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2011年10月13日 (木)

『狙撃手』11話~12話前半 感想

感想  



 とりあえず、11話から12話の前半まで。



 11話~12話は、中国軍が空前の大敗北を期した中条山戦役を舞台にしており、そこで描かれた戦場の様子はこのドラマの白眉であり、監督の力の入れようが伝わってくる。


私はそう思うゆえに、ある希望をこの作品のテーマに込めた。それは、私たちに必要なのは平和であり,戦争はいらない,武器を捨てよう、ということだ。このような反戦の心を持ってテーマと向き合い、それをテーマにこめた。(
http://ent.qq.com/a/20090928/000429.htm


 これは高希希監督がインタビューで語った『狙撃手』のテーマである。「反戦」を表現する方法は多くあり、監督はその一つとして<白兵戦>を描くことに徹底的にこだわったように思える。


  今までも2話~3話の塹壕での銃撃戦においても「戦場の狂気」はうまく描かれてきた。しかし、姿が見えない相手に向かって塹壕の中から行う銃撃戦は、まだしも一片の「正気」が残っていた。そこには例え圧倒的な恐怖に支配させられている場であっても、個人の資質によって「勇気」「愛国心」「信頼」などの逆境に発揮されてこそ崇高な感情が入り込む余地がかろうじてあった。 

 しかし、監督は<白兵戦>を銃撃戦や塹壕戦とは徹底的に異なるものとして描きだす。そこには一片の「正気」もない。「人間性」もなければそもそも「個人」さえもないし、中国軍と日本軍の区別さえもない。


 そこには、ただ目の前の相手と殺しあう獣がいるだけである。


 <白兵戦>と言うと、銃剣で刺突するというイメージがある。しかしドラマ中ではむしろ銃の底で敵の頭部を強打する場合が多い。実際はどうなのか知らないが、なるほど、そうして見ると銃剣で刺突よりもよっぽど現実的な攻撃方法に思えるし、現実の戦場でもそうであるように思えてくる。そして、刺突よりもさらに原始的で野蛮であり、それこそが「戦場」であるようにも。

 殺し合いは銃剣を用いるだけはない。相手を投げる、組み敷く、殴る、首を絞める・・・・・・ありとあらゆる野蛮な方法が画面狭しと繰り広げられる。

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取っ組み合いで相手を絞め殺そうとする中国兵と抵抗する日本兵

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火だるまになりながらも相手を離さない兵士たち

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相手の剣で首をはねようとする中国兵と抵抗する日本兵

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 銃剣を落とし必死にそれを拾うとする石頭。だが寸でのところで拾わせまいとやはり必死な敵に足を捕まれ引きずられていく。

 またある者は腕を切り落とされ、ある者は頚動脈を切られ、敵を追い詰めたと思いきや逆に背後から切りつけられ、あるいは自らの身体が炎に焼かれているのも失念しているかのように妄執的に相手につかみかかる・・・・・・。


 そんな場面がひたすら延々と続くのである。


 それはまず何よりも視聴者に生理的嫌悪感を起こさせるだろう。 

 そう、それこそがきっと、監督のメッセージなのだと思う。

 人と人とが殺しあうとはかくもキモチワルクおぞましいものなのだと。


 今までも相当つらい目にあってきた竜紹鉄だが、今度はまた格別の打撃であっただろう。本当に、製作側は徹底的に主人公を痛めつけるつもりなんだなぁ、と言うのもよくわかる。

  今まで人との関わりを避けてきた竜紹鉄は、新兵たちを戦場から生還させるため、自ら教育係となり彼らを鍛える。それは、彼らに対して愛着を持ち始めている自分を自分でも意外に思うほどの変化であった。


 しかし、彼の努力と想いはすべて水泡に帰す。


 前線の壕で待機を命じられた新兵たちは戦闘参加を望み、追い詰められた司令部も彼らを戦闘に投入することにする。しかしこの期に及んでそれを聞いた竜紹鉄は「やめてください! 彼らをみんな死なせるつもりですか!」と言うのである。すでに日本軍に完全に包囲されている状況で戦おうと戦うまいと彼らが死ぬのは確実だというのに。

 そして新兵たちの元へ駆けつけた竜の横を(しかし彼はいったい駆けつけてどうするつもりだったのだろう?)雄たけびをあげながら新兵たちが駆け抜けて行く・・・・・・ただそれを呆然と見送るしかない竜はまさしく無力そのものだ。

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自分の横をすりぬけ突撃していく新兵たちを呆然と見守る竜


 しかも新兵たちは結局日本軍に敵わず崖に追い詰められ、石頭を初めとして次々と黄河に身を投げてしまう。

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 竜紹鉄はその場面をもしっかり見てしまった。


竜紹鉄は石頭と新兵たちが黄河に身を投げる悲壮な場面をはっきりと見た。彼は狂ったように銃剣を振りかざして敵陣に突入し、最後の気力を振り絞って鬼子と戦う。目の前に血が飛び散り、彼は心中で念じ続けた。 「好兄弟、俺は来たぞ! 石頭、俺は来た!」(小説版P115)


 彼は完全に死ぬつもりだった。しかし寸でのところで八路軍と大春に救われてしまう・・・・・・。



 11話と12話の戦場シーンは、本当は言葉では語れない。このシーンだけでも何とか見てもらいたい、と思う。・・・・・・もっとも、あまりにむごたらしいシーンが延々と続くので、覚悟しないと(しても)相当の精神的打撃を被るだろう。

 日本では同じ頃、『坂の上の雲』のドラマの日清戦争の戦闘シーンが話題になったが・・・・・・私は見てないけどネットで評判を聞く限り、迫真と言われるその戦闘シーンも『狙撃手』には到底及ばないように思える。・・・・・・て言うか、これ日本だったら確実にR12指定くらいは受けるかな?



 それにしても(繰り返しの写真になるが)、惨敗した戦場で高らかに詠う↓の兵士の図が一枚の絵画のようで本当にすばらしい。

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