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『天安門』

2010年3月24日 (水)

『天安門』総合情報

Cap256

映画(112分)

製作:中国電影

公開:2009年(建国60年周年献礼作品)

監督:葉纓(葉大鷹の改名)

シナリオ:王兵

役者:潘粤明(田英震)、大塚匡将(上野)、徐嘯力(小馬列)、信鵬(双喜)、白琳(老郭)

※英文字幕つき

評価(5段階)

ストーリー:★★★★☆      キャラクター:★★☆☆☆

文学度:★☆☆☆☆        エンタメ度:★★★★

萌え度:★☆☆☆☆        総合お勧め度:★★★★☆



あらすじ

 共産党の勝利が確定し、建国宣言が迫る1949年9月。解放軍の抗敵劇団舞美隊の隊長・田英震に重要な任務が下る。

 栄えある建国宣言は北京の天安門広場で行うことが決定されているが、長い間放置されていたため天安門とその周辺は荒廃し放題。田英震の任務は、建国宣言の日までに天安門を修復し、立派に飾り付けること。

 彼がその任務を受けたのは1949年9月3日・・・・・・建国予定の日までわずか28日しかない。次々と発生する問題に日本人を含む仲間達と立ち向かっていく田震英であったが、式典の直前になってどうしようもない事態が起こる。この危機を乗り越えるため、田らは北京の路地裏のどこかに潜む清朝時代の伝説の職人を探しに行く・・・・・・。



感想・解説・評価

 個人的な話だが、この映画は私が中国に来て始めて映画館で見た最初の映画・・・という超私的に思い出深い作品。


 まあ、それはどうでもいいとして。

 難しいことは抜きに気軽に楽しめる映画だと思う。あまり重い気分にもならず、ポップコーンを食べながら見て、見終わった後は「ああ、なんかおもしろかった」と思える、そんな作品。


 内容としては1949年10月1日の中華人民共和国建国式典の裏話。すっごい大事な式典なのに、その準備に与えられた期間は28日! わ~どーしよう! と登場人物たちがドタバタする話。まさしくフィクション版「プロジェクトX」!


 葉大鷹監督は、TVドラマ『西安事変』で監督をやった人でもある。両作品に共通することは、監督のエンタメに徹しようとする姿勢だ。変に教訓的にしようとせず、重苦しくしようとせず、それでいて人間ドラマもちゃんとある。

 ともかく観客にこの作品を見ている時間は、確実に楽しんでもらおうという監督のプロ根性を感じるのだ。


 ただ、この作品がエンタメ作品として大成功しているかと言えば、ちょっと残念な点も多い。

「荒廃しきった天安門を28日間で完璧に飾り付ける!」という絶対的な命題の下で、登場人物たちがドタバタするのがこの作品の核心だが、どうもいまいちそのドタバタ感が弱い。もっとそこを強調したほうが良かった。

 また個々のエピソードももう少し何か大げさに描いても良かったと思う。これといって突き抜けるものがないのだ。


 まあ、それでも何はともあれ、小ネタながら安心して観れる娯楽作品である。革命ものもドンパチ撃ち合っているばかりではなく、こういうネタがあってもいいだろう。


 ちなみにこの作品は、建国60周年の2009年10月1日の
28日前・2009年9月3日に公開された。つまり作品中で、主人公が任務を受けた日と連動させているという演出だ。



入手可能なショップ

・現代中国映画上映会

http://www1.parkcity.ne.jp/gentyuei/dvd_vcd.htm

・書虫

http://www.frelax.com/cgilocal/getitem.cgi?db=book&ty=id&id=TAM0313974

・クイックチャイナ

http://www.quick-china.com/movie/detail/dj16577.html

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2010年3月22日 (月)

『天安門』(前編)

あらすじ


 建国の日を目前にしたある日、人民解放軍の抗敵劇社舞美隊隊長の田英震は、上部に呼ばれ北京の天安門に連れていかれる。

 
 長年の混乱で放置されていた天安門とその周辺は荒廃し放題。しかし、建国宣言はこの場所で行うことが決定された。上部の張部長は「今からここが君たちの戦場だ」と天安門の修繕と装飾の任務を田英震に与える。

Cap243

天安門


 その日は
9月2日、建国式典まであと28日であった。


 天安門の荒廃ぶりに辟易とする田の部下たち。しかし天安門の修繕のため、多くの兵士・工人が派遣されてきたのを見てやる気を出し、みなでどう飾り付けるか話し合う。

Cap246

天安門の上で旗を降り勝利を祝う少馬列


 田英震は大量の紅い布を求めて天津の工場に行くが、共産党が政権を取ったことで、紅い布はどこでも品切れであった。しかし解放軍幹部の聶栄臻から直接電話を受け、建国式典用だと知った工場長は田に布を融通してくれる。だが、その電話の主は、田の部下で日本人の上野
、彼のためを思って聶栄臻の名を騙っていたものだった。
 
 張部長は、幹部の名を騙ったことで田を厳しく叱責し、改めてこの任務の重要さを説く。


 田の部下・双喜は、子供たちに歌を教える女教師を双眼鏡で見て一目ぼれする。しかし、彼女を探し出すことができず、仲間達にからかわれる。

Cap248

子供たちに歌を教える謎の女性


 上野は、嫁問題で盛り上がる仲間たちの輪からはずれ、日本に残してきた家族を想う。それに気づいた田英震は「必ず再会できる」と上野を励ます。


 着々と作業は進んでいたが、北京市民があんなのはちっとも美しくないと言っているのを聞いて田はショックを受ける。このままでいいのかと思い悩むが、他にいい案も出ない。


 作業を手伝う第四野戦軍の兵士たちは、田らの抗敵劇社舞美隊は自分達と違って戦闘にも参加しない気楽な部隊だとからかう。それを聞いた田の部下・小馬列は激怒し、天安門の屋根の上でケンカを始めてしまう。田英震は現場に駆けつけようとするが、工事用の足場が崩れ、落下してしまう・・・・・・。




感想



 田英震が上官に連れていかれた場所・・・そこは荒廃しきった天安門であった。


 上官は言った。


 「今からここが君たちの陣地だ」


 気楽な部隊と揶揄される田の部隊に突如与えられた以外な任務。


 彼に許された時間は28日間。


 仲間達と力を合わせ困難に立ち向かっていく田。


 だが思ってみなかった問題が発生した・・・・・・。




 プロジェクトX風に(古っ! って言うかこんなんだったけ?)。

Cap251

石獅子もおめかし


 と言うわけで、建国大典裏話映画です。



 建国を題材にした映画と言うと、とりあえず国民党とドンパチやるのが主流の感がありますが(聞いた話だと建国大典を潰そうとする国民党特務から式典を守る諜報戦映画ってのもあるようだ)、今回出てくるのは「抗敵劇社舞美隊」という聞きなれない名称の部隊。


 私も「抗敵劇社舞美隊」と言うのが何かはよく知らないが、たぶん劇や歌で部隊を慰問したり民衆を啓蒙したりするのを主な任務としている部隊なのだろう。


 あまり戦闘に関わらない彼らは、解放軍内でやや軽んじられてしまっているようだ。実際、戦闘を担当する部隊から揶揄されている場面もあり、それに対して田英震の部下が激怒し、ケンカになっている。


 そんな田の部隊に与えられた「君たちの陣地」こそ天安門。田が天安門修繕の過程で部外者の口出しに対し「ここは俺たちの陣地だ」と言う場面があるが、軍人でありながら非戦闘員である彼らの鬱屈した感情をよく表していると思う。



 さて、その映画の冒頭では荒廃しきった天安門の様子が田の目を通す形で映される。


 人通りもなく、カラスの群が住みつき、ところどころ色あせて崩れかけ、もちろん毛主席写真も飾られておらず・・・・・・。


 にぎやかで、色鮮やかで堂々としていて、正面には毛主席の写真。中国人であれば(でなくても)誰でもすぐに思い描けるであろう光景とあまりと言えばあまりに違う天安門の光景。

 その「荒廃ぶり」を強調するのは、ややわざとらしくもあるが、観客を映画に引き込む絶好の演出である。このへん、実にうまいなぁ、と思う。

Cap244

天安門が!



 大量の紅い布が必要なのに、(共産党が政権を取ったため)各地で紅い布が品切れ状態と言うのも、ああなるほどと思えるエピソード。


 しかもそうやって共産主義国家の建国式典にふさわしい装飾にしようとし、巨大な鎌と槌(ソ連国旗のデザインにあるような共産主義の象徴的記号の一つ)のオブジェを飾っていたら、見物していた北京市民たちから衝撃の一言が。


「なにあれ? ダッサイw」


 いや、さすが北京っ子。センスが鋭い。


 何か北京人って上海人とはまた別のセンスの良さを持っている気がします。


 上海人が流行の最先端に鋭いなら、北京人は新旧に関わらず本質的な美に対するセンスが鋭いというか。老北京の矜持みたいなものがあるのかな? しかも自分がセンスいい格好をするのはもちろん、他人のセンスにも厳しいような・・・・・・。


 ともかく市民のそんな声にショックを受けた田はこのままの装飾計画でいいのか真剣に悩み始めます(これではまるで共産党がダサい集団のように北京っ子に思われてしまうではありませんか(笑))。

Cap250

このままでいいのか思い悩む田



 さて最後に意外な注目ポイントを。



 田の部隊に「上野」という名の兵士がいて、なにかやたら日本人風な変な名前だな、と思っていたら・・・・・・本当に日本人だった


 建国大典の準備に日本人(例えば満洲崩壊後に帰国することができず、解放軍に参加した人たち)も関わった、という話は聞いたことがありましたが、まさかそのエピソードをわざわざ採用するとは! びっくり。


 ちなみにこの上野は、戦後帰国できなかった日本人ではなく、「日本人反戦同盟」の人だとのこと。「日本人反戦同盟」とは、抗日戦争中に共産党の捕虜となった日本兵で構成され、同胞に反戦を呼びかけた人々のことです。つまり日中戦争時代から解放軍(当時は八路軍)に参加していたという設定。


 しかも「反戦同盟」の一般的なパターン、つまり捕虜になった後に参加したというわけではなく、戦時中に反戦的な主張したため日本にいられなくなり、中国共産党の元へ行った、という過去のようです。


 しかしとてもそんな大胆な行動をした人とは思えないほど、上野という人は落ち着いていて冷静で控えめだけど実はみんなから信頼されている、という人物として描かれています。なかなか興味深い設定だと思います。

2010年3月21日 (日)

『天安門』(中篇)

あらすじ


Cap254

意識不明の田英震の元に駆けつけた部下たち

 頭を打った田英震は、意識が戻った時、天安門に巨大な美しい灯篭が掲げられていた夢を見たと言う。

 田の部下たちは、北京市民の意見を聞いてまわり、巨大な灯篭を目玉にした新しい装飾案を作る。中国の伝統的な美を取り入れた新しい案を張部長も歓迎する。

田英震らは、長い歴史を持つ北京の工芸職人に協力を仰ぎ、巨大な灯篭を作ってもらう。しかし出来上がった灯篭の大きさはまだまだ不十分で、かえって不恰好になってしまった。
 
 田は張部長から厳しい叱責を受け、なんとしても巨大な灯篭を用意するよう厳命される。

 
 しかし工芸職人たちもあれ以上大きな灯篭は作れないと言う。頭を抱える田英震に職人の一人は、自分たちよりもかつて清朝に仕えていた職人たちこそ最高の技術を持っている、彼らに頼んでみては? と提案する。

 
 かつて宮中に仕えた職人達が集まる銭湯にやってきた田たち。時代の移り変わりも我関せずの老人たちと、しばしかみ合わない会話をした後、やっと新しい国ができて建国式典が行われることを理解してもらう。

 
 老人たち話から、蘭老人こそ最高の灯篭職人であったと聞き彼を探し出すが、すっかり高齢の蘭老人はいまいち要領を得ない。それでも丁寧に頼みこみ、承諾してくれた蘭老人を天安門に連れて行く。

 
 皇帝陛下の歩く道だから、と天安門の前で拝跪しようとする蘭老人を何とか天安門に連れ込み、詳しく説明する。

Cap268

「しきたりを破ると雷に打たれる」と天安門の前で拝跪する蘭老人

だがその後、蘭老人は自分には無理だと言い出し・・・・・・。



感想



あいかわらず手厳しい北京っ子


 今の天安門の装飾をどう思うか? とあちこちで北京市民に聞いてまわる田英震の部下たち。特に革命的なモチーフにこだわっていた小馬列も、自分の喧嘩のせいで田隊長が怪我をしたのを反省したのか、だいぶ考え方が柔軟になったようだ。さて、北京市民たちの反応は、


「あんまり見目が良くないね」「ちょっとごちゃごちゃしている」「あの屋根の上の紅旗がね・・・・・・」「「全体的に見て装飾が多すぎだよ」


 とあいかわらず手厳しい。どうやら北京っ子は、華美なものよりシンプルでシックなものが好きなのだろうか?


 その結果、屋根の上に乱立させていた紅旗や、鎌と斧のオブジェもやめ、代わりに大灯籠やもともとあった石柱などを生かす、中国の伝統的美を取り入れた装飾案に。





北京の妖精(?)さんたち


 最大の目玉である「大灯籠」を作る技術を持つ職人を探すため、田英震らは北京の路地裏にある銭湯に行くことに。


 以下、銭湯ならではのうれしいサービスカット。セクシーな入浴シーンがあるよ!






Cap264

すみませんでした!



 彼らはかつて清朝に仕えていた工芸職人たちで、
時代の流れなどどこふく風。頭が19世紀末からあまり変わらないため会話もいまいち成立せず、路地裏の銭湯に
一日中浸かり歌を歌って朝から晩まで過ごしている妖怪ジジイ・・・・・・もとい北京の妖精さんとでも呼ぶべきご老人たちだ。



老人1「人民解放軍の軍人さん? あなた方は、つまり八旗(清朝の軍隊)の一部なのですか?」

田英震「いえ、私たちは人民の子弟兵です」

(中略)

田英震「たとえば、第一野戦軍,第四野戦軍とか言いまして、軍区に分かれているのです。私たちは晋察冀軍区の者です。全国が解放されたら、八つの軍区が制定される予定です」

老人たち「ああ、やっぱり八旗の方でしたか」

 
 さらに、彼らとの会話で驚愕の事実が発覚。


老人「聞くところによると、もうすぐ建国するそうですね? 国の名前はなんと言うのですか?」

上野「国の名前ですか? 国の名前はまだ討論しているところですが、どうも中華人民共和国という名に決まりそうな気配ですよ」

 ちなみにこの日は、1949年9月20日。おいおい、建国まで10日を切ってまだ国の名前が決まってなかったのかよ。(単に下は知らなかっただけかもしれないが)


 こんな調子だったが、ともかく建国式典のために灯籠職人を探していることを理解してもらい、蘭老人という最高の灯籠職人を紹介してもらう。

Cap265_2

果たして灯籠作りを引き受けてくれるか ・・・・・・と言うより生きているかどうかが心配だ、この人。



 
それにしてもこの老人たち、放っておくとあと百年くらいは銭湯に浸かっていそうだな・・・・・・。





老北京の底力


 さて、映画中で職人を集めるため田たちは北京の路地裏に赴くが、この一連のシーンでは職人たちの技の一端も見ることができる。

Cap257

これは小玲瓏。手のひらサイズだが、ちゃんときれいな音が鳴るように細工されている。

Cap267

そして鈴虫の籠(名前はわからなかった)。


この小さな籠の一つ一つに鈴虫を入れて鈴なりにし(数十個はあった)、鈴虫の音色を楽しむ趣向かな?



 こうして見ると、清朝のお膝元だったせいか、北京って工芸職人の街なんだなぁ、というのがよくわかる。

2010年3月20日 (土)

『天安門』(後編)

Cap289

左から順に小馬列,上野,田英震,老郭,双喜

※以下、映画『天安門』ラストまでのネタばれがあります。

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