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『井岡山』

2011年1月30日 (日)

『井崗山』33話~35話

あらすじ


 敵の暗殺者に襲われる朱徳と妻の若蘭。若蘭は捕まり惨殺される。気落ちして会議にも出てこない朱徳を皆は心配するが、新たな戦いを前にして朱徳は復帰し、軍を率いて江西省の瑞金に新根拠地の足がかりを築く。新たな地に落ち着いた朱徳は蘭を育てて亡き妻を偲ぶ。

 そこに井崗山を撤退した彭徳懐が合流し、毛沢東・朱徳・彭徳懐は再会を喜ぶ。その直後に、ソ連より帰国したての劉安恭が中央より派遣されてくる。劉安恭は朱徳・陳毅とも旧知の仲であった。彼は中央の周恩来らが起草した指示を盾に農村に根拠地を建設するという毛沢東の路線と激しく対立する。それに対して朱徳は中央の命令を尊重する立場から逡巡し、陳毅はこの決議はだいぶ前にあげられたもので現在の状況の対応していない、と反論する。

 状況を憂慮した毛沢東は彭徳懐・林彪とも話し合って二人の支持を取りつけ、彭徳懐の井崗山奪回の願いも聞き入れる。彭徳懐は王佐と協力して井崗山を奪還するが、その時一連の虐殺で井崗山の人口は3千人から6百人余りにまで減少していた。

 毛沢東と劉安恭の対立はますます深まり、劉安恭は全体大会で紅軍の将兵たちにロシア革命の成功例から都市革命の必要を説き、「農村にどんなマルクス主義があるというのか」と毛沢東を批判する。紅軍内の混乱が収まらないため選挙が実施されるが、その結果、毛沢東は紅軍の指導者層からはずされてしまう。

 朱徳と陳毅は毛沢東と話し合いに行くが、三人の話はすれ違い決裂する。毛沢東は根拠地の静かな場所でしばらく隠棲することを余儀なくされる。毛沢東は賀子珍にソ連に留学に行くことも考えている、と告げるが、賀子珍は怒って泣きながら出て行ってしまう。

 荷物をまとめ、一人隠棲場所に向かう毛沢東。その途中に突然賀子珍が現れる。賀子珍は結婚を申し込み、毛沢東はそれを受け入れて隠棲先で二人で暮らし始める。

Cap1269

 しかし、ほどなくして毛沢東はマラリアを患い重態に陥る。林彪・羅栄桓曽士岐ら毛派の者たちも紅軍の新たな遠征に出なければならず、賀子珍や残る栗裕らに毛沢東を託して出発する。

 朱徳は毛沢東と決裂したことを内心悔やみ、陳毅は軍事会議のため上海に向かう。上海で陳毅は周恩来と会談し、周恩来はあの決議文がすでに情勢から遅れたものだったことを認め毛沢東が紅軍の指導者に戻ることを承認。周恩来はもし毛沢東との関係がぎくしゃくしているなら他の場所での仕事を用意することを陳毅に提案するが、陳毅は紅軍に戻り自ら毛沢東に復帰を促す役を引き受ける。

 賀子珍と栗祐は医者と薬を探して奔走し、紅軍の曽山は犠牲を払いながらも街に潜入してマラリアの薬を手に入れ、毛沢東は回復に向かう。

 一方、劉安恭は戦いの中で無謀な作戦を実行し、紅軍に多くの損害を出し自らも戦死してしまう。

 療養中の毛沢東と賀子珍の元に井崗山の赤衛隊長であった姜有田が訪れる。姜有田は張子清方小鳳ら多くの者が戦いで命を落とし、さらに袁文才と王佐が不当に殺されてしまったことを告げる。毛沢東と賀子珍は二人の死を嘆き、過ちを悔やむ。姜有田は井崗山の住民達から託された井崗山の土を毛沢東に渡す。




感想

 ・・・・・・いや、もう何もとくに言うことがないんだけど・・・・・・。

 中央からやってきた物事の道理がわからない一発キャラ的な存在が毛沢東をパージするって展開、これで何回目ですか? 36話ドラマで3回目ですよ? 史実としてそういうことがあったから仕方ないかもしれないが、この「すべては毛沢東の正しい路線を理解しない頭の固い中央が悪いんですう」的表現はなんとかならぬものか・・・・・・なんともならないだろうな。


 袁文才と王佐の死の報が35話で毛沢東にもたらされるのだけど、このあたり彼らの死をどう描くのかちょっと興味があったがなんと・・・・・・すっとばした!

「不当に殺された」とはあったけど、いったい何があって誰が殺したのかとか一切言及無し。そうきたか・・・・・・一応、中国でも一般向けの歴史の本でもこのあたりのこと、どうして殺されるに至ったのかとかはちゃんと触れられている。本はいいけどTVはNGですか? 

 ・・・・・・にしても32話で参謀長(袁文才)が勝手にいなくなっているのに、35話まで誰一人としてそのことに触れないってのもすっごい不自然だよね。


 亡き妻を偲んで蘭(?)を育て始める朱徳はちょっと可愛かった。その後、この鉢がいつも朱徳が座る席のそばに置いてあるのがいいな。

1262


 そして34話でついに毛沢東と賀子珍が結婚・・・・・・あれ?あの二人ってもっと前に結婚してたんじゃなかったけ? という疑問を置き去りにして、急に賀子珍は所帯染みてくる。

 でもそれと同時に、結婚して急に美人になる賀子珍! 今までもなかなか可愛い子だったけど、どちらかというと「お転婆娘」というか「少女戦士」的な感じのする子どもっぽくもあり少年っぽくもある子だったのが、グンと大人びた美人になった。

Cap1265

 天真爛漫な少年のような賀子珍が好きだけど、これはこれでいいな。こういう美人は好感度高い。


 で、新婚早々マラリアでぶっ倒れ賀子珍に看病される毛沢東。林彪や羅栄桓ら毛沢東派の紅軍若手士官らもみんな心配しているのだけど、彼らは新しい戦いに出陣せねばならず、後を賀子珍に託す。

 そこで十数人の若手士官らはいっせいに賀子珍に向かって敬礼し、一人一人順番にこう声をかける。

「嫂子(サオズ)、ご苦労様です!」

 ・・・・・・嫂子?

  嫂子ってのは「義姉さん」と言う意味で、つまり兄貴の嫁を呼ぶときの言葉。毛沢東はみなの兄貴分なのでその妻である賀子珍が「義姉さん」という理屈か?

 それにしても他の人はともかく林彪までが賀子珍を「義姉さん」と呼ぶのは違和感が・・・・・・林彪の方が年上だろ・・・ってその場にいる全員が賀子珍より年上か(それでも兄貴の嫁は義姉だけど)

 でも、どちらかというと「義姉さん」より「姐さん」の方がしっくり来る場面だ。

「姐さん、ご苦労様です!(毛アニキのことを頼みます!)」みたいな。







ピックアップ場面

 今回は毛沢東と賀子珍が結婚したシーンをピックアップ。はっきり言って時期的に史実と異なるが、でもこれはこれでなかなか良いシーン。

 紅軍の指導者から追放されてしまった毛沢東(←何回目?)の元を訪れる賀子珍。(言い忘れていたが)賀子珍の公的な身分は「前敵委員会(一種の軍事委員会)」の秘書である。

毛沢東「しばらく農村を調査して、その後、出国する」

賀子珍「出国? 本当に外国へ行くの?」

毛沢東「前敵委員はすでにソ連留学の名簿に私と江華の名を加えている」

 賀子珍、涙を流す。

賀子珍「そんなの、ただの逃げよ!」

(中略)

賀子珍「一人で行くの?」

毛沢東「竜達(毛沢東の護衛)を連れていく」

賀子珍「あなたがいなくなった後、私はどうすればいいの?」

毛沢東「・・・・・・現在、前敵委員の書記は私ではなく陳毅だ。君は前敵委員の秘書なのだから、これからは彼の下で働きなさい」

賀子珍「・・・ああ、そう。なら、彼を探しに行ってくるわよ」

毛沢東「あっ・・・・・・」

1261

賀子珍、怒り泣きしながらその場を去る。毛沢東、一瞬追いかけかけるがその場にとどまる。

 

 と怒って出て行ってしまった賀子珍だが、荷物をまとめ隠棲先に向かう毛沢東の前に再び現れる。

毛沢東「ああ、見送りにきてくれたのかい」

賀子珍「いいえ。私は結婚しに来たのよ」

毛沢東「結婚?」

賀子珍「そう」

毛沢東「・・・そ、そうか。それで、誰と結婚するんだい?」

賀子珍「あなた」

毛沢東「・・・・・・・・・・・・俺?」

賀子珍「そうよ」

毛沢東「・・・・・・・・・・・・・・・・子珍。私たちは二人とも党の幹部だ。結婚には組織の批准が必要だ。しかし、今の私は・・・・・・」

賀子珍、カバンからやおら紙を取り出す。

Cap1266

賀子珍「はい、これ。前敵委員会書記の陳毅同志直筆の結婚許可書よ。これでいいでしょ?」

毛沢東「結婚許可書」を受け取り眺め、呆然としてタバコを手から落とす。

賀子珍「どうしたの? 前敵委員書記の字を忘れたの?」

毛沢東「あ、い、いや。し、しかし私は今からここを出ていかなければならなくて・・・・・・」

賀子珍「『鶏に嫁いだら鶏についていく、犬に嫁いだら犬についていく。猿に嫁いだなら山に入る』。あなたがどこへ行こうと、私はあなたと結婚するわ」

毛沢東「・・・・・・」

賀子珍「・・・・・・」

毛沢東「・・・・・・しかし、私は何も準備していない」

賀子珍、連れてきた馬に駆け寄り荷物から花輪を取り出す。

賀子珍「準備なら私がしてきたわ(我准备好了)!」

Cap1268

毛沢東「(笑って)子珍。私の故郷では新婦は花篭に乗る。しかし、今の私にはただ君をあの馬に乗せてやることしかできない。しかも、今の私には自分の家もない」

賀子珍「私と一緒なら、どんな場所だってそこが私たちの家よ。一緒に帰りましょう」

毛沢東、賀子珍の手から花輪を受け取って彼女の頭に飾る。

Cap1275

毛沢東「行こう。私たちの家へ」

 毛沢東の退路をことごとく断ち切ってから結婚を迫る賀子珍! 意外と策略家だったらしい。何気に狼狽している毛沢東も笑える。

 「準備なら私がしてきたわ!」が特にウケる。

 毛沢東にこれからは陳毅の下で働きなさい、と言われて「いいわよ、なら彼を探してくる!」と言って出ていったのは怒って自棄になったわけじゃなくて、結婚許可書を発行させに行ったのか・・・・・・それにしても

陳毅は毛沢東の意思を一言も確認しないまま結婚許可書発行しとる!

 いやいや、この裏では賀子珍のどんな恐ろしい脅迫にでもあっていたのか(なにしろ夜道で義兄に後ろから頭に銃をつきつけた賀子珍のことである)。

陳毅「賀、賀子珍同志、ま、待て、話せばわかる、話せば・・・・・・あー!」

・・・・・・という光景をちょっと想像してしまった。

 なんにしろ、けっこうお似合いカップルだと思った。

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2011年1月10日 (月)

『井崗山』29話~32話

あらすじ

 彭徳懐らは井崗山行きを反対する者を排除して、毛沢東と合流を果たす。しかし、何鍵軍の侵攻と物資の欠乏する井崗山でどうやって冬を越すかという問題も浮上していた。

 時を同じくしてソ連で行われた中共六大(中国共産党の六回目に全体会議)の決議文が、六ヶ月遅れで井岡山にも届けられた。さっそく会議を開く毛沢東だが、決議文のある箇所を目にしたとたん、一次休会にして朱徳陳毅を呼び出す。その決議文には、「土匪との関係を整理するように」と、袁文才王佐の粛清を命じる部分があった。

 毛沢東は決議文のこの部分は皆に秘密にすることにし、会議の議題を何鍵軍の侵攻とどうやって冬を越えるかに変えることにする。朱徳は少数の部隊だけを井崗山に残し、主力は下山して侵攻していく敵を背後から攻撃する作戦を提案し、毛沢東と陳毅も賛同する。

 毛沢東らは井崗山の守備部隊に彭徳懐の部隊を任命し、彭徳懐も快諾する。しかし、彭徳懐の部下達は、死地に追いやられるようなものだ、と大いに不満を抱く。同時に、毛沢東は袁文才を紅軍の参謀長に任命して紅軍主力とともに下山するよう命じ、王佐には彭徳懐とともに井崗山を守るよう命じる。

 王佐は紅軍が下山することにも袁文才を連れていくことにも不満を感じ、袁文才は決議文が届いて以来毛沢東らの態度が何かおかしいことに不安を覚える。二人は毛沢東に真意を尋ねに行き、それに対して毛沢東は二人への感謝の気持ちと信頼、そして今回の作戦は大局を考えてのことであると説明し、二人も納得する。決議文のことを知った賀子珍は、毛沢東が二人を保護しようとしているのだと解釈する。

 下山の夜、毛沢東は住み慣れた八角楼や井岡山の人々に別れを告げる。その井岡山に押し寄せる何鍵軍によって、紅軍本部をはじめ拠点は次々攻略されていく。さらに張開財林若娜が何鍵軍の道案内を務めたため、「天然の要塞」と呼ばれる井崗山の地形ももはや要をなさなくなる。一方、山を下りた紅軍主力も民衆的基盤のない地域で苦戦を強いられていた。

 前後から敵の攻撃を受けることになった彭徳懐は戦闘の継続を断念。張子清ら負傷兵を井崗山に潜み残る王佐の部隊に託して山を下りる決断をする。

 井崗山では何鍵軍が民衆狩りをはじめ、多くの人々が殺されていった。赤衛隊の姜有田の妹は陳開財に捕まり紅軍幹部である張子清の隠れ場所へ連れていくよう迫られるが、わざと崖っぷちに連れ出し油断した陳開財を自分もろとも崖下に落とす。方小鳳はおとりとなって林若娜をおびきだし、自爆して彼女を倒す。姜有田に連れられて逃げる重傷の張子清は、あくまで自分をかばおうとする姜有田を救うため、隙をみて自ら行方をくらます。そして何鍵軍に捕まった袁文才の妻・梅香は生き埋めにされてしまう。急を知った王佐は息も絶え絶えの梅香を助け出す。

Cap1236

生き埋めにされる梅香

 井崗山陥落の報に驚愕する袁文才。しかし他の紅軍幹部は今後のことを話し合うだけ。袁文才は井崗山の奪還を毛沢東に願い出るが、今は不可能だと言われてしまう。

 失意の袁文才は、古い部下の鉻甫から例の決議文に「土匪の頭目はすべて殺すように」とあったこと、そして毛沢東が自分を一緒に下山させたのは自分を守るためであったことを知る。しかし中央からの命令では毛沢東も自分を守りきれないだろうと悟った袁文才は、彼の負担にならぬため、自ら井崗山に去る決心をする。

Cap1245

毛沢東の家の前で立ち尽くす袁文才

 袁文才は中には入らずただ毛沢東の家の壁越しに最後の別れを告げるが、ちょうど出てきた賀子珍に見つかってしまう。袁文才は何気なさを装って、賀子珍に伝言を託しそのまま去っていってしまう。

 一方、ソ連では毛沢東らの元へ派遣されることが決まった劉安恭と都市暴動路線の失敗からソ連で学習中の瞿秋白が再会。帰国したら都市で次々と暴動を起こすと語る劉安恭を瞿秋白は批判するが、劉安恭は受けつけない。



感想

 今回は紅軍の井崗山放棄と国民党軍による井崗山の民衆殺戮、そして袁文才の離間というストーリー。


 あいかわらずつツジツマ合わせに必死だが、どう考えても紅軍主力が下山したのは、背後から何鍵軍を撃つためじゃなくて井崗山の放棄以外の何者でもないようにしか見えんな。あと、追い詰められた紅軍兵士が自分の死と引き換えに敵を倒す(8割がた敵を巻き込んだ自爆というパターン)というのはこういうドラマのお約束だが・・・・・・にしても大人の登場人物がやるのはともかく、子どもの登場人物にまで同じことさせるのはやめれ(`Д´)。たとえその子の意思だとしてもそれを肯定的賞賛的描くのはNGやろ! って言うかそもそも描くな!子どもがマネしたらどうするんだ! ・・・・・・って言うかイザという時にはマネして欲しい感じがしまくって嫌。



 そして、この井崗山に残された民衆や紅軍兵士の悲惨な「英雄的奮戦」が一通り描かれたところで、場面は井崗山の陥落を知った(下山した)紅軍幹部たちの会議の場に移るのだが・・・・・・何と言うか、袁文才を除く紅軍幹部たちの誰もがべつにそれほどショックを受けていない、受けているかもしれないが全然それが伝わってこない、という不思議なシーンが。

 (私の中国語能力が低いので間違っているかもしれないけど)ある者は「まあ、(物資欠乏の)山を下りたのは間違いじゃなかった」(←これは毛沢東から批判されたが)とか言い出すし、ある者は「井崗山で我々は多くのことを学んだ」とか総括始めるし、毛沢東なんか「井崗山のことは永遠に忘れない」的みたいなこと言い出すし・・・・・・こうなるとみんなの話を聞いている袁文才が呆然としているのは、単に井崗山陥落にショックを受けているだけじゃないように思える。

 それにしても、ついさっきまで井崗山に残された人々の悲惨極まりない戦いが描かれた直後のシーンで、「ああやっぱり陥落しちゃったか、ま、仕方ないよね」的雰囲気の紅軍幹部たちのシーン持ってきて、一人まじめに嘆いている袁文才をスルーして「これまでの教訓と今後のこと」とか完全に「井崗山は過去のこと」モードの話に移るとは・・・・・・

視聴者の反感買いまくり!

う・・・ん、毛沢東らへの反感に視聴者を誘導する監督と脚本家の意図がまったくわからない。もしこんなドラマ構成で視聴者が毛沢東らに好感を抱くとでも思っているなら相当その感覚が問題だが・・・・・・




 その後、傷心の袁文才は中共中央から自分に対する粛清命令が来ていることを知り、ついに紅軍を離れ勝手に井崗山に帰ってしまう。

 さて、このシーンは、袁文才役の役者さんの名演もあってドラマ中の白眉とも言えるシーンで、素直にドラマとしてみれば大変感動的な場面だ。・・・・・・・だが、何と言うか素直に感動してしまうのはちょっと倫理的な問題があると思う。

 素直に袁文才の運命について涙にくれたいが、感動に浸る前にやはり言うべきことは言っておこう。



 袁文才が紅軍ひいては最愛(←マジで)の毛沢東の元を去ることにしたのは、実は「ここにいるとヤバイ」という自己保身でも「ひたすら尽くして来たのにこんな仕打ちするなんて」という恨みからでもないらしい。彼はただ一言だけ理由を言った。

袁文才「俺がいなくなれば、毛委員の負担が軽くなるだろ!」

・・・・・・・何と言う愛の深さ・・・・・・と言ってしまうのは後回しにして、「粛清命令を知ってしまった袁文才とその後の粛清問題をどう描くつもりなのか?」というこのドラマ最大の疑問の解決法は

邪魔者が勝手に自主的に消えてくれる

という誰も悪者にならないし、袁文才の恨みも存在しないという超都合のいいクリーンなものに!!

 私は袁文才の死を巡る問題について通りいっぺんにしか知らないから、もしかして中国では袁文才の心情がこのドラマのようなものであったのを示す資料か何かが見つかっているのかもしれんが・・・・・・まあそれでも「邪魔者であった被害者が誰の手もわずらわせず自分の意思で消えてくれたあげく加害者に対して何の恨みも持ってない」ってストーリーを後世の人間が描くことに対する倫理的問題はあると思うのだ。(あ、ちなみにこの段階では袁は消えただけでまだ殺されてない。今後はその死がどう描かれるかが焦点)

 しかし、別の面から見れば、袁文才の離反が自己保身(←まあして当然だが)その他自分の都合によるものではなく「毛委員の負担になりたくない」という捨て身の究極愛の実践となったために視聴者の同情を最大限に集める、ということも可能になっている。実際、中国のネットでも袁文才への同情の声で溢れているようだ・・・・・・こう考えるとさっきの「紅軍幹部への視聴者の反感が募るシーン」も、袁文才がショック受けて離反の後押しとなるシーンであり、視聴者に「袁文才の行動も仕方ないよね」と思わせるテクニックだろうか?



 さて、それでは史実やら倫理問題はここまでして、以下では素直にドラマに感動・・・・・・と言うより萌えることにします。





ピックアップシーン

 井崗山陥落から袁文才が去るシーンまで、ちょっと長いけどピックアップ。袁文才役の劉鑑の名演をご覧ください(表情だけしか見せられないけど)

 まずは、井崗山陥落が皆に知らされるシーン。

袁文才「・・・・・・陥落? 井崗山が陥落!?」

陳毅「・・・・・・これで我々も完全に帰る場所の無い流浪者になったな」

毛沢東「そんなに悲観するな。井崗山は失われることはない、永遠に」

陳毅「・・・・・・毛委員にぜひ教えていただきたいですね。寄る辺を失って、どうして楽観的になれるというのですか? 失われたものは失われたのです、これが現実なのですよ」

幹部一「失われたものがあれば得たものもあるということだ。下山にも成果はあった。(中略)多くの同志は(井崗山から下山して)街に移ってけっこうな日々を送れている」

 うつむいていた袁文才、呆然とした表情で顔をあげる。

(中略)

朱徳「井崗山を失って、誰が心を痛めないことがあろうか。あの場所は多くの道理を教えてくれた。敵が強く我が方が弱い低潮期にあって、そして白色テロが深刻な状況下において、ただ遊撃流動作戦だけが効果がある。敵を倒し、影響を拡大し、革命の火種を播いていくのだ」

幹部二「さっき毛委員が言った「井崗山は永遠に失われない」というのには、私にはさらに深い意味があると思う。あの革命根拠地において、私たちは根拠地を建設するという貴重な経験と教訓を多く得たのだから」

毛沢東「ああ、むしろそれこそ私が言いたかったことだ。私が楽観と言うのは、井崗山での一年余りの日々は、ただ一つの根拠地を築いたというだけではない。さらに重要なのは、進むべき道を見出したことだ。これからはどこへ行こうとも、我々はこの道を進んでいく。そういう意味から、私たちは永遠に井崗山とともにあるのだ」

再びうつむいていた袁文才、顔をあげる。

Cap1260

毛沢東の言葉に呆然とする袁文才

袁文才「・・・・・・毛委員。井崗山の奪回はできないのですか?」

毛沢東「井崗山奪回?」

袁文才「(泣きそうな目と震える声で)いい、ですよね? 私が先鋒を務めますから!」

毛沢東「ここは「湖南・江西」辺界(省境の地区)ではない。「江西・広東・福建」辺界だ。井崗山まで遠すぎる。しかもどれだけの敵が今我々を追い回していることか、君も参謀長なら私もよりもよくわかっているはずだ。今は、やはり井崗山奪回は考えるべきではない、羅福山区に登るべきだろうな」

Cap1238

袁文才、激しく動揺しつつ涙をこらえる。

 「井崗山は永遠に失われない」って「俺らの心の中で」の話かよ。しかも袁文才の必死の訴えに、超そっけない毛沢東。しかも「井崗山を奪回するより、今度は別の山に登る」とか超無神経なことを言い出す・・・・・・さっきは「袁文才が出て行くのもやむなし」というための演出かと思ったが、むしろ「袁文才に自分から出て行ってもらうためのいじわる」にも見えてきたぞ・・・・・・。



 次に、傷心の袁文才が古くからの部下・鉻甫から恐ろしい話を聞く話。袁文才の心情を表すように都合よく雪も降り出した。しかも袁文才の肩には雪が積もっている・・・・・・雪を払う気力も無いらしい。にしても、この古参部下は確か5・6話で出てきたきり姿が見えなかったけど・・・どこにいたの?

鉻甫「会議、長かったですね。何を話していたんです?」

袁文才「・・・・・・」

鉻甫「・・・・・・あなたも聞いていますか?」

袁文才「・・・・・・何をだ?」

鉻甫「中央の決議文ですよ、緑林の頭目はすべて殺せと」

袁文才「おまえ、誰から聞いた?」

鉻甫「・・・・・・」

袁文才「答えろ、誰から聞いた!」

鉻甫「あなたはまだ知らないんですか?」

袁文才「言え!」

鉻甫「上から下までみんな知っていますよ! 我々だけが知らなかったんです」

Cap1239

袁文才「・・・・・・・・・ありえない・・・・・・もしそうなら・・・もしそうだというなら、必ず毛委員が俺に教えてくれたはずだ」

鉻甫「これは中央の決議なのですよ。どうして毛委員があなたに教えてくれるなんてことがありますか。聞いた話では、毛委員があなたを参謀長にして下山に同行させたのも、事情をよく理解しない連中の危害から俺たちを守るためだとか」

袁文才「・・・・・・俺をどうしても下山させようとしたのは、そういうわけか・・・・・・」

鉻甫「毛委員に守ってもらえば、俺たちもそう心配することはないですかね」

袁文才「・・・・・・・・・・・・いいや。毛委員にも我々を守りきれないだろう」

鉻甫「・・・・・・」

袁文才「毛委員の上には省委がある。省委の上には中央がある。さらにその上には(小さく笑う)コミンテルンがある」

Cap1262 

「上には・・・」と語る袁文才

鉻甫「な、なら俺たちはどうすれば?」

Cap1241

袁文才、押し殺した声で笑い出す。

Cap1242

ひとしきり笑った後、立ち上がって部屋の扉を開ける。

袁文才「行くぞ」

鉻甫「行く? どこに」

袁文才「井崗山に戻る。あそこに戻れば、俺の気持ちも落ち着けるだろう」

鉻甫「な、毛委員にはなんて言うんです?」

袁文才、鉻甫の胸ぐらをつかみ

袁文才「何を言うだと! 俺たちがいなくなれば、毛委員の負担が軽くなるんだよ! わかったか!」

鉻甫「・・・・・・選三(袁文才の字)。そんなことをして、後のことは考えているのか?」

袁文才「・・・・・・鉻甫・・・・・・行くと言ったら行くんだ!」


 すさまじいことに、袁文才が笑うんだよな。ここで泣き出すならまだしも、笑い出すのだ。しかも押し殺した声で。と言うよりも声が出ないのかもしれないけど。

 毛沢東と紅軍が井崗山に来てから、袁文才は確かに幸福だった。その日々が崩れる、夢が覚める。

 ずっと「山賊の頭目」であることにコンプレックスを抱いていたエセインテリの袁文才は、毛沢東に「同志」と呼ばれ認められて、そのコンプレックスから解放されたはずであった。毛沢東の下で、違う人間になれるはずであった。しかし、彼は結局どこまでも「山賊の頭目」としか見られていなかった。

 笑うしかないだろう。泣き喚くよりさらに深く悲しい。



「毛委員の負担になりたくない」

 先ほどは批判したが、このドラマの袁文才に即して言えば、袁文才らしいセリフである。おそらくこの一言には、その言葉が直接意味すること以上に、彼のあらゆる感情が詰めこまれており、そしてそれらを制圧するためにこそ発せられた言葉だろう。恨むまい憎むまい疑うまい、それができればあの井崗山での幸せだった「夢の日々」は「真実」となる。

「井崗山に帰れば気持ちも落ち着けられる」とも言った。何故だろうか。そこが自分の居場所だからだろうか、「山賊の頭目」である己を受け入れたからか。それとも毛沢東と過ごした場所だから、永遠にその思い出の中で生きそして死を迎えるつもりだったからか。




 続いて、袁文才が毛沢東の家の壁ごしに最後の別れを告げ、賀子珍とはちあわせしてしまうシーン。賀子珍は袁文才の義妹でもあるので、「妹子(メイズ)」よ呼ばれているが、この「妹子」の適切な訳が思いつかないので、そこはそのままでいきます。

 そぼ降る雪の中、毛沢東の家の門の前でただ佇む袁文才。ちょうど去って行こうとした時、家の中から賀子珍が現れる。

賀子珍「あら、選三兄さん!」

袁文才「子珍」

Cap1246

賀子珍「毛委員になにか用事? 彼はまだ起きてるわよ」

袁文才「いや、何も。何でもない、何でもないんだよ」

Cap1248

賀子珍「そう。そう言えば、もう井崗山出てからずいぶん経ったわね。どう? 井崗山や義姉さん(賀子珍と義姉の袁文才妻)の声でも恋しくなったんじゃない?」

袁文才「ああ、少しね」

賀子珍「・・・ねえ、上がっていけば?」

袁文才「いや、いいよ。・・・・・・妹子、毛委員に伝えてくれ。・・・・・・寒くなってきました・・・・・・お身体にお気をつけください、と」

Cap1250

「身体にお気をつけて」と涙を抑えるため早口で言う

賀子珍「ええ、わかった」

袁文才「(笑って)妹子。俺はもう行く」

立ち去る袁文才。賀子珍も家の中に入る。袁文才振り返り

Cap1253 

袁文才「毛委員」

Cap1254_2

ゆっくりと敬礼。

Cap1255

 
 賀子珍に不審がられないよう当たり障りのない伝言の中に、すべての思いを込める袁文才。(ちなみに「もう行くよ」とは「宿舎に帰る」という意味に賀子珍には受け取られるが、本当は「(井崗山に)帰る」ということ)

 「お身体にお気をつけて」。この一言がここまで重いものになろうとは。

 あくまで笑顔なのが、泣かれるよりも壮絶。

 ああ、人は相反する感情に心が引き裂かれる時、こんな表情をするんだな。

2010年12月29日 (水)

『井崗山』24話~29話

あらすじ

 失敗した楊如軒に変わって、新しい井崗山討伐軍の指揮官を任命する朱培徳。紅軍は激しく抵抗し、多大な犠牲を出しつつ井崗山を死守する。袁文才王佐は地元の者しか知らない道を使って敵の拠点としている街に攻め込む。袁文才らは慌てて敵が撤退した拠点から情報を掴み、紅軍は総力を挙げて龍源口という場所を攻め、大勝利を納める。

Cap1137

敵の拠点を攻略した毛沢東&朱徳

 蒋介石は敗退した朱培徳らを冷たくあしらい、新しく何鍵を司令官に任命する。

 新しく獲得した地方の主席に任じられる袁文才。彼はついに毛沢東賀子珍を嫁に迎えるよう提案するが、敵との戦いが絶えない中で結婚はできないと断られてしまう。

 毛沢東は賀子珍らとともに農村調査に向かい、賀子珍は村民らに革命の意義を説く。

 一方、袁文才の地方政府では財源が多いに不足していた。この問題を解決するため彼らは紅軍の造幣局を作ることにする。

  中央の決定として毛沢東の元に再び湖南省委から手紙と人がやってくる。湖南省委から派遣されてきた杜修経は、再び中央の方針として湖南省を革命の中心地とするべく、井崗山から打って出るよう命じる。皆は反対するが、杜修経は反対する者には党籍剥奪もちらつかせて黙らせる。毛沢東は現実離れした都市攻撃論を情理を込めて批判し、皆の賛同を得ていったんは杜修経を引き下がらせる。

 そこに国民党軍侵攻の報が入り、朱徳陳毅らが紅軍の二十八団と二十九団を率いて迎撃に行く。しかし、その先で杜修経は、湖南出身者で固まれた二十八団の兵士たちの望郷の念を煽り、故郷に帰るためには都市を攻略し湖南を革命根拠地に変えるしかない、と説く。

 その頃、別方面からも井崗山に侵攻してくる敵があり、朱徳の元に毛沢東から救援要請が来る。しかし、すっかり都市を攻略し故郷に帰るという考えに憑かれた兵士たちの士気は低く、井崗山に戻りたがらない。朱徳は説得を試みるが兵士らの不満は解消されず、つい二十八団は湖南に向かい、朱徳も二十九団を率いて後を追わざるをえなくなる。

 毛沢東は戦いを困難な時期に入ったことを認識し、井崗山防衛のために残存部隊と住民を組織して敵に抵抗する。朱徳ははるか先に行った二十八団が自分達の恩人である范石生軍と交戦していると知り、怒りのおまり卒倒する。

 無謀な都市攻略による「八月失敗」によって、紅軍は兵力の半分と井崗山の大部分を失い、周辺では白色テロが吹き荒れる。杜修経は兵士達の屍の山を前に、自分の過ちを懺悔する。

Cap1227

「八月失敗」で甚大な被害を出した紅軍

朱徳らは井崗山に戻ることを決定し、井崗山の残された根拠地からは毛沢東が彼らを迎えに来る。

 しかし、不満が募っていた二十八団の袁崇全は、密かに部隊を率いて敵への投降を図る。彼と同郷で同じ黄埔卒業生である王尓琢は説得に赴くが、逆に袁崇全に射殺されてしまう。

 毛沢東らは王尓琢の死を悼み、林彪を袁崇全に代わる新たな二十八団団長として昇格させる。朱徳らの部隊は戦いの中で国民党軍に寝返っていた袁崇全を捉え、朱徳自ら処決する。一方、井崗山・黄洋界にも敵が攻め入ってきたが、紅軍は地の利を生かした戦術で逆に敵に損害を与え撃退させる。

 方小鳳は無事男児を出産し、毛沢東らは皆で紅軍病院で初めて生まれた子どもを祝福する。張子清は小鳳の夫の死を隠し続けるため彼に代わって手紙を書くが、小鳳は自分もすでに夫が死んでいることは悟っていた、と告白する。

 蒋介石は失敗続きの江西の朱培徳と湖南の何鍵を叱責し、湖南ではさらに彭徳懐が暴動によって紅軍を立ち上げたことを伝える。その彭徳懐も毛沢東・朱徳との合流を願い、井崗山へ向かおうとするが部下の中から強硬に反対する者が現れる。




感想

・・・・・・・いや、まあ、なんと言ったらいいか・・・・・もういろいろツッコミどころが多いな・・・・・・。とりあえず、あくまで毛沢東や朱徳、陳毅らに傷をつけないことをモットーにしているなら、まあこういうつくりにもなるだろう。

 とにかく、ここで深くつっこんでもしょうがないので、各キャラの見所シーンをやることにします。



戦士・林彪

 このドラマではまだ20歳前後の若々しい、と言うか少年の面影を残す、と言うかぶっちゃけ少年にしか見えない林彪と言うレアなものが見られる。

 それだけではなく戦場を駆け回って自ら敵と戦う林彪というこれまた実に珍しいものまで見られる。林彪はこれ以降急速に出世してしまうので、指揮所で地図を見ながら作戦を練る姿は見られても、自ら拳銃片手に馬にも乗らず戦場を駆け回ることはない。

 
 しかもまだ20歳前後で、少年の面影を残す小柄でやせっぽちの林彪が拳銃片手に戦場を駆け回る姿は・・・・・・非常にサマになっている。

 その小柄な身体で、走る、跳躍する、一瞬の機会を捉えて撃つ・・・・・・いやぁ、小柄な身体の少年少女が敏捷さと機転で動き回る姿って大好き!

Cap1140

けっこう機敏な林彪

 私、前から(根拠なく)思っていたのだけど、若い頃(10代後半~20代前半)の林彪って、絶対に敏捷な動きができる子だったと思うんよ。持久力とパワーは無かったかもしれんが、やっぱり小柄で痩せっぽちな子は、そこを機転のきく頭とその頭の回転に応えられる敏捷な身体でカバーするべきだよな~、とか。・・・・・・なんとなく、私はどこかで林彪のことを「男装の少女」のようなイメージで捉えている面があるのだけど(汗)、若い頃は内面的だけでなく、外見的にもそうだったという話。


 ・・・・・・って、ここで私の林彪語りになっても仕方ないので、本編に戻ると、今回も林彪の(自分の才能に立脚した)ナマイキぶりが炸裂していて萌えな感じでした。

 まず、苦しい戦況に腹を立てた林彪が紅軍幹部たちのところに駆け込んでくるシーンでのこと。

林彪「こんな戦法じゃだめです! もう三時間も戦っているのに、一歩も前進できない! 戦えば戦うほど損害を出すだけです!」

朱徳「そうだな。おまえたち、何かいい案はないか?」

(略)

幹部「一つ案があります。作戦経験の多い幹部や古参戦士で決死隊を組織し、代わる代わる敵を攻撃するのです」

(略)

王尓琢「肖頚、君がその部隊を率いてくれ」

肖頚「はいっ!」

林彪「待ってください。俺の部隊に茅官坳(地名)を攻めさせてもらえませんか? そこを占領すれば、砲撃を用いて肖大隊長の攻撃を側面から支援することができます」

王尓琢「それはいいな。だが、どうやって茅官坳まで行くつもりだ」

林彪「どうやって行くかなんて、俺にまかせておけばいいことです!」

 ・・・・・・いや、そこは上官からのもっともな質問なんだから答えてやれよ(ちゃんと方法は考えていたらしいから)。しかも怒鳴りつけるように言ってるんですけど、参謀長に対して。

Cap1135

戦闘時になるといきなり自己主張が強くなる林彪

 続いて「八月失敗」で朱徳軍の皆が意気消沈し、井崗山に戻るかどうかで林彪は同じ大隊長の袁崇全と口論になり、黄埔軍校(中国初の近代的な軍校。林彪はそこの出身)の先輩である袁崇全がそのことを振りかざしたことに対し、林彪は一言。 

林彪「あなたはもう何度も、自分が俺の教師であることを強調されますね。でも、「反面教師」なんてものでも嬉しいんですかね?」

 ・・・・・・うわっ。教師は教師でも「反面教師」ときましたか・・・・・・

 もう『井崗山』の林彪は普段無口なくせに、たまに口を開くたびにきっつい一言が。ちなみにこの「反面教師」のところは実際には「愚かな教師は聡明な学生の教えになる」と言っているのでよけいキツク聞こえる(これが中国における「反面教師」の成語らしい)。

 

 ちなみにその後、紅軍から離脱しようとした袁崇全を王尓琢が説得に行くわけなのだが、その場で袁崇全が紅軍に対する不満を王尓豕にぶつける中にこんな言葉が

袁崇全「おまえ(王尓琢)は、林彪、あのガキ(ちなみにこの時、袁崇全28歳、林彪20歳)がどんななまいきなマネをしようとかばってやりやがって!」

 やっぱりそう思われましたか! 確かに(いくら実力あるとは言え)ナマイキだもんね、そりゃ嫌われるなぁ。そこがいいんだけど。

 って言うか、王尓琢って林彪のことかばっていたの? 確かに林彪と袁崇全が口論していた時、仲裁に入っていたけど・・・・・・で、いつのまにか王尓琢と袁崇全が口論になったのに、最初の当事者である林彪はもう完璧に知らんぷりして豆を食べてたな・・・・・・

 どちらかと言うと、林彪は王尓琢を無能だと思って、王尓豕もやたらナマイキな林彪のことを嫌っているように思えたのだけど、でも朱徳が怒りで卒倒(笑)して皆が駆け寄ってきた時に、二人は隣同士にいたし(←ここでもあれっ?と思った)あれでも意外と仲は良かったのかもしれん。袁崇全のセリフからして、王尓琢の方は林彪の才能を理解してあげて、あちこちで敵を作ってくる林彪をさりげなくフォローしてあげていたのかと思う。・・・・・・大人だなぁ~。

 林彪は(この頃から、そしてその後も)皆に嫌われながらも一部の大人でこういうタイプを放っておけない(決して好きなわけではない)世話焼きさんのお世話になって大きくなったんだなぁ、としみじみ思ったり。



 あと、袁崇全との口論時に、袁崇全が「第一大隊長(林彪のこと)は自分が連隊長の接班人(後継者)だとでも思ってんのか」ってセリフがあった。

 接班人・・・・・・ここで林彪相手にそのネタを出すとは、脚本家さんの遊び心だろうか? 毛沢東の接班人@文革ネタですね、わかります。ちょっとウケました。



 なぜ当たらん?

 
 24話~25話で大勝利を収また紅軍。このエントリーの一番上にある画像は、その時砲弾飛び交う橋の上から、一気に敵の拠点に攻め込む紅軍を眺める毛沢東&朱徳の図・・・・・・。

 ・・・・・・って、まだ全然戦い終わってなくて、敵が最後の抵抗のために砲弾撃ちまくっている中でなにやってんの? しかもなぜかそんな狙い撃ちされやすいとこに突っ立ているというのに、一発も当たらない二人・・・・・・(橋の周りの川にはバンバン砲撃落ちてるのに!)

それはそうと、この場面では実に生き生きと二丁拳銃で敵に突撃していく賀子珍が印象的。

Cap1138

 ・・・・・・もうめちゃくちゃ楽しそうだな、彼女。




毛家兄弟ケンカ

 基本、お兄ちゃん子ながら、言うことはけっこうズバズバ言っている毛沢覃。最近は、ちょっと反抗期に戻ったみたいでお兄ちゃんの毛沢東も「ハハハ、可愛いやつめ」状態。

毛沢覃「あなたはいつもあんなに多くの人に気を配っているのに、俺にだけ少しも気を遣ってくれないんですね!」

毛沢東「なんだ? おまえは私がおまえには甘く当たるとでも思っているのか? 長兄とは父にも等しい、それが家法(家父長制化におけるその家独自の伝統的な法、家父長が他の家族の生殺与奪を握るようなものが多い)の道理だ」

毛沢覃「俺たちは二人とも共産党員だろ? 共産党員は党規律に従うんであって家法に従うもんじゃない」

毛沢東「口答えする気か、どうやら俺はおまえを少し甘やかしすぎていたらしいな」

毛沢東、毛沢覃の耳を掴んで持ち上げる

毛沢覃「あ、いたっ! 痛い! 兄さん、耳がねじれたら俺には嫁の来てもなくなっちゃうじゃないか!」

毛沢東「はは、そうだな。おまえが嫁を見つけられない時は、兄さんが探すのを手伝おう」

Cap1191

毛主席が実践する弟の正しい持ち方

  ううう、不覚にも萌えてしまった・・・・・・。って言うか、なんてことやってんだ、監督&脚本家!




お電話介石

 井崗山討伐のために電話で討伐部隊に指示を出す蒋介石。ちゃんと地図を確認しながら、電話で指示します・・・・・・なのはいいのだけど。

Cap1130

 なんか微妙に可愛い蒋介石の図だな。

 んで、この後も蒋介石は電話で話しながら部屋の中をぐるぐる歩き回っていたりするのだけど・・・・・・

Cap1131

人間電話台

 蒋介石が動くたびにその動きに合わせて電話機を持って移動する人間電話台の兵士A。見事に動く電話台となっていてなんか笑える。




俺たち負けました

 蒋介石に井崗山討伐をまかされながら大敗北してしまった朱培徳ら三司令官。ほうほうのていで前線から逃げ帰って、蒋介石に敗戦の報告。

 その「水に落ちたような犬」のような三人の様子と静かに激怒している蒋介石の図が↓これ。

Cap1139

三人「いやぁ~負けちゃいました、ハハハ・・・・・・」蒋介石「・・・・・・(怒)」

 なんか真ん中の人が包帯姿なのが微妙にもの悲しい。

 蒋介石はその三人を立たせたまま子ども(蒋緯国かな?)と黙々と将棋をしているが、静かに激怒している模様。この後、いきなり将棋版を引っくり返し(ってかブチ切れた蒋介石にも全然動じないこの子どもはなかなか大物だ)、三人に片づけをさせます。

 なんか毎回主人公たちに負けるおバカな悪の秘密結社幹部とその首領の図のようだ。





鳩が・・・・・・。

 一方、ソ連では中共の第六回全体大会(六大)が開催されている。その中で中共指導部の李立三と旧友の劉安恭(新キャラ)の二人は、ソ連の港で久々の再会。二人は革命の展望を語り合った後、やおら熱烈抱擁を交わすのだが・・・・・・

Cap1230

 なぜか抱擁の瞬間を見計らったように二人の周りを十数羽の鳩が飛び交いだす!

 しかも他に場所もあろうにわざわざ二人の周りを旋回する個体までいます。(↑ちょっと画像見えにくいけど、影のようなものはすべて鳩です)

 このドラマほどあからさまではないけど、中国のドラマでは何気にここぞというシーンで無数の鳩が飛び交い出すという演出がかなりの頻度にある。・・・・・・日本のドラマでも登場人物が傷ついた時とかに見計らったように季節も気圧配置も無視して「冷たい雨」が振り出すことが良くあるけど、それの中国版なんだろうな、「鳩が飛び交う」ってのは・・・・・・。


 さて、中国ドラマと鳩の関係も判明したところで、今回はここまで。

2010年11月 5日 (金)

『井崗山』18話~23話

あらすじ

 毛沢譚は、両軍が合流するために部隊を派遣してほしいという朱徳からの伝言を毛沢東に伝える。その時、井崗山の一部が国民党軍に襲われ奪われたという知らせが届く。王佐らは井崗山に引き返すよう訴えるが、毛沢東は大局を考えて朱徳軍との合流を優先する。

 袁文才は怒りの収まらない王佐に、毛の妻が殺されたことを告げる。てっきりすでに毛が知っているものと思い込んだ王佐は袁が止めるのも聞かず、哀悼の言葉を言ってしまう。毛沢東は隠していた袁文才に問い詰めるが、袁は口にだすことができず、毛沢譚が兄に真相を告げる。妻は殺され、三人の息子は行方不明と知り、毛は弟にすがって泣き、倒れてしまう。

 紅軍幹部は毛を療養のため、井崗山の安全な場所へ送ることを決定。井崗山の一部を支配する国民党軍は毛の帰還に驚き、撤退を決める。しかし、その頃毛沢東は、再び前線の部隊に戻っていた。・・・・・・国民党軍が見た「毛沢東」は敵軍を混乱させるために毛が自分の代わりに井崗山に行かせたそっくりの弟「毛沢譚」であった・・・・・・。

 

 都市攻略という中央の無謀な命令のせいで大打撃を受けた朱徳らは井崗山の毛沢東と合流することを決定する。だが周魯は反対を貫いて朱徳軍から離脱し、敵に襲われ殺されてしまう。

 そして毛沢東と朱徳は歴史的な「井崗山会師」を成し遂げ、革命は新たなる段階を迎える。

Cap1115

手を握り合う朱徳と毛沢東

 毛沢東部隊と朱徳部隊は会議を開き、両軍を併せて紅4軍を創設。自分はすでに中央から党籍を剥奪されているという毛沢東に対し、朱徳らは自分たちが直接見た中央の決議文にはそのようなことは書いていなかったと言い、毛沢東は職務に復帰する。

 袁文才と妻の梅香は、18歳になった賀子珍に結婚を勧める。しかし、怒った賀子珍は袁が勧める男の名を聞かずに去ってしまう。

 一方、毛沢東は軍の再編に伴って朱徳軍の中隊長である林彪を営長(大隊長)にするよう提案するが、朱徳や陳毅は不服気味であった。夜、毛沢東は皆が寝静まった後も一心不乱に用兵を勉強する栗祐と出会い、彼を励ます。紅四軍誕生初の大会が持たれ、毛沢東・朱徳はそこで演説し両軍の団結を説く。

 紅四軍の誕生を知った蒋介石は、朱倍徳何鍵に討伐を命じる。毛沢東と朱徳は敵の駐屯地・永新の動向をさぐるため、永新出身の賀子珍を偵察にいかせることにする。しかし毛沢東の秘書になりたかった賀子珍は、毛がそのことをまったく考慮していないことに腹を立てたまま永新に向かう。

 永新に入った賀子珍は毛のために新聞を集める途中で疑われ、国民党軍に追われてしまう。

Cap1111

自分の正体を見破り、通報しようとした男に銃を向ける賀子珍

国民党軍は賀子珍らが逃げ込んだ山に火を放つが、賀子珍は何とか井崗山まで帰りつく。

 賀子珍のおかげで敵の楊如軒軍の作戦変更を知った紅軍は、作戦を立て直して出撃。さらに林彪は敵部隊の陽動作戦を見破り、逆に奇襲をかける。楊如軒軍はいったん永新に引き返そうとするが、そこはすでに毛沢東の別働隊に占領されており、むなしく撤退するしかなかった。

Cap1112

先回りして敵の拠点を占拠し、戻って来た敵軍に銃を向ける紅軍

 しかし毛沢東は永新を放棄する。楊如軒は共産党の不可思議な行動を不審に思いながらも永新に戻るが、そこを再び襲われ命からがら脱出する。曹士峨羅栄桓は規定に基づいて帰郷したい捕虜には路銀を渡して解放するが、朱徳軍出身の袁崇全は毛沢東軍のそのような規定が不満で、曹士峨を罪に問い連行しようとする。しかし、羅栄桓はこの危機を政治工作のチャンスとし、曹の身代わりに袁崇全に連行されていく。

 一方、モスクワでは中共の全体会議・六全大会が開催されることになり、毛沢東は出席を考える。

 毛沢東と朱徳は袁崇全の件で両軍の間の溝を改めて認識し、一時的に二人の間で口論になるものの、解決策を話し合う。王尓琢は袁崇全と話し合うが、態度を改めないため彼を逮捕する。両軍は兵士レベルで交流し、お互いの溝を埋めていく。



感想

 それでは、今回もストーリー的にはそれほど見所がなかったので、キャラクター中心で見ていこうと思います。全般的にまともではない(腐女子的)内容になったので、大丈夫な人だけ「続きを読む」からどうぞ。

続きを読む "『井崗山』18話~23話" »

2010年10月 5日 (火)

『井崗山』人物紹介

全36話のドラマ『井崗山』も17話まで来ました。・・・・・・『西安事変』ともどもこのペースはヤバイと思って焦っています(汗)。一年かけてドラマ2つ紹介できるかどうかのペースって・・・・・・。

 まあ、とりあえず人物紹介。17話まできてもいまだに合流していない毛沢東と朱徳ですが、先に言うと、19話でやっと「井崗山会師」を成し遂げます。各自の役職などはその後いろいろ変わっていきますが、この紹介欄では17話までの役職で行きます。基本的に人物紹介は、このドラマで語られていることをベースにしています。

  ・・・・・・ところで、私ずっと毛沢東の弟のもうたくたんの「たん」の漢字を「譚」だと思って表記してきたけど、「覃」が正解だったみていです・・・すいません。(あと「粟裕」の読み方がわからないのだけど・・・一応「ぞうゆう」ってしといた。ちょっと変わった名前だと思っていたら少数民族の出身なんだな・・・この後の十大大将は)




主役級

毛沢東(もうたくとう)

Cap1071 

中国共産党中央委員

34歳~。字は潤之。

1927年、国共分裂後の武装蜂起で、湖南省の農民蜂起・秋収蜂起を指導。失敗後、革命には根拠地が必要だとして蜂起軍=紅軍を率いて井崗山を確保し、そこを拠点に周囲に勢力を伸ばす。三大規律など厳格な規律を制定して革命軍としての紅軍を構築していく。ヘビースモーカー。ドラマ中ではお姫様化が激しい。



朱徳(しゅとく)

Cap1074

南昌起義(蜂起)総指揮官。

41歳~。字は玉階。

国共分裂後の、共産党武装蜂起の核心である江西の南昌起義の総指揮官。紅軍の創設者。南昌蜂起失敗後、紅軍を率いて各地を転々としたり、かつての友人に軍隊ごと匿ってもらったり、結婚したりしながら井崗山の毛沢東との合流を目指す。


賀子珍(がしちん)

Cap1078

井崗山婦女会会長

18歳~。

井崗山の少女英雄。共産党員。二丁拳銃の使い手で乗馬技術も相当のもの。袁文才の妻の梅香と義姉妹の契りを結んでおり、その関係で袁とも義兄妹関係。気が強く行動力と勇気に富む少女で、井崗山の首領である袁文才と王佐も彼女には振り回されっぱなし。人の話も聞かず、とりあえず銃を用いた実力行使に出ることもしばしば。以前から毛沢東の論文を読み込んでおり、実際に出会う前から彼の大ファン。



井崗山組(+毛沢東の秋収蜂起軍)

袁文才(えんぶんさい)

Cap1077

井崗山山賊首領・紅軍第28団団長。

29歳~。字は選三。

井崗山・茨坪(井崗山は一つの山ではなく山脈である)一帯の山賊の首領。共産党員。かつて教師を志していたが挫折し、緑林(在野の反権力的義侠集団)の徒となる。もう一人の首領・王佐とは義兄弟の仲。井崗山の山賊らの中で唯一文字の読み書きができるため大変尊敬されている。一時は毛沢東の紅軍が井崗山に入るのを阻止しようとしたが、毛沢東に自己を認められたためすっかり彼にほれ込むようになった。最近は毛沢東への愛にますます歯止めがかからない。



王佐(おうさ)

Cap1079

井崗山山賊首領・紅軍第28団副団長

29歳~。字は南闘。

井崗山の黄洋界一帯の山賊首領。文字の読み書きが出来ず、インテリの袁文才を義兄として大変尊敬している。最初は反発していたが、毛沢東を受け入れて以来、最年長の毛を長兄、袁を次兄として慕っている。



陳浩(ちんこう)

Cap1080

紅軍団長。

共産党員。紅軍が茶稜という町を攻略した後、当地の管理を任されていたが、地主の土地没収問題での毛沢東との対立や女性問題を起こす。身の危険を感じて国民党軍に寝返ろうとしたところを逮捕され、粛清された。



羅栄桓(らえいがん)

Cap1081

特務連党代表

25歳~。

「メガネの羅」と呼ばれる。その手腕を買われ毛沢東の秘蔵っ子と言われている。




南昌起義組(朱徳軍)

陳毅(ちんき)

Cap1073

紅軍党代表

26歳~。字は仲弘。

朱徳とともに南昌起義を指揮。失敗後は、朱徳を補佐してともに各地を転戦する。



王尔琢(おうじたく)

Cap1076

紅軍参謀長。

24歳~。

朱徳,陳毅とともに南昌起義軍の中核を為す。



毛沢覃(もうたくたん)

Cap1082

22歳~。字は潤菊。

毛沢東の二人の弟のうち下の弟。毛家三兄弟の末っ子。起義時は、朱徳の元に派遣されていた。その後、毛沢東と朱徳の連絡係として朱徳軍と井崗山の間を行き来する。あまりに兄と顔が似ているので間違って捕まったり、替え玉を務めたりしている。顔がそっくりなのは史実通りらしい。見分け方は、タバコを吸うのが毛沢東,吸わないのが毛沢覃。お兄ちゃんが大好きで素直かつけなげ。ホワイト毛沢東。



林彪(りんぴょう)

Cap1083

中隊長。

19歳~。字は育蓉。

南昌起義の失敗で一度は隊伍から離れようとしたが、その軍事的才能を朱徳に見出されてわざわざ司令部から作戦の意見を求められるまでになっている。極度の無口無表情で、質問の仕方に気をつけないと必要なことも言わない。口にこそ出していないが、内心で陳毅や王ら司令部の人間よりも自分のほうがずっと優秀だと考えているのではないかと思われる。おとなしそうな顔してやることは過激。



粟祐(ぞうゆう)

Cap1067

中隊党代表

19歳~。

一度は戦闘で重傷を負い部隊から脱落するも、自力で合流する。寝る間も惜しみ、側に人が来ても気づかぬほどの集中力で軍事の勉強をしている。




その他オリジナル人物

陳開財(左)&林若娜(右)

Cap1084

 陳開財は紅軍を罠にかけ、毛沢東の部下を殺して以来、彼らと奇妙な因縁ができる。仕えていた土匪の伊壁整は紅軍の力を借りた宿敵・王佐に滅ぼされ、付近の悪徳県長に拾われるもその県長はすぐに紅軍に打倒され・・・・・・となぜか紅軍によって次々勤め先がなくなっていった彼は、その後は意識的に紅軍と敵対すべく討伐に来た国民党軍に取り入り、打倒紅軍のために便宜を図るが、あまり役に立っていない。片目が義眼。

 林若娜は元は陳開財を拾った悪徳県長の派手な妾だったが、県長が紅軍に打倒されると、陳浩に取り入り囲われ者になる。陳浩を紅軍から離反するようそそのかした後は、陳開財とともに討伐に来た国民党軍将軍らに取り入り、紅軍を倒すことに執念を燃やす。田舎権力者の悪妻(妾)、清純な三つ編み女学生もどき、軍人たちに混じって颯爽と馬に乗りこなす女傑・・・といくつもの顔を見せる峰フジ子的女。



鐘大竜(右)&方小鳳(左)

Cap1085

 土匪・伊壁整に攫われていた夫婦。二人逃げ出せたが、鐘大竜の妹は伊壁整に殺され、その復讐のために紅軍に参加する。その後、鐘大竜は仇をとることができ、方小鳳も彼の子どもを妊娠する。

 しかし、陳浩の裏切りを毛沢東に伝えようとした鐘大竜は陳浩に殺され、皆は方小鳳が無事子どもを生むまで彼の死を隠すことにしている。

2010年9月 5日 (日)

『井崗山』12話~17話

あらすじ

 宜章を占拠した朱徳たちは、林彪の意見を入れ、討伐に来る国民党軍を待ち伏せし、多くの戦利品を得る。さらに新陽を攻略した朱徳は、そこで伍若蘭という女子学生と知り合い魅かれるものを感じてしまう。

Cap337_2

朱徳と伍若蘭

 毛沢東新城という街を攻略する。そこで捕虜の虐待が発生したので、毛沢東は捕虜優待政策を徹底させる。一方、茶陵を防衛している陳浩団長は、当地で我が物顔で振舞っていた。また農民会が地主として捕まえてきた男を所有する土地が地主の規定にわずかに満たないということで解放し、農民たちとの間に対立が生じる。家には以前打倒した県長の妾・若媛を囲っていた。
 毛沢東によって派遣されてきた張子清宛希先は農民たちから話を聞き、大地主がいない土地では中小地主を打倒するのが、毛沢東の方針だと陳浩を問題視する。陳浩と彼の弟分たちも、張たちが派遣されてきたことに危機感を抱き、陳は昔の恩師である国民党の方鼎英の元へ行くことを考え始める。

 さらに侵攻してくる敵に対する増援として特務連が茶稜に派遣され、張子清と宛は、増援は名目で自分たちの任務を助けるために派遣されたのではないか、と解釈する。

陳浩は特務連長の曽士峨を取り込み、さらに若媛に方鼎英の元へ手紙を届けに行ってくれるよう頼むが、実は彼女こそ陳浩を離反させるために敵から送り込まれていた女だった。陳浩は宛希先と張子清を謀反の疑いで逮捕し、宛希先は曽が陳の側についたことに失望する。


 農村調査に同行した毛沢譚賀子珍は、毛沢東の様子がおかしいのを心配する。紅色政権でも陳浩のように封建的なふるまいをする人間が出てくるのは何故か、どうすればこれを克服できるかと毛は自分の悩みと考えを二人に打ち明ける。

陳浩に騙されていたことを悟った曽士峨は、密かに鐘大竜を毛の元に派遣するが、彼は陳浩に見つかり撃たれて重傷を負いながらも井崗山に帰還する。


 鐘大竜は井岡山で亡くなり、ポケットからは入党申請書が見つかる。毛沢東は彼の身重の妻には出産が終わるまでこのことは伏せておくことにし、自ら陳浩の元に乗り込む。

毛沢東は謀反の証拠として、赤衛隊が手に入れた陳浩が若媛に託した手紙と鐘大竜が命と引き換えに届けた手紙を突きつけ、陳浩らを逮捕する。解放された宛希先らが取り成すが、毛は彼を厳しく処断することにする。また今後は民主選挙によって県長を選ぶことにする。

Cap339_2

連行される陳浩
 
 伍若蘭と結婚した朱徳の元には、党中央からの使者・周魯が新しく決議された革命方針を伝えに来る。それは農村を焼き払って農民を革命への参加を迫ること、また地主や反革命者を殺しつくすこと、そして朱徳の部隊が毛沢東と合流するのではなく毛の方が井岡山から出て朱徳と合流すること、という常軌を逸したものであった。井岡山に入った周魯は歓迎に出た党員たちの中で袁文才一人を無視しする。


 周魯は会議の場で中央の決定を伝える。それは毛沢東のやってきたことを全否定する内容であり、彼の除名さえ含んでいた。毛はショックのあまりその場を去り、紅軍の幹部たちは口々に周魯を非難するが、党籍解除をちらつかせられ強く出れない。その中でただ袁文才と王佐だけが、毛を守るために周魯に宣戦布告をした。

夕方、ふいに毛沢東の姿が見えなくなったので、紅軍の将兵や井崗山の民衆は心配してみなで彼を探しに行く。自分のやってきたことを全否定されて落ち込んでいた毛沢東はみなが自分を心配していてくれたことに自信を取り戻す。

一方、紅軍兵士や井崗山の民衆からすっかり嫌われた周魯は毛と話し合いに行くが、決裂してしまう。


 周魯は毛沢東を師長の座に落とし、さらに井崗山の紅軍を朱徳らのいる湘南に向かわせることにする。毛沢東をはじめ紅軍幹部は井崗山から下りるのは自殺行為だと批判し、結局一部は井崗山の防衛に残すことにする。

賀子珍と袁文才は密かに毛沢譚を呼び出し、行方を探していた毛の妻子はすでに国民党によって襲われたことを告げる。毛沢譚はそのことを兄に告げられないまま、状況を確認するため周魯とともに朱徳部隊の陳毅の元へ向かう。





感想



 今回、陳浩との内部対立問題が出てきて、このドラマも少しだけおもしろくなった。

興味深いのは、裏切り者となる陳浩が少なくとも当初は一方的に悪くは描かれていない点か。(まあ、地主の妾を奪って囲っていたものの)気さくな人物として民衆から親しまれていたし、農民たちと対立した際も、無闇な地主認定を避けようとする彼の言い分はそれはそれで道理があった。ただそれをみなに納得させる努力をせず、一方的に振る舞ったから心象悪くなっただけで・・・(正論は正論だから支持されるわけではなく、発言者の態度や人徳によって左右される・・・というのはやっぱ真理かね)



 で、このドラマは毛沢東礼賛ドラマなので、みんなが毛沢東好きすぎて、そしてそんな毛沢東に逆らう奴は次々「自業自得」でひどい目にあるというパターンで見ててキモイのだが・・・その「好かれ方」がちょっと興味深い。

これが最近の傾向なのかどうかは他の革命ドラマをいろいろ見てみないと何とも言えないが、少なくとも『井崗山』において毛沢東が皆から好かれるのはその「指導力」ゆえでもなければ、「カリスマ」や「思想の正しさ」ゆえでもない。むしろそのような従来強調されてきた毛沢東像は極力消去されてさえいる。


 なんとか見い出される好意の理由は「親しみやすさ」であり、それも単に「民衆や一般兵士と同じ生活をする」という従来のパターンに加え、「悩み傷つく等身大の人間である毛沢東」というものをドラマは前面に押し出す。・・・・・・とにかくこのドラマの毛沢東は、繊細で精神的に脆いのだ(汗)。

そしてそのような毛沢東に周囲のものは保護欲をそそられ(爆笑)、自分が彼を守ってあげなきゃ!とかいう不思議な心理状態になっている節さえある。


そう、このドラマが推し進めているのは、毛沢東のお姫様化なのである!!
(←何そのホラーなドラマ)


 だが、この「親しみやすさ」さえも決定的な理由ではないかもしれない。彼はとにかく無条件に好かれるのであり、それは彼の「人徳」としか言いようがない・・・・・・

つまりこのドラマは中国古来の思想、徳の高い人物が「天」の代理人たる天子になり、その「徳」によって人民を指導し中華世界に秩序をもたらすという「徳治思想」を主張しているのかもしれない。そして人民は思想でも権力でも(国家統治に必須の)暴力でもなく、天子の「徳の高さ」にこそ服し、毛沢東の「徳」が理解できない反対勢力は次々と「自業自得」「天罰」としか言いようがない破滅のしかたをするのである・・・・・・。




 さて、「徳治」何々はともかく、そのために毛沢東のお姫様化が激しくなってしまった。

そんなプリンセス・毛委員を守る騎士(と言うより下僕)の筆頭は、やっぱり袁文才&王佐である・・・と言うか袁文才である。

Cap391_2

周魯に宣戦布告する袁文才と王佐


 中共中央から周魯という特派員が派遣されてくる。中央からえらい人が来る!と袁文才は侮られないよう精一杯身なりを整え皆と一緒に出迎えに出る。

その一連のシーンは袁の「えらい人」と会える喜び、そして「山賊風情と思われたくない!」という彼の内面が実によく伝わってくる場面であった。



 だが、袁の主観はどうあれ中央の周魯にとって袁文才は、「(人間扱いする必要さえない)山賊風情」であった。周魯は出迎えに出た党員一人一人と握手したが、最後に袁文才の番が回ってきて、袁が実に無邪気な笑顔で手を差し伸べているにも関わらず、周魯は完全に無視する。山賊なんかと握手するなんて汚らわしくてできないという本音がはっきりとわかる。

一人だけ無視された袁の失望と周魯に対する敵意は、期待が大きかった分だけ大きい。すっかりふてくされてしまった袁はその後の周魯の主催する会議で、反抗的非協力的態度を取る(その態度があまりに大人げなくていっそかわいいが)。



 中央から来た「えらい人」に会えると舞い上がる袁は、すさまじいまでの権威主義者と言える。言い換えれば、「承認願望」が人一倍強烈であったと言えよう。それは彼の屈折した強固なコンプレックスが原因だと思われる。「挫折した知識人」である彼の心の傷は、権威ある人に認められ受け入れられることでしか癒されないのであろう。だからこそ、彼は自分を始めて認めてくれた毛沢東を盲目的に愛し従うのである(・・・・・・ここにも一種の「徳治」が・・・・・・)。



 そうして周魯に再び「山賊風情」と見下されてふてくされた彼は、しかし毛沢東の危機に敢然と立ち上がる。彼を奮起させたものは、自分のやってきたことを否定され深く傷つけられた毛沢東の後姿だった。

周魯が中央の決議として延々と毛沢東を延々と糾弾する会議の場で、袁文才はただひたすら毛沢東を見つめていた。必死に動揺を隠そうとする毛沢東のその一挙一動を見つめ続けていた。

Cap390_3

退席する毛沢東の後ろ姿を見つめる袁文才は彼を守る決意をする


 周魯の毛沢東糾弾には多くの紅軍幹部から不満が出るが、周魯が中央の決議に逆らうものには除名(党籍剥奪)をちらつかすと、皆それ以上強く出れない。しかし、除名を怖れる幹部たちを侮蔑するように、袁文才と王佐は立ち上がった。

あれほど「山賊」扱いされることを嫌っていた袁は、しかし銃をちらつかせながら自分が無法者で何をしでかすかわからない「山賊」であることを演出し、周魯を脅迫する。周魯は「除名」で袁を脅そうとするが、袁はそんなもので自分を止めることはできない、自分は「山賊」であるから「党中央」も何も関係ないという態度で臨み、周魯がこれ以上毛沢東を傷つけることがないよう牽制するのである。

すべてはただ毛沢東を守りたいがゆえ、心から毛沢東を愛したゆえであった。



 とにかく袁文才役の役者さんの演技が秀逸で、袁の「屈折」「承認願望」「可愛げ」「毛沢東への盲目的愛」を演技で表現しつくしている。・・・・・・なんかもう袁文才が主役でいいんじゃないかと思えるほどの存在感である。




 以下、腐女子話

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2010年4月15日 (木)

『井崗山』7話~11話

7話~11話 あらすじ

 井崗山の住民に歓迎される紅軍。袁文才毛沢東のために家を用意するが、毛は井崗山に行くことに反対し続けている余洒度に譲り、賀子珍の用意した八角堂に住む。毛は余と話し合うが、二人の溝は埋まらない。一方、流浪を続ける朱徳の南昌起義部隊は、元戦友で蒋介石に思うところのある国民党の将軍の范石生の元へ身を寄せる。

 袁文才は未だに毛沢東に会おうとしない王佐に面会を勧めるが、王佐は毛を警戒して会おうとしない。紅軍は勢力を拡大するため、茶陵に向かって進軍する。しかしその途上で、毛のやり方についていけない余洒度は、党中央の元へ去ってしまう。一方、周恩来ら党中央の元にもコミンテルンから毛のやり方を認められないとの通告が来ていた。

 入党したい兵士たちに入党宣誓をさせながら進軍する紅軍。しかし王佐が、宿敵・伊整壁の軍団に包囲され危機に陥っていると聞き、紅軍は彼を救いに急行する。危機を救われた王佐は感謝するが、紅軍は疲弊し軍紀が緩む。毛沢東は「買い物は公平に」など人民の軍隊としてふさわしい三大規律を定める。朱徳の元から派遣された毛沢譚は兄の居場所を突き止め、兄弟は再会を喜ぶ。

Cap123_2

毛沢東が二人!(ではありません)

 毛は王佐とともに井崗山で闘う方法を話し合う。一方、毛に派遣された何長工は朱徳の居場所を突き止めるが、范石生が朱徳とその部隊を匿っていることが蒋介石にばれてしまう。蒋は范に朱徳の逮捕を命じるが、范は彼らを逃がしてしまう。蒋介石は怒り狂うが、強く出れば范石生の軍の反乱をまねくためどうしようもない。

 朱徳の部隊は、士官の胡少敏宜章という街の名家の出身であることを利用し、警備を騙して入城し、宜章を占拠する。一方、毛沢東の部隊も茶陵の攻略に成功する。毛は帰ってきた何長工に王佐の部隊を訓練する任務を与えるが、何は王佐は袁文才と違って扱いにくいと懸念する。それでも紅軍の協力でついに伊整壁を倒した王佐は紅軍に感謝する。

Cap12_3

警備兵を騙して城内に入る紅軍




感想(あるいは毛沢東と知識人・農民の関係についてつらつらと)


 ・・・・・・内容が無いよう・・・・・・


 思わず、死語を言ってしまいたくもなるほど、つまらなさの限界に挑戦しようとしているかのようなドラマである。

 もう見るのはやめてレビューもなかったことにしたくなるが、それでも私が見続け、また見て良かったと思う見所が、前回も書いたように「袁文才」の人物造形だ。

 はっきり言って彼一人を見るためだけに、このドラマは見る価値があるとも言っていい。・・・・・・まあ、100人中105人は、袁文才一人のためにこのドラマ36話を見ようとは思わないだろうが・・・・・・


 
6話のラストで毛沢東と会談し、己を評価されて以来、袁文才は坂を転げ落ちるような勢いで毛に心酔していく。それまで毛を警戒し、紅軍が井崗山に来るのを阻止しようとしていたのが嘘のようだ。

それどころか今やその表情からも雰囲気からも、以前にはあった「毒気」がすっかり抜けてしまっている。本来の彼に戻っただけなのかもしれないが。

Cap124_2

5話の袁文才

Cap128_2

10話。変われば変わるもの・・・


 今までは気概ある独立独歩の義侠の徒であり、あるいは井崗山の首領として曲がりなりにも一国一城の主であったのに、(言っては悪いが)今はほとんど毛の精神的下僕のようにさえ見える。

そもそもこのドラマ自体が、紅軍兵士や若手幹部たちに毛沢東がいかに慕われ、崇拝されていたかを描くのが目的の一つらしいが、袁文才のそれは、他とは一線を画しているように思える。彼の「毛沢東崇拝」には、何か人間の弱さ悲しさを見るような思いだ。ともかくただ毛の側にいられるのが嬉しくてしかたないらしい彼の一点の曇りもない笑顔が、むしろ哀しく見える(それは、私が彼の運命を知っているから、というのもあるが)。

監督の指示か袁文才役の役者さんの役作りの一貫なのかわからないが(でも後者のような気がする)、うまいなぁ、と思ったのが(すでに心酔モードに入っている)袁が毛沢東に合う前に、さりげなく身だしなみを整える場面だ。着ているのは山賊的な粗末な服なのだが、毛のいる戸を開ける前に襟元と袖を正す。まるで片思いの好きな人に会う少女のようである(←冗談ではなく)。そのささいな動作で、毛の前でぶざまなところは見せられないという袁の感情が理解できる。



 袁文才はなぜこんなに毛沢東に心酔してしまったのか? 

 そのポイントは、袁文才が「挫折した知識人」であるというのが重要だと思う(彼はかつて教師=当時は充分インテリ階級、を志して果たせなかったと言っていた)。ドラマはドラマであり、リアル歴史とあり程度以上に交差させるのは控えるべきだが(そもそも実際の袁文才がこういう人物だったかどうかも不明だし)、それでもこの点を深く考えると「毛沢東と知識人」についておもしろいことが見えてきそうなので、もう少しドラマが進んでから改めて考察したい。



さて、そんな袁文才と違うのが、彼の義兄弟で同じく井崗山の首領である王佐だ。彼は単純粗野で無教養だが義侠心には富んでいるという山賊らしい(?)山賊。当時、多くの中国の農民がそうであったように文字も読めない。

毛沢東は農民階級の支持を受けていたが、そうであれば、インテリである袁よりも農民に近い位置にいる王佐の方が毛を慕ってもおかしくない。しかし、かえって王佐は毛を警戒し会おうともしないのだ。

王佐「ええっと、こういう時はなんと言ったけ?」

部下「『旨そうな餌で魚を釣る』ですよ」

王佐「そう! それだ! ……俺はこれが毛沢東の餌なんじゃないかと心配なんだ」

袁文才「ははっ、俺と言う魚を釣るためなら、ずいぶんと立派すぎる餌だな。……南闘(王佐の字)、おまえは毛沢東という人に会ったことがないだろ? あの人は大きなことをやる人だよ。あの人に会って、俺は自分達がなんて器の小さな人間だったかを気付いた」

王佐「……選三(袁文才の字)大哥。俺達が義兄弟になってから今までずっと、俺はあんたのやることに文句があったことはない。だけど今回のことは、よく考えてくれよ。俺たちが井崗山を手に入れるのにどれだけ苦労したと思ってんだよ」

袁文才「……南闘。俺はおまえをぜひ毛沢東のところに連れていきたいんだ。俺たち三人でいろいろ話し合おう」

そんな王佐も後に毛に好意を寄せ、自分の山賊部隊を改変するため紅軍の指導を受け入れる。王佐が態度を改めたのは、宿敵・伊整壁軍団に奇襲され危機に陥ったところを紅軍に救われ、しかも伊軍団を滅ぼす力を貸してくれたためだ。

一方、袁文才が態度を改めたのは、まず紅軍から大量の銃を贈られたことがきっかけとしてあったが、毛を崇拝しはじめたのは、彼と話し合ったからだ。つまり、「言葉」によって変わったと言える。しかし王佐が変わったのは危機を救われしかも自分にとっての利益が結果として得られたからだ。つまり「実際の行動・目に見える利益」によって変わったと言える。

インテリ階級である袁文才が「言葉」によって、そして農民階級(に近い)王佐が「目に見える利益」によって変わったことは興味深い。

Cap127_2

毛の訪問に銃を取り出す王佐(のある意味正しい行動)を止める袁



 考えてみれば、共産党が革命期に行った「地主を打倒して土地を分配する」、そして抗日戦争期に(国民党への配慮から急進的な政策は抑えて)「貧農・小作農が不当に負わされている借金を軽減する」政策は、中農以下の農民にとってこの上ない利益、しかもはっきりと「目に見える利益」である。

(しかしそれは逆に言えば、共産党が農民階級の支持を受け続けるためには、定期的に「目に見える利益」を提供し続けなければならないと言うことになる。地主を倒して、しかもまだ革命は勝利せず農民階級に革命戦争の負担に見合う「目に見える利益」を与え続けるにはどうしたらいいか? そこで「富農」の打倒とかが出てきたのかもしれない)

と、王佐と袁文才の違いを見て、ついつい「農民の共産党支持」の一つの側面を考えてしまったが・・・・・・まあ戯言です。


 王佐を農民階級に擬したけど、彼は実際には一般農民ではなく、緑林の英雄であるので行動原理は「目に見える利益」だけではなく、「義と侠」によっても動く。一度、毛を仲間と認めれば利益などなくても共にあるだろう。袁文才は身も心も毛に心酔しきっているが、王佐が毛に抱くのは「好意」であり、尊敬すると言ってもせいぜい兄貴分程度のようだ。

毛沢東も袁文才と王佐への接し方の違いをよく理解している。

何長工「王佐の部隊の中には少なからず、ごろつきのような連中がいます。彼らは酒も賭博もやりますし、アヘンを吸う者までいるのですよ。正規軍化するのは困難だと思います。それに、王佐は袁文才とは違います。党員でもないただの山賊で疑い深い奴です。私が彼らのところに一人で乗り込んで任務が成功するでしょうか?」

毛沢東「困難は承知の上だ。だからこそ君に頼むのだ」

言ったのは何長工だが、毛も特にフォローしていないから同じ考えなのだろう。と同時に袁文才のことを扱いやすいとか思っているらしい。・・・・・・つくづく袁が可哀想になってきた。(繰り返すが、毛沢東が農民階級・王佐を警戒し、インテリ階級・袁をなめている構図になっていておもしろい)

2010年3月18日 (木)

『井崗山』2話~6話

第2話~6話あらすじ

 八・一南昌起義を起こした共産党は惨敗し、朱徳沢譚らとともに軍を率いて落ちのびる。一方、毛沢東らは軍旗も作り、意気盛んに秋収蜂起を行い一時的に成功するが、国民党の大部隊の攻撃にあえなく失敗してしまう。

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軍旗を制定した毛沢東たち

 現状で、都市を基盤にした武装蜂起は不可能であることを痛感した毛沢東は、攻めがたく守りやすい天然の要塞・井崗山に篭り実力を養おうと提案する。軍の幹部達はこの案に大反対するものの、一人、総指揮の廬徳銘が毛沢東を支持し、井崗山に向かうことにする。しかしその途中で伊整壁という保安団の罠にかかり、国民党軍の待ち伏せを受け、廬は戦死する。理解者の死を嘆く毛は他の幹部達に当たり、自分達を罠にかけた男を自ら殺そうとするが、羅栄桓に止められる。

 その後、毛らは三湾という村で部隊を休ませる。ここの村人は皆、伊整壁保安団に連れ去られていたが、逃げ出し戻ってきた鐘大竜方小風いう若い夫婦が家族の仇を討つため、紅軍に入ることを希望する。一方、毛は兵士達に帰りたいものには路銀を渡して家に帰る許可を出し、革命への意思が堅固な者だけで軍を再編する。   

 毛沢東は井崗山を実行支配する緑林の英雄にして共産党員の袁文才に自分達を迎え入れて欲しいとの手紙を送る。袁文才は同じく井崗山の首領である王佐とともにこの申し出に困惑するが、義妹である少女英雄の賀子珍に押し切られる形でともかく使者と会うことにする。しかし袁は使者との会談が失敗した場合は、彼らを射殺する目的で部下達を付近に忍ばせる。

 会談の使者には毛沢東自身が従者を二人だけ連れ現れる。三人だけで会いに来たことに驚く袁はどこかに大部隊を潜ませているかもしれないことに警戒し、また金を与えて紅軍が井崗山を根拠地にすることを断ろうとする。そこに袁が毛を暗殺しようとしているのではないかと心配する賀子珍が乱入して場が混乱するが、結局、紅軍から大量の銃を贈られ、さらに毛に自分のやってきたことを評価された袁は態度を改め、井崗山に紅軍を迎え入れることを承諾する。

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衝撃の出会い(笑)毛と袁の会談の場に乱入する賀子珍

 




感想


……まあ、率直に言って、あんまりおもしろくない。すでに2話目にしてそんな予
感がしていた。 

 いろいろ問題点はあるが、何より「動き」が無いことが最大の欠点だろう。延々と会議をしている場面ばかり続くのは勘弁してほしい。

 それでも私が何とか我慢して見続けたのは、後に記すようにちょっと腐女子的な理由からだが、それでも5話目から少しおもしろくなってきた。と言うのも井崗山の首領・袁文才がなかなかおもしろいキャラだからである。

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袁文才、字(アザナ)選三


 日本などで出ている中国近現代史関係の本では、よく井崗山の首領・袁文才と王佐を地元の山賊の親玉のように描いているものがある。それも大筋で間違いではないが、農村部などで秘密結社が普通に存在する中国の「山賊」を日本的なイメージのそれで考えてはいけない。『水滸伝』などに見られるように、徒党を組んで山に篭り自治的な社会を作る彼らは時代のアウトローであり、反体制であり、しばしば義賊的な性格を帯びて民衆に慕われる存在でもある。

 その二人の首領のうち、王佐はいかにも無教養で荒っぽい無法者といった感じだが、袁文才は落ち着きがありもの静かで教養もある男と描かれている。実は彼はもともと読書人で教師を志していたが挫折し、井崗山に登ったのだ。・・・教師になるのに失敗したから山賊になるというのもなんだかすごいが、まあ、中国の「山賊」の概念はそれほど日本的なものと違うということだ。  同格の首領とは言え、文盲の王佐は教養ある袁を大変尊敬している。袁はインテリくずれであるにも関わらず、そんな王佐を馬鹿にすることなく、抗争で怪我をした王を優しく労わるなど二人の絆は固い。

 また、袁は後に毛沢東の二番目に妻となる賀子珍と義兄妹らしい!

 史実はどうだったかわからないが、賀子珍の姉が袁の妻なのだという。

 この賀子珍は当時は1617歳のはずだが、これがまたものすごく気が強く、口の減らない少女で袁文才も彼女に振り回されているようだ。

 あまりの賀子珍の口うるささに「おまえは俺の嫁か?」とツッコんでいるがまさしくそんな感じでも全然違和感ない(笑)

 まあ、とりあえず気が強く無鉄砲な妹に振り回される苦労性の兄という感じ。

 実際、毛沢東に大量の銃を贈られてあっさり彼を歓迎してしまったり、小娘の好き勝手に頭を痛めながら許容してしまったりするあたり、根は素直でいい人なんだと思う。

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インテリががんばって荒くれ者たちの親分をやっている感じ

 で、賀子珍の方だけど。

 彼女は二丁拳銃の使い手で、それはいいのだが、何かあると話も事情も聞かずとりあえず銃をぶっ放す過激な少女なのだ。袁文才も夜道でいきなり彼女に銃を突きつけられた。「あなたと義兄弟の縁を切るわよ」と賀子珍は袁を責めるが・・・・・・挨拶代わりに義兄に銃を突きつける女とはむしろ縁を切ったほうがいいのではないかと思う。

 でも基本的に人懐っこいので、機嫌がいいと袁文才に「姐夫(姉の夫に対する呼称)」と子供っぽく甘えてみたりと可愛らしいのだが。

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夜道で義兄に銃をつきつける賀子珍





ピックアップ場面


 
毛沢東ら紅軍を迎え入れることを渋り、王佐と相談しに行った袁文才を賀子珍が待ち伏せし問い詰めるシーン(5話)

賀子珍「あなた、こんな夜に王佐の所を訪ねていって、また何かでたらめなことをするつもりでしょう」

部下「子珍・・・そんな話は」

賀「黙りなさい! 私はあなたと話しているんじゃないわ!……選三兄さん(※袁の字)、はっきり言わせてもらうけどね、中央委員の毛沢東はもうすぐそこまで来ているのよ、あなたの所に手紙も来たんでしょ、なのに迎え入れないつもり? ……(袁を叩いて)ちょっと聞いてるの?」

袁文才「おまっ!」

賀「あなたは読書人(知識人)のくせに礼儀もわきまえてないの!しかも共産党員でもあるのに」

袁「それは、おまえとおまえの兄貴に入党させられただけの話だ。ここには党の実態なんて何もないじゃないか、俺に何の関係が・・・・・・うわっ!」

賀(袁のえりくびつかんで)「袁文才同志! そんな言い方はやめなさい! もう一度そんなことを言ったら、あなたと兄妹の縁を切るわ!」

袁(怒って去って行く子珍の腕をつかむ)「子珍!」

賀(袁の腕を振り払って)「今、党の中央委員はそこまで来ている! そしてあなたは共産党員! さあ、彼らに会うの会わないの!」

袁「…………ああ、会うよ。会えばいいんだろ、子珍」

賀「……その場逃れのごまかしじゃないでしょうね」

袁「違う、ちゃんと会うさ」

賀「天にも地にも誓って破らない?」

袁「誓う誓う、もう何にでも誓ってやるから」

賀(笑って)「じゃ、帰るわよ!」

袁「おまえ、俺の嫁か何かのつもりか? まったく俺は何だってこんな義妹を持ってしまったんだろうな・・・・・・」

 

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賀子珍に頭があがらない袁文才

 


 と、こんな調子(笑)

 16,7の小娘に頭が上がらない山賊の首領っていったい・・・・・・

 袁文才はすでに入党しているらしいが、この様子だとそれも賀子珍に押し切られてしまってのことなんだろうなぁ。

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2010年1月 7日 (木)

『井岡山』第一話

あらすじ



 夜の街。

警察に一人の男が捕まる。警察は男の顔を見て重要指名手配中の毛沢東だと確信するが、男は否定する。警察所に連れ込まれた男は拷問を受けかけるが、彼を見た長官は人違いだと釈放する。

 釈放された男は、その足で「本物」の毛沢東の隠れ家を訪ねる。彼は毛沢東とうりふたつの弟・毛沢譚(もうたくたん)であった。久々の再会に喜ぶ兄弟。毛沢譚は国共合作が破綻し、革命が危機に瀕していることを歎くが、毛沢東は共産党が武装蜂起を計画している、自分もそれに呼応して湖南で暴動を起す任務が下っている、と告げる。せっかく再会できたのにまた離れ離れにならなければならないことを毛沢譚は悲しむが、毛沢東は「三国志」の下巻を渡し、これを持って南昌の朱徳を訪ねるように言う。

 南昌。

 南昌の公安局長で国民党軍人・朱徳は実は共産党の秘密党員であり、その表向きの権限を利用して共産党員を保護し、武装蜂起の準備をしていた。秘かに南昌に集った周恩来ら党の幹部たち。若手幹部の王明はコミンテルンが武装蜂起に難色を示していることを理由に反対するが、周恩来は強硬に蜂起を主張する。予定より少し遅れた81日、蜂起は決行され、紅軍が誕生する。

 毛沢東は、暴動に先立って妻・楊開彗と三人の息子を妻の実家に送り届ける。寂しがる幼い息子たちをなだめ楊開彗は気丈に振舞うが、毛沢東はいつまでも別れを惜しむ。これが彼が妻の姿を見た最後であった・・・・・・



感想



 いきなり警察に捕まる毛沢東。・・・いきなりどーなるのかと思ったら、なんと毛沢東にそっくりの弟・毛沢譚だった! そうきたか! と思った。 って言うか毛沢譚ってあんなにお兄ちゃんにそっくりだったか? 萌えるから許すけど。

 毛沢譚は毛沢東の二人いる弟のうち末弟。確か10歳くらい年が離れていて、ドラマ中でもまだ22、3歳くらいのはず。随分なお兄ちゃん子として描かれていた。ブログ主は「兄弟」萌えの人なので、ドラマ中の以下のような会話にはたいへん萌えます。

Cap20

毛沢東

Cap203_2

毛沢譚

 

 

毛沢譚「大哥(長兄の意味)、私も連れっていってくれますよね?」

毛沢東「私達は早くに両親をなくして、小さい頃からおまえはずっと私についてきてくれた。私の目には、おまえはいつまでも小さな子供に見えるよ。だがおまえはもう立派に独り立ちしている、私はいつまでもおまえを引っ張りまわすわけにはかない」

 くうう・・・、兄弟萌えのツボをつく台詞を! これ毛語録に入っているんだろうか?(←わけがない)

 毛沢東とそっくりの顔で、彼とはまた違う表情や違う個性を持つというのも映像ならではのおもしろさですね。この顔そっくりで個性の違う弟の存在はこのドラマの見所に一つになると思う(←実際には見所の一つどころか数少ない見所になってしまった)。

2010年1月 5日 (火)

『井岡山』総合案内

Cap201

連続テレビドラマ 全36話(各40分)

放送:2007年

監督:金韜

脚本:調べ中

出演:王震(毛沢東)、王伍福(朱徳)

評価:(すべて見終わった後に追記)

ストーリー:★☆☆☆☆             人物造形:★★★☆☆

文学度:★☆☆☆☆               エンタメ度:★☆☆☆☆

萌え度:★★★☆☆               総合評価(お勧め度):★☆☆☆☆


解説:人民解放軍建軍80周年記念作品。

 井岡山は毛沢東が最初に築いた革命根拠地であり、そのため建国後、革命の揺藍地として神聖化された。

 1927年、北伐によって国民党と共産党は各地の軍閥を平定し、中国を統一。しかし蒋介石の反共クーデターにより、共産党員は虐殺され追われる身となってしまう。

 これに対抗するため共産党は朱徳・周恩来らを中心として南昌で武装蜂起を起し、労農紅軍を設立。一方、それに呼応して毛沢東も故郷の湖南で武装蜂起を起す。しかしすべての蜂起は失敗し、紅軍は追われ、毛沢東は再起を図るため、匪賊が跋扈する天然の要塞・井岡山に入る・・・・・・。


簡単総合感想:(見終わった後に追記します)

※本作はまだ見終わっていません。今後、随時このエントリーに追記していきます。

購入できるショップ

・クイックチャイナ

http://www.quick-china.com/

・書虫

http://www.frelax.com/cdrama/

※本作のDVDは「PAL」です。一部、日本のDVD再生機やパソコンで再生できない可能性があります。