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2012年3月 8日 (木)

『鉄道遊撃隊』10話~12話 感想

 うおおおおおお、先日見た『鉄道遊撃隊』30話燃えるわぁぁーーー!! おもしれぇぇぇ!!!  『鉄道遊撃隊』はどの回も安定しておもしろいけど、この30話は特に神回。

 鉄道遊撃隊の根拠地・微山湖の島に押し寄せる日本軍の大軍! 南ベトナム解放戦線ばりのトラップと工夫をこらした武器でそれを三度まで撃退する鉄道遊撃隊! だけどいい加減兵力の差で疲れてきて次の攻撃は乗り切れるかちょっと心配な隊員の面々、と、そこで小坡が歌いだす『弾起我心愛的土琵琶(愛する琵琶をつま弾いて)』!! その歌声に元気づけられ、立ち上がって悲観的な雰囲気を吹き飛ばし「日本軍の最後の日は近い」と歌いだす隊員たち。しかぁし! 日本軍は「日が沈む前にいかなる犠牲を払っても微山湖を落とせ」との命令に最後の総攻撃を開始! 圧倒的火力差の前についに鉄道遊撃隊の防衛線は崩れ撤退を余儀なくされる、しかしそうはいってもすでに日本軍に包囲されてしまっている、いったいどうすれば!? そこで元日本兵、今は反戦同盟かつ同遊撃隊の隊員でもある田中が満を持しての大活躍!!  日本語を使って日本軍を騙し、みごと日本軍の眼前での鉄道遊撃隊微山湖脱出を成功させる!! 原作でも簡単な日本語を使える隊員が日本兵を騙していたが、今回は日本語ネイティブの人物(日本人だし)田中君を使うことでよりリアリティと緊迫感あるシーンとなった。くぅぅぅ、お姉さんは君の活躍を待っていた!!30話冒頭から田中君を目立たせていたので、原作既読者としてはそういう展開になるだろう(って言うか田中君が反戦同盟になった15話あたりからそういう展開になるかと思っていた)と思っていたらやっぱりそういう展開になった時のカタルシスはひとしおである。

 さて、30話語りはここまでにして、ここでの紹介はまだ10話~12話です(汗)。

 今回の最大の見所と言えば劉洪VS山口大佐の超人バトル!



君はあの人外魔境バトルを見たか!? 


 切れ者山口大佐に抗日組織の隠れ蓑ではないかと疑われる「義和炭廠」。洋行の金山を免職にし着々と証拠を集めていく山口大佐! 対する鉄道遊撃隊一の司令塔・李正は、先手必勝とばかりに証拠が揃う前に山口大佐を亡き者にすることに! 

 ・・・・・・いやぁ、殺られる前に殺ってしまえとためらわず決断する、さすが李正様です、ガクガクブルブル・・・・・・しかもその方法が夜中に洋行に押し入って寝込みをヤッてくる、というこの前と同じと言うか、大丈夫ですかそんな単純な方法? って作戦です。


 ともかく、夜の闇にまぎれていつの間にか十数名に増えていた隊員たち(←本当にいつの間に増えたんだ?)は洋行に侵入。劉洪はザコの日本兵は隊員たちにまかせて山口大佐の部屋に向かったが、李正はどうしていたか? なんと純戦闘員とは言えない李正も今回ばかりは襲撃に参加、日本兵の一人を拳銃の背でめった打ちに殴打し倒れた所を後ろから馬乗りになって首を羽交い絞めにし一気に絞め殺す、もしかしたら首の骨を折ったのかもしれない・・・・・・ううう、いかにもおとなしくて温和そうな顔していてやる時は徹底的に容赦の無い李正様、やはりこの人を怒らせては絶対にいけない、ということがよくわかる場面でした。


 さて、それは置いておいて、一人部屋の山口大佐はすでに死装束・・・・・・じゃなくて真っ白い着物を着て眠っていた山口大佐は異変に気づいて飛び起きるが、その瞬間、劉洪が障子を破壊して部屋に入ってくる。暗闇の中、突然劉洪に懐中電灯の明かりを顔に当てられ、思わずまぶしさで目を腕で覆ってしまう山口大佐。しかし、すぐにキッと劉洪を睨みすえ傲然と言い放つ。

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「貴様、何奴!」

 それに対してやはり劉洪は堂々とした返答。

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「鉄道遊撃隊だ!」

 このあたりのテンポがものすごく良い。 


 ・・・・・・だが、この山口大佐、戦傷のためか片足が不自由で松葉杖が無ければ歩くことも出来ない身体という設定。いくら宿敵・特務の大物とはいえ遊撃隊最強の男が足の不自由な男を襲うのは絵的にどうよ? とか、そんな敵とバトルになってもおもしろくないんじゃない? と通常ならそんな疑問も起きるが、そんな心配はいらなかった。山口大佐と言う男は、歩けないくらいは何のハンデにもならないような男だったからだ!


 山口大佐は劉洪が襲いかかるより一瞬早く、おそらく痛めていない方の足でそばにあった小さな机を劉洪に向かって蹴り飛ばす。なんなくそれをよけた劉洪は刀を振り下ろすが、大佐はすばやく床を転がって攻撃をよけ・・・・・・片足で屏風を蹴りその反動でジャンプ! そのまま空中を回転しながら立てかけてあった松葉杖を掴みとる!!

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 ・・・・・・・・・・・・いや、ちょっと、寝転がっている状態からどうしたら片足だけで↑のような回転ジャンプが可能になるのか・・・・・・とツッコミを入れたかったが、すぐにそんなものは何の疑問でもなくなるような驚愕の展開に続きました。


 なんと山口大佐は二本の松葉杖を畳につきたてて再びジャンプし、襲ってくる劉洪の頭上を飛び越えて攻撃を回避したのだった! その瞬間をカメラは捉えた!

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 見よ! この白鳥が飛び立つがごとき美しき飛翔を・・・・・・・・・・・・・・・・・・って、そんなバカなぁぁぁぁ!!!

 いやいや、この前に李九の一対多数での列車バトルに匹敵する超人バトル再びである。多少痛めて無いほうの足の力はあったかもしれないが、これは基本的に松葉杖を持つ腕の力だけで飛んでいるということに・・・・・・はっ!? これがもしかしてあの有名な「テコの原理」!?(←違う)。しかも劉洪の攻撃を避けつつ、天井に激突しない程度のなんとも見事な力加減!!


 ありえない方法で攻撃を回避された劉洪だが、さすが歴戦の戦士と言うべきか、今さっき起こった超常現象っぽい何かに動揺することもなく、青竜刀で切りかかる。その攻撃を木製の松葉杖で次々とさばく山口大佐! さすが日本製と言うべきか、メイドインチャイナな青竜刀の斬撃を受け止めても切れないらしい。しかも松葉杖を二本とも地面から離しているので、痛めて無い方の足一本だけで踏みとどまりながら剣戟を繰り広げているというわけである。

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 しかし山口大佐はついに松葉杖の一本を畳に突き立てる。さすがに足一本では支えられなくなったかと思ったが違った。なんと片足でジャンプし、その松葉杖を軸に駒のように空中で回転し劉洪の攻撃を避けたのである!! 見たままを書いているが、たぶん何のことか意味不明なので再現画像を↓

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 まあ、こんな感じです。一説によると現代中国の特殊部隊は棍棒で人喰い鮫の群れと一人で戦うことができるようなので(超強台風参照)、かつてアジア最強と言われた日本軍の大佐が↑のようなマネが出来たとしても何も不思議はない。


 しかし、この曲芸、あんまり意味が無かった。

 なぜなら、劉洪が青竜刀で駒の軸となっている松葉杖をぶった斬ってしまったからだ! ・・・・・・あ、一応斬ることができたんだ、松葉杖。さっき青竜刀の斬撃を受け止めていたからもしかして木製に見えるだけで実は鉄製なのかと思った。


 と、せっかくの曲芸があだとなり体勢を崩す山口大佐。しかしどういう原理からか場面が切り替わると体勢を立て直しており、片足だけで劉洪を追い詰めてふっとばし(このへん、もはやドラマ制作陣もどういう原理の攻撃なのか説明を諦めているっぽい)、倒れた劉洪に日本刀で襲いかかる! しかし、駆けつけた王強の助太刀でなんとか山口大佐の刺殺に成功!

・・・・・・ああ、こんな素晴らしい敵キャラを物語後半で殺してしまうとは、生きていればこれからどんな人外魔境な動きで鉄道遊撃隊の好敵手となっただろうに・・・・・・しかし、毎回こんな技を繰り出されては、このドラマが何のドラマかわからなくなるのでこれで良かったのかもしれない。 




金山さんの悲劇?


 さて、ちょっと超人バトルから離れて今回で退場になったもう一人の前半重要キャラ・金山について。

 まず最初に原作との違いを説明すると、ドラマ版の金山は原作ほど悪いことはしていないし、根もそこまで悪い人間では無いかのようになっている。原作では中国人の王強の前で、かつて現役軍人時代に捕まえた中国の農民を日本刀で試し切りしたことを得意になって話すような人間だったが、ドラマ版ではそのような描写はない。(最もドラマ版では全体的に日本軍の戦争犯罪はあまり描かれることはない。原作では従軍医師たちが捕虜を生体解剖した話や、彭亮の妹が強姦されかける場面があるが、ドラマではすべてカットされている)。


 そういうわけでドラマ版の金山にはそこまで悪い人間という印象は無い。もちろん中国人労働者にいばりちらし、時にはためらいもなく暴力も振るうが、基本的には金儲けが何より大切な小物という印象である。「大日本帝国のため」「大東亜共栄圏のため」というのはあくまで建前にすぎないのがよくわかる。金山の前任者もそういう人間ではあったが、それをもっとうまく糊塗し、収賄と流用を行いながら表向きはあくまで「忠実なる天皇陛下の臣民」を演じていた。

 金山はもっとあからさまだ。あるいは本音を建前で隠すことがうまくできなかった。そして仲の悪かった上司二人が抗日組織(劉洪たちね)に殺害されると、その死を悲しみ抗日組織への復讐を誓うどころか、自分の出世のチャンスとして密かにその事態を喜びさえする。一般の中国人労働者には傲慢な態度を取るが、「命の恩人」(実は自分を殺しかけた相手なのだが金山は知るよしもなし)で良い商売仲間と認めている王強に対しては好意を隠そうともせず、彼が憲兵隊に疑われるたびに身体を張って守ってやっている、まさしくそういう所を王強に利用されているとも知らずに。金山はもちろん善人ではないし、これはこれでタチの悪い人間ではあるが、どこか憎めない小悪党であった。


 しかし、その金山は山口大佐によって収賄と不正取引の疑いで洋行社長の座をなすすべもなく追われてしまう。元々、洋行は日本軍の特務組織的位置づけだったし(ちなみにたぶん金山はそのことを忘れ去ったかのように自分の金儲けに邁進していた)、日本のために棗庄の物資を収奪する機関だったわけだが、それでも経営陣に退役軍人を配するなど表向きはあくまで「民間」会社としての体裁を保っていた。しかし、それが山口大佐の乱暴な措置によって、あからさまに日本軍の直営会社とされてしまったのだ。金山は信頼していた憲兵の岡村の元に助けを求めてに行くが、かえって岡村も山口大佐と結託して自分の洋行追い出し=日本軍直営化にかんでいたことを知ってしまい愕然とする。

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山口大佐(左)の前では蛇ににらまれたカエル状態の金山(右)


 この一連の出来事から何が読み取れるか。金山は確かに洋行の中国人苦力にいばりちらしていたが、山口大佐の前には手も足もでない。金山は確かにタチの悪い人間ではあったが、そんなものは日本軍という組織をバックにした山口大佐や憲兵・岡村の力の前には何ほどのことも無い。本当に怖いのは個人的に人を2,3人殺した人間ではなく何万人の人間の運命を握る権力者である、と言う言葉を思い出すべきか。

 ただ自分のために己の欲望に忠実に金儲けに邁進していた金山は、「大日本帝国のため、大東亜共栄圏のため」というご立派な「公の正論」を掲げた山口大佐と憲兵・岡村によってあっさり捨て去られてしまった。本当に悪質な恐るべきものは何か? 金山の哀れな転落は、時勢に乗って出世した庶民のその足元が砂上の楼閣であること、そして「公の正論」と「個人の欲望」の矛盾と後者の無力さを体現しているように思えてならない。


 ところで山口大佐によって窮地に立たされた金山が、訪ねてきた王強の前でうなだれはげまされる場面がある。さすがにかつての部下に自分の苦しい立場や泣き言を直に言ったりはしないが、すでに王強に対して藁にもすがるような思いになっている様子が見て取れ、二人の立場が少なくとも精神的には逆転してしまっていておもしろい。こういう所も金山が根は素直で単純であるのが見て取れるし、またそこまで自分を信用させてしまっている王強の手腕のすごさがわかるというもの。でも王強は金山に全然同情していないけどね☆

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王強の前で弱気な態度を見せてしまう金山、立場逆転





驚愕の事実、金山(本物)は知っていた!?




 と、ドラマ版のお人よしな金山さんはさんざん鉄道遊撃隊に利用されたあげく、内通を疑われて岡村に逮捕され軍法会議送りとなるまあ可哀そうと言えば可哀そうにな運命になったわけだが、史実は実はちょっと違ったようだ。

 前にも書いた通り、原作の『鉄道遊撃隊』の登場人物には具体的なモデルがいる。この金山にもモデルとなった日本人がいて、その名も「金山」(そのまんまやん)。洋行の日本人経営者の中でも下っ端で、二人の日本人上司にいじめられる日々を過ごしていたが、洪振海(劉洪のモデル)と王志勝(王強のモデル)らが二人の上司を暗殺したため、棚からぼたもちで洋行のトップの座につくことが出来た。そして襲撃の際に自身も重傷を負うが生き延び、翌朝何食わぬ顔で出勤してきた王強に助けられて以来、彼を命の恩人として優遇している。ここまでは原作・ドラマと同じ。

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「洋行」のモデルとなった実際の「正泰洋行」跡

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市の文物保護単位らしい


 ところがドラマ『鉄道遊撃隊』のDVDにはおまけとしてメイキング映像ついているのだが、ここに出演している棗庄の歴史家がこんな証言をしている。それは日本軍の直営となった洋行を再度襲撃するため、王志勝が醤油を買いに行くふりをして洋行に偵察に行った時のこと。

 実際のところ、金山はすでに王志勝が八路軍の人間だということを知っていた。ただ、彼は(洪振海と王志勝の)が最初に洋行を襲撃した件で、(憲兵隊によって)不公正な疑いをかけられて裁判にもかけられていて、そのことをとても恨んでいた。彼は王志勝を利用しようとし、(偵察に来た)王志勝を洋行の中に入れてやった。

 なのだという。ではなぜ金山が王志勝の正体に気づいていたかどうかわかるかと言うと、同メイキング映像には王志勝の息子の証言もあり

 彼は(洋行の)部屋という部屋について、どこに何人住んでいるか武器庫には何があるかその他の部屋には何があるか、洋行の中を一回りしながら父に教えた。(略)それで最後に(持って来た)瓶に二斤分の醤油入れてもらって支払いをしようとした時、まずいことに気がついた。金は内ベルトにはさんであるが、銃も内ベルトに隠してきたのだから。もし金を出そうとすれば、銃も見えてしまう。ちょうど他の日本人も近くにいて父は大いに焦った。いったいどうすればいいのかと思っていた時、金山が代わりに代金を出しながらこう言った「どうやら王さんは金が多過ぎて持ってくるのを忘れたようだね」。

 とのことだ。ちょっとこの証言では金山が王志勝と共謀していたのか、それとも互いに直接的な打ち合わせはせず以心伝心でいたのか不明だし、金山が本当に王志勝の正体を知った上で洋行の内情について明かし窮地を救ったのかすべて単なる偶然だったのかはっきりしないと思うが、もし本当に知った上で協力していたのだったらおもしろい。

 祖国のため大日本帝国軍のためなどということよりも個人的な恨みを優先し、敵国人に自分をふみにじった同胞を襲わせて一矢報いる。これはこれであの時代になかなか見上げた根性を持った日本人にもいたものだと思う。

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