最後の打ち合わせを終えた張学良は、蒋介石に呼ばれて華清池で夕食をともにする。しかし、蒋介石はずっと上の空のままの張学良をやや不審に思う。その後、張学良は楊虎城が西安に集っていた中央の高官たちをもてなす宴に出席し、隙を見て「今夜12時半に楊公館に集合」することを告げる。

 華清池では、日記を書いて蒋介石に甥で侍従長の蒋孝先が、ずっと渡しそびれていた戴笠からの指示を見せる。張学良が何かをたくらんでいるのですぐに西安から離れるように、との言葉に、蒋介石は張学良の幹部である李青山を急遽呼び出すことにする。

 12月11日夜11時、張学良公館に集まった幹部たちは、李青山が蒋介石に呼ばれたことに動揺する。華清池に呼ばれた李青山は、蒋介石の張学良への猜疑を何とかうまくかわす。一方、約束の時間を過ぎても張学良らが来ないことに、西北軍の幹部らは彼らが裏切ったのではないかと疑心暗鬼になる。張学良の元に戻った李青山は、蒋介石が張学良を疑っていることを伝えるが、張学良は計画を続行するため皆と楊虎城の元へ向かう。

  計画の漏洩に楊虎城の動揺するが、「いざとなればあなたは自分を捕まえて蒋介石に差し出せばいい」と軽口を言う張学良に「俺をそんな人間だと思っているのか」と怒りを爆発させる。そのまま言い争いになる二人だったが、楊の妻に諌められて落ち着きを取り戻し、深夜1時の鐘の音とともに計画を発動する。

Cap1097

張学良の態度に激昂する楊虎城

 劉多茎率いる孫銘九,劉圭五らの東北軍部隊はくれぐれも蒋介石を傷つけないよう厳命を下して華清池に向かい、西北軍の部隊は中央軍の要人が泊まるホテルを包囲する。

 1936年12月12日午前5時。それぞれの持ち場についた各部隊はいっせいい行動を開始。

 劉多茎の部隊は華清池に突入し、警備の兵らと激しい銃撃戦を展開。途中、劉多茎は負傷するが、圧倒的兵力差によって抵抗するものをすべて殺して華清池を制圧。

Cap1098

華清池を襲撃する東北軍

 外の騒ぎについた蒋介石は紅軍の襲撃かと思い、蒋孝先とその弟の蒋鎮先らに助けられ、寝巻き姿のまま窓から外に逃亡する。

Cap1099

窓から逃亡を図る蒋介石

 劉圭五らは蒋介石の部屋に踏み込んだ時はすでにもぬけの空であったが、ベッドがまだ暖かいことからそう遠くには行っていないと判断する。





感想

 数話前から西安事変へのカウントダウンが始まっていた西安事変が、27話後半でついに勃発!

 と、その前に、その前日(12月11日)にオリキャラである趙文青,鐘本鶴,鐘笑天があいついで舞台から退場!・・・・・・・・・・・・えっ?

 あの、そこで(超)あっさり殺して(鐘笑天はまだ生死不明だが・・・生きてはいないだろう)しまうのですか、監督さん? ってこの三人はいったい何のために出てきたのですか? しかも趙文青の死のシーンが不自然すぎて、あとで蘇生するのかと思ってたら二人で凍った湖の底に沈んでいっちゃったよ!

 う~む、私は趙文青が西安事変の際に鐘笑天に人質にとられるとか、実は二重スパイ「八条」かと思っていたが・・・・・・どうやらやっぱり「一般人代表」だったらしい。

 つまり中国人の趙文青と日本人の鐘本鶴の恋人たちは、日中のはざま、時代に押しつぶされてしまった、というわけだ。それならば二人の服装がとても30年代とは思えない、ぶっちゃけ2000年代からタイムスリップしてきたとしか思えない子たちだったのも、未来の平和な時代であればこのような結末は迎えなかっただろうに、という思いが込められているのかもしれない。30年代に二人が幸せになれる場所は「氷の下の世界」しかない。

Cap1095

 趙文青と自分を埋葬するため、湖の氷を割る鐘本鶴

 あるいは「日中間で戦争が起きたら日本の若い軍人が犠牲になるから」という手前勝手極まりない(そもそもまず最初にやったのはどっちだよって話)論理で動く鐘笑天という古い世代によって、純粋な若い世代の未来が潰される様を描きたかったのかもしれない。


 さて、そんな事件があったもののドラマは容赦なく西安事変へと、すなわち「1936年12月12日早朝5時」へと向かっていく。

 このドラマは類似の歴史ドラマとは違い、今まで戦闘シーンなどはわりと淡白に描かれてきた。だが、西安事変勃発シーン、すなわち蒋介石の泊まる華清池襲撃シーンでそれは一変する

 今までの淡白な戦闘シーンは、この場面を盛り上げるためにあったのかと思えるようなカタルシス。なるほど、普段か火薬の使用量を競うかのようにドンパチやっているより、ここに至までは抑制を重ねタメを作っておいた方が、一番肝心な場面が盛り上がるというものだ。

 一方で、この華清地襲撃シーンは単に「かっこいい」ばかりではない。最初こそかっこいいBGMが流れる中、東北軍の華清池襲撃部隊が出撃しているのだが、いかんせん襲撃部隊と華清池守備部隊では兵力差がありすぎるる。襲撃部隊の攻撃はまさしく「制圧」というのにふさわしく、後半ではほとんど守備隊は皆殺しという感じになる。

Cap1101

華清池を攻める東北軍

 そこにはこの襲撃の「英雄性」よりもむしろ「暴力性」が前面に出されているような気がするが・・・・・・どうなのだろう?




ピックアップシーン

孫銘九「もう一度だけ、貴様らに厳命する! 華清池の第二門をくぐった後は、抵抗する者は見つけ次第殺せ! 30歳前後の相手ならば、発砲を許可する。40歳前後の相手ならば取り押さえろ。その人物が抵抗しない限りは、発砲を許可しない。もし貴様らが痩せてハゲている男を見つけた時は・・・・・・よく聞いておけ!・・・・・・何があっても絶対に発砲するな! その男は蒋委員長である可能性が高い。ただちに彼を保護し、劉師長にわたせ! わかったか!?」

兵士たち『はいっ!』

劉多茎「出発!」

兵士その1「あのっ、営長、質問であります。もし委員長が流れ弾に当たってしまったらどうしましょう?」

孫銘九(兵士を殴って)「ばかやろう! 流れ弾も当てるな!」

兵士その1「はいっ!」

 いよいよ華清池に出撃するに至って、部隊にもう一度厳命(蒋介石は絶対に傷つけるな)を下す営長(大隊長)の孫銘九。

 ・・・・・・って「流れ弾も当てるな」って、そういうことができない弾だから流れ弾なんじゃないか?  とりあえずおまえがまず落ち着けよ、ってセリフですな。

孫銘九「委員長はどこだっ!?」

劉圭五「布団がまだ暖かいです!」

兵士「軍服も残っています! まだそう遠くには逃げてないはずです!」

孫銘九「探せ!」

 

「布団がまだ暖かい(被窝还是热的)」キッターー!

 西安事変の有名なエピソードですね。蒋介石が間一髪のところで部屋から逃げ、部屋に誰もいないのを見て襲撃部隊の連中が「しまった、逃げられた。失敗だ」と一瞬思いかけたところで、機転の利く兵士が布団に手をつっこみ「まだ暖かい」こと確認→「遠くには行っていない、挽回のチャンスあり」とみなが気を取り直すシーン。

Cap1100

蒋介石のベッドに手を入れ、まだ暖かいことに気がつく

 ここでこの兵士が布団の暖かさを確認したことで、すばやいその後の対応ができたわけだから、こんな状況でとっさにそんなことした兵士もなかなかグッジョブである。

 さて、次回は西安事変も本格化。西安市内の制圧と蒋介石の捜索の話ですよ~。

 以下はBLですよ(反転)。

 

続きを読む "『西安事変』第26話~27話(ついに西安事変勃発)" »

2010年10月22日 (金)

『西安事変』23話~25話

あらすじ

 華清池で温泉に入る蒋介石。同行した楊虎城は内戦停止の説得を試みるが、うまくいかなかった。

 張学良は武術に覚えのある部下・劉圭五を呼び出し、蒋介石を暗殺できるかどうか尋ね、彼に考える時間を三日与える。楊虎城も蒋介石の説得に失敗したことを聞いた張は、今度こそ迷うことなく「最後の手段」に訴えることを楊に告げ賛同を得る。

 柳葉児ら東北大学の学生たちが12月9日に西安市内で抗日を訴えるデモを行うのを許可してくれるよう張学良に頼みに来るが、大事の前であるので張と楊は学生達を止める。しかし納得できない学生たちはデモを強行すると言って去り、張学良は楊虎城に警備名目で部隊を派遣し学生達を守ってくれるよう頼む。

 蒋介石の暗殺を依頼された劉圭五は、親友二人につい相談してしまう。しかし、うち一人は実は省憲兵隊の人間であり、この事を密告しに行ってしまう。雷剣邦は華清池に厳重警備を敷き、密告を知った張学良はこれ以上の猜疑を退けるためいつも通りにふるまうが、学生達は市内で抗日デモを強行した。

 デモの様子を眺める鐘笑天は「日本の大臣たちはなぜ中国の人々の怒りを直視しないのか。かつて大帝国を築き上げたこの国の底力を軽視してはいけない」と本鶴に諭す。

 葉柳児ら学生は、請願のため華清池の蒋介石の元へ向かうことにする。それを知った蒋介石は、学生らを取り押さえ従わない者は暴徒として殺すよう張学良に命令する。さらに甥の蒋孝先に周辺を武装兵で固め、近づくものは射殺するようにも命じる。

Cap1091

学生たちに銃を向ける兵士たち

 蒋孝先の率いる武装兵は、学生達に銃を向け学生達は死を覚悟で請願に向かう。蒋が発砲を命じた瞬間、間一髪で駆けつけた張学良が彼らを止め、学生たちを説得することにする。学生達は命をかけて蒋介石に会いに行く覚悟を語るが、張学良はその情熱に対し自分は一週間以内に応えると言う。

Cap1083

蒋孝先に銃を向けて止める張学良

 学生達から預かった手紙を張は蒋介石に届けるが、蒋介石は学生達をののしるばかりであった。再び騒ぐなら学生らを殺すよう言う蒋介石に張学良は自分に銃を突きつけ、彼らを殺すなら自分も死ぬと迫るが、取り押さえられてしまう。蒋介石は張を対共産党殲滅作戦からはずし、作戦部隊を再編することにする。

 張学良は自宅で趙一荻にかつて東北軍閥時代に内紛を止めるため父・張作霖の時代から師とも仰いでいた部下を殺した時のことを語る。決断がつかなかった張はコインを投げて天意を問うた。天意は三回とも「殺すべし」との結果を出した。しかし今、自分は蒋介石を捕らえ抗日を迫ろうとしているが、かつてのように天意は問わない。これは民心なのだから、と。

  張学良は東北軍の幹部を、楊虎城は西北軍の幹部をそれぞれ集め、ついに蒋介石を逮捕して抗日を迫る計画を打ち明ける。張学良は、自分についてくるかどうか部下に考える時間を与える。結果は全員がついていくことを決心し、張学良はみなに感謝する。その頃、蒋介石は12月13日に西安を発ち、張学良を処分する決定を下すことを国民党幹部らに明らかにする。

 二人は決行を12月13日の早朝とし、楊虎城は訓練の名目で、西安の要所要所に部隊を配置する。張学良は東北軍の情報部を通じて、西安にかかってくる一切の電話を受信し、また必要な時は西安と外部の連琢を断てるよう処置する。

 一方、西安郊外では、省憲兵に張学良の蒋介石暗殺計画を密告した東北軍の二人が雷剣邦に殺された。鐘笑天は独自ルートで張学良が何か事を起こすことをつかみ、南京の特務のトップ・載笠に報告する。載笠は、侍従長の蒋孝先と雷剣邦にすぐに蒋介石を西安から離すよう指示するが、先日の蒋介石暗殺計画騒ぎにふりまわされたあげく何もおきなかったことにこりた彼らは、その指示を軽視してしまう。その一方、雷は張学良と楊虎城の監視を強化することにする。

 楊虎城は、自分が幼い時に清朝に逆らったため処刑された父親の位牌に己の決意を報告し、あなたの息子らしいふるまいをすると誓う。張学良は趙一荻と二人が出会った頃の話をし、彼女に財産を分与してヨーロッパに行くよう勧めるが、一荻は泣き出してしまう。雷剣邦の監視が厳しくなったことに気がついた張学良と楊虎城は、互いに直接会うのは避け、内部にスパイがいることに気づきはじめる。

 趙文青によって楊虎城の家に招待された鐘本鶴に、鐘笑天は楊主任へのお礼だ、といって高価な酒を土産に持たす。本鶴は酒の入った箱を持って楊虎城家に入り・・・・・・



感想

 12月8日から11日正午までの動きが描かれました。(西安事変は12月12日勃発)
 

 個人的には学生たちの12月9日デモとそれを軍に発砲させてでも止めさせようとする蒋介石の様子がけっこうあっさり書かれていたのがちょっと不満かな。このドラマでは張学良が蒋介石の逮捕を決めたのがこのデモ弾圧騒動とは無関係、つまり蒋介石のあからさまな暴挙がまずあってそれによって張学良が愛想を尽かした、という構図は取らないようである。そこに何か監督のスタンス(史観)が見て取れるようでおもしろい。


 あと、展開的におもしろいのは、張学良が武芸に覚えがある部下の劉圭五に「蒋介石の暗殺」を依頼し(本当は劉の覚悟のほどを見極めようとしただけなのだが)、真に受けて思い悩んだ劉は友人にうっかり相談してしまい、その友人がすぐさま特務の省憲兵に密告に走る(笑)という場面。それで省憲兵も、蒋介石の身辺警護の総責任者である蒋孝先も厳重警備を敷くわけだが、張学良はいつも通りに振る舞ってこの危機を回避。そして、禍転じて福となるとのごとく、この後これが思わぬ展開につながっていく。

 すなわち何にも起こらなかったことで、蒋孝先は「俺たちを振り回しやがって」とばかりに省憲兵部を罵倒し、省憲兵部の雷剣邦と蒋孝先の間に大きな亀裂が入った。そして次に載笠から「何か起きそうだから蒋介石を避難させろよ」とか指示が来ても両者は連携しないばかりか、その指示を軽視(つーかスルー)してしまう。まさしく「狼が来た」論理。ここに張学良たちが西安事変を起こすのに有利な条件が生まれた。

 単に張学良の危機かと思われていた「蒋介石暗殺(勘違い)計画」密告事件が、実は伏線となってこんなふうに回収されるとは。なかなか見事なストーリー構成である。

 ・・・・・・しかし冷静に考えれば、せっかく情報を掴んで万が一に備えていた憲兵に対して、何も起こらなかったからって罵倒するのはひどいよね。何か起これば良かったのかよ。何も起こらなかったのは「元々そんな計画はなかった」じゃなくて「事前に万全に備えていたから犯行が断念された」とかちょっとは考慮してあげればいいのにね。まあ、それで罵倒されてうんざりしてやる気をなくす雷剣邦も特務としてどうかと思うが・・・・・・この張学良たちに振り回されぱなしだもんね、そろそろ田舎に帰りたくなっているのかもしれない。




ピックアップシーン

真理

鐘本鶴「父さん、ラジオで聞いたんだけど、今日はどこの大都市でもデモが起きているみたいだ。上海、武漢、北京で日本製品が燃やされて、成都では抗議の焼身自殺をした人までいるって」

鐘笑天「・・・・・・そうだな。東京の大臣たちは誰もが中国人のことをばらばらの砂のようだと言っている。彼らこそこの光景を見るべきだ。私は本当に理解できない。大臣たちはなぜこの国をああも軽く見ているのか。まさか今のこの国を大清王朝の頃と同じだとでも思っているのだろうか? ・・・・・・本鶴よ、覚えておきなさい。おもえがこれから生きていくこの国は、かつて世界最大の帝国を作り上げた。大唐の長安は、今の西安の十倍も大きかった。古代ローマの七倍も大きかったのだ。決してこの国を軽く見てはいけないよ」

Cap1092

デモの様子を眺める鐘親子

 鐘親子は中国名を名乗っているが、二人とも日本人である。鐘笑天は元大陸浪人のスパイで今は国民党特務のスパイ、彼の養子の本鶴の父は笑天の親友の日本軍人の遺児と二人してなかなか複雑な経歴の持ち主である。その二人、特に笑天がしみじみと上のような示唆に富んだセリフを語るこのシーンはなかなか深いものがあった。

 笑天は中国文化に耽溺する本鶴に「日本人の誇りを忘れたか」とか「日本軍人の息子としての気概がない」などと叱ったりしたこともあり、なかなかどういうスタンスの人物なのか分かりづらいが、少なくともこの時、本鶴に語りかけた言葉には彼の真実の思いが込められたいたように思える。

 実は映画『天安門』の日本人キャラ・上野の時も思ったのだが、(まだ二作しか見てないけど)『西安事変』および『天安門』の葉大鷹監督の描く日本人は何とも自然体であり、かつ複雑で、上のようなセリフを言うのも不自然ではない。そんな興味深い日本人像を作るのに長けた監督なのだ。



天意と民心

張学良「私は普段、迷信なんて相手にしない。ただこの件(自分と対立する張作霖時代からの重臣を粛清すべきか)の時だけ、天意とやらに問うてみることにした。それで、私はこの銀貨を出し、もし自分が彼らを殺すのが正しいことだとしたらコインの表を出してくれ、と天にまかせた。最初の一回を投げ・・・・・・そして二回、三回と投げてもコインはすべて表だった・・・・・・当時、私のそばには妻の鳳至がいて、私は彼女に「もう一度、試してみよう。今度は、この張学良が彼らを殺すのは正しいと言うなら裏を出すように天に託して」と。また一回、二回、三回投げたが、私は怖くてコインの面を見ることができなかった。私の代わりに結果を見てくれた鳳至は、泣いた。彼女は言った。「漢卿、あなたは彼らを殺さなければいけない」私もコインを見てみると、やっぱり裏が出ていた。私は深くため息をついた。「これが、天意、か」それから後も私は、自分では決めかねる時に使おうとずっとこのコインを持っていた・・・・・・」

趙一荻「・・・・・・それで、あなたはまた天の意思を問おうとしているの?」

(趙一荻、机の上に張学良が蒋介石と一緒に撮った写真があるのを見つけて)

趙一荻「あなた、まさか蒋委員長を殺すつもり!?」

張学良「黙れ! 俺がいったいどれだけ長く委員長についてきたと思うんだ!? 彼とは親子も同然なのだ、俺が彼を殺せるわけがないだろ。・・・・・・ただ俺は、彼がこれ以上道を誤り、国民から離れていくのを見たくないだけなんだ」

趙一荻「ならなにをするつもりなのよ!?」

張学良「彼を逮捕する。そして抗日を迫る」

(中略)

張学良「私には選択の余地はもうない。これは天意ではない、民心なのだ(这不是天意,是民心)」

Cap1093

張学良と蒋介石のツーショット写真

 1930年、張作霖の後を継いだ張学良は、蒋介石への帰順や日本との関係を巡って老臣と深刻な対立をした果てに、ついに反張学良派のトップ二人を粛清して騒ぎを収めた。二人は祖父の時代から張一族に仕え、張学良にとっても師や叔父も同然の相手であり、張学良は彼らの処遇を自分では決意できず、「天意」に問うてみたともいう。そして違う方法で6回もコインを投げたのに結果はすべて同じ、「彼らを殺し、東北を安定させるべし」という「天意」であった。

 かつて重大な決断を「天意」にゆだねてしまった張学良。その後もいざという時は「天意」を聞こうと考えていたが、西安事変を起こすにあたって、彼はもう「天意」を問おうとはしない。なぜなら「内戦停止、一致抗日」は「民心」なのだから、と。

 「天」から「民」へ。実に印象的な対比であり、東北を追われ西安で人々の心からの声に直面した張学良の変化をよく表している、と思う。




親と子
 

最後に、特に良かったのが、楊虎城がかつて清朝に殺された父の位牌の前に跪き、自分の決意を語るシーン。

楊虎城(父さん、虎城は愚か者ですが、あなたの篤実と義侠心は確かに受け継ぎました。あなたは可老会(中国の民間に広く存在する秘密結社)に参加して清朝に反旗を翻し、ついに逮捕され、しばり首になった。西安の広場での処刑前に、あなたは私に6つの文字を与えてくださいましたね。「良き人に成り、正しき道を行け(作好人 走正道)」その年、あなたは四十三歳で私は十四歳。私はあなたが殺されるのをこの目で見、一人であなたのさらし首を荷車に載せて西安から家に戻った。今年、その私もまた四十三歳になりました。政権は変わりましたが、この国はいまだ安定せず、外国からも侮辱されて続けています。虎城は生涯あなたの遺訓を守り、それを怠ることは決してしません。今この時、民族のため、国家の独立のため、民の生活を安定させるため、私達の祖先のため、そしてあなたのために、楊虎城は事を起こします。禍福を省みず、生死を惜しまず、ただあなたにふさわしい息子であることだけを自己の励みとして)

Cap1090
父の位牌に拝跪する楊虎城

 
 一介の農民であった楊虎城の父は、清朝末期、虎城が14歳の時に反乱軍に加わった容疑で首を切られてさらし者にされた。虎城は残された母と弟妹を養うため兵隊になり、いつのまにか西北軍閥のトップにまでのしあがったのである。

 その楊虎城が中国民族服を着て、父の位牌に拝跪シーンは印象的。

まあ、そんな虎城も娘にはデレデレらしく(笑)、蒋介石逮捕の具体的な方法を腹心たちと話し合っている最中にかかってきた趙文青との電話にすっかり頬をゆるめ、部下どもに見られているのに気づいて、「いやぁ、ちょっと明日娘と一緒に昼食とる約束を。いったん事を起こしたらもうそんなことはできないかもしれないし」と苦しい言い訳をするのだが。

Cap1094

 娘からの電話でニコニコ顔の楊虎城

 しかし趙文青はその昼食会に彼氏の鐘本鶴を呼ぶつもりだ。「うちの娘に恋愛はまだ早い」とかのたまっていた楊虎城にとって、大ショックかもな(笑)

2010年9月15日 (水)

『西安事変』20話~22話

 1936年10月、張学良閻錫山とともに、蒋介石の元へ「内戦停止、一致抗日」の説得に行く。日本軍の山西侵略の可能性に大きな危機感を抱く閻錫山は、ついに蒋介石に向かって共産党よりも日本軍の方が脅威だと告げる。しかし、蒋介石は「共産党との合作を言う者は、漢奸よりも悪い」と言って己の意見を翻さない。

 すっかり失望し自分たちで自衛の方法を考えるべきだとする閻錫山に張学良は蒋介石が意見を翻さないなら自分は東北軍を率いて共産党に行くと打ち明け、閻もそれを支持する。

 紅軍は、王以哲から胡宋南軍が侵攻してくるという情報をもらう。王以哲は胡軍との連絡をわざと絶ち攻撃に協力しない一方、紅軍を心配する。紅軍総指揮官に任命された彭徳懐は、胡軍を飲料水のない地方に誘導した上で、彼らがわずかな水源に集まったところを包囲攻撃し、大勝を収める。

  張学良を静かな場所に誘った楊虎城は、故事を引いて蒋介石を捕らえ、彼を擁する形で張が天下に号令を出す案をほのめかす。しかし蒋介石に深く忠誠を誓う張学良には到底受け入れられない案であり、何も聞かなかったことにする。

 一方、満州から綏遠省(現在は内モンゴルと山西省の一部)に侵攻した関東軍を、博作義将軍の軍が撃退する。東北軍をはじめ多くの人々が喜びに沸き、抗戦への熱が再び高まる。

Cap889

 中国軍の勝利を喜ぶ西安市民たち

 楊虎城は、張学良と蒋介石の関係を不思議に思い、また妻に「この後に及んで臣下が君主の過ちを正す方法は二つしかない。一つは自殺を以って訴える、もう一つは反乱する」と胸のうちを漏らす。

 蒋介石は親共抗日意識が深く浸透している東北軍と西北軍を対共産党殲滅戦からはずすことを考慮し、さらに「抗日七君子」と呼ばれる7人の民主人士を逮捕する。

 七君子逮捕に怒った張学良は、極秘中の極秘の話しをするため楊虎城と三人の側近だけをつれて甘粛の知人の家で秘密会議をし、もしもう一度蒋介石を説得してだめだった場合は、「非常な手段」を用いて抗日を迫り、「天子を擁して天下に号令する」挙に出ることを決心する。

 「最後の説得」のために蒋介石と面談する張学良。しかし、激怒した蒋介石は「私が国家元首だ、私が政府」だとまで言い、張学良は多いに失望する。一方、蒋介石は督戦のため西安に行くことを決める。

 毛沢東アグネス・スメドレーのインタビューに応じ、共産党の方針と情勢分析を語る。   

 西安に戻った張学良は趙一荻に、昔自分はアメリカに行って医者になることを志望していた、と語る。しかし父の張作霖に「今の中国では医者が手術刀で一人を救う間に、軍刀で十人以上の人間が殺される、そんな中国で医者が何の役に立つ」と言われ、「結局、人の命を救いたかった自分は、人を殺す軍人になった」と自嘲する。また、蒋介石と決裂した苦悩を語る。

 西安にやって来た蒋介石は華清池に泊まり、側近や護衛の甥とともに国家の将来を語る。

  多くの国民党高官が集結した西安では、最大級の警備体制が敷かれ、高官たちが泊まるホテルは中央憲兵団の管轄となる。

 蒋介石は会議の場で有無を言わせず、対共産党殲滅の大規模な最終作戦を行う計画を話す。張学良と楊虎城は反対するが、すでにそれを見越していた蒋は、東北軍と西北軍が従わない場合は両軍を西安から追い出すという最後通牒を伝え、二人を追い詰める。

Cap1059

蒋介石の最後通牒に追い詰められる楊虎城と張学良

 蒋介石はさらに東北軍と西北軍の幹部を一人づつ呼び出し、意見を聞く。西北軍の馮敬業は楊虎城への不満と彼が共産党と内通しているらしいことを告げ、蒋介石の歓心を買う。

  今後の対応に悩む張学良,楊虎城,閻錫山。張学良は絶対に再び内戦をしないと心を決めているが、楊虎城にどうやって蒋介石の意見を変えさせるのか、と問われる。その時、苗剣秋ら東北軍の若手将校たちがやって来て、東北軍の者たちの抗日を願う血盟を見せ、東北奪還の思いを訴える。

 蒋介石の護衛を担当する彼の甥の蒋考先は、万が一に備え東北軍の警備隊を中央軍の警備隊に変えることを提案するが、蒋介石に却下される。

 1936年12月7日、これが最後のつもりで蒋介石話し合いに行く張学良。しかし、蒋介石は、「もうその話はうんざりだ」と言う。張学良もまた蒋を「兄」と呼び、「かつて東北を取り戻すため戦うとあなたが誓ってくれたから私はそれを信じて五年待った、私こそもう耐えられない」と本心を語る。さらに東北軍の将兵から託された血盟を見せるが、蒋介石は意見を変えない。

Cap1061

 東北軍が血の決意が書かれた青天白日旗(中華民国国旗)を蒋に見せるが

 絶望した張学良は自宅に帰って荒れ狂う。




感想

 ついに西安にやって来た蒋介石。21話目にして西安事変がカウントダウンに入りました。22話が終わった時点で1936年12月7日になっていたので、事変勃発まであと5日となったけど、張学良はまだ何も具体的には決めてない・・・・・・。

 ところで今回気になったのが、楊虎城の行動。

 張学良を連れ出した楊は、無言でホコリのたまった机の上に文字を書き、張に見せる。そこには・・・・・・

Cap888

「挟天子」

 この言葉は正史版三国志の「挟天子以令諸侯(天子を擁して(護持して)諸侯に命令する)」という言葉が出典だろう。

 つまり天子=蒋介石を従わせ、その名を利用して全国に抗日の号令をかけろ、というのだ。

 ・・・実は前々から思っていたことがある。

 西安事変の首謀者って張学良じゃなくて楊虎城じゃね?

 楊虎城が蒋介石の逮捕を考えつき計画して、張学良を説得して前面に立ってもらった・・・・・・西安事変に関する本をいくつか見ていると、そんな印象を持つ。楊虎城が前面に立たなかったのは、例え本当に正当な動機(抗日救国)によって行ったとしても単なる権力争いとしか認識されないからだ。対して張学良には、故郷東北を日本に奪われる、という背景があり、彼がこのような挙に出たのは抗日のためだということが理解されやすい。

 やはり張学良という人物を考えれば、蒋介石を逮捕して言うことを聞かせる、などということを彼が自力で考えつけはしないだろう。ただ自分では考えつきもしなけど、一連の経緯を経て1936年の秋頃には、その提案を誰かがすれば受け入れることは可能だったと思う。

 ただ、前面に立たされた、とは言っても楊虎城に騙されてとか利用されてというわけではない。立案したのは楊だが、その計画に賛同し「東北を追われた者」という自身の背景の意義を理解して、納得ずくでその役目を引き受けたのだと思う。

 そういう意味で、私は日本の西安事変研究が楊虎城を無視してきたのが不満だった。張学良は花があって(笑)研究しがいのあるのもわかるが、もっと楊虎城に目を向けろ! より重要なのは楊虎城じゃないかぁ~!って。・・・・・・まあ、今は変わったかな?

 とりあえずドラマ『西安事変』は、このまま楊虎城首謀説でいくのかな?

 あと、閻錫山。やっぱり閻錫山も西安事変には大きく関わっていたのかな?このへんは全然知らなかったけど、ちょっと調べてみる価値はあるかも。



 ところで「最後の談判」(←何度も「最後」がある気がするが)で、張学良が本音で話す時、蒋介石のことを「哥哥(兄さん)」と呼ぶのだが・・・・・・見事なまでに似合わないなぁ。兄弟萌えな私にとっては「哥(兄)」という中国語は中国語の中で一番美しい言葉なのだが、今回は萌えられなかった(びっくりしたけど)

2010年7月30日 (金)

謎の二重スパイ「八条」は誰?

 さて、ドラマ『西安事変』の中では、オリジナル設定として「八条」と呼ばれるスパイが暗躍して、東北軍・西北軍の重要な情報が外部に漏れてしまっている。

 東北軍の情報管理を統括する李青山が、この「八条」を追っているが、「八条」に関して確定的な情報は18話終了段階で以下の3つだけ。

  1.  西安市内に潜んでいる
  2.  表向きは戴笠の特務機関に属しているが、実は日本の特務機関に属する二重スパイである
  3.  日本人である

 現段階で最も「八条」である可能性が高いのは、ずばり鐘笑天。・・・・・・と言うか、ドラマはあからさまに彼が「八条」である可能性を随所で示している。

 まず彼について分かっていることと言えば

  1.  日本人
  2.  元大陸浪人で「嫦娥」というコードネームを持つ諜報員
  3.  今は戴笠の元にいる昔の友人「天狼」の依頼で東北軍などの極秘情報を流している

怪しい。 

 しかも彼は「天狼」の前では、「自分は中国人として」と言って戴笠たちのために働くことを誓っていながら、養子の鐘本鶴に対しては「私は日本人であることを忘れていない」と言い、中国人を見下すようなことを言っている。

 中国側に忠誠を誓っているふりをしながら、日本側にばんばん情報を流している・・・二重スパイの気配が実に濃厚である。

 その他にもドラマの随所で彼こそが二重スパイであるかのような伏線をはりまくっている。それは十人中九人が、鐘笑天=二重スパイ「八条」という図式を成り立たせられるほどわかりやすい伏線の張り方であった。

 ・・・・・・だが、18話まで見た時点でだんだん疑問がでてきた。

 いくらなんでもあからさますぎね?

 

 そして疑問をさらに強化したのが、連絡役に使われていた靴磨きの子どもが何者かに殺された件。

 この子どもは何も知らずにただ小遣い賃をもらって、「天狼」から文書を預かり「嫦娥」に渡す仕事をしていた。しかし、偶然、李青山がその場面を目撃し、「天狼」は彼に尾行されることになってしまった。

 その後、この子どもは靴を磨かせてもらおうとあるのあとを追い回し、殺されてしまっている。その後の場面で、この殺人に少なくとも「嫦娥」は関わっていないことが匂わされる。

 さて、これは李青山にマークされた「天狼」が、これ以上の情報漏えいを防ぐため女の部下を使って子どもを口封じに殺した、とも解釈できる。

 ・・・・・・しかし、故意にこの女の顔を写さないようにしているかのようなカメラワークになっているのが気になる。これはこの女が単に戴笠系の女特務その一ではなく、もっと重要な役どころであることを示唆しているかのようである。

 実は、繰り返されるあからさまな「嫦娥」=「八条」描写は、監督がしかけた視聴者へのミスリードなのではないだろうか?

  考えてみえば、「天狼」が戴笠のために西安に放ったスパイが「嫦娥」だけとは限らない。しかし、表向き戴笠系の「天狼」に仕えているが、実は日本のスパイ「八条」が紛れ込んでいた、というのではなかろうか?

 実は、この時、子どもを殺した謎の女こそ、「八条」なのではないか?

 彼女もまた表向きは戴笠系に属しているからには、この子どもとの接触があっただろうし、この子どもが李青山にマークされた以上、自分の秘密を守るため殺害した、という可能性は充分に考えられる。

 だが、このドラマでの女性キャラは非常に限られている。

 まあ、まったくの新キャラという可能性もあるが、とりあえず今までに登場(?)した女性キャラはこの6人だけ。

  1. 張学良の第二夫人・趙一荻
  2. 楊虎城の妻
  3. 蒋介石夫人・宋美齢
  4. 楊虎城の戦友の遺児で養女になった趙文青
  5. 東北大学の学生自治会長・柳葉児
  6. 西安郊外を荒らしまわす馬賊・馬上飛一味の女馬賊

 女性キャラ少な!

 ・・・・・・まあ、とりあえず、オリジナル要素が強い上に明確に「日本人」とされている「八条」が実在人物である1~3の女性である可能性は限りなく薄い。

 と、するとオリジナルキャラの4~6だが、1話しか登場してない(しかも声だけ)謎の女馬賊が「八条」の可能性も除外していいだろう。

 と、すると考えられのは

Cap425

↑趙文青か

Cap428

↑柳葉児ってことになるけど・・・・・・。

 そう考えると急に「趙文青」が怪しくなってきた!

 まず柳葉児は東北大学の学生会長で、西安に来る前から他の学生たちに知られており、身元はしっかりしていると思われる。

 しかし、趙文青は「楊虎城の戦友の遺児で、父の死後、母と二人で暮らしていたが、その母も亡くなり、その遺言で楊虎城を頼って西安に来た」という(実際、楊虎城も戦友の死後姿を消した母子の面倒をみようと長年探していた)。

 でもこれ、

 全部彼女の自己申告なんだよね・・・・・・。

 

 いや、待て、確か彼女は楊の戦友の娘であることを証明するため、家族写真を見せたはず!

 で、その場面を確認、確かに家族写真に写っていた。でも

 彼女10歳前の写真だけどね!

 や、今の彼女は16歳なのだから、10歳以前の写真見せたって同一人物かどうかわからんだろ。単に写真をゲットして提示しただけじゃなかろうか?

 確かに楊の戦友はその娘が10歳ころに死んだという話なので、父娘関係を証明するのに小さい頃の写真を見せるのは仕方ないかもしれないが・・・・・・でも、楊虎城は戦友の妻のことも知っているのだから、最近母親と一緒に写っている写真でも良かったのではなかろうか?

 つーか、楊虎城も自己申告と小さい頃の写真だけであっさり信じるなよ・・・・・・。

 

 そもそも彼女は何のためにドラマに出ているのか?

 最初は「西安事変」という歴史ドラマに一般人の視点を加えることを目的としたのかと思っていたし、今でも別にそれでも不自然ではない。 

 また戴笠系スパイであることが明白な鐘笑天の息子・鶴本と恋仲になったという展開から、笑天に騙された人質にとられ、楊が追い詰められるという展開になるのかとも思う。

 

 う~ん、疑えば疑うほど怪しく思えてくる趙文青ですが・・・・・・出来れば彼女が「八条」でないことを切に願います(疑いかけといてなんですが)

 だって、それじゃあ、楊虎城かわいそうすぎるもの!

 だってあんなに趙のこと「実の娘」としてかわいがっているんだよ!?(「今日から私のことをお父さんと思いなさい」)

 年頃の娘っていうのは難しいぜ、って半分デレながらパパになろうとしているんだよ!?(「まだ子どもなのに、恋なんて早くないか?」)

 なのに、彼女がスパイだったらただでさえいろいろかわいそうすぎる楊虎城がさらにかわいそうになるじゃないかー!(これが愛人に騙されただったらまだ自業自得だが、人情から親子になった娘に騙されたんじゃ目も当てられない)。

 いっそ、やっぱり鐘笑天=「嫦娥」=「八条」なあからさまな展開の方が百倍救いがあります。

 あと、「子どもを殺した謎の女」がさして意味を持たないなら「天狼」が「八条」っていう可能性もありますね。「嫦娥」に収集させた情報を、戴笠に送る一方で日本側にも渡していたというのは、無理の無い展開でしょう。また、子どもからこれ以上の情報が漏れるのが困るのは彼も同じ。

 さて、結局、謎のスパイ「八条」の正体は

  1. 趙文青
  2. 鐘笑天
  3. 「天狼」

 を有力候補として、私の予想が当たるかどうか見ていこうと思います。

 でも当たったら泣く。

(あ、大穴で「鐘鶴本」というのもあるかな)

 

2010年6月 6日 (日)

『西安事変』登場人物紹介2

共産党

周恩来

Cap258

共産党副主席、紅軍総政治委員

 共産党の№2。張学良との交渉が行き詰った時、直接交渉に出てきた。

劉鼎

Cap424

 表向きは西安市内の馬海徳医院の歯医者。裏では張学良の信頼を得て共産党と張学良の橋渡し役をやっている。また東北大学の学生たちと抗日パンフなどを出版している。

国民党(特務組)

戴笠

Cap24

国民党軍統局局長 

字は雨濃。蒋介石直属の恐怖の特務組織・軍統のトップ。

 蒋介石の元教え子。蒋介石の耳と目になる役目を己と組織に課しており、そのために手段を選ばない。しかし張学良が共産党と繋がっているという情報をいくつも掴みながら、蒋介石はそれを信じず、かえって批判されている。

雷剣邦

Cap386

国民党省党部主任,駐西北中央憲兵団長,復興社特務処西安駅責任者

 中央政府に直属する「省党部」「中央憲兵団」のトップであり、戴笠の部下でもある。表向きの任務は共産党員やスパイの摘発、公然の秘密である裏の任務は外様(傍系)である楊虎城や張学良の監視と両者の離間である。最近は、この二人が共産党と繋がっているという疑惑の証拠を掴むため強行な手段に訴えていたが、張学良に「省党部」を襲撃され、職員を拉致され秘密文書を押収されるという手痛い打撃を受けた。

国民党(宋家ファミリー,他)

宋美齢

Cap389

蒋介石夫人。宋家三姉妹の三女。クリスチャンで結婚に際して蒋介石を入信させた。姉の宋慶齢は国父・孫文の妻で、蒋介石は美齢との結婚で、「国父の義弟」という地位を手に入れた。しかし慶齢は蒋介石と政治的に激しく対立し、共産党を援助している。

美齢は張学良の最愛の女性という説があり、ドラマ中でも二人がかつて恋人同士であったことが語られている。

宋子文

Cap3

国民政府経済委員会主席

 宋美齢の兄(蒋介石の義兄)で、宋慶齢の弟(孫文の義弟)。張学良の友人で、蒋介石の側近の一人かつ相談相手でもある。ただし、蒋介石は後ろ暗い話はあまり彼にはしない。密かに宋子文に宋慶齢を通じて共産党と連絡を取るよう頼んでいる。

閻錫山

5

太原綏靖公署主任,国民政府軍事委員会副委員長

 字は百川。山西の軍閥。南京国民政府に帰順しているが、かなり独自路線と中立を保っている。特に山西のことについては、南京政府であっても口を出すことを許さず独自の政策を行っているため「山西王」と呼ばれている。一方で、迷信深く占いを信じやすい。

高崇民

424

東北民衆抗日救国会委員,民主人士

 東北の民族運動家、理論家。楊虎城の古い友人。国民党に失望し、共産党に接近している。危険人物として省党部憲兵隊に追われている。

オリジナル人物

趙文青

Cap425_2

 楊虎城の戦友の娘。16歳。両親を亡くした後、西安を訪れ、楊虎城の養女となる。明るく勇敢な女の子で、スケートと詩を愛する。鐘本鶴と恋仲になる。

鐘笑天

Cap426

 西安市内で本屋を営む元大陸浪人の日本人。大陸浪人時代は、中国の特務機関とも関係がある凄腕の諜報員であり、「嫦娥」というコードネームを持つ。現在は戴笠の下にいるかつての仲間「天狼」の極秘依頼で、張学良,楊虎城,共産党の行動を探り、情報を戴笠に提供している。

鐘本鶴

Cap427

鐘笑天の亡き友人である日本軍人の息子で、鐘笑天の養子として中国で育つ。本と音楽を愛するおとなしい少年。

柳葉子

Cap428

東北を追われ、張学良に従って西安にやってきた東北大学の一人。女学生。西安に開校した東北大学の学生自治会長を務める。当初、張学良の「不抵抗」に不満で、たびたび彼を糾弾した。

馬上飛

西安郊外を荒らしまわる土匪の頭目。実は女性? 密書を持ってきた共産党員・汪峰が省党部憲兵隊に捕まった時、楊虎城は彼らに汪峰救出の協力を頼んだ。

「八条」

西安市内に潜む謎の諜報員。表向きは戴笠系に属しているが実は日本の二重スパイであること、暗号の形態から日本人であることを李青山ら東北軍の情報部は掴んでいるが、その難解な暗号を破ることができないでいる。「八条」によって西安のおよび戴笠らの重要な情報が日本に伝えられている。

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