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2011年8月

2011年8月24日 (水)

お知らせ

 諸事情により9月まで更新できません(汗)。

 9月になったら通常更新を目指します。

2011年8月15日 (月)

『狙撃手』9~10話 感想

感想


 今回は瀕死の重傷を負ったことで、竜紹鉄が軍人としての自分はどうあるべきか悩むのが主題? 

 過酷な戦場になじめない竜紹鉄はずっと軍人とは何か,戦争とは何か,その中で自分はどうあるべきか悩んでいただろうが、彼が深い迷いの森の中に入ったのは直接的には先の事件が引き金となったのであろう。

竜紹鉄「私はドイツの軍事学校で最初に学んだことは、軍人の最大の職責は命令に絶対服従することだということでした。如何なる時でも徹底的に服従するようにと・・・・・・・・・しかし、あの時、私は民衆が日本兵に襲われているのを見ました。・・・私には大春たちが間違っていたとは思えないのです」

 8話では、大春たち八路軍の勝手な行動で任務を台無しにされたことを静かに怒り、そのため大春を冷たく拒絶していたように見えた竜紹鉄。しかし実際には、大春たちの行為を否定することができない自分自身に対する戸惑いが大きかったようだ。それは「命令に絶対服従」という叩き込まれた軍人としてのアイデンティティの根底を揺さぶる思いであり、そのことに対する戸惑いと反発が、大春に対する反発という形で現れたのではないかと思う。


 竜紹鉄はおそらくその戸惑いと正面から向き合うことにしたため、いろいろな人に相談する。

 その最初は、北伐に参加して以来15年以上軍人一筋でやって来た段旅長。

段旅長「あまり悩むな。君は一人の軍人だ。そういうことは君が決定を下すことではない」

段旅長「君のこの種(任務か民衆の救済か)の悩みはよく理解できる。私もかつて似たような経験をした。これは軍人の運命なのだ。痛苦、自責、迷い、悲しみ、疑い・・・・・・私も軍人になったばかりの頃は、君と同じだった。しかし戦場経験を積んでいくうちに、きっと鍛えられてくる。信じなさい、時間がすべてを解決してくれる」

 段旅長のこの言葉を受け入れることができれば、竜紹鉄も楽であったろう。しかし後に林団長からも「誰かが君を救うには、君は聡明すぎる」と言われたように、竜は簡単に自分を納得させるには利口すぎたし、納得もしていないのに自分をごまかすには妥協を知らなすぎた。

竜紹鉄「・・・・・・鍛えられる、ですか? それは冷血になるということではないですか?

 竜紹鉄は旅長に難題を出してしまった、と思った。旅長は職業軍人としてずっと生きてきて、上官の命令を忠実に実行してきた。彼は「何故?」と問うたことがない。竜紹鉄は彼に自分の未来の姿を見るような思いだった。(小説版P84)



 竜紹鉄は次に林団長に相談する。林団長は段旅長と違い、元は大学の歴史学科の学生で、戦争さえ起きなければ一生、軍事とは無縁であるべき人物だった。

 

林団長「もし、このような戦争が起きなければ、私たちは決して軍人になろうとは思わなかったろうね」

竜「私の場合は、違います。私の父は軍人で、彼は私が小さい頃から軍校に通わせました。彼は私に軍人として出世して欲しいと願っていたのです」

(中略)

竜「林団長。学生から指揮官の立場になる中で、何か迷ったことはありましたか?」

林「君が何を言いたいか、よくわかる。段旅長とも話したのだが、今の君は相当思い悩み、その悩みを少しも手放すこともできない、と」

竜「段旅長は私のことをよく理解してくれています。しかし、彼には私を救えません。大春が、戦争中の軍人にとって生きるのは死ぬよりつらい、と言っていましたが、その通りだと思います」

林「他人が君を救うには、君は聡明すぎる。君は自分自身で答えを出すしかない。戦争というのは、どこで起きたものであろうと、成功しようと失敗しようと、無数の若い命が犠牲になる。軍人が戦場で国のために身を捨て、戦死するのは勇気がいる。しかし戦友や部下の犠牲と流血を受け入れて、しかもある時にはそれが自分の失敗によって、最も親密な戦友が自分の腕の中で死ぬということを受け入れて生きるのはさらに勇気がいる」

竜「わかっています。しかし私はそれに耐えられないのです」

林「君の経験は、とても常人には耐えられないことだろう。忘れるしかない。しかしこれだけは覚えておきなさい。君と君の戦友の犠牲、苦しみには意義がある。私たちがやっているのは反侵略戦争だ。私たち・・・私も君も含むが、歴史は必ず私たち祖国のために戦った中国軍人を記憶するだろう。これは軍人にとって名誉なことだ。しかし、その名誉は戦争によってもたらされるものではない。人間の本質、人間の高貴さによってもたらされるのだ。軍人と野獣や侵略者を分けるもの、それは私たち自身の変ることの無い共感の心にかかっている。」

Cap058  

竜紹鉄の問いに答える林団長

 林団長のこの時の話は、このドラマに流れるテーマそのもののようである。「その名誉は戦争によってもたらされるものではない。人間の本質、人間の高貴さによってもたらされるのだ」との言葉は、その正しき意味を個々人がしっかり把握できれば、希望を探す指針となりうるだろう。


 また竜紹鉄は九児にも

竜「ずっと聞きたいと思っていた。どうして君のような少女が軍人になろうと思ったんだ?」

九児「・・・(略)。おじいちゃんが亡くなった時、八路軍が私を育ててくれたわ。それで私は知ったの、この世界にはまだこんなにたくさんの家族がいるって。今、私は大人になったわ。私は私の家族を守ることができるようになった。私には私の家族がひどいめにあうのを見過ごすことはできない。私たちは日本人とは違うわ。彼らは中国人を人間扱いしないことで、逆に自分達で自分達を獣へと貶めてしまった。(中略)私たちには理想がある。私達は新しい中国、新しい社会のことを考えている、私たちの家族、戦友、兄弟姉妹のことを想っている。二度と誰も苦しむことのないことを願っているの。これが私が軍人になった理由」

Cap059

竜紹鉄の問いに答える九児

 侵略者は被侵略国の人間に非人道的な扱いをする。しかしそのことで逆に自分達自身を貶めている、という話はもっともだと思う(さらに一歩進めて言えば、日本軍という組織は内部の日本兵に対しても虐待的な組織であった)。これは植民地の宗主国を被植民地の人間の関係にも当てはまる。だからこそ、侵略や植民地主義と戦う側には、侵略者や植民者よりも高い道徳性と人間性が求められ、むしろそれこそが勝利の鍵と言ってもいいのではないかと思う。


 竜紹鉄の聞く順番が段旅長→林団長→九児と、どんどん軍人らしからぬ人へとなっていくのがおもしろいかも。こうすることで、職業軍人一筋の人とは違う視点が竜の中に取り入れられていくということかな? 

 しかし、ちょっと納得行かないのが、竜が全然大春には聞こうとしないことだ。後に判明する大春の、今の明るくたくましい様からは想像できないような暗い過去を考えれば、彼にこの「軍人のあり方、なぜ戦うか」の問題を問えば、また興味深い回答が返ってきそうだったのに(って言うか私が聞きたかった)。

 竜紹鉄が九児が軍人の道を選んだことには疑問を抱いても、大春に対して同様の疑問を抱かないことも納得がいかん。それは大春は軍人に適当な年頃の男で、しかも経験豊富な「悪擦れした老兵」でもあり、彼が戦場で戦うのは九児のような少女が戦うよりも自然に見えるかもしれない。でも、軍人になってあたりまえの人なんて本当はそう多くはないのにね。しかも大春は「大春たちが間違っているとは思えない」という竜の悩みの引き金を引いた存在だし。



 なにはともあれ、竜紹鉄も一定の心の整理がついたらしく、傷が治るなり段旅に戻る。日本軍の大規模攻勢が近づいている、という情勢の下、新兵訓練の任を受ける竜。彼は、自分が訓練した新兵が戦場で死んだらまた彼が傷つくのではないか、と心配する蘇雲暁にこう応えるまでになっている。

蘇「あなたはまた学生兵を指揮するつもりなの? 過去のことを忘れてしまったの? 彼らはただの学生よ、愛国心が強い以外は何もない、なんの軍事的才能もない! 戦場で砲弾の的になるだけよ!(中略)あなたはまた彼らを率いて、目の前で一人一人死んでいくのを見ることになるのよ! またあなたは傷つくわ!」

竜「過去にはそうやって悲観的に考えたかもしれない。しかし今は、学生兵たちをみすみす死なせはしない。俺は彼らを救うため力を尽くす。わかったか?」

 過去、他人に責任を持つことを忌避し、一人で黙々と任務をこなしていたかった竜紹鉄もそれが困難なことだからといって目をそらして逃げるのではなく、あえて引き受ける道を選ぶようになった。


 また、文軒のことをあいかわらず嫌ってはいるものの、妻の件で自分に恨みを抱く彼に対して

(俺にはこの男の苦悩が理解できる。彼はまだ彼女の本当の気持ちが理解できていないのだ)

Cap012

文軒の宣戦布告に対しても以前のような敵意は抱かない

と思うまでになっている。単に文軒を徹底的に嫌い、彼の心情を忖度する必要性を感じていなかった頃からだいぶ成長した、と言えるだろう。



 一方、芥川のこともちょっと見ておこう。

 芥川は竜紹鉄を倒すため大野連隊に派遣されてきていたので、竜が死んだ(と思われた)今、本部(どこ?)に戻るために。大野連隊長は芥川が去るのを惜しみつつ(←この人の度量の大きさはハンパじゃないな)、「本部に戻ったらどうするつもりだ」と問う。

芥川「本官は、本部に提案したいんです。各連隊に狙撃の訓練班を作り、若い人材を育成する。私一人の力で敵と対処するのは、やはり実に困難を極めます」

 この時の芥川君も基本無表情だが、その顔には珍しくも少し無邪気な様が見え、声も少しだけ高揚しているように見える。それはまるで小さな子供が自分の将来の夢(例えばサッカー選手になりたいとか)を語る時のようだ。

 冷酷でリアリストな芥川君が自身の夢を語る時にふと見せた別の側面が一度だけ垣間見えた場面である。・・・で、語っている「夢」の内容がアレなのが、実に皮肉でもある場面でもある。




ピックアップ場面

九児「前は字の勉強をするくらいなら処罰を受けたほうがましだって言っていたのに、字典まで持ち出して書くなんて、明日は太陽が西から昇るのかしら?」

 
 大春が辞書を片手に(←よくわからない文字も多いから)、二勇が母親に出す手紙を悪戦苦闘しながら代筆する(←二勇は完全に文字の読み書きができない)のを見て、勉強しているのかと思った九児の一言。

 大春の勉強嫌いを実に的確に言い表す九児。って言うか、可愛いな大春。


 さて、九児が竜紹鉄のことを好きなのが気に入らない大春は、地主階級を好きになるのは「階級立場」上とても問題だと文句をつけます。それに対して九児は大春に何の関係があるのかと怒りますが、

大春「おまえの階級立場には問題がある、ああ、すっごく問題だ」

(略)

九児「私が誰を好きだとか、あなたに何の関係があるのよ」

大春「俺は党支部の副書記だぞ。おまえの問題は、当然支部にそして俺に関係がある

九児「組織のことを持ち出さないでよ! 私が彼に関心があるのが本当だとして、別に何も間違っていないでしょ。『団結して抗戦する』というのは党の政策方針じゃなかったの?」

大春「政治レッテルを持ち出すなよ。党の政策なら俺だってわかっている。「団結抗戦」はべつにおまえにあいつを好きになれなんて言ってない

 なんか楽しい会話だな。ようは三角関係のもつれのはずなのに、「階級立場」やら「組織」やら「政治レッテル」やらがナチュラルに飛び交っているのは。

 マルクス主義を生半可にかじった共産軍の一般兵士のこういう会話は、中国やベトナムの映画・ドラマ内のコミカルな場面でよく見られる手法で、けっこう好きなパターンです。当人同士は真面目にマルクス主義用語を使っていてそれがかえって笑えるパターンと当人もわざと誤用して楽しんでいるパターンに大きく分かれます。



 さて、死んだはずの竜紹鉄が戻ってきたことで、段旅長に欺かれていたことに気づく文軒。しかも妻の平静な反応から、彼女も真相を知っていながら自分に隠していたことにも気づいてしまう。竜が死んで以来、深く歎き悲しみ、目を離すと自殺しかねない妻を必死に慰めてきた文軒は、その彼女の「裏切り」に怒り狂う。

Cap063

バレエ・・・じゃなくて怒りで机の上の書類に当たる文軒

 ・・・・・・が、蘇が泣きそうになったのを見てあっさり「すまない、君を傷つける気はないんだ」と謝ってしまう。

 や、文軒はもっと怒っていいと思うよ?

2011年8月13日 (土)

コメントレス(「『建党偉業』が意外におもしろかた』にいただいたコメントへ)

 ちょっと上海行ってきました。

 私、あんまり上海って好きじゃないけど、田舎に住んでいるせいでその便利さ快適さは素晴らしかった。

 だって、コンビニにカレー弁当が売っている、とか感動した!! 香港製だけど「出前一丁」とかも売ってたんで思いきって散財して買いだめしてきた、6袋30元分も!(←貧乏人)。吉野家もCoCo一番もあって堪能してきた。

 あと、上海図書館が素晴らしいよね、書庫の本がなんか工場にありそうなベルトコンベアでトロッコ(?)に載って運ばれてくるの、ガコーンって。北京の図書館は書庫の本を頼んだら「1時間後に取りに来て」とか言われましたが(汗)、こちらは20分くらいだったかね?

 しかも外国語文献コーナーの日本の本の数と蔵書構成がすごかった・・・・・・。本の種類としては大学の学部図書館のような易しくはないけど難しすぎもしない研究系本ばかり、しかも興味深そうな内容のものばかりピンポイントでバランス良く取り揃えていて・・・・・・この蔵書構成した人、日本でもハイレベルな司書でやっていけるよ・・・・・・ぶっちゃけ日本の私の地元の図書館より質が高い蔵書構成だよ・・・・・・どちらかというとジュンク堂に近いものがある。しかも、日本語話せる職員が数名もいるようだ。

 その後、上海から帰ってきてからは、仕事で缶詰になっていましたが、ボチボチ平常運転に戻りたいです、まだ忙しいけど・・・・・・

 以下、「『建党偉業』が意外とおもしろかった」へいただいたコメントへのレスです。

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2011年8月 6日 (土)

お茶をにごす(『建党偉業』NG版予告)

 またしばらく忙しいので『建党偉業』のレポ続きが遅れます・・・・・・

 むぅ、もう旬の時期が過ぎてしまって今更な気もしますが・・・・・・まあ、資料性のある50年代映画はともかく、数年前のTVドラマの紹介とかやっているこのブログに旬もへったくれもないんですけどね。


 とりあえず、『建党偉業』の公式NG版予告編でも紹介してお茶を濁しておきます。

NG版予告編

 本編より楽しそうな予告編。本編には存在しない予告編だけでしか見られないシーンもいっぱい(中国の予告編ではよくあること)。

 NGシーンだけではなくて、おもしろおかしくつなぎ合わせたシーンも多いようだが。

 日本から見られるかどうかわかりませんが、たぶんyoutubeの方にもあがっているでしょう。



 ちなみに12歳の溥儀を喜ばせるため辮髪で凧揚げするとっても痛々しい張勛のシーンは00:05秒から。

 私的お気に入りは01:16秒のあたりですね。欧米人のあんな表情ってステキ。

 そして、みんなそんなにチョウ・ユンファの皇帝袁世凱が面白いか?(01:18あたり)

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