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2011年5月21日 (土)

『鉄道游撃隊』2話~3話 感想

感想



 これはおもしろい。


 1話での感じは間違いではなく、これは期待をもてそうな作品である。

 なんだろうなぁ、何か見ていると無性にワクワクしてくる。



 さて、前回「日本人の手先」になったと言われていた王強だが、ここで実は中国共産党の党員で情報を得るために「洋行」に入り、日本人に取り入っていたことが明らかになる。

 実は前回「原作と大きく違う」というのはこの点。原作では劉洪と王強は共産党の任務を帯びて二人一緒に棗庄に帰ってきている。しかし、その後党との連絡が途絶えてしまい、王強は糊口しのぎと日本軍内部を探るため洋行に働きに出る。小説では党の連絡員が二人を探し出し、これら今までの経緯を説明してもらうという形になっている。

 つまり王強は原作でもドラマでも抗日陣営の側なのだが、ドラマ版ではその事が最初に明かされず、しかも王強の日本人への取り入りっぷりがみごとすぎた。これは原作を読んで王強の立場を知っている私ももしかしてドラマ版では設定が違うのではないか、王強は最初は本当に「日本人の手先」でありこの後抗日陣営に変わっていくという設定なのではないかと、1話の最後のシーンに来るまで疑ってしまった。このようなアレンジのおかげで、原作を知っている視聴者にも改めて新鮮な気持ちでドラマ冒頭を楽しむことができるだろう。



 2話と3話では、原作序盤の見せ場であり、『鉄道遊撃隊』の連環画(中国の紙芝居的漫画手法)や演劇に置いても特に盛り上げる「洋行襲撃」=「血染洋行」と、その後犯人探しをする憲兵隊との「智闘」(ドラマオリジナル)が描かれている。どちらかというと寝込みを襲った(笑)洋行襲撃よりも、憲兵隊の追求をどう交わすかの方にハラハラさせられる。




 襲撃前の洋行の三人の日本人の人間模様も笑えるところ。洋行の経営者と副経営者は、大日本帝国のためとか言いながら洋行の金を着服しているわけだが、その横領から一人のけ者にされた下っ端の金山は、「おまいらばかりいい思いしてずりぃ! 俺だって私服肥やしてぇ!」とばかりに中国人労働者の給料をピンはね。三人は互いに相手の不正を告発し合い、最後は乱闘に。(そして頭を痛める憲兵隊)

 ・・・・・・まあ、でもこの三人入り乱れての乱闘描写はちょっとねぇ。日本人はもっとやり方が陰湿だよ? 上官(上司)が部下(この場合、金山)に一方的に鉄拳制裁をすることはあっても、部下はやり返したりしないんじゃないかな?



 さて、その金山は三人の中で一番むごい攻撃(逃げ回っていたため劉洪と彭亮にさんざん切りつけられた上、最後は王強に拳銃で撃たれた)を受けたくせに、すさまじい生命力を発揮して一人生存!

 おまけに憲兵隊に疑われた王強のために、(自分を撃った当人なのに)彼は自分の恩人!(と勘違いをして)かばいだてしてしまう。そんな金山に憲兵の岡村はこう忠告する。

金山「岡村君。もう何度も言っているじゃないか。あの王強という男は本当に義理堅い男なんだ。洋行の事件と彼は何も関係がない! 確かに私は犯人の顔を見なかったけど、絶対に王強なわけがないんだ!」

岡村「もし彼が犯人を洋行に導いていたのだとしたらどうするつもりだ! あの王強はカタギではない! ひどく頭の回る男で街の連中から「八面光(処世術に長けていること)」と呼ばれているんだぞ! まったく君もいい面の皮だな!」

金山「だが彼が犯人なんて絶対にありえない! 犯人の目的は銃を奪うことに間違いない、たぶん八路の連中がやったんだ」

岡村「・・・・・・金山君! 君は中国人と交流しすぎたせいで目が曇っている。忘れるな! 中国人にとって我々は恨み骨髄に達する仇なのだ。彼らに心を許してはいけない!わかったか!」

 ・・・・・・なんか、こうやって書き出してみると金山っていい人だなぁ~

 じゃなくて。

 ちょっと現代の話は完全に横に置いておいて、この抗日戦争の時代に限って考えてみよう。金山と岡村、どちらがより中国人を理解しているか、あるいはどちらが中国人を対等の人間と見なしているだろうか?

 このやりとりを見るかぎりでは、逆説的にも私はそれは岡村の方だと思う。

 金山は王強のことが好きだ。自分にあくまで忠実で義理堅い良き部下だと思っている。自分も王強から十分に好かれていると思っている。だから、彼が自分を殺しに来たなどとは絶対に認めない。

 だが、金山と王強はそれぞれどのようなポジションにいるのだろか? 

 金山は正規の軍人ではないが、中国の資源収奪機関の一端を担う洋行で働き、洋行内での立場は弱いもののただ日本人だというだけで中国人労働者の生殺与奪権を握っている。金山のその地位は日本軍が棗庄を支配しているという状況の中で保障されており、さらに洋行は物資運搬や諜報活動で日本軍を積極的に支援している。

 そして王強はその日本軍に侵略され、支配される側の人間だ。洋行の中国人が虫けらのように扱われているのを知っているし、彭亮の父親のように同胞が殺されていっているのも知っている。

 そのような立ち位置にいる人間が、それでも金山に忠実であるとしたら理由はなんだろうか? 2つ考えられる。

一、本気で相手に感服し、心から忠誠を尽くしている。

二、心中では相手を恨み憎んでいるが、相手が怖いから逆らわない。あるいは何かを企んでいる。


 
 金山は王強を「一」だと思っている。しかし、侵略され同胞が侮辱され殺されているのに、そのことに対して一向に何も感じず、その相手に忠誠を尽くすとしたら、その人間はどういう人間だろうか? 一般的にそういうのは人間としてのプライドもなく他者の苦痛も感じ取れない人間ではないか?

 しかし、金山は別に王強のことをそういう人間のクズ的な男だと思っているわけではない。彼は、彼が自分を恨むとは思っていないのだ。自分の立ち位置に無自覚であるか、はたまた王強が一人の人間として恨みの感情を持つとは考えてもいないのだろう。



 しかし、岡村は王強を、そして多くの中国人をそのようには見ない。彼らが日本軍の支配化で従順に振る舞っているのは日本軍が怖いからであり、それに反抗する術が無いからにすぎない。彼らは日本軍によって抑圧され侮辱され殺されている。人間は、抑圧され侮辱され同胞が殺されているなら、実際に行動にまで移せるかは別問題になるが、当然その相手を恨んだり憎しんだりする(もちろん憎しみを乗り越えるということもあるが、その問題はここでは置いておく)。

 岡村には日本軍が中国人に恨まれるだけのことをしている、という自覚があるのだろう(しかし、彼は大日本帝国のためにそのようなことをするのを厭わず、だからこそ中国人の恨みを力の誇示で抑えつけようとするのだが)。なぜなら彼は中国人を、自分と同じ人としての尊厳も持つゆえに痛めつけられれば当然相手を恨んだりもする人間であることを認めているからだ。しかし、金山は実に無邪気に王強の忠誠を信じる。金山が否定してるのは王強の人間性と、自分と同じ感情を持つ対等の人間である、ということなのである。





ピックアップ場面




 で、私は現段階では劉洪よりも王強の方が好きだな(萌えではない)。原作でもそうだったが(ドラマ版は各キャラの個性を強化しているが)、劉洪は完璧なヒーローすぎていまいち個人的魅力が足りない。

 対して王強は、一見劉洪に比べて少し気が弱く決断力に欠けるように見える。しかし、その彼はここぞという場で智恵と勇気に裏打ちされた思わぬ頑強さを発揮する。劉洪のようないかにも「英雄的」な人物が強さを発揮してもだから何?という感じになるが、王強のようなちょっと小市民的な男が土壇場で見せる不退転の姿勢は印象深い。

 と、言っても、王強も一見気弱かつ決断力に乏しいように見えて、なかなかの役者である。ちょっと彼の名(迷)場面をまとめてみた。




1、襲撃はしたけれども

 洋行が彭亮の父の仇&実は特務組織だということで、襲撃を発案する劉洪。しかし、それに対して王強は慎重な判断を求め、襲撃をためらう。洋行で日本人と身近に接する王強は、敵の恐ろしさを充分理解していたのだろう。しかし、いったん襲撃が決まるとためらいを捨て、勇敢に戦う。

 しかし、翌朝、出勤時間になっても王強は出勤をためらい・・・・・・

劉洪「おい、なんでまだ出勤しないんだ?」

王強「・・・・・・」

劉洪「どうした?」

王強「老洪・・・・・・俺は不安なんだよ」

劉洪「不安? 何が? いまさら怖くなったのか」

王強「俺は今日、出勤すべきかしないべきか一晩中考えていたよ。もし出勤しなかったら、鬼子はすぐに俺に疑いを向ける。いつも朝一番で出勤するのに、事件が起こった今日に限って来ないんだからな。・・・・・・だけど、出勤したらしたで、鬼子殺しのことが心に引っかかって、きっと何か不自然な態度をとってしまうに決まっている。すぐに鬼子も何か変なのに気づくさ。・・・・・・やっぱり出勤しないほうがマシだ。」

劉洪、笑いながら王強の肩を叩く。

劉洪「なあ、王強。おまえが怖がれば怖がるほど、地獄の門に近づくようなものだ。よく聞けよ。おまえはやっぱり行くべきだ。でなければ、憲兵隊が俺たちを捕まえにここに来るだけだ」

王強「だけど、俺、頭の中がごちゃごちゃになっていて・・・・・・」

劉洪「おまえなぁ。彭亮に襲撃参加を勧めたくせに、そのおまえがそんなことでどうする」

王強「仕方ないだろ。これが俺の昔からの欠点なんだ。なにをやるにしてもしっかりした考えがない。いよいよとなったら俺だって立ち向かえるけどな」

劉洪「ならおまえは、あの三人の小鬼子を殺さないほうが良かったと思っているか?」

王強「もちろん、殺したほうが良かったさ!」

劉洪「よし。なら自分は正しいことをしたと腹をすえて仕事に行け。いつも通りに。何も恐れることはないんだ。それに、あの三人はみんな死んだんだ。誰も俺たちがやったと知らない」

王強「そうか・・・死人に口なしだ!」

劉洪「そうだ」

王強「おまえがそう言ってくれて、俺はすっかり安心したよ

王強、立ち上がって家を出る・・・・・・

王強の父親「おい、強。おまえ仕事に行くのになんで弁当持っていかないのか?」

王強「・・・・・・え? ああ・・・・・・」

王強の父「・・・・・・強、おまえ病気じゃないか?」

 劉洪の励ましで、出勤に不安を持っていた王強も「すっかり安心したぜ!」と、調子よく態度を変え、堂々とした態度で家を出ようとする・・・・・・が、弁当を忘れかけるは父親からはそのおどおどした態度のせいで「病気じゃないか」とまで言われる始末・・・・・・しっかり混乱したままやん・・・・・・。

 しかし、ひとたび出勤し、そして部下たちによって三人の死体が発見された時の王強の対応は、いったいさっきまでの「自然にふるまえない」とかいう心配はなんだったのかと思うほど見事すぎるものであった。




2.善良な第一発見者

部下(洋行の建物から飛び出してきながら)「殺されている! 殺人だ!」

王強「何があった!」

部下「殺されてるんです。櫃掌(経営者の意味)が全員!!」

王強「死んでるのか!?」

部下「死んでます!」

王強「死んでるのか!!?」

部下「死んでいるですってば!」

王強「(部下全員に)おまえらみんなついてこい」

数十人の部下達と洋行建物内に入る王強。まず、経営者の部屋へ。

王強(経営者・松崎の遺体に)「・・・・・・大掌櫃(筆頭経営者の意味)・・・・・・大掌櫃」

 反応が無いので皆と隣の副経営者の部屋へ。遺体を確認。皆が遠巻きにする中、一人金山の部屋へ。毛布をかぶった遺体に近づき全員確かに仕留めたことを確・・・・・・

金山「王さん」

王強「ぎゃああああああああああーーーーー!!!」

王強、突然遺体が喋ったので、飛びのいて驚く。

王強「三掌櫃!(序列三番目の経営者の意味)」

金山「・・・・・・・・王さん、は、はやく憲兵隊に電話を・・・・・・」

部下達も駆けつける。

王強「・・・・・・待って、三掌櫃待っててください!(部下達に)三掌櫃はまだ生きてる! 早く彼を助けるんだ!! 三掌櫃は生きてるぞ!!」

集まってきた労働者たちを押しのけ転がるように電話の部屋へ走る王強

 Cap1287

 金山の呼びかけに驚いて吹っ飛ぶ王強 

 いやいや、もうこの時の王強の驚愕ぶりと「早く彼を助けるんだー!」がすげー笑える。もはや自分が殺ったことを忘れているんじゃないか、と疑うレベル(笑) 確かにこの現場を見た人は誰もまさか王強が犯人だとは思わないだろうな・・・・・・何が「自然にふるまう自信がない」だ。

 ってか王強の日本人への取り入りっぷりのみごとさの秘訣って、自己暗示的に自分が共産党の任務として彼らと接していることを頭から取っ払ってナチュラルにペコペコしてるんじゃないかねぇ、とちょっと思う。




3.不退転の決意

 
 さて、完璧なまでに善良な第一発見者を演じ、金山には命の恩人(くどいようだが、金山に撃ったのは王強である)だと感謝され、憲兵隊からも洋行の臨時社長に任命された王強。

 しかし、調査の結果から内部に詳しい者の犯行と断定した岡村憲兵隊長は、王強はじめ洋行の中国人労働者を全員憲兵隊に連行していく。軍用犬を使って血の臭いが残っている者を探させ、その結果王強は一人取り調べ室に連行されてしまう。岡村と特務隊長・張三の質問にそつなく答えていく王強であったが・・・・・・

岡村「話してもらおうか?」

王強「太君。私はもう言うべきことはすべて言いました。これ以上いったい何を聞きたいと言うんですか、太君」

岡村「もう一度聞く! あの晩、洋行でいったい何があった?」

王強「・・・・・・太君。何度聞いても同じです。私は本当に何も知らないんです」

岡村「馬鹿っ!!」

岡村、日本刀を抜いて王強の首につきつける。

岡村「きさまは実に信用ならない男だ。殺されたいのか? もう一度聞く。結局、きさまがあの三人を殺したのか?」

王強「・・・・・・」

岡村「どうなんだ!」

王強「太君、あなたは私が何を言っても信じてくださらないじゃないですか。あの日、私はいつも通り出勤しましたし、その上、三掌櫃がまだ生きているのを最初に見つけたのは私で、すぐに憲兵隊に電話したのも私なんですよ・・・・・・そうです、その時鈴木太君が電話を取りました。鈴木太君に聞いてみてください」

鈴木「隊長、確かに電話してきたのは王強でした」

岡村「・・・・・・ならば、なぜ軍用犬はおまえにだけ反応したのだ?」

張三「そうだ、どうして他でもないおまえだけ犬は反応した?」

王強「・・・・・・太君。どうぞ笑わないでいただきたいのですが、俺の足はここら一帯でも有名な臭さなんですよ」

張三「でたらめを言うな、足の臭い奴など掃いて捨てるほどいる!」

王強「俺の足は・・・・・・そうだ、太君、考えてもみてください。あの日、私が最初に部屋に入り三掌櫃を背負って担架に乗せたんです。あなたも見たじゃないですか。だから私の体には三掌櫃の血の臭いがしみこんでいて、それに犬が反応しただけです・・・・・・あの犬は張三にだって反応しますよ!」

張三「きさま!」

岡村、日本刀を収める

 首に日本刀をつきつけられ、王強は見た目怯え動揺しているように見えるが、その内心ははっきり伝わってくる。この危機に瀕し、強固な意志の裏づけのもとかえって冷静になり、活路を見出すために必死に頭を回しているのである。

Cap1289

 ふだんはその意志がふらふらしているように見えるが、ここぞという時で大きな力と勇気を発揮する人間はけっこう好きだ。刀を突きつけられても後ろに引かない王強には、不退転の決意を感じる。これが完璧超人の劉洪だと意外でもなんでもなくて、かえって何も印象ないんだけどね。それに、こんな状況でも堂々としすぎてかえって不審に思われるだろう。王強は適度に怯えているのが自然でよかった。



 さて、王強は巧みに言い逃れし、さらに岡村に病院の金山に電話させ自分が信用できる人物であるという証言までさせる。しかし、王強を自白させられない岡村は、ついに(王強への脅迫の意味もあるのだろうが)犯人が特定できないなら洋行の中国人労働者を全員殺す、と強行手段に出ようとする。驚いた王強は中庭に連れてきている中国人労働者たちを殺しに向かう岡村に懇願する。

王強「太君! この兄弟たちにひどいことはしないでください! 殺したいなら私を殺してください! 私を殺してください!」

岡村「つまり、あの三人は貴様が殺したと認めるのだな!?」

王強「・・・・・・ああ、太君、太君。あなたが私が彼らを殺したというなら、もうそういうことにしてもいいですよ。私だけを殺せばいいじゃないですか。でもあの兄弟たちに何の関係があるんですか。彼らは全員私が呼び戻したんですよ。私が彼らに安全を保障したんです」

岡村、無言で前進していく。

王強「私を殺してください! 私を殺してください。そうすればあなただって、上官の大大太君(太君をさらにえらくした言い方)に面目が立つじゃないですか!」

岡村、無視して進んでいく。

王強「太君! 彼らを殺さないでください。 もし彼らを殺したら、誰が洋行の仕事をするんですか! 今後皇軍の仕事をする者もいなくなります! 私を殺してください! 彼らは何も関係ないんです!! 太君! 太君!!」

王強、岡村の前に跪く。

王強「太君、どうぞ私を殺してください! 彼らは何も関係ありません!! 彼らを許してください! 太君!!」

岡村、笑い

岡村「・・・・・・どうやら、金山は友を選び間違ってはいないようだな。(王強を立たせ)貴様の皇軍に対する忠誠は良くわかった。彼らを連れて帰るといい」

王強「あ、ありがとうございます、太君。ありがとうございます・・・・・・」

岡村「ただし! 我々は今後も彼らを調査していく。もし一人でも行方をくらませれば、貴様に責任を取ってもらうぞ」

王強「・・・・・・はい、太君。私が責任を負います」

 このシーンは個人的にすごい好きだなぁ。岡村にすがったり跪いたりと見た目情けないけど、この王強は本当にかっこいい。

Cap1291

 よく抗日ドラマでは、共産党員や八路軍を探すため日本軍が関係ない農民や民衆を人質に取るのだけど、たいてい彼らを助けるため名乗りでちゃうか、機転をきかせて助けるか、あるいはやっぱり助けられないか、というパターンになるんだけど、王強はプライドを投げ捨てるような方法で正面から挑んで、自分の身分(それは抗日活動の暴露に繋がる)をばらさずにみなを救出した。

 日本人の元への潜入調査を王強にまかせたのは的確な人選だった。変にプライド高い人間だと務まらない仕事だもの(もちろん王強にプライドが無いんじゃなくて、それを天秤にかけない、ということ)。




歴史解説

モデルについて(1)

 以前、原作の『鉄道遊撃隊』は八路軍の文芸隊の劉知侠が、実在の魯南鉄道大隊を取材し、彼らの活動を小説化したもの、と書いた。小説の主要人物のモデルも明確に特定できる。今回は、ここまで出てきた人物のモデルとなった実在人物について紹介してみる。



劉洪→魯南鉄道大隊の初代隊長・洪振海と二代目隊長・劉金山がモデルとなっている。洪振海は、熱血であるが街の荒くれ者たちの親分格で教養はなく文字も読めなかった。入党を希望していたが、それが受理されないまま抗日戦争中に戦死している(死後、入党が認められる)。劉金山は、その後任となった男で、共産党員であり一定の教養もあった。

 劉洪はこの二人の名前と人格を混ぜ合わせた人物である。もっとも作者(もしくは隊員たち?)は洪振海の方に愛着があるらしく、小説中で彼がもっぱら「洪哥(洪の兄貴)」と呼ばれるのはそのためであろう。二人のかなり異なる性格・来歴の人物をミックスしたため、劉洪は熱血で頭に血が上りやすいが、冷静でもあり共産党員としての資質にも優れている、というキャラになった。

王強→魯南鉄道大隊で戦争中ずっと副隊長であった王志勝がモデル。この小説では珍しく、特定の一人だけをモデルにしているため、最もモデルとなった人物の性格や経歴が小説に反映されている。史実を見ても王強の活動・経験は、ほぼそのまま王志勝の経験である。王志勝もまた棗庄地下活動時代に正泰国際洋行に人夫として働きに出、日本人経営者のお気に入りとなっている。


金山→実は彼もモデルが実在する。その名も金山である(そのまんま・・・)。実在の金山も正泰洋行の三人の日本人経営者の一番下っ端であり、上の二人からパワハラを受けていた。洋行襲撃は、実際に洪振海と王志勝によって行われたことだが、この時二人の経営者が死に運よく金山が生き残ったのも同じ。翌朝、いつも通り出勤してきた王志勝は金山を助けるはめになった。しかし、二人の上司が死んだことで筆頭経営者に任命された金山は、王志勝の救助に感謝し彼を中国人労働者監督の役に昇進させている。

 ・・・・・・実は最近の研究ではこの金山に対して驚くべき事実(?)が明らかになっているらしいが、これについては後で述べる。

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