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辛亥革命~抗日戦争

2011年9月 7日 (水)

『建党偉業』レポ2(タイトル詐欺映画)

 長らく中断していてもはややる意味があるのか不明ですが、まあDVDも発売され日本でも買えば見られるようになりましたので、『建党偉業』のレポ第二弾に行ってみます。前のは記事は『建党偉業』が意外とおもしろかった(そして蒋介石はナースシスターだった)を参照ください。

 ちなみにDVDは↓で買えるようです。

http://www.frelax.com/cgilocal/getitem.cgi?db=book&ty=id&id=JDWY395380

http://www.quick-china.com/movie/detail/dj18805.html

 ところで、この映画日本では(というか中国含めて世界中でだろうが)上映前から「国策映画」と評されている。まあ、それに特に異論もないし、実際に『建党偉業』なんてタイトルみたら中国共産党の建党の歴史を描き愛党精神を涵養する映画と思うだろう。

 こちらでも「1911年の辛亥革命から1921年の中国共産党成立までの歴史を、李大、陳独秀、張国、周恩来、蔡和森、向警予など最初期の共産党員に焦点を当てつつ描いた超大作映画だ」(中国版wikiの記述を元にしていると思われる)なんて紹介されている。

 で、実際に見てどうだったかと言うと・・・・・・

  • 建党の歴史→描いてねぇぇーー!!
  • 最初期の共産党員→もっと描いていねぇぇーーー!!

 ・・・・・・え~と、確かに李大釗や陳独秀は出番多かったけど・・・他の人はそれほど・・・・・・あれだったらよっぽど袁世凱に焦点が当てられてるわ~。しかも建党の歴史って映画の最後の方にオマケ的にちょっと出てきただけでしょ? ほとんどの最初期の共産党員って映画の終わる少し前にまとめて出てきただけじゃん。

 もうタイトルは『建党偉業』じゃなくて『中華民国初期10年』の方がよっぽど正しいタイトルだと思う。わざわざ『建党偉業』なんて国策映画丸出しのタイトルつけるから、客が来ないんだよ・・・・・・

 まあ、それはともかく続きです。5.4運動が終わったあたりから行ってみましょう。例によってだいぶ記憶が薄れているので、話の筋や前後が正しくない場合もあります。

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2011年7月23日 (土)

『建党偉業』が意外におもしろかった(そして蒋介石はナースシスターだった)

 ちょっと間があきましたが、蒋介石がシスター(に変装している)という『建党偉業』を見てきました!

 まず、最初に訂正。

 蒋介石はシスターではなかった。

 

 ナースシスターだった!



 つまり、蒋介石は自分の兄貴分の政敵の暗殺のため、相手が入院している病院に潜入したんだけど、その病院ってのがカトリック系で、ナースがシスターの格好をしているというわけ。と、言うわけで、一見シスターに見えるが、実態はナースだったと・・・・・・。

 いや、病院に潜入するなら医者に変装すればいいだろ?!



 この映画ね、シスター蒋介石はもとより何がびっくりしたかっていうと・・・・・・意外とおもしろかったんですよ。

 いやいや、少なくとも2009年の『建国大業』よりは数倍おもしろかった。『建国大業』は「この映画、まだ終わらないのかよ?」と時間を確認することしきりでしたが、『建党偉業』では一度も時間を気にすることなく、飽きっぽい私が2時間の映画を冗長に感じることもなかったのですよ。

 まあ、こういう感想も私が中国近現代史に対して異様に関心があるというのも大きくて、興味無い・知らない人が見れば苦痛かもしれませんけど。でも、なぜかあまり中国史に詳しくない、しかも少々反共(笑)気味の日本人男性と一緒に見に行くことになったのですが・・・・・・この人も「なかなかおもしろかった」と言っていたので、たぶん客観的に見てもなかなかのできだったのでしょう。

  もちろん傑作というわけでもないです。『建国大業』と同じく華流スターのコスプレ映画であるし、歴史の流れ描くのと人物の名前を紹介していくのが主な内容で人間ドラマも無い。

 とりあえず『建国大業』と同じく、歴史のテスト前の一夜漬けに観るとなかなか有用な映画だと思う(笑)・・・・・・うん、これは華流スター陣による「歴史解説映画」と言うのが一番適切かな? 例えば

  1. 登場人物が他のキャラとの会話の中で今の状況と何でこうなったかを解説してくれる(これで1911年から1921年までの話が怒涛のスピードで展開されても大丈夫)。
  2. セリフで説明ばかりではアレなので、時々新聞記事や公布された宣言文などを登場人物が(妻や友人に聞かせるという形で)読み上げてくれる。これで重要な宣言なども漏らさず理解できる。
  3. 胡適など当時の重要な思想家たちが北京大学の授業シーンで、自分の思想の核を簡潔に説明してくれる。これで改良主義者やらアナーキストやら当時の思想家の把握もばっちり。

 ・・・・・・いや、そんな映画のどこがおもしろいんだ、というツッコミが聞こえてきそうですが・・・・・・



 とりあえず見る前から今年のワースト作品賞にノミネートしていたけど、それは取り下げておきます。

 

 以下、ネタばれの映画レポ。

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2011年1月30日 (日)

『井崗山』33話~35話

あらすじ


 敵の暗殺者に襲われる朱徳と妻の若蘭。若蘭は捕まり惨殺される。気落ちして会議にも出てこない朱徳を皆は心配するが、新たな戦いを前にして朱徳は復帰し、軍を率いて江西省の瑞金に新根拠地の足がかりを築く。新たな地に落ち着いた朱徳は蘭を育てて亡き妻を偲ぶ。

 そこに井崗山を撤退した彭徳懐が合流し、毛沢東・朱徳・彭徳懐は再会を喜ぶ。その直後に、ソ連より帰国したての劉安恭が中央より派遣されてくる。劉安恭は朱徳・陳毅とも旧知の仲であった。彼は中央の周恩来らが起草した指示を盾に農村に根拠地を建設するという毛沢東の路線と激しく対立する。それに対して朱徳は中央の命令を尊重する立場から逡巡し、陳毅はこの決議はだいぶ前にあげられたもので現在の状況の対応していない、と反論する。

 状況を憂慮した毛沢東は彭徳懐・林彪とも話し合って二人の支持を取りつけ、彭徳懐の井崗山奪回の願いも聞き入れる。彭徳懐は王佐と協力して井崗山を奪還するが、その時一連の虐殺で井崗山の人口は3千人から6百人余りにまで減少していた。

 毛沢東と劉安恭の対立はますます深まり、劉安恭は全体大会で紅軍の将兵たちにロシア革命の成功例から都市革命の必要を説き、「農村にどんなマルクス主義があるというのか」と毛沢東を批判する。紅軍内の混乱が収まらないため選挙が実施されるが、その結果、毛沢東は紅軍の指導者層からはずされてしまう。

 朱徳と陳毅は毛沢東と話し合いに行くが、三人の話はすれ違い決裂する。毛沢東は根拠地の静かな場所でしばらく隠棲することを余儀なくされる。毛沢東は賀子珍にソ連に留学に行くことも考えている、と告げるが、賀子珍は怒って泣きながら出て行ってしまう。

 荷物をまとめ、一人隠棲場所に向かう毛沢東。その途中に突然賀子珍が現れる。賀子珍は結婚を申し込み、毛沢東はそれを受け入れて隠棲先で二人で暮らし始める。

Cap1269

 しかし、ほどなくして毛沢東はマラリアを患い重態に陥る。林彪・羅栄桓曽士岐ら毛派の者たちも紅軍の新たな遠征に出なければならず、賀子珍や残る栗裕らに毛沢東を託して出発する。

 朱徳は毛沢東と決裂したことを内心悔やみ、陳毅は軍事会議のため上海に向かう。上海で陳毅は周恩来と会談し、周恩来はあの決議文がすでに情勢から遅れたものだったことを認め毛沢東が紅軍の指導者に戻ることを承認。周恩来はもし毛沢東との関係がぎくしゃくしているなら他の場所での仕事を用意することを陳毅に提案するが、陳毅は紅軍に戻り自ら毛沢東に復帰を促す役を引き受ける。

 賀子珍と栗祐は医者と薬を探して奔走し、紅軍の曽山は犠牲を払いながらも街に潜入してマラリアの薬を手に入れ、毛沢東は回復に向かう。

 一方、劉安恭は戦いの中で無謀な作戦を実行し、紅軍に多くの損害を出し自らも戦死してしまう。

 療養中の毛沢東と賀子珍の元に井崗山の赤衛隊長であった姜有田が訪れる。姜有田は張子清方小鳳ら多くの者が戦いで命を落とし、さらに袁文才と王佐が不当に殺されてしまったことを告げる。毛沢東と賀子珍は二人の死を嘆き、過ちを悔やむ。姜有田は井崗山の住民達から託された井崗山の土を毛沢東に渡す。




感想

 ・・・・・・いや、もう何もとくに言うことがないんだけど・・・・・・。

 中央からやってきた物事の道理がわからない一発キャラ的な存在が毛沢東をパージするって展開、これで何回目ですか? 36話ドラマで3回目ですよ? 史実としてそういうことがあったから仕方ないかもしれないが、この「すべては毛沢東の正しい路線を理解しない頭の固い中央が悪いんですう」的表現はなんとかならぬものか・・・・・・なんともならないだろうな。


 袁文才と王佐の死の報が35話で毛沢東にもたらされるのだけど、このあたり彼らの死をどう描くのかちょっと興味があったがなんと・・・・・・すっとばした!

「不当に殺された」とはあったけど、いったい何があって誰が殺したのかとか一切言及無し。そうきたか・・・・・・一応、中国でも一般向けの歴史の本でもこのあたりのこと、どうして殺されるに至ったのかとかはちゃんと触れられている。本はいいけどTVはNGですか? 

 ・・・・・・にしても32話で参謀長(袁文才)が勝手にいなくなっているのに、35話まで誰一人としてそのことに触れないってのもすっごい不自然だよね。


 亡き妻を偲んで蘭(?)を育て始める朱徳はちょっと可愛かった。その後、この鉢がいつも朱徳が座る席のそばに置いてあるのがいいな。

1262


 そして34話でついに毛沢東と賀子珍が結婚・・・・・・あれ?あの二人ってもっと前に結婚してたんじゃなかったけ? という疑問を置き去りにして、急に賀子珍は所帯染みてくる。

 でもそれと同時に、結婚して急に美人になる賀子珍! 今までもなかなか可愛い子だったけど、どちらかというと「お転婆娘」というか「少女戦士」的な感じのする子どもっぽくもあり少年っぽくもある子だったのが、グンと大人びた美人になった。

Cap1265

 天真爛漫な少年のような賀子珍が好きだけど、これはこれでいいな。こういう美人は好感度高い。


 で、新婚早々マラリアでぶっ倒れ賀子珍に看病される毛沢東。林彪や羅栄桓ら毛沢東派の紅軍若手士官らもみんな心配しているのだけど、彼らは新しい戦いに出陣せねばならず、後を賀子珍に託す。

 そこで十数人の若手士官らはいっせいに賀子珍に向かって敬礼し、一人一人順番にこう声をかける。

「嫂子(サオズ)、ご苦労様です!」

 ・・・・・・嫂子?

  嫂子ってのは「義姉さん」と言う意味で、つまり兄貴の嫁を呼ぶときの言葉。毛沢東はみなの兄貴分なのでその妻である賀子珍が「義姉さん」という理屈か?

 それにしても他の人はともかく林彪までが賀子珍を「義姉さん」と呼ぶのは違和感が・・・・・・林彪の方が年上だろ・・・ってその場にいる全員が賀子珍より年上か(それでも兄貴の嫁は義姉だけど)

 でも、どちらかというと「義姉さん」より「姐さん」の方がしっくり来る場面だ。

「姐さん、ご苦労様です!(毛アニキのことを頼みます!)」みたいな。







ピックアップ場面

 今回は毛沢東と賀子珍が結婚したシーンをピックアップ。はっきり言って時期的に史実と異なるが、でもこれはこれでなかなか良いシーン。

 紅軍の指導者から追放されてしまった毛沢東(←何回目?)の元を訪れる賀子珍。(言い忘れていたが)賀子珍の公的な身分は「前敵委員会(一種の軍事委員会)」の秘書である。

毛沢東「しばらく農村を調査して、その後、出国する」

賀子珍「出国? 本当に外国へ行くの?」

毛沢東「前敵委員はすでにソ連留学の名簿に私と江華の名を加えている」

 賀子珍、涙を流す。

賀子珍「そんなの、ただの逃げよ!」

(中略)

賀子珍「一人で行くの?」

毛沢東「竜達(毛沢東の護衛)を連れていく」

賀子珍「あなたがいなくなった後、私はどうすればいいの?」

毛沢東「・・・・・・現在、前敵委員の書記は私ではなく陳毅だ。君は前敵委員の秘書なのだから、これからは彼の下で働きなさい」

賀子珍「・・・ああ、そう。なら、彼を探しに行ってくるわよ」

毛沢東「あっ・・・・・・」

1261

賀子珍、怒り泣きしながらその場を去る。毛沢東、一瞬追いかけかけるがその場にとどまる。

 

 と怒って出て行ってしまった賀子珍だが、荷物をまとめ隠棲先に向かう毛沢東の前に再び現れる。

毛沢東「ああ、見送りにきてくれたのかい」

賀子珍「いいえ。私は結婚しに来たのよ」

毛沢東「結婚?」

賀子珍「そう」

毛沢東「・・・そ、そうか。それで、誰と結婚するんだい?」

賀子珍「あなた」

毛沢東「・・・・・・・・・・・・俺?」

賀子珍「そうよ」

毛沢東「・・・・・・・・・・・・・・・・子珍。私たちは二人とも党の幹部だ。結婚には組織の批准が必要だ。しかし、今の私は・・・・・・」

賀子珍、カバンからやおら紙を取り出す。

Cap1266

賀子珍「はい、これ。前敵委員会書記の陳毅同志直筆の結婚許可書よ。これでいいでしょ?」

毛沢東「結婚許可書」を受け取り眺め、呆然としてタバコを手から落とす。

賀子珍「どうしたの? 前敵委員書記の字を忘れたの?」

毛沢東「あ、い、いや。し、しかし私は今からここを出ていかなければならなくて・・・・・・」

賀子珍「『鶏に嫁いだら鶏についていく、犬に嫁いだら犬についていく。猿に嫁いだなら山に入る』。あなたがどこへ行こうと、私はあなたと結婚するわ」

毛沢東「・・・・・・」

賀子珍「・・・・・・」

毛沢東「・・・・・・しかし、私は何も準備していない」

賀子珍、連れてきた馬に駆け寄り荷物から花輪を取り出す。

賀子珍「準備なら私がしてきたわ(我准备好了)!」

Cap1268

毛沢東「(笑って)子珍。私の故郷では新婦は花篭に乗る。しかし、今の私にはただ君をあの馬に乗せてやることしかできない。しかも、今の私には自分の家もない」

賀子珍「私と一緒なら、どんな場所だってそこが私たちの家よ。一緒に帰りましょう」

毛沢東、賀子珍の手から花輪を受け取って彼女の頭に飾る。

Cap1275

毛沢東「行こう。私たちの家へ」

 毛沢東の退路をことごとく断ち切ってから結婚を迫る賀子珍! 意外と策略家だったらしい。何気に狼狽している毛沢東も笑える。

 「準備なら私がしてきたわ!」が特にウケる。

 毛沢東にこれからは陳毅の下で働きなさい、と言われて「いいわよ、なら彼を探してくる!」と言って出ていったのは怒って自棄になったわけじゃなくて、結婚許可書を発行させに行ったのか・・・・・・それにしても

陳毅は毛沢東の意思を一言も確認しないまま結婚許可書発行しとる!

 いやいや、この裏では賀子珍のどんな恐ろしい脅迫にでもあっていたのか(なにしろ夜道で義兄に後ろから頭に銃をつきつけた賀子珍のことである)。

陳毅「賀、賀子珍同志、ま、待て、話せばわかる、話せば・・・・・・あー!」

・・・・・・という光景をちょっと想像してしまった。

 なんにしろ、けっこうお似合いカップルだと思った。

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2011年1月10日 (月)

『井崗山』29話~32話

あらすじ

 彭徳懐らは井崗山行きを反対する者を排除して、毛沢東と合流を果たす。しかし、何鍵軍の侵攻と物資の欠乏する井崗山でどうやって冬を越すかという問題も浮上していた。

 時を同じくしてソ連で行われた中共六大(中国共産党の六回目に全体会議)の決議文が、六ヶ月遅れで井岡山にも届けられた。さっそく会議を開く毛沢東だが、決議文のある箇所を目にしたとたん、一次休会にして朱徳陳毅を呼び出す。その決議文には、「土匪との関係を整理するように」と、袁文才王佐の粛清を命じる部分があった。

 毛沢東は決議文のこの部分は皆に秘密にすることにし、会議の議題を何鍵軍の侵攻とどうやって冬を越えるかに変えることにする。朱徳は少数の部隊だけを井崗山に残し、主力は下山して侵攻していく敵を背後から攻撃する作戦を提案し、毛沢東と陳毅も賛同する。

 毛沢東らは井崗山の守備部隊に彭徳懐の部隊を任命し、彭徳懐も快諾する。しかし、彭徳懐の部下達は、死地に追いやられるようなものだ、と大いに不満を抱く。同時に、毛沢東は袁文才を紅軍の参謀長に任命して紅軍主力とともに下山するよう命じ、王佐には彭徳懐とともに井崗山を守るよう命じる。

 王佐は紅軍が下山することにも袁文才を連れていくことにも不満を感じ、袁文才は決議文が届いて以来毛沢東らの態度が何かおかしいことに不安を覚える。二人は毛沢東に真意を尋ねに行き、それに対して毛沢東は二人への感謝の気持ちと信頼、そして今回の作戦は大局を考えてのことであると説明し、二人も納得する。決議文のことを知った賀子珍は、毛沢東が二人を保護しようとしているのだと解釈する。

 下山の夜、毛沢東は住み慣れた八角楼や井岡山の人々に別れを告げる。その井岡山に押し寄せる何鍵軍によって、紅軍本部をはじめ拠点は次々攻略されていく。さらに張開財林若娜が何鍵軍の道案内を務めたため、「天然の要塞」と呼ばれる井崗山の地形ももはや要をなさなくなる。一方、山を下りた紅軍主力も民衆的基盤のない地域で苦戦を強いられていた。

 前後から敵の攻撃を受けることになった彭徳懐は戦闘の継続を断念。張子清ら負傷兵を井崗山に潜み残る王佐の部隊に託して山を下りる決断をする。

 井崗山では何鍵軍が民衆狩りをはじめ、多くの人々が殺されていった。赤衛隊の姜有田の妹は陳開財に捕まり紅軍幹部である張子清の隠れ場所へ連れていくよう迫られるが、わざと崖っぷちに連れ出し油断した陳開財を自分もろとも崖下に落とす。方小鳳はおとりとなって林若娜をおびきだし、自爆して彼女を倒す。姜有田に連れられて逃げる重傷の張子清は、あくまで自分をかばおうとする姜有田を救うため、隙をみて自ら行方をくらます。そして何鍵軍に捕まった袁文才の妻・梅香は生き埋めにされてしまう。急を知った王佐は息も絶え絶えの梅香を助け出す。

Cap1236

生き埋めにされる梅香

 井崗山陥落の報に驚愕する袁文才。しかし他の紅軍幹部は今後のことを話し合うだけ。袁文才は井崗山の奪還を毛沢東に願い出るが、今は不可能だと言われてしまう。

 失意の袁文才は、古い部下の鉻甫から例の決議文に「土匪の頭目はすべて殺すように」とあったこと、そして毛沢東が自分を一緒に下山させたのは自分を守るためであったことを知る。しかし中央からの命令では毛沢東も自分を守りきれないだろうと悟った袁文才は、彼の負担にならぬため、自ら井崗山に去る決心をする。

Cap1245

毛沢東の家の前で立ち尽くす袁文才

 袁文才は中には入らずただ毛沢東の家の壁越しに最後の別れを告げるが、ちょうど出てきた賀子珍に見つかってしまう。袁文才は何気なさを装って、賀子珍に伝言を託しそのまま去っていってしまう。

 一方、ソ連では毛沢東らの元へ派遣されることが決まった劉安恭と都市暴動路線の失敗からソ連で学習中の瞿秋白が再会。帰国したら都市で次々と暴動を起こすと語る劉安恭を瞿秋白は批判するが、劉安恭は受けつけない。



感想

 今回は紅軍の井崗山放棄と国民党軍による井崗山の民衆殺戮、そして袁文才の離間というストーリー。


 あいかわらずつツジツマ合わせに必死だが、どう考えても紅軍主力が下山したのは、背後から何鍵軍を撃つためじゃなくて井崗山の放棄以外の何者でもないようにしか見えんな。あと、追い詰められた紅軍兵士が自分の死と引き換えに敵を倒す(8割がた敵を巻き込んだ自爆というパターン)というのはこういうドラマのお約束だが・・・・・・にしても大人の登場人物がやるのはともかく、子どもの登場人物にまで同じことさせるのはやめれ(`Д´)。たとえその子の意思だとしてもそれを肯定的賞賛的描くのはNGやろ! って言うかそもそも描くな!子どもがマネしたらどうするんだ! ・・・・・・って言うかイザという時にはマネして欲しい感じがしまくって嫌。



 そして、この井崗山に残された民衆や紅軍兵士の悲惨な「英雄的奮戦」が一通り描かれたところで、場面は井崗山の陥落を知った(下山した)紅軍幹部たちの会議の場に移るのだが・・・・・・何と言うか、袁文才を除く紅軍幹部たちの誰もがべつにそれほどショックを受けていない、受けているかもしれないが全然それが伝わってこない、という不思議なシーンが。

 (私の中国語能力が低いので間違っているかもしれないけど)ある者は「まあ、(物資欠乏の)山を下りたのは間違いじゃなかった」(←これは毛沢東から批判されたが)とか言い出すし、ある者は「井崗山で我々は多くのことを学んだ」とか総括始めるし、毛沢東なんか「井崗山のことは永遠に忘れない」的みたいなこと言い出すし・・・・・・こうなるとみんなの話を聞いている袁文才が呆然としているのは、単に井崗山陥落にショックを受けているだけじゃないように思える。

 それにしても、ついさっきまで井崗山に残された人々の悲惨極まりない戦いが描かれた直後のシーンで、「ああやっぱり陥落しちゃったか、ま、仕方ないよね」的雰囲気の紅軍幹部たちのシーン持ってきて、一人まじめに嘆いている袁文才をスルーして「これまでの教訓と今後のこと」とか完全に「井崗山は過去のこと」モードの話に移るとは・・・・・・

視聴者の反感買いまくり!

う・・・ん、毛沢東らへの反感に視聴者を誘導する監督と脚本家の意図がまったくわからない。もしこんなドラマ構成で視聴者が毛沢東らに好感を抱くとでも思っているなら相当その感覚が問題だが・・・・・・




 その後、傷心の袁文才は中共中央から自分に対する粛清命令が来ていることを知り、ついに紅軍を離れ勝手に井崗山に帰ってしまう。

 さて、このシーンは、袁文才役の役者さんの名演もあってドラマ中の白眉とも言えるシーンで、素直にドラマとしてみれば大変感動的な場面だ。・・・・・・・だが、何と言うか素直に感動してしまうのはちょっと倫理的な問題があると思う。

 素直に袁文才の運命について涙にくれたいが、感動に浸る前にやはり言うべきことは言っておこう。



 袁文才が紅軍ひいては最愛(←マジで)の毛沢東の元を去ることにしたのは、実は「ここにいるとヤバイ」という自己保身でも「ひたすら尽くして来たのにこんな仕打ちするなんて」という恨みからでもないらしい。彼はただ一言だけ理由を言った。

袁文才「俺がいなくなれば、毛委員の負担が軽くなるだろ!」

・・・・・・・何と言う愛の深さ・・・・・・と言ってしまうのは後回しにして、「粛清命令を知ってしまった袁文才とその後の粛清問題をどう描くつもりなのか?」というこのドラマ最大の疑問の解決法は

邪魔者が勝手に自主的に消えてくれる

という誰も悪者にならないし、袁文才の恨みも存在しないという超都合のいいクリーンなものに!!

 私は袁文才の死を巡る問題について通りいっぺんにしか知らないから、もしかして中国では袁文才の心情がこのドラマのようなものであったのを示す資料か何かが見つかっているのかもしれんが・・・・・・まあそれでも「邪魔者であった被害者が誰の手もわずらわせず自分の意思で消えてくれたあげく加害者に対して何の恨みも持ってない」ってストーリーを後世の人間が描くことに対する倫理的問題はあると思うのだ。(あ、ちなみにこの段階では袁は消えただけでまだ殺されてない。今後はその死がどう描かれるかが焦点)

 しかし、別の面から見れば、袁文才の離反が自己保身(←まあして当然だが)その他自分の都合によるものではなく「毛委員の負担になりたくない」という捨て身の究極愛の実践となったために視聴者の同情を最大限に集める、ということも可能になっている。実際、中国のネットでも袁文才への同情の声で溢れているようだ・・・・・・こう考えるとさっきの「紅軍幹部への視聴者の反感が募るシーン」も、袁文才がショック受けて離反の後押しとなるシーンであり、視聴者に「袁文才の行動も仕方ないよね」と思わせるテクニックだろうか?



 さて、それでは史実やら倫理問題はここまでして、以下では素直にドラマに感動・・・・・・と言うより萌えることにします。





ピックアップシーン

 井崗山陥落から袁文才が去るシーンまで、ちょっと長いけどピックアップ。袁文才役の劉鑑の名演をご覧ください(表情だけしか見せられないけど)

 まずは、井崗山陥落が皆に知らされるシーン。

袁文才「・・・・・・陥落? 井崗山が陥落!?」

陳毅「・・・・・・これで我々も完全に帰る場所の無い流浪者になったな」

毛沢東「そんなに悲観するな。井崗山は失われることはない、永遠に」

陳毅「・・・・・・毛委員にぜひ教えていただきたいですね。寄る辺を失って、どうして楽観的になれるというのですか? 失われたものは失われたのです、これが現実なのですよ」

幹部一「失われたものがあれば得たものもあるということだ。下山にも成果はあった。(中略)多くの同志は(井崗山から下山して)街に移ってけっこうな日々を送れている」

 うつむいていた袁文才、呆然とした表情で顔をあげる。

(中略)

朱徳「井崗山を失って、誰が心を痛めないことがあろうか。あの場所は多くの道理を教えてくれた。敵が強く我が方が弱い低潮期にあって、そして白色テロが深刻な状況下において、ただ遊撃流動作戦だけが効果がある。敵を倒し、影響を拡大し、革命の火種を播いていくのだ」

幹部二「さっき毛委員が言った「井崗山は永遠に失われない」というのには、私にはさらに深い意味があると思う。あの革命根拠地において、私たちは根拠地を建設するという貴重な経験と教訓を多く得たのだから」

毛沢東「ああ、むしろそれこそ私が言いたかったことだ。私が楽観と言うのは、井崗山での一年余りの日々は、ただ一つの根拠地を築いたというだけではない。さらに重要なのは、進むべき道を見出したことだ。これからはどこへ行こうとも、我々はこの道を進んでいく。そういう意味から、私たちは永遠に井崗山とともにあるのだ」

再びうつむいていた袁文才、顔をあげる。

Cap1260

毛沢東の言葉に呆然とする袁文才

袁文才「・・・・・・毛委員。井崗山の奪回はできないのですか?」

毛沢東「井崗山奪回?」

袁文才「(泣きそうな目と震える声で)いい、ですよね? 私が先鋒を務めますから!」

毛沢東「ここは「湖南・江西」辺界(省境の地区)ではない。「江西・広東・福建」辺界だ。井崗山まで遠すぎる。しかもどれだけの敵が今我々を追い回していることか、君も参謀長なら私もよりもよくわかっているはずだ。今は、やはり井崗山奪回は考えるべきではない、羅福山区に登るべきだろうな」

Cap1238

袁文才、激しく動揺しつつ涙をこらえる。

 「井崗山は永遠に失われない」って「俺らの心の中で」の話かよ。しかも袁文才の必死の訴えに、超そっけない毛沢東。しかも「井崗山を奪回するより、今度は別の山に登る」とか超無神経なことを言い出す・・・・・・さっきは「袁文才が出て行くのもやむなし」というための演出かと思ったが、むしろ「袁文才に自分から出て行ってもらうためのいじわる」にも見えてきたぞ・・・・・・。



 次に、傷心の袁文才が古くからの部下・鉻甫から恐ろしい話を聞く話。袁文才の心情を表すように都合よく雪も降り出した。しかも袁文才の肩には雪が積もっている・・・・・・雪を払う気力も無いらしい。にしても、この古参部下は確か5・6話で出てきたきり姿が見えなかったけど・・・どこにいたの?

鉻甫「会議、長かったですね。何を話していたんです?」

袁文才「・・・・・・」

鉻甫「・・・・・・あなたも聞いていますか?」

袁文才「・・・・・・何をだ?」

鉻甫「中央の決議文ですよ、緑林の頭目はすべて殺せと」

袁文才「おまえ、誰から聞いた?」

鉻甫「・・・・・・」

袁文才「答えろ、誰から聞いた!」

鉻甫「あなたはまだ知らないんですか?」

袁文才「言え!」

鉻甫「上から下までみんな知っていますよ! 我々だけが知らなかったんです」

Cap1239

袁文才「・・・・・・・・・ありえない・・・・・・もしそうなら・・・もしそうだというなら、必ず毛委員が俺に教えてくれたはずだ」

鉻甫「これは中央の決議なのですよ。どうして毛委員があなたに教えてくれるなんてことがありますか。聞いた話では、毛委員があなたを参謀長にして下山に同行させたのも、事情をよく理解しない連中の危害から俺たちを守るためだとか」

袁文才「・・・・・・俺をどうしても下山させようとしたのは、そういうわけか・・・・・・」

鉻甫「毛委員に守ってもらえば、俺たちもそう心配することはないですかね」

袁文才「・・・・・・・・・・・・いいや。毛委員にも我々を守りきれないだろう」

鉻甫「・・・・・・」

袁文才「毛委員の上には省委がある。省委の上には中央がある。さらにその上には(小さく笑う)コミンテルンがある」

Cap1262 

「上には・・・」と語る袁文才

鉻甫「な、なら俺たちはどうすれば?」

Cap1241

袁文才、押し殺した声で笑い出す。

Cap1242

ひとしきり笑った後、立ち上がって部屋の扉を開ける。

袁文才「行くぞ」

鉻甫「行く? どこに」

袁文才「井崗山に戻る。あそこに戻れば、俺の気持ちも落ち着けるだろう」

鉻甫「な、毛委員にはなんて言うんです?」

袁文才、鉻甫の胸ぐらをつかみ

袁文才「何を言うだと! 俺たちがいなくなれば、毛委員の負担が軽くなるんだよ! わかったか!」

鉻甫「・・・・・・選三(袁文才の字)。そんなことをして、後のことは考えているのか?」

袁文才「・・・・・・鉻甫・・・・・・行くと言ったら行くんだ!」


 すさまじいことに、袁文才が笑うんだよな。ここで泣き出すならまだしも、笑い出すのだ。しかも押し殺した声で。と言うよりも声が出ないのかもしれないけど。

 毛沢東と紅軍が井崗山に来てから、袁文才は確かに幸福だった。その日々が崩れる、夢が覚める。

 ずっと「山賊の頭目」であることにコンプレックスを抱いていたエセインテリの袁文才は、毛沢東に「同志」と呼ばれ認められて、そのコンプレックスから解放されたはずであった。毛沢東の下で、違う人間になれるはずであった。しかし、彼は結局どこまでも「山賊の頭目」としか見られていなかった。

 笑うしかないだろう。泣き喚くよりさらに深く悲しい。



「毛委員の負担になりたくない」

 先ほどは批判したが、このドラマの袁文才に即して言えば、袁文才らしいセリフである。おそらくこの一言には、その言葉が直接意味すること以上に、彼のあらゆる感情が詰めこまれており、そしてそれらを制圧するためにこそ発せられた言葉だろう。恨むまい憎むまい疑うまい、それができればあの井崗山での幸せだった「夢の日々」は「真実」となる。

「井崗山に帰れば気持ちも落ち着けられる」とも言った。何故だろうか。そこが自分の居場所だからだろうか、「山賊の頭目」である己を受け入れたからか。それとも毛沢東と過ごした場所だから、永遠にその思い出の中で生きそして死を迎えるつもりだったからか。




 続いて、袁文才が毛沢東の家の壁ごしに最後の別れを告げ、賀子珍とはちあわせしてしまうシーン。賀子珍は袁文才の義妹でもあるので、「妹子(メイズ)」よ呼ばれているが、この「妹子」の適切な訳が思いつかないので、そこはそのままでいきます。

 そぼ降る雪の中、毛沢東の家の門の前でただ佇む袁文才。ちょうど去って行こうとした時、家の中から賀子珍が現れる。

賀子珍「あら、選三兄さん!」

袁文才「子珍」

Cap1246

賀子珍「毛委員になにか用事? 彼はまだ起きてるわよ」

袁文才「いや、何も。何でもない、何でもないんだよ」

Cap1248

賀子珍「そう。そう言えば、もう井崗山出てからずいぶん経ったわね。どう? 井崗山や義姉さん(賀子珍と義姉の袁文才妻)の声でも恋しくなったんじゃない?」

袁文才「ああ、少しね」

賀子珍「・・・ねえ、上がっていけば?」

袁文才「いや、いいよ。・・・・・・妹子、毛委員に伝えてくれ。・・・・・・寒くなってきました・・・・・・お身体にお気をつけください、と」

Cap1250

「身体にお気をつけて」と涙を抑えるため早口で言う

賀子珍「ええ、わかった」

袁文才「(笑って)妹子。俺はもう行く」

立ち去る袁文才。賀子珍も家の中に入る。袁文才振り返り

Cap1253 

袁文才「毛委員」

Cap1254_2

ゆっくりと敬礼。

Cap1255

 
 賀子珍に不審がられないよう当たり障りのない伝言の中に、すべての思いを込める袁文才。(ちなみに「もう行くよ」とは「宿舎に帰る」という意味に賀子珍には受け取られるが、本当は「(井崗山に)帰る」ということ)

 「お身体にお気をつけて」。この一言がここまで重いものになろうとは。

 あくまで笑顔なのが、泣かれるよりも壮絶。

 ああ、人は相反する感情に心が引き裂かれる時、こんな表情をするんだな。

2010年12月29日 (水)

『井崗山』24話~29話

あらすじ

 失敗した楊如軒に変わって、新しい井崗山討伐軍の指揮官を任命する朱培徳。紅軍は激しく抵抗し、多大な犠牲を出しつつ井崗山を死守する。袁文才王佐は地元の者しか知らない道を使って敵の拠点としている街に攻め込む。袁文才らは慌てて敵が撤退した拠点から情報を掴み、紅軍は総力を挙げて龍源口という場所を攻め、大勝利を納める。

Cap1137

敵の拠点を攻略した毛沢東&朱徳

 蒋介石は敗退した朱培徳らを冷たくあしらい、新しく何鍵を司令官に任命する。

 新しく獲得した地方の主席に任じられる袁文才。彼はついに毛沢東賀子珍を嫁に迎えるよう提案するが、敵との戦いが絶えない中で結婚はできないと断られてしまう。

 毛沢東は賀子珍らとともに農村調査に向かい、賀子珍は村民らに革命の意義を説く。

 一方、袁文才の地方政府では財源が多いに不足していた。この問題を解決するため彼らは紅軍の造幣局を作ることにする。

  中央の決定として毛沢東の元に再び湖南省委から手紙と人がやってくる。湖南省委から派遣されてきた杜修経は、再び中央の方針として湖南省を革命の中心地とするべく、井崗山から打って出るよう命じる。皆は反対するが、杜修経は反対する者には党籍剥奪もちらつかせて黙らせる。毛沢東は現実離れした都市攻撃論を情理を込めて批判し、皆の賛同を得ていったんは杜修経を引き下がらせる。

 そこに国民党軍侵攻の報が入り、朱徳陳毅らが紅軍の二十八団と二十九団を率いて迎撃に行く。しかし、その先で杜修経は、湖南出身者で固まれた二十八団の兵士たちの望郷の念を煽り、故郷に帰るためには都市を攻略し湖南を革命根拠地に変えるしかない、と説く。

 その頃、別方面からも井崗山に侵攻してくる敵があり、朱徳の元に毛沢東から救援要請が来る。しかし、すっかり都市を攻略し故郷に帰るという考えに憑かれた兵士たちの士気は低く、井崗山に戻りたがらない。朱徳は説得を試みるが兵士らの不満は解消されず、つい二十八団は湖南に向かい、朱徳も二十九団を率いて後を追わざるをえなくなる。

 毛沢東は戦いを困難な時期に入ったことを認識し、井崗山防衛のために残存部隊と住民を組織して敵に抵抗する。朱徳ははるか先に行った二十八団が自分達の恩人である范石生軍と交戦していると知り、怒りのおまり卒倒する。

 無謀な都市攻略による「八月失敗」によって、紅軍は兵力の半分と井崗山の大部分を失い、周辺では白色テロが吹き荒れる。杜修経は兵士達の屍の山を前に、自分の過ちを懺悔する。

Cap1227

「八月失敗」で甚大な被害を出した紅軍

朱徳らは井崗山に戻ることを決定し、井崗山の残された根拠地からは毛沢東が彼らを迎えに来る。

 しかし、不満が募っていた二十八団の袁崇全は、密かに部隊を率いて敵への投降を図る。彼と同郷で同じ黄埔卒業生である王尓琢は説得に赴くが、逆に袁崇全に射殺されてしまう。

 毛沢東らは王尓琢の死を悼み、林彪を袁崇全に代わる新たな二十八団団長として昇格させる。朱徳らの部隊は戦いの中で国民党軍に寝返っていた袁崇全を捉え、朱徳自ら処決する。一方、井崗山・黄洋界にも敵が攻め入ってきたが、紅軍は地の利を生かした戦術で逆に敵に損害を与え撃退させる。

 方小鳳は無事男児を出産し、毛沢東らは皆で紅軍病院で初めて生まれた子どもを祝福する。張子清は小鳳の夫の死を隠し続けるため彼に代わって手紙を書くが、小鳳は自分もすでに夫が死んでいることは悟っていた、と告白する。

 蒋介石は失敗続きの江西の朱培徳と湖南の何鍵を叱責し、湖南ではさらに彭徳懐が暴動によって紅軍を立ち上げたことを伝える。その彭徳懐も毛沢東・朱徳との合流を願い、井崗山へ向かおうとするが部下の中から強硬に反対する者が現れる。




感想

・・・・・・・いや、まあ、なんと言ったらいいか・・・・・もういろいろツッコミどころが多いな・・・・・・。とりあえず、あくまで毛沢東や朱徳、陳毅らに傷をつけないことをモットーにしているなら、まあこういうつくりにもなるだろう。

 とにかく、ここで深くつっこんでもしょうがないので、各キャラの見所シーンをやることにします。



戦士・林彪

 このドラマではまだ20歳前後の若々しい、と言うか少年の面影を残す、と言うかぶっちゃけ少年にしか見えない林彪と言うレアなものが見られる。

 それだけではなく戦場を駆け回って自ら敵と戦う林彪というこれまた実に珍しいものまで見られる。林彪はこれ以降急速に出世してしまうので、指揮所で地図を見ながら作戦を練る姿は見られても、自ら拳銃片手に馬にも乗らず戦場を駆け回ることはない。

 
 しかもまだ20歳前後で、少年の面影を残す小柄でやせっぽちの林彪が拳銃片手に戦場を駆け回る姿は・・・・・・非常にサマになっている。

 その小柄な身体で、走る、跳躍する、一瞬の機会を捉えて撃つ・・・・・・いやぁ、小柄な身体の少年少女が敏捷さと機転で動き回る姿って大好き!

Cap1140

けっこう機敏な林彪

 私、前から(根拠なく)思っていたのだけど、若い頃(10代後半~20代前半)の林彪って、絶対に敏捷な動きができる子だったと思うんよ。持久力とパワーは無かったかもしれんが、やっぱり小柄で痩せっぽちな子は、そこを機転のきく頭とその頭の回転に応えられる敏捷な身体でカバーするべきだよな~、とか。・・・・・・なんとなく、私はどこかで林彪のことを「男装の少女」のようなイメージで捉えている面があるのだけど(汗)、若い頃は内面的だけでなく、外見的にもそうだったという話。


 ・・・・・・って、ここで私の林彪語りになっても仕方ないので、本編に戻ると、今回も林彪の(自分の才能に立脚した)ナマイキぶりが炸裂していて萌えな感じでした。

 まず、苦しい戦況に腹を立てた林彪が紅軍幹部たちのところに駆け込んでくるシーンでのこと。

林彪「こんな戦法じゃだめです! もう三時間も戦っているのに、一歩も前進できない! 戦えば戦うほど損害を出すだけです!」

朱徳「そうだな。おまえたち、何かいい案はないか?」

(略)

幹部「一つ案があります。作戦経験の多い幹部や古参戦士で決死隊を組織し、代わる代わる敵を攻撃するのです」

(略)

王尓琢「肖頚、君がその部隊を率いてくれ」

肖頚「はいっ!」

林彪「待ってください。俺の部隊に茅官坳(地名)を攻めさせてもらえませんか? そこを占領すれば、砲撃を用いて肖大隊長の攻撃を側面から支援することができます」

王尓琢「それはいいな。だが、どうやって茅官坳まで行くつもりだ」

林彪「どうやって行くかなんて、俺にまかせておけばいいことです!」

 ・・・・・・いや、そこは上官からのもっともな質問なんだから答えてやれよ(ちゃんと方法は考えていたらしいから)。しかも怒鳴りつけるように言ってるんですけど、参謀長に対して。

Cap1135

戦闘時になるといきなり自己主張が強くなる林彪

 続いて「八月失敗」で朱徳軍の皆が意気消沈し、井崗山に戻るかどうかで林彪は同じ大隊長の袁崇全と口論になり、黄埔軍校(中国初の近代的な軍校。林彪はそこの出身)の先輩である袁崇全がそのことを振りかざしたことに対し、林彪は一言。 

林彪「あなたはもう何度も、自分が俺の教師であることを強調されますね。でも、「反面教師」なんてものでも嬉しいんですかね?」

 ・・・・・・うわっ。教師は教師でも「反面教師」ときましたか・・・・・・

 もう『井崗山』の林彪は普段無口なくせに、たまに口を開くたびにきっつい一言が。ちなみにこの「反面教師」のところは実際には「愚かな教師は聡明な学生の教えになる」と言っているのでよけいキツク聞こえる(これが中国における「反面教師」の成語らしい)。

 

 ちなみにその後、紅軍から離脱しようとした袁崇全を王尓琢が説得に行くわけなのだが、その場で袁崇全が紅軍に対する不満を王尓豕にぶつける中にこんな言葉が

袁崇全「おまえ(王尓琢)は、林彪、あのガキ(ちなみにこの時、袁崇全28歳、林彪20歳)がどんななまいきなマネをしようとかばってやりやがって!」

 やっぱりそう思われましたか! 確かに(いくら実力あるとは言え)ナマイキだもんね、そりゃ嫌われるなぁ。そこがいいんだけど。

 って言うか、王尓琢って林彪のことかばっていたの? 確かに林彪と袁崇全が口論していた時、仲裁に入っていたけど・・・・・・で、いつのまにか王尓琢と袁崇全が口論になったのに、最初の当事者である林彪はもう完璧に知らんぷりして豆を食べてたな・・・・・・

 どちらかと言うと、林彪は王尓琢を無能だと思って、王尓豕もやたらナマイキな林彪のことを嫌っているように思えたのだけど、でも朱徳が怒りで卒倒(笑)して皆が駆け寄ってきた時に、二人は隣同士にいたし(←ここでもあれっ?と思った)あれでも意外と仲は良かったのかもしれん。袁崇全のセリフからして、王尓琢の方は林彪の才能を理解してあげて、あちこちで敵を作ってくる林彪をさりげなくフォローしてあげていたのかと思う。・・・・・・大人だなぁ~。

 林彪は(この頃から、そしてその後も)皆に嫌われながらも一部の大人でこういうタイプを放っておけない(決して好きなわけではない)世話焼きさんのお世話になって大きくなったんだなぁ、としみじみ思ったり。



 あと、袁崇全との口論時に、袁崇全が「第一大隊長(林彪のこと)は自分が連隊長の接班人(後継者)だとでも思ってんのか」ってセリフがあった。

 接班人・・・・・・ここで林彪相手にそのネタを出すとは、脚本家さんの遊び心だろうか? 毛沢東の接班人@文革ネタですね、わかります。ちょっとウケました。



 なぜ当たらん?

 
 24話~25話で大勝利を収また紅軍。このエントリーの一番上にある画像は、その時砲弾飛び交う橋の上から、一気に敵の拠点に攻め込む紅軍を眺める毛沢東&朱徳の図・・・・・・。

 ・・・・・・って、まだ全然戦い終わってなくて、敵が最後の抵抗のために砲弾撃ちまくっている中でなにやってんの? しかもなぜかそんな狙い撃ちされやすいとこに突っ立ているというのに、一発も当たらない二人・・・・・・(橋の周りの川にはバンバン砲撃落ちてるのに!)

それはそうと、この場面では実に生き生きと二丁拳銃で敵に突撃していく賀子珍が印象的。

Cap1138

 ・・・・・・もうめちゃくちゃ楽しそうだな、彼女。




毛家兄弟ケンカ

 基本、お兄ちゃん子ながら、言うことはけっこうズバズバ言っている毛沢覃。最近は、ちょっと反抗期に戻ったみたいでお兄ちゃんの毛沢東も「ハハハ、可愛いやつめ」状態。

毛沢覃「あなたはいつもあんなに多くの人に気を配っているのに、俺にだけ少しも気を遣ってくれないんですね!」

毛沢東「なんだ? おまえは私がおまえには甘く当たるとでも思っているのか? 長兄とは父にも等しい、それが家法(家父長制化におけるその家独自の伝統的な法、家父長が他の家族の生殺与奪を握るようなものが多い)の道理だ」

毛沢覃「俺たちは二人とも共産党員だろ? 共産党員は党規律に従うんであって家法に従うもんじゃない」

毛沢東「口答えする気か、どうやら俺はおまえを少し甘やかしすぎていたらしいな」

毛沢東、毛沢覃の耳を掴んで持ち上げる

毛沢覃「あ、いたっ! 痛い! 兄さん、耳がねじれたら俺には嫁の来てもなくなっちゃうじゃないか!」

毛沢東「はは、そうだな。おまえが嫁を見つけられない時は、兄さんが探すのを手伝おう」

Cap1191

毛主席が実践する弟の正しい持ち方

  ううう、不覚にも萌えてしまった・・・・・・。って言うか、なんてことやってんだ、監督&脚本家!




お電話介石

 井崗山討伐のために電話で討伐部隊に指示を出す蒋介石。ちゃんと地図を確認しながら、電話で指示します・・・・・・なのはいいのだけど。

Cap1130

 なんか微妙に可愛い蒋介石の図だな。

 んで、この後も蒋介石は電話で話しながら部屋の中をぐるぐる歩き回っていたりするのだけど・・・・・・

Cap1131

人間電話台

 蒋介石が動くたびにその動きに合わせて電話機を持って移動する人間電話台の兵士A。見事に動く電話台となっていてなんか笑える。




俺たち負けました

 蒋介石に井崗山討伐をまかされながら大敗北してしまった朱培徳ら三司令官。ほうほうのていで前線から逃げ帰って、蒋介石に敗戦の報告。

 その「水に落ちたような犬」のような三人の様子と静かに激怒している蒋介石の図が↓これ。

Cap1139

三人「いやぁ~負けちゃいました、ハハハ・・・・・・」蒋介石「・・・・・・(怒)」

 なんか真ん中の人が包帯姿なのが微妙にもの悲しい。

 蒋介石はその三人を立たせたまま子ども(蒋緯国かな?)と黙々と将棋をしているが、静かに激怒している模様。この後、いきなり将棋版を引っくり返し(ってかブチ切れた蒋介石にも全然動じないこの子どもはなかなか大物だ)、三人に片づけをさせます。

 なんか毎回主人公たちに負けるおバカな悪の秘密結社幹部とその首領の図のようだ。





鳩が・・・・・・。

 一方、ソ連では中共の第六回全体大会(六大)が開催されている。その中で中共指導部の李立三と旧友の劉安恭(新キャラ)の二人は、ソ連の港で久々の再会。二人は革命の展望を語り合った後、やおら熱烈抱擁を交わすのだが・・・・・・

Cap1230

 なぜか抱擁の瞬間を見計らったように二人の周りを十数羽の鳩が飛び交いだす!

 しかも他に場所もあろうにわざわざ二人の周りを旋回する個体までいます。(↑ちょっと画像見えにくいけど、影のようなものはすべて鳩です)

 このドラマほどあからさまではないけど、中国のドラマでは何気にここぞというシーンで無数の鳩が飛び交い出すという演出がかなりの頻度にある。・・・・・・日本のドラマでも登場人物が傷ついた時とかに見計らったように季節も気圧配置も無視して「冷たい雨」が振り出すことが良くあるけど、それの中国版なんだろうな、「鳩が飛び交う」ってのは・・・・・・。


 さて、中国ドラマと鳩の関係も判明したところで、今回はここまで。

2010年12月12日 (日)

『西安事変』36話(最終回)

祝『西安事変』全話見終わり!

西安事変勃発の12月12日にこの記事を書けるようがんばりました。

あと、総合評価の未完成部分に書き足しました。

http://red-theatre.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/post-8af7.html



※以下には、TVドラマ『西安事変』の最終話すべてのネタばれがあります。

続きを読む "『西安事変』36話(最終回)" »

2010年12月11日 (土)

『西安事変』34話~35話

あらすじ

 
 宋子文は共産党が西安入りしているのを聞き蒋介石の救出を絶望視するが、彼らも蒋介石の生存を望んでいることを知り、いったん洛陽に戻る。洛陽で合流した宋子文,宋美齢載笠ウイリアムは共に西安へ赴く。

 宋美齢は、多くの人の恨みを買っている載笠を同行させるのに難色を示すが、戴笠は蒋介石とともにいたいと主張する。また、美齢はもし張学良たちが自分も捕らえようとする時は自分を射殺してくれ、とウイリアムに頼むが断られる。

 西安についた宋美齢は張学良楊虎城に出迎えられまず張学良公館へ。宋美齢の身支度を手伝っていた趙一荻は、二人の関係に心を痛めながらも張学良と宋美齢を二人きりにする。宋美齢は起こしてしまったことについては言及せずこれからのことを話し合う。また張学良に一定の理解を示しつつ、毅然とした態度を崩さない。

Cap1203

張学良と面会する宋美齢

 また、蒋介石と面会した戴笠もその場で土下座し、蒋介石を守れなかったことを謝罪する。

Cap1204

(美齢より早く)蒋介石の監禁場所に飛び込んで土下座する戴笠

蒋介石と宋美齢は再開を涙ながらに喜ぶ。蒋介石は殉国の覚悟を告げるが、美齢は最後まで諦めてはだめだと諭し、周恩来と会談しに行く。

Cap1205

再会を喜ぶ蒋介石と宋美齢

 周恩来,宋美齢,宋子文の三人は話し合い、正式な談判を行うことに同意する。蒋介石は国家元首の権威を守るため、宋兄妹に全権を委任して自身は臨席せずその結果の承認は口頭のみとすることを条件に談判を認める。

 12月22日~24日にかけて、張学良・楊虎城,周恩来ら共産党代表,宋兄妹の三者が話し合い、政府の改造,内戦停止,言論の自由など抗日に向けての態勢作りの合意を見る。

 周恩来は蒋介石に会い、旧交を温めようとする蒋介石を牽制しつつ、今後のことを話し合う。

 自分の要求が叶った今、張学良は一刻も早く蒋介石を解放しようとする。しかし、東北軍内部では口頭のみでの承諾で蒋介石を解放することへの不満がうずまく。

 張学良は、自分も蒋介石を送って南京に行くことを提案するが、部下や周恩来に反対される。特に楊虎城には合意にサインしなければ蒋介石を解放すべきではないと主張され、すっかり頑なになった張学良は彼と決裂してしまう。

 また、東北軍・西北軍内部には、蒋介石を帰すまいと街の警備を強化する動きも出てくる。刻一刻と不安定になる西安内部と迫る何応欽との停戦期限終了を前に、張学良は今すぐ蒋介石と宋兄妹を南京に帰すことにする。

 趙一荻は、父を殺され故郷を失い不抵抗将軍と罵られてきた張学良の長年の苦難を理解するものの、彼との別れに嘆き悲しむ。張学良は自分が生まれて間もない頃に父・張作霖が作ってくれたお守りを一荻に贈り、彼女だけが自分のことを本当に理解してくれた、と言う。

 張学良は楊虎城を呼び出し、今から蒋介石とともに南京に行くことを告げ、さらに自分が帰らない場合は東北軍の処遇を楊虎城に一任するとの委任状を押し付ける。驚き抗議する楊虎城だが、そこに話を聞きつけた張学良の部下たちも入ってきて東北軍20万の兄弟を見捨てないでくれ、と張学良に嘆願する。しかし、張学良は拳銃を差し出し、自分を行かせるか今ここで射殺するか選べと迫り、呆然とする部下たちの横を通り抜け、楊虎城と空港に向かう。

 空港にて、蒋介石は南京に戻ったら自分にもおまえを守ってやることはできない、と言うが、張学良はやはり同行を願う。飛行機に乗り込もうとする張学良の腕をとっさに楊虎城が掴んで止める。張学良はしばしその場に留まるが、静かにその手をはずしタラップを上がっていく。自分の名を呼ぶ楊虎城に敬礼を残し、飛行機の中に消えていく。



感想

 いきなり急展開(しなきゃドラマが終わらんのだが)。

 とりあえず周恩来が来て美齢が来て、問題は解決しました・・・・・・みたいな。今までの蒋介石の抵抗はなんだったんだ? 的なものがあるが、美齢が張学良と蒋介石、二人の男の態度を軟化させたということなのだろう。しかし、美齢の登場が張学良の余裕をなくさせ、視野を狭めてしまった面もあるようだ。

 そして、ばたばたと話し合いが終わって、そしたら蒋介石の解放を巡って東北軍内に不穏な空気が流れ初めて、張学良はそれを何とかすることもせず蒋介石を送っていく! とか言い出して、共犯者の楊虎城の承諾を得ることもせず空港に行っちゃって(一応、直前には言ったが・・・・・・もはや後戻りできない段階で告げられてもね~)。

 25話目にして突然張学良の態度がここまで頑な、いや意固地になってしまって視聴者もとまどうんじゃないかと思う、しかもその理由も不明だし。蒋介石を抱えたまま何応欽と一戦交えることも厭わなかった張学良だが、一転して蒋介石の解放を急いだのも美齢までが西安に来てしまって、彼女を戦火に巻き込むわけにはいかないとでも思ったのか?・・・・・・ってだいぶエゴイスティックな論理だな。

 と言うか、29話から33話にかけてあれだけ堂々巡りに話数かけるくらいなら、この談判やら西安内部の不穏な空気やら張学良と楊虎城の決裂やら張学良の南京行き決断の経緯やらをもっと時間をかけた方が良かったんじゃないかと思うが・・・・・・。

 しかし、これも一種の製作者の苦肉の策だったのかもしれない。やはり西安事変のクライマックスは、張学良が南京行きの飛行機に乗り込むシーン。・・・・・・・だが、根本的な問題は、史実上のこの張学良の行動が意味不明という点だ。ドラマでは東北軍内部の不穏な動きとか、停戦期限の終了とかがもっともそうな理由付けが少しされているが・・・・・・やっぱり意味不明なものは意味不明だ(まずトップなんだから自分の軍の動揺を抑えろよとか、停戦何々だって蒋介石だけ帰せばいいじゃん・・・・・・)。

 それを長々と書いたりもっともらしくしようと小細工すればするほど破綻することを、この賢い製作者はわかっていたのかもしれない。だからスピーディーな展開でその変をごまかすという一種の力技に訴えたのかも・・・・・・。


 まあ、それはともかく、理由は不明だがこの時期に張学良がひどく頑なであったのは史実。その頑なぶりを(理由も不明なのに)シナリオ、役者さんともによく表現できていたと思う。

 あと、可哀想なのは趙一荻。彼女は張学良の宋美齢に対する気持ちを充分すぎるほど理解した上で、美齢の身支度を手伝ってあげたり、空気を察してさりげなく部屋を出ていった二人きりにさせてあげたり・・・と、すごく傷ついているのにあくまで笑顔で何事もなかったように対応。その「従順な愛人」ぶりがまた切ない。




ピックアップシーン

 今回は、張学良と楊虎城のやりとりが良かったのでそこ中心で。二人が蒋介石の釈放を巡ってケンカし、張学良が飛行機で行っちゃうまでの流れを。

張学良「虎城。解放しないわけにはいかない。南京にはもうすぐ王精衛も帰国してくる。日本も何か動き始めている。このままにしていては、きっと状況は悪くなってしまう」

楊虎城「ああ、漢卿。私だって決して彼の解放に反対なわけではない。しかし、それには条件が必要なんだ」

張学良「じゃあ、どんな条件ならいいというんだ?」

楊「委員会は三つの条件を提案している。一、委員長がこの西安から命令を発する 二、合意書にサインする 三、彼個人が声明を発表する。私としてはこのうちどれか一つでも実現できれば、解放していいと思う」

張「委員長はすでに自分の人格を担保に約束した。我々はそれ以上のことを彼に迫ることはできない。それに夫人と子文と保証人となってくれている」

楊「人格で保証? 言わせてもらうが、委員長には信頼に値すべき人格なんてものはないんだ。私は君よりもいくらか長く委員長と付き合っている。1929年から、彼のやりくちというものをさんざん見てきた。あいつは政治的なごろつきなんだ! 中国のいかなる軍閥、私や君も含めてだがね、彼にはかなわない。・・・・・・蒋介石にもし礼節や恥というものがあったなら、中国は今日のようなものではなかった! 漢卿、「虎を野に放せば、将来必ず人を傷つける」ということだ。蒋介石は南京に帰れば、すぐさま約束を反故にするに決まっている!」

張「私たちが今回事を起こしたのは、委員長に抗日の指導者になってもらうためであって、私たちがどんな結果を蒙ろうとそれは重要ではない。現在、彼はすべての条件を飲んでくれた。なのに、君はまだ何が必要だっていうんだ!」

楊「彼が帰ってしまえば、私たちの首はすぐに落とされると言っているんだ!」

張「楊虎城! 兵諌の前に、君は言っただろう。すべて私の指示に従う、と。その私が決めたことなんだぞ!・・・・・・事を起こす前、私たちは自分の利害や危険のことは顧みない決意だった。私も今回のことの指導者としてすべての責任を負うつもりだ」

楊(諭すような口調で)「・・・・・・張漢卿。君はきっと後悔する」

張学良、無言で背を向けて立ち去ってしまう。

 互いが感情的になってしまって、なんともまずい話し合い(この場合、内容が問題ではなくて互いに妥協点を探ろうとしていない点が感情的)。それでもどんどん頑なになるばかりの張学良に対して、最後にちゃんと冷静になるのが楊虎城(相手に感情的になられると、冷静になってしまうタイプか?)。

 「後悔する」という言葉も脅し的な意味ではなく、視野の広い楊虎城にはそれが既定のこととして予見できるのであり、激昂する張学良を諭し心配しての言葉というのもいい感じ。 

 しかし、ここでいったん二人は(と言うより張学良が一方的に)決裂してしまうのだが、後で張学良は楊虎城を呼び出し、

張学良「虎城、ここ数日、私もいらいらしていてね、君に当り散らしてしまったこともあると思う。あとでぶつなり罵るなり好きにしてほしい」

楊虎城(軽く苦笑)

Cap1206

張学良「でも今は時間が無い。君の助けが必要なんだ。(張学良、机から書類を出して渡す)これを」

楊「『東北軍の各軍長各師団長へ。私が陝西を離れた際に万一事故が発生した場合は、各自楊虎城の命令を聞き、その指示に従うこと。私は楊虎城を私の職務の代理に任ずる』・・・・・・漢卿、なんだこれは?」

張「・・・・・・ああ。君に私と一緒に空港に行って、委員長を送ってほしい。そして私も委員長と一緒に南京に行く」

楊「なにっ?・・・・・・漢卿、おまえ・・・・・・漢卿! 私は、どんなに止めても君が蒋介石を解放するつもりであることはもうわかっていた。だが、一緒に南京に行くのはだめだ! おまえはなんて奴なんだ。私に君が死に行くのを黙って見ていろと言うのか!漢卿!」

張「・・・・・・・私は他の誰も巻き込みたくないんだ。これは私がやったこと。だから私が行くべきなんだ」

 
 
 
 最初に、さっきは言い過ぎてごめんね、的なことを言う張学良をあっさり笑って許す楊虎城・・・・・・そんなに甘やかすからだめなんだよ、と言いたくもなるが・・・・・・次に張学良の一方的な宣言および20万の将兵押し付けに対して・・・・・・

「私に君が死に行くのを黙って見ていろと・・・・・」。

 これだけやられて、怒るポイントそこかよ!・・・・・・もう、なんていい人なんだ・・・・・・。

 そして張学良の部下の乱入もあって、いろいろうやむやのまま結局一緒に空港へ行くことに。その西安事変クライマックスの張学良蒋介石同行シーンをノンストップで再現。

空港に着き、蒋介石夫婦の後をついていく張学良。ふいに、楊虎城がその腕を掴む。

Cap1207

楊虎城「漢卿。ここまでだ」

張学良「・・・・・・」

Cap1208

蒋介石「・・・・・・そうだな。漢卿、ここまでにしておきなさい。南京に行ったら、ある者たちはおまえを罰するよう求めるだろう。向こうに行ったら、私もおまえを守ってやることはできない」

Cap1209

張学良「・・・・・・学良には、兄を送っていく義務があります。その後に何が起ころうとかまいません」

Cap1210

蒋「・・・・・・漢卿。それならこれだけは私の言う通りにしなさい。洛陽で飛行機を乗り換えろ。私と一緒の飛行機に同乗するな。南京の空港では、私の歓迎を準備しているだろう。おまえが私と一緒に飛行機から降りてきたら、彼らもいろいろと怪しむだろう」

張「・・・・・・」

蒋「美齢はどう思う?」

美齢「・・・・・・私もそれがいいと思います」

張「・・・・・・はい、ならば私はそのようにします」

(略)

蒋「よし、それでは行こうか」

(蒋介石、宋美齢飛行機へ。付き従う随員らとともに張学良も歩みだすが、再び楊虎城に腕を捉えられる)

Cap1211

楊「漢卿!」

Cap1213

張「・・・・・・」

Cap1196

 張、楊の手をはずし、タラップを上る。それを見つめる楊虎城。

Cap1214

楊「張学良!」

Cap1215

 張、振り返り、しばし見詰め合った後、ゆっくりと敬礼。

Cap1200

Cap1201

その後、飛行機の中に入り扉が閉ざされる。

 いやぁ~、もう感動的な場面ですね。楊虎城(泣)・・・・・・当たり障りの無い感想は書けないので、以下反転で当たり障りのある感想を(ここまで読んで嫌な予感がしている人は見ないでね☆)。

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2010年11月29日 (月)

『西安事変』32話~33話

あらすじ

 何応釣宋美齢の反対を押し切って、ついに軍の出動を命じる。

1187

孫文の公墓の前で出征式を行う何応釣

 その何応釣の元を日本の大使・川越が訪れ、国民政府は張学良楊虎城らの要求を断固として拒み、日本と防共について連携するようにとの大日本帝国政府の要求を伝える。何応釣は中国の内政に干渉しないよう川越に要求し、また秦橧ら中国歴史上売国奴と呼ばれている者たちも自分の評価を犠牲にして国のために尽くしたのだ、と思いをはせる。

 西安では東北大学の学生らが、西安防衛のための義勇兵にしてくれるよう楊虎城に頼む。上空では、爆撃機が何度も往来し、最後通牒をつきつける。張学良は西安に迫る中央軍と戦うため、捕虜の中央高官らや蒋介石に別れを告げる。蒋介石は内戦を停めるため、何応釣に三日間の停戦を命じる手紙を出す。

 孤立無援の張学良は、延安周恩来に手紙を出すが、楊虎城はソ連があのような否定的な見解を出している中で中共には期待できないと言う。

 一方、解放された雷剣邦は部下の金徳茎と蒋介石を救出しようと計らう。

 延安の周恩来から返事が来る。期待していなかった張学良であったが、すぐに西安へ向かう、との返事を聞いて大いに喜ぶ。

 17日夜、雷剣邦と金徳茎は、蒋介石の警備部隊の食事に毒を盛って彼らを殺害し、蒋介石の奪還を図るが、発見され銃撃戦の果てに射殺される。

 同じ頃、延安から到着した周恩来ら共産党の代表を張学良は歓迎する。

1189

西安に到着した周恩来ら共産党一行

 張学良と話し合った周恩来は、早期和平解決を提案。蒋介石に「内戦停止、一致抗日」誓わせを早期に解放する方向で話をまとめる。

 楊虎城は蒋介石を解放するのは反対であったが、最も蒋介石に恨みを持っている共産党がそれを放棄するのを見て、ついに周恩来の案に賛同する。

 20日、宋子文は国民政府における公人の地位を捨てた上で、西安に来て張学良と面会する。



感想

 28話の西安事変勃発以来、急に展開が遅くなった! と言うより、展開していない!

 なにしろこの5話でやったことと言えば、

・蒋介石の説得→失敗→説得→エンドレス

・宋美齢と何応釣のケンカ→エンドレス

 蒋介石なんて28話以来33話までずっとガウン姿だよ!

1194

 残り3話となってしまったけど、このペースで本当に終わるのかね、心配になってきた。

 

それはそうと、今回は憲兵隊の特務・雷剣邦と金徳茎が蒋介石の奪還を狙って失敗して死亡・・・・・・

 ・・・って、なに、このすっげーあっさりな殺されっぷり! まるでもうすぐドラマが終わるから手際よく片付けられたみたいな死に方だったよ!

1193

蒋介石奪還を図る雷剣邦と金徳茎(なんかすごいいい雰囲気だったのに、ヘタレ部下×苦労性上司的に

 趙文青と鐘父子の件といい、製作者はオリキャラを皆殺しにするつもりらしい! まだ生き残っているオリキャラ・柳葉児もヤバイな、これ。



 それともう一つのポイントは、張学良と会談するために美髭公と言われていた立派な髭を剃る周恩来。これは史実上でも有名な西安事変のプチエピソード。

1191

・・・・・・・・・私、ずっと前から思っていたのだけど・・・・・・

西安事変が周恩来に髭を剃らせた功績はもっと評価されていいと思うんだ!

 だってあの明らかに似合わない髭がなくなってこんな美人さんになったんだよ?

 1190

 でも周恩来は、きっと髭があったほうがいいとか見当違いな自己認識だったと思うんだ。だから西安事変で会談なんてことがあって髭を剃るのもいいかもって思う機会がなかったら、最悪建国後まであの髭ついてたかもしれない・・・・・・やはり西安事変はその点から見ても偉大だ。

 あ、あと何応釣が、中国史上最大の売国奴と言われる秦檜(北宋時代の宰相。宋に攻めてきた金と和睦し、その代償として金に抵抗する岳飛を無実の罪で処刑した)と自分を重ねて「国のためにあえた売国奴と言われることも厭わない」とか決意する場面があるけど・・・・・・こーゆー自己陶酔が一番タチ悪いんだよね☆

2010年11月17日 (水)

『西安事変』29話~31話

あらすじ

 張学良楊虎城は、捕らえた中央高官たちの前で南京政府の改組や西安に臨時軍事委員会を発足する宣言を下し、同意の署名をさせる。

 西安に連れて来られた蒋介石に面会する張学良。張学良は抗日を迫るが、蒋介石は彼を罵るばかりであった。続いて楊虎城が面会に来るが、彼が事件に関わっていないことを最後の希望としていた蒋介石は、楊虎城と西北軍も共犯であることを知り、絶望する。

 一方、西安市内では学生達が蒋介石の処刑を求めて集会を開いていた。

 12日の夜、蒋介石の妻で上海に滞在していた宋美齢や兄の宋子文の元にも西安の事件が伝わり、二人は居合わせたアメリカの友人・ウィリアムとともに南京へ向かうことにする。

 また陜北の共産党も張学良からの電報で事件を知り、彼らが蒋介石を捕らえたことを喜ぶが、今後の対応を巡って会議が紛糾する。

 南京でも何応欽らを中心に残っていた政府高官らによって対応策が話し合われる。張学良らと話し合うべきか、断固とした対応をするべきかで会議は紛糾するが、最終的には全会一致で蒋介石を危険にさらしても西安に対して軍事行動をとることを決定する。

 陜北の共産党支配地域でも蒋介石逮捕の報が広まり、蒋介石の処刑を求めて民衆が共産党に押し寄せてきた。

Cap1187

蒋介石の処刑を求めて中共中央に押し寄せる農民たち(羊付き・・・と言うか羊が可愛い)

 いったん自宅に戻ってきてくれた張学良を迎える趙一荻。彼女はためらいながら「このようなことをして、蒋介石夫人がどう思うか考えたか」と張学良に尋ねる。

 一方、要所を守る馮鉄哉らの裏切りによって西安の軍事的危機は一気に高まった。張学良らは紅軍と連携を図ろうとするが、その間にも中央軍の一部が東北軍と戦端を開く。

 南京に着いた宋美齢ら宋家の人々。西安の空爆が決定したことを告げられた宋美齢はそれに反対し、何応欽と激しく対立する。宋美齢は、蒋介石の夫人ではなく公人の立場から国内を混乱させるだけの軍事解決案を批判し、自分が西安に乗り込んで張学良らと交渉する、と主張する。

Cap1188

軍事行動を主張する中央高官と対決し、西安行きを宣言する美麗

 自宅に戻った楊虎城は、養女の趙文青が恋人の青年と行方不明になっていることを知ってショックを受け、妻を責め立ててしまう。

 張学良は再び蒋介石の元を訪れ、自分達が宣布した宣言を見せてその志を理解してもらおうとするが、蒋介石は聞く耳を持たなかった。

 張学良と楊虎城はホテルに軟禁中の中央高官を見舞う。雷剣邦は前非悔いていることを張に告げ、一人釈放してもらう。蒋介石は楊虎城だけを呼び出して、自分を南京に帰してくれればおまえの罪は問わないと持ちかけるが、楊も自分達の案に同意しない限り解放はできない、と言う。

 宋美齢、宋子文、戴笠らは何応欽らの軍事行動を抑えるため、黄埔軍校の卒業生である軍幹部たちに命令に応じないよう働きかけたり軍事費の支出を止めたりと対策をこうじる。また、美麗が乗り込む前に張学良の友人でもあるウイリアムに西安に行ってもらうことにする。

 張学良らは事件を報じる各国の新聞を読んでそれぞれの国の反応を分析する。しかし、ソ連の機関紙が思いもよらず西安事変を親日派と結託した陰謀と断じているのを知り、驚愕と怒りにとらわれる。

 ソ連の機関紙の社説は毛沢東ら中国共産党も知るところとなる。西安事変は日本の陰謀,ソ連は蒋介石を中国の唯一の指導者と認める,中国共産党は蒋介石を救うため尽力すべきとの主張に毛沢東は怒り狂い、張学良らに向けて中国共産党はあくまで今回の行動を支持する旨を伝える。

 一方、山西省閻錫山は張学良と南京の双方から協力を求められ困っていた。結局、それまで張学良の「内戦停止、一致抗日」を支持していた立場を捨て、そのため西安はますます孤立することになった。

 西安入りしたウィリアムは、蒋介石と面談し、宋美齢から預かってきた手紙を渡す。その手紙には、故郷を失った東北軍の抗日の主張には道理があり彼らと話し合うこと,自分も西安に行くことなどが書かれていた。蒋介石はウイリアムに宋美齢は決して西安に来てはいけない、と伝言を託す。

 何応欽は警備の名目で憲兵隊を宋美齢の家に配置し、彼女を軟禁しようとするが、戴笠ら復興社によって彼らは追い払われる。



感想

 今回は、宋美齢の独断場という感じ。と言うか、西安事変も起こしてしまって張学良サイドは逆にこれといった動きがなくなってしまった感じ(連合政府に向けていろいろ準備こそしているが)。

 皮肉なことだが、蒋介石を捕らえても蒋介石があくまで翻意しない限り、実は何も変わらない。事件を起こす前は、どこか事を起こせばすべての問題は解決するかのような雰囲気がドラマや西安サイドにはあったが、実際起こしてみれば逆に閉塞状態になってしまった。

 張学良は蒋介石という「切り札」を手に入れたが、「切り札」は適切な時に適切な相手に対して切らなければ意味がない。中国内外を震撼させ、主導権を握っているかのような張学良だが、実は彼も相手のリアクションを今は待つしかないという受身の立場に逆に置かれてしまったのだ。


  とりあえず、以前は対日問題でさんざん張学良に連携の意思を見せていた閻錫山が(やっぱり)速攻で裏切ったのが笑える。まあ、それこそ閻錫山らしいか。

って言うか、羊可愛いよ羊!




ピックアップシーン

 今回は国民党の恐怖の特務・戴笠の活躍(?)を。

 西安に軍事行動を起こしどさくさにまぎれて蒋介石を亡き者にしようとする軍事部長・何応釣とあくまで和平解決を主張し、交渉のため西安行きを計画している蒋介石夫人・宋美齢は激しく対立。何応欽は美齢の動きを封じるため、「身辺警護」の名目で美齢の自宅周辺を憲兵隊で封鎖。

 まさしく憲兵隊が美齢を軟禁状態におこうとした時・・・・・・数台の黒塗り高級車から黒服に身を包んだ男達が降りてきて、憲兵隊に「ここは我々の管轄になった」と告げて退去を要求。

 怒った憲兵隊の隊長は黒服の男を殴りつけるが・・・・・・そこに上海マフィアもかくやというような雰囲気で国民党の恐怖の特務組織・復興社のボスにして蒋介石の忠実な僕の戴笠が登場!

Cap1189

マフィアのドンのような登場の仕方をする戴笠

 彼はごく穏やかな雰囲気で憲兵隊の隊長に話しかけるのだが・・・・・・

憲兵隊長「戴、戴処長」

(戴笠、帽子をとってホコリをはたく)

戴笠「銃」

隊長「・・・・・・えっ?」

戴笠「おまえの銃のことだ」

Cap1190

隊長「あっ・・・銃ですね」

(隊長、とまどいながら自分の拳銃を戴笠に渡す)

Cap1191

戴笠「手」

隊長「・・・・・・えっ?」

戴笠「おまえの手だ」

Cap1192

隊長「は、はい」

(隊長、とまどいながら自分の片手を出す。戴笠、その手を取るといきなり拳銃を彼の手のひらに押しつけ、引き金を引く)

Cap1193

隊長「ぎゃああああ!!」

(手を打ち抜かれて倒れ、もがき苦しむ隊長)

戴笠「おまえの部下を撤収させろ。今後は、好き勝手に人を殴るな。よく覚えておくように」

(戴笠、歩きながら血で汚れた白手袋を捨てる)

 さすが戴笠! 隊長さんも額じゃなくて手を打ち抜かれただけで済んでよかったね!

・・・・・・・・・・・・じゃなくて。

 戴笠怖えぇぇーー!!

 いや、もう「おまえの銃」あたりで嫌な予感はしていたのだけど、「おまえの手」とか言いだいたら、隊長さん逃げて逃げてぇ~(←どこに?)、と心の中で叫んでしまった。もう、隊長さんが撃たれるまで何も気づいていないのに、バックに怪しげなBGMが流れていて、ほとんどジョーズが迫っているのに船の上の人が何も気づいていないシーンみたいだった。(戴笠はジョーズか?)

 確かに先に戴笠の部下を殴ったのは隊長さんだけど、殴られたなら殴り返すまでで止めておこうよ。殴ったら手を銃で打ち抜くって、いったい何倍返しだよ。

 ・・・・・・まあ、戴笠も大切な蒋介石があんなことになってしまって、冷静な顔をしつつも実は腸が煮えくり返っているんだろうな。


 ちなみに中国のTVドラマっていろいろ容赦ないので、手を撃ち抜かれて穴をあけられるシーンもばっちし画面に映ってましたが・・・・・・ここでは割愛させてもらっちゃうぞheart

 あと、中国のドラマでは反抗する部下を問答無用で撃ち殺すシーンとかけっこうあるのだけど(たいてい額を撃たれて殺される)、命に別状は無いにも関わらず、こっちのシーンの方が怖い。「おまえの手」って・・・・・・。


 もう一度、羊を見て癒されよう。

Cap1194

 

 

 

2010年11月 7日 (日)

『西安事変』28話

※11月8日一部訂正あり

あらすじ

 華清池襲撃と同時刻の12月12日朝5時、東北軍は省憲兵隊を、西北軍は中央高官が泊まるホテルを襲撃。

 省憲兵隊主任の雷剣邦は、部下の金徳茎の助けで逃亡を図るが、結局捕まってしまう。ホテルでは就寝中の中央高官が次々捕まり、同じホテルに泊まっていたアグネス・スメドレーは事態を知りたがるが、西北軍将校に止められてしまう。

Cap1125_3

西安事変の現場に居合わせるアグネス・スメドレー 

 張学良楊虎城は、無事に西安を制圧し要人を捕られたことを喜ぶ。しかし肝心の蒋介石が未だに捕まらないとの報告に衝撃を受け、張学良は華清池襲撃の劉多茎になんとしてでも蒋介石を保護するよう厳命する。

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