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2011年5月

2011年5月30日 (月)

『地道戦』後編 あらすじ

あらすじ



Cap998



※遅れに遅れましたが、映画『地道戦』の後半あらすじ紹介です(感想はもう少し待ってください)

今までの記事はこちら↓

『地道戦』総合案内

『地道戦』前半 あらすじ&感想

『地道戦』中盤 あらすじ&感想


※以下には映画『地道戦』のラストシーンまでのネタばれがあります。

 

続きを読む "『地道戦』後編 あらすじ" »

2011年5月21日 (土)

『鉄道游撃隊』2話~3話 感想

感想



 これはおもしろい。


 1話での感じは間違いではなく、これは期待をもてそうな作品である。

 なんだろうなぁ、何か見ていると無性にワクワクしてくる。



 さて、前回「日本人の手先」になったと言われていた王強だが、ここで実は中国共産党の党員で情報を得るために「洋行」に入り、日本人に取り入っていたことが明らかになる。

 実は前回「原作と大きく違う」というのはこの点。原作では劉洪と王強は共産党の任務を帯びて二人一緒に棗庄に帰ってきている。しかし、その後党との連絡が途絶えてしまい、王強は糊口しのぎと日本軍内部を探るため洋行に働きに出る。小説では党の連絡員が二人を探し出し、これら今までの経緯を説明してもらうという形になっている。

 つまり王強は原作でもドラマでも抗日陣営の側なのだが、ドラマ版ではその事が最初に明かされず、しかも王強の日本人への取り入りっぷりがみごとすぎた。これは原作を読んで王強の立場を知っている私ももしかしてドラマ版では設定が違うのではないか、王強は最初は本当に「日本人の手先」でありこの後抗日陣営に変わっていくという設定なのではないかと、1話の最後のシーンに来るまで疑ってしまった。このようなアレンジのおかげで、原作を知っている視聴者にも改めて新鮮な気持ちでドラマ冒頭を楽しむことができるだろう。



 2話と3話では、原作序盤の見せ場であり、『鉄道遊撃隊』の連環画(中国の紙芝居的漫画手法)や演劇に置いても特に盛り上げる「洋行襲撃」=「血染洋行」と、その後犯人探しをする憲兵隊との「智闘」(ドラマオリジナル)が描かれている。どちらかというと寝込みを襲った(笑)洋行襲撃よりも、憲兵隊の追求をどう交わすかの方にハラハラさせられる。




 襲撃前の洋行の三人の日本人の人間模様も笑えるところ。洋行の経営者と副経営者は、大日本帝国のためとか言いながら洋行の金を着服しているわけだが、その横領から一人のけ者にされた下っ端の金山は、「おまいらばかりいい思いしてずりぃ! 俺だって私服肥やしてぇ!」とばかりに中国人労働者の給料をピンはね。三人は互いに相手の不正を告発し合い、最後は乱闘に。(そして頭を痛める憲兵隊)

 ・・・・・・まあ、でもこの三人入り乱れての乱闘描写はちょっとねぇ。日本人はもっとやり方が陰湿だよ? 上官(上司)が部下(この場合、金山)に一方的に鉄拳制裁をすることはあっても、部下はやり返したりしないんじゃないかな?



 さて、その金山は三人の中で一番むごい攻撃(逃げ回っていたため劉洪と彭亮にさんざん切りつけられた上、最後は王強に拳銃で撃たれた)を受けたくせに、すさまじい生命力を発揮して一人生存!

 おまけに憲兵隊に疑われた王強のために、(自分を撃った当人なのに)彼は自分の恩人!(と勘違いをして)かばいだてしてしまう。そんな金山に憲兵の岡村はこう忠告する。

金山「岡村君。もう何度も言っているじゃないか。あの王強という男は本当に義理堅い男なんだ。洋行の事件と彼は何も関係がない! 確かに私は犯人の顔を見なかったけど、絶対に王強なわけがないんだ!」

岡村「もし彼が犯人を洋行に導いていたのだとしたらどうするつもりだ! あの王強はカタギではない! ひどく頭の回る男で街の連中から「八面光(処世術に長けていること)」と呼ばれているんだぞ! まったく君もいい面の皮だな!」

金山「だが彼が犯人なんて絶対にありえない! 犯人の目的は銃を奪うことに間違いない、たぶん八路の連中がやったんだ」

岡村「・・・・・・金山君! 君は中国人と交流しすぎたせいで目が曇っている。忘れるな! 中国人にとって我々は恨み骨髄に達する仇なのだ。彼らに心を許してはいけない!わかったか!」

 ・・・・・・なんか、こうやって書き出してみると金山っていい人だなぁ~

 じゃなくて。

 ちょっと現代の話は完全に横に置いておいて、この抗日戦争の時代に限って考えてみよう。金山と岡村、どちらがより中国人を理解しているか、あるいはどちらが中国人を対等の人間と見なしているだろうか?

 このやりとりを見るかぎりでは、逆説的にも私はそれは岡村の方だと思う。

 金山は王強のことが好きだ。自分にあくまで忠実で義理堅い良き部下だと思っている。自分も王強から十分に好かれていると思っている。だから、彼が自分を殺しに来たなどとは絶対に認めない。

 だが、金山と王強はそれぞれどのようなポジションにいるのだろか? 

 金山は正規の軍人ではないが、中国の資源収奪機関の一端を担う洋行で働き、洋行内での立場は弱いもののただ日本人だというだけで中国人労働者の生殺与奪権を握っている。金山のその地位は日本軍が棗庄を支配しているという状況の中で保障されており、さらに洋行は物資運搬や諜報活動で日本軍を積極的に支援している。

 そして王強はその日本軍に侵略され、支配される側の人間だ。洋行の中国人が虫けらのように扱われているのを知っているし、彭亮の父親のように同胞が殺されていっているのも知っている。

 そのような立ち位置にいる人間が、それでも金山に忠実であるとしたら理由はなんだろうか? 2つ考えられる。

一、本気で相手に感服し、心から忠誠を尽くしている。

二、心中では相手を恨み憎んでいるが、相手が怖いから逆らわない。あるいは何かを企んでいる。


 
 金山は王強を「一」だと思っている。しかし、侵略され同胞が侮辱され殺されているのに、そのことに対して一向に何も感じず、その相手に忠誠を尽くすとしたら、その人間はどういう人間だろうか? 一般的にそういうのは人間としてのプライドもなく他者の苦痛も感じ取れない人間ではないか?

 しかし、金山は別に王強のことをそういう人間のクズ的な男だと思っているわけではない。彼は、彼が自分を恨むとは思っていないのだ。自分の立ち位置に無自覚であるか、はたまた王強が一人の人間として恨みの感情を持つとは考えてもいないのだろう。



 しかし、岡村は王強を、そして多くの中国人をそのようには見ない。彼らが日本軍の支配化で従順に振る舞っているのは日本軍が怖いからであり、それに反抗する術が無いからにすぎない。彼らは日本軍によって抑圧され侮辱され殺されている。人間は、抑圧され侮辱され同胞が殺されているなら、実際に行動にまで移せるかは別問題になるが、当然その相手を恨んだり憎しんだりする(もちろん憎しみを乗り越えるということもあるが、その問題はここでは置いておく)。

 岡村には日本軍が中国人に恨まれるだけのことをしている、という自覚があるのだろう(しかし、彼は大日本帝国のためにそのようなことをするのを厭わず、だからこそ中国人の恨みを力の誇示で抑えつけようとするのだが)。なぜなら彼は中国人を、自分と同じ人としての尊厳も持つゆえに痛めつけられれば当然相手を恨んだりもする人間であることを認めているからだ。しかし、金山は実に無邪気に王強の忠誠を信じる。金山が否定してるのは王強の人間性と、自分と同じ感情を持つ対等の人間である、ということなのである。





ピックアップ場面




 で、私は現段階では劉洪よりも王強の方が好きだな(萌えではない)。原作でもそうだったが(ドラマ版は各キャラの個性を強化しているが)、劉洪は完璧なヒーローすぎていまいち個人的魅力が足りない。

 対して王強は、一見劉洪に比べて少し気が弱く決断力に欠けるように見える。しかし、その彼はここぞという場で智恵と勇気に裏打ちされた思わぬ頑強さを発揮する。劉洪のようないかにも「英雄的」な人物が強さを発揮してもだから何?という感じになるが、王強のようなちょっと小市民的な男が土壇場で見せる不退転の姿勢は印象深い。

 と、言っても、王強も一見気弱かつ決断力に乏しいように見えて、なかなかの役者である。ちょっと彼の名(迷)場面をまとめてみた。




1、襲撃はしたけれども

 洋行が彭亮の父の仇&実は特務組織だということで、襲撃を発案する劉洪。しかし、それに対して王強は慎重な判断を求め、襲撃をためらう。洋行で日本人と身近に接する王強は、敵の恐ろしさを充分理解していたのだろう。しかし、いったん襲撃が決まるとためらいを捨て、勇敢に戦う。

 しかし、翌朝、出勤時間になっても王強は出勤をためらい・・・・・・

劉洪「おい、なんでまだ出勤しないんだ?」

王強「・・・・・・」

劉洪「どうした?」

王強「老洪・・・・・・俺は不安なんだよ」

劉洪「不安? 何が? いまさら怖くなったのか」

王強「俺は今日、出勤すべきかしないべきか一晩中考えていたよ。もし出勤しなかったら、鬼子はすぐに俺に疑いを向ける。いつも朝一番で出勤するのに、事件が起こった今日に限って来ないんだからな。・・・・・・だけど、出勤したらしたで、鬼子殺しのことが心に引っかかって、きっと何か不自然な態度をとってしまうに決まっている。すぐに鬼子も何か変なのに気づくさ。・・・・・・やっぱり出勤しないほうがマシだ。」

劉洪、笑いながら王強の肩を叩く。

劉洪「なあ、王強。おまえが怖がれば怖がるほど、地獄の門に近づくようなものだ。よく聞けよ。おまえはやっぱり行くべきだ。でなければ、憲兵隊が俺たちを捕まえにここに来るだけだ」

王強「だけど、俺、頭の中がごちゃごちゃになっていて・・・・・・」

劉洪「おまえなぁ。彭亮に襲撃参加を勧めたくせに、そのおまえがそんなことでどうする」

王強「仕方ないだろ。これが俺の昔からの欠点なんだ。なにをやるにしてもしっかりした考えがない。いよいよとなったら俺だって立ち向かえるけどな」

劉洪「ならおまえは、あの三人の小鬼子を殺さないほうが良かったと思っているか?」

王強「もちろん、殺したほうが良かったさ!」

劉洪「よし。なら自分は正しいことをしたと腹をすえて仕事に行け。いつも通りに。何も恐れることはないんだ。それに、あの三人はみんな死んだんだ。誰も俺たちがやったと知らない」

王強「そうか・・・死人に口なしだ!」

劉洪「そうだ」

王強「おまえがそう言ってくれて、俺はすっかり安心したよ

王強、立ち上がって家を出る・・・・・・

王強の父親「おい、強。おまえ仕事に行くのになんで弁当持っていかないのか?」

王強「・・・・・・え? ああ・・・・・・」

王強の父「・・・・・・強、おまえ病気じゃないか?」

 劉洪の励ましで、出勤に不安を持っていた王強も「すっかり安心したぜ!」と、調子よく態度を変え、堂々とした態度で家を出ようとする・・・・・・が、弁当を忘れかけるは父親からはそのおどおどした態度のせいで「病気じゃないか」とまで言われる始末・・・・・・しっかり混乱したままやん・・・・・・。

 しかし、ひとたび出勤し、そして部下たちによって三人の死体が発見された時の王強の対応は、いったいさっきまでの「自然にふるまえない」とかいう心配はなんだったのかと思うほど見事すぎるものであった。




2.善良な第一発見者

部下(洋行の建物から飛び出してきながら)「殺されている! 殺人だ!」

王強「何があった!」

部下「殺されてるんです。櫃掌(経営者の意味)が全員!!」

王強「死んでるのか!?」

部下「死んでます!」

王強「死んでるのか!!?」

部下「死んでいるですってば!」

王強「(部下全員に)おまえらみんなついてこい」

数十人の部下達と洋行建物内に入る王強。まず、経営者の部屋へ。

王強(経営者・松崎の遺体に)「・・・・・・大掌櫃(筆頭経営者の意味)・・・・・・大掌櫃」

 反応が無いので皆と隣の副経営者の部屋へ。遺体を確認。皆が遠巻きにする中、一人金山の部屋へ。毛布をかぶった遺体に近づき全員確かに仕留めたことを確・・・・・・

金山「王さん」

王強「ぎゃああああああああああーーーーー!!!」

王強、突然遺体が喋ったので、飛びのいて驚く。

王強「三掌櫃!(序列三番目の経営者の意味)」

金山「・・・・・・・・王さん、は、はやく憲兵隊に電話を・・・・・・」

部下達も駆けつける。

王強「・・・・・・待って、三掌櫃待っててください!(部下達に)三掌櫃はまだ生きてる! 早く彼を助けるんだ!! 三掌櫃は生きてるぞ!!」

集まってきた労働者たちを押しのけ転がるように電話の部屋へ走る王強

 Cap1287

 金山の呼びかけに驚いて吹っ飛ぶ王強 

 いやいや、もうこの時の王強の驚愕ぶりと「早く彼を助けるんだー!」がすげー笑える。もはや自分が殺ったことを忘れているんじゃないか、と疑うレベル(笑) 確かにこの現場を見た人は誰もまさか王強が犯人だとは思わないだろうな・・・・・・何が「自然にふるまう自信がない」だ。

 ってか王強の日本人への取り入りっぷりのみごとさの秘訣って、自己暗示的に自分が共産党の任務として彼らと接していることを頭から取っ払ってナチュラルにペコペコしてるんじゃないかねぇ、とちょっと思う。




3.不退転の決意

 
 さて、完璧なまでに善良な第一発見者を演じ、金山には命の恩人(くどいようだが、金山に撃ったのは王強である)だと感謝され、憲兵隊からも洋行の臨時社長に任命された王強。

 しかし、調査の結果から内部に詳しい者の犯行と断定した岡村憲兵隊長は、王強はじめ洋行の中国人労働者を全員憲兵隊に連行していく。軍用犬を使って血の臭いが残っている者を探させ、その結果王強は一人取り調べ室に連行されてしまう。岡村と特務隊長・張三の質問にそつなく答えていく王強であったが・・・・・・

岡村「話してもらおうか?」

王強「太君。私はもう言うべきことはすべて言いました。これ以上いったい何を聞きたいと言うんですか、太君」

岡村「もう一度聞く! あの晩、洋行でいったい何があった?」

王強「・・・・・・太君。何度聞いても同じです。私は本当に何も知らないんです」

岡村「馬鹿っ!!」

岡村、日本刀を抜いて王強の首につきつける。

岡村「きさまは実に信用ならない男だ。殺されたいのか? もう一度聞く。結局、きさまがあの三人を殺したのか?」

王強「・・・・・・」

岡村「どうなんだ!」

王強「太君、あなたは私が何を言っても信じてくださらないじゃないですか。あの日、私はいつも通り出勤しましたし、その上、三掌櫃がまだ生きているのを最初に見つけたのは私で、すぐに憲兵隊に電話したのも私なんですよ・・・・・・そうです、その時鈴木太君が電話を取りました。鈴木太君に聞いてみてください」

鈴木「隊長、確かに電話してきたのは王強でした」

岡村「・・・・・・ならば、なぜ軍用犬はおまえにだけ反応したのだ?」

張三「そうだ、どうして他でもないおまえだけ犬は反応した?」

王強「・・・・・・太君。どうぞ笑わないでいただきたいのですが、俺の足はここら一帯でも有名な臭さなんですよ」

張三「でたらめを言うな、足の臭い奴など掃いて捨てるほどいる!」

王強「俺の足は・・・・・・そうだ、太君、考えてもみてください。あの日、私が最初に部屋に入り三掌櫃を背負って担架に乗せたんです。あなたも見たじゃないですか。だから私の体には三掌櫃の血の臭いがしみこんでいて、それに犬が反応しただけです・・・・・・あの犬は張三にだって反応しますよ!」

張三「きさま!」

岡村、日本刀を収める

 首に日本刀をつきつけられ、王強は見た目怯え動揺しているように見えるが、その内心ははっきり伝わってくる。この危機に瀕し、強固な意志の裏づけのもとかえって冷静になり、活路を見出すために必死に頭を回しているのである。

Cap1289

 ふだんはその意志がふらふらしているように見えるが、ここぞという時で大きな力と勇気を発揮する人間はけっこう好きだ。刀を突きつけられても後ろに引かない王強には、不退転の決意を感じる。これが完璧超人の劉洪だと意外でもなんでもなくて、かえって何も印象ないんだけどね。それに、こんな状況でも堂々としすぎてかえって不審に思われるだろう。王強は適度に怯えているのが自然でよかった。



 さて、王強は巧みに言い逃れし、さらに岡村に病院の金山に電話させ自分が信用できる人物であるという証言までさせる。しかし、王強を自白させられない岡村は、ついに(王強への脅迫の意味もあるのだろうが)犯人が特定できないなら洋行の中国人労働者を全員殺す、と強行手段に出ようとする。驚いた王強は中庭に連れてきている中国人労働者たちを殺しに向かう岡村に懇願する。

王強「太君! この兄弟たちにひどいことはしないでください! 殺したいなら私を殺してください! 私を殺してください!」

岡村「つまり、あの三人は貴様が殺したと認めるのだな!?」

王強「・・・・・・ああ、太君、太君。あなたが私が彼らを殺したというなら、もうそういうことにしてもいいですよ。私だけを殺せばいいじゃないですか。でもあの兄弟たちに何の関係があるんですか。彼らは全員私が呼び戻したんですよ。私が彼らに安全を保障したんです」

岡村、無言で前進していく。

王強「私を殺してください! 私を殺してください。そうすればあなただって、上官の大大太君(太君をさらにえらくした言い方)に面目が立つじゃないですか!」

岡村、無視して進んでいく。

王強「太君! 彼らを殺さないでください。 もし彼らを殺したら、誰が洋行の仕事をするんですか! 今後皇軍の仕事をする者もいなくなります! 私を殺してください! 彼らは何も関係ないんです!! 太君! 太君!!」

王強、岡村の前に跪く。

王強「太君、どうぞ私を殺してください! 彼らは何も関係ありません!! 彼らを許してください! 太君!!」

岡村、笑い

岡村「・・・・・・どうやら、金山は友を選び間違ってはいないようだな。(王強を立たせ)貴様の皇軍に対する忠誠は良くわかった。彼らを連れて帰るといい」

王強「あ、ありがとうございます、太君。ありがとうございます・・・・・・」

岡村「ただし! 我々は今後も彼らを調査していく。もし一人でも行方をくらませれば、貴様に責任を取ってもらうぞ」

王強「・・・・・・はい、太君。私が責任を負います」

 このシーンは個人的にすごい好きだなぁ。岡村にすがったり跪いたりと見た目情けないけど、この王強は本当にかっこいい。

Cap1291

 よく抗日ドラマでは、共産党員や八路軍を探すため日本軍が関係ない農民や民衆を人質に取るのだけど、たいてい彼らを助けるため名乗りでちゃうか、機転をきかせて助けるか、あるいはやっぱり助けられないか、というパターンになるんだけど、王強はプライドを投げ捨てるような方法で正面から挑んで、自分の身分(それは抗日活動の暴露に繋がる)をばらさずにみなを救出した。

 日本人の元への潜入調査を王強にまかせたのは的確な人選だった。変にプライド高い人間だと務まらない仕事だもの(もちろん王強にプライドが無いんじゃなくて、それを天秤にかけない、ということ)。




歴史解説

モデルについて(1)

 以前、原作の『鉄道遊撃隊』は八路軍の文芸隊の劉知侠が、実在の魯南鉄道大隊を取材し、彼らの活動を小説化したもの、と書いた。小説の主要人物のモデルも明確に特定できる。今回は、ここまで出てきた人物のモデルとなった実在人物について紹介してみる。



劉洪→魯南鉄道大隊の初代隊長・洪振海と二代目隊長・劉金山がモデルとなっている。洪振海は、熱血であるが街の荒くれ者たちの親分格で教養はなく文字も読めなかった。入党を希望していたが、それが受理されないまま抗日戦争中に戦死している(死後、入党が認められる)。劉金山は、その後任となった男で、共産党員であり一定の教養もあった。

 劉洪はこの二人の名前と人格を混ぜ合わせた人物である。もっとも作者(もしくは隊員たち?)は洪振海の方に愛着があるらしく、小説中で彼がもっぱら「洪哥(洪の兄貴)」と呼ばれるのはそのためであろう。二人のかなり異なる性格・来歴の人物をミックスしたため、劉洪は熱血で頭に血が上りやすいが、冷静でもあり共産党員としての資質にも優れている、というキャラになった。

王強→魯南鉄道大隊で戦争中ずっと副隊長であった王志勝がモデル。この小説では珍しく、特定の一人だけをモデルにしているため、最もモデルとなった人物の性格や経歴が小説に反映されている。史実を見ても王強の活動・経験は、ほぼそのまま王志勝の経験である。王志勝もまた棗庄地下活動時代に正泰国際洋行に人夫として働きに出、日本人経営者のお気に入りとなっている。


金山→実は彼もモデルが実在する。その名も金山である(そのまんま・・・)。実在の金山も正泰洋行の三人の日本人経営者の一番下っ端であり、上の二人からパワハラを受けていた。洋行襲撃は、実際に洪振海と王志勝によって行われたことだが、この時二人の経営者が死に運よく金山が生き残ったのも同じ。翌朝、いつも通り出勤してきた王志勝は金山を助けるはめになった。しかし、二人の上司が死んだことで筆頭経営者に任命された金山は、王志勝の救助に感謝し彼を中国人労働者監督の役に昇進させている。

 ・・・・・・実は最近の研究ではこの金山に対して驚くべき事実(?)が明らかになっているらしいが、これについては後で述べる。

2011年5月14日 (土)

祝! ドラマ初登場

 最近にわかに陳/毅元帥と粟/裕大将にはまっている水木です。○○さん、何ヶ月ぶりのメールでなんの脈絡もなく陳/毅と栗/裕について語りだしてすんません。


 それはそうと、最近見た革命ドラマ『紅色揺籃』とかいうアレなドラマで(私だけが)嬉しいできごとがあったので、その喜びをここにぶつけておきます。基本的に読者は置き去りです(すいません)。

 以下、全般的にやばいので反転です。歴史萌え話が苦手な人はご注意ください。

 たいへん電波な内容となっていますが、書いている水木は一応冷静(正気)です。どうぞ引かないでまたこのブログに来てください(汗)

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2011年5月 4日 (水)

コメントレス

>4月29日 「中国と地震を巡る報道あれこれ」へコメントくださった方

 こちらこそご無沙汰しています。また拙ブログに来ていただけて嬉しいです。地震の影響は大丈夫でしたでしょうか?

 私もそちらのブログを見に行きたいのですが・・・・・・現在中国からyahooブログへのアクセスが遮断されていましてそちらのブログも見ることができません・・・・・・帰国したらまた見に行きます。

 唐山大地震の試写会に当たっていたのですか!? なのに残念なことになってしまいましたね・・・・・・。確かに土豆で見れますが(本当に何でも見られますね(汗)。最近は土豆でも新作や人気作はわりと削除が厳しくなっているような気がしていたのですが)、やはりこのままお蔵入りしないで、日本でも何らかの形で日の目を見てほしいものです。

2011年5月 3日 (火)

『鉄道遊撃隊』2話「血に染まる洋行」 3話「岡村との智恵比べ」あらすじ

あらすじ

 「六月の足の傷は良くなったか?」との王強の問いに思い当たることがあり劉洪はハッとする。劉洪は「聞いてどうする?」と尋ね、王強は「家伝の良薬がある」と応え、薬の名前をあげる。 それは「仲間」を識別するための「暗号」であった。

 劉洪と王強がそれぞれを懐から破れた紙を取り出し、裂け目を合わせるとぴったりと合致した。二人は互いが探していた「仲間」であることを確認する。

Cap1285

二枚に別れた暗号文を合わせる劉洪と王強

 ・・・・・・劉洪は棗庄を出た後に共産党に参加し、抗日組織を作る任務を帯びて帰ってきた。棗庄には連絡員ともう一人地下活動員がおり、劉洪はこの二人と協力するはずであった。しかし、連絡員である薬屋の店主は劉洪が接触する前に日本軍に正体がばれて殺され、劉洪は協力すべき地下党員の正体がわからず困っていたところだった・・・・・・

 一方、その地下党員である王強も日本軍の情報を得るため「洋行」で働き、日本人に取り入りながら派遣されてくる「仲間」を待っていた。しかし、連絡員が殺されたことで外部との連絡が途絶え途方にくれていたところだった。それでもタイミングよく帰って来た劉洪がその仲間ではないかと思い様子を探っていたのだ・・・・・・。

 その頃、棗庄駐屯の日本軍は、何者かが列車侵入や国民党捕虜解放など一連の事態を重く見、ゲリラ活動が活発化するのではないかと懸念していた。そしてゲリラの隠れ家になる可能性があるとして、線路沿いに民家をことごく破壊し、多くの住民が犠牲になった。

 「洋行」の経営者・松崎も日本軍に協力し、立ち退きを拒んでいる彭家に押しかける。彭家の主はこの家は破壊範囲からはずれているはずだ、と哀願する。しかし、松崎は聞き入れず、ついに彭家の主を射殺する。父を殺された青年・彭亮は単身日本軍へ復讐しに行こうとするが、劉洪と王強に止められる。劉洪は、彭亮の父の仇は自分がとると約束する。

 王強は今までの潜入調査から、「洋行」は表向き退役軍人による貿易カ会社だが実は日本軍の特務組織であり、彼らは拳銃も所持していると劉洪に教える。劉洪は特務組織を潰し武器も手に入れるため、「洋行」を襲って三人の日本人特務を殺すことにする。

 一方、「洋行」では会計係の金山が経営者・松崎と副経営者・平野から、中国人労働者の給料をピンハネしたことを叱責されていた。金山は二人が「洋行」の金を着服し私腹を肥やしていることを指摘するが、怒りくるった松崎と平野に二人がかりで袋叩きにされてしまう。王強に助けられた金山は憲兵隊に駆け込む。岡村は醜く争う三人に、国益のため一致団結することを説き、三人は不承不承和解する。

 ちょうどその日は松崎の誕生日であり、三人が「洋行」で宴会をすることを王強から知らされた劉洪は、今夜「洋行」襲撃を決行することにする。誘いを受けた彭亮は、自分の師匠の妹であり恋人でもある藍妮から刀を借りる。

 夜、「洋行」で宴会を開いていた三人は、今後の特務活動のため「中華を持って中華を制す」方針に則り、中国人の対日協力者を育てていく相談をする。金山は、すっかり自分に忠実だと信じている王強を推薦する。

 刀で武装した劉洪・王強・彭亮は、闇にまぎれて「洋行」の敷地に潜入し、三人が酔いつぶれて眠るのを待つ。しかし、平野と金山が寝入っても松崎だけは床に就く気配がない。しかたなく三人は襲撃を決行。劉洪が松崎を、王強が平野を、彭亮が金山を殺すことにする。

 「洋行」に忍び込んだ三人はそれぞれの相手の部屋に向かい、いっせいに攻撃を開始。劉洪は起きていた松崎と乱闘となるが、格闘の末に彼を殺して銃を奪う。平野は異変を感じて王強の攻撃をかわし、乱闘となるが王強もなんとか彼を殺す。しかし、彭亮はふとんをかぶって逃げ惑う金山をなかなか仕留められずにいた。加勢に入った王強は、奪った銃で金山を撃ち、三人は「洋行」から離脱する。
Cap1286

乱闘の末、洋行の経営者を殺す劉洪

 彭亮は劉洪が直接父を殺した経営者を自分に殺させてくれなかったことを不満に思うが、「彼らは三人とも多くの中国人を殺してきており、我々みなの敵だ」と諭され納得する。そこに彭亮を心配する藍妮がやって来て三人が「洋行」を襲撃したことを知ってしまう。劉洪は彼女に他言無用を頼む。

 翌朝、王強は三人の死が発覚して憲兵が来たら自分は平静に振る舞う自信がなく不審に思われてしまう、と言って仕事を休もうとする。しかし、三人が殺された今日に限って休んだらそれこそ真っ先に疑われると劉洪に諭され、王強はいつも通り出勤することにする。

 王強が「洋行」に着くと、先に来ていた労働者達から三人の日本人経営者が誰も現れないと訴えられ、彼らに中の様子を見に行かせる。ほどなくして三人の死体が発見され大騒ぎになる。王強はみなと一緒に中に駆け込み松崎と平野の死を確認。しかし、驚いたことに金山にはまだ息があった。王強は仕方なく憲兵隊に通報し、重傷の金山を病院に運ばせる。現場に来た憲兵隊長の岡村は、金山が退院するまで王強を「洋行」の責任者代理に任命する。

 金山の生存に王強は動揺するが、劉洪は暗かったしふとんをかぶって逃げ回っていた彼は自分達の顔を見ていないはずだ、と言って安心させる。案の定、金山は犯人の顔を見ていなかったが、岡村は現場の状況から「洋行」の内部に詳しい者の犯行ではないかと見当をつける。

  岡村は王強と「洋行」の中国人労働者全員を憲兵隊に連行し、軍用犬を使って血の臭いが残っている者を探す。軍用犬は王強に反応を示すが、王強は血まみれの部屋で金山の手当てをしたためだろうと弁明し、病院に電話して金山に自分が信用に値する人物であることを証言させる。

Cap1288

喉に刀を突きつけ王強に自白を迫る岡村

 王強を自白させられないことを悟った岡村は、犯人が特定できないなら「洋行」の中国人労働者を全員殺すと宣言。王強は「自分も彼らも無実だが、彼らを殺すなら自分を代わりに殺して皆を赦してやってくれ」と必死で哀願し、岡村もいったん鋒を収める。

 岡村は入院中の金山を訪問するが、彼も王強は無実だと主張する。岡村は王強がああ見えて油断のならぬ人物であることを指摘し、「中国人にとって日本人は仇敵である。彼らを信用してはいけない」と諭す。

 一方、棗庄の人々は犯人は武術の達人である「飛賊」の李九ではないかと噂する。その李九は、最近日本軍が神経を尖らせていることから、母と妹の藍妮を田舎に引越しさせるため久しぶりに棗庄に帰ってくる。李九は妹の藍妮に「自分は『紅杏』を探している」とつげる。

 自分が日本人殺しの首謀者だとの噂を知った李九は、このような件に自分を巻き込んだ真犯人に怒りを覚える。李九は、このような大胆なことをするのは劉洪しかいないと見当をつけ、旧知であった彼に絶縁を言い渡してくる。


『狙撃手』4話~5話 BL感想編

・・・・・・三分割して、BLネタだけ独立して語るって痛々しいことこの上ないですが・・・・・・まあ、『狙撃手』はBL話をしてなんぼなドラマ(←え?)なので。


 以下、暗い話は遠くの棚に放り投げておいて、紛うことなくBLです。

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2011年5月 1日 (日)

『狙撃手』第4話~5話 感想

感想

 
 さて、分割することになった感想です。おまえの感想など本気でどうでもいい、という声が聞こえてくるような気もしますが・・・・・・まあ、いいや。



 今回一番の問題シーンは、敵前逃亡を図った杜占明を竜紹鉄が撃つシーンだろう。

 まだ十代の少年兵後ろから撃つ主人公・・・・・・なんとも嫌な気持ちになるシーンだ。もちろん監督は視聴者を嫌な気持ちにさせるため、戦争への嫌悪感を募らせるためにやっているのだと思う。

 

 で、ここに至るまでの、恐怖が極限に達して無意識のうちに逃げ出してしまう杜占明と、それを撃たざるを得ない竜紹鉄の苦悩という双方の立場が、なかなか説得力をもって描かれているのも良い。このような結果になってしまったのは、どちらのせいではないと言うか・・・・・・あえて言うなら八路軍の面々が指摘するように学生を戦場に動員する国軍のせいと言うか(←いや、史実上あんたらの方も少年兵たくさんいるはずだけど?)・・・・・・。


 まず杜占明について。前話では日本軍の砲撃にパニックになって叫びながら塹壕から飛び出し連れ戻されるわけだが、今回はもうそのレベルも超えている。確かに当初は半泣きの状態で壕の中にうずくまり銭国良に叱咤されたりしていたが、芥川に狙撃された仲間の遺体が目の前に転がり落ち、さらに砲撃で自分の頭上に土砂が降りそそぐに及んで杜占明は呆然自失状態になる。

 そう、パニックで泣き叫ぶのではなく、呆然自失。彼の中の何かが切れちゃったのが伝わるシーンだ。もう壕の外へ飛び出していくのではなくて、夢遊病患者のようにフラフラと出て行く様が痛々しい。砲撃が炸裂しているところにフラフラ出て行く方が塹壕の中よりも危険なのだが、もうそんな判断もつかない、ただこの場を離れることしか頭にないのね。



 で、その杜占明に竜紹鉄や銭国良は必死に戻るよう呼びかけ、警告も発するがそんな状態の杜占明の耳に届くはずもない。そして杜占明の逃亡に触発されて危機的状況だった部隊の兵士たちの間にパニックが伝染し、多くの者たちが塹壕を飛び出して逃亡をはかり・・・芥川の狙撃の犠牲になっていく。この混乱を収拾するには、その引き金である杜占明を止め、みなの目を覚まさなければいけない、という状況。ややキレイごとぽっいが、あくまで任務達成のために部隊崩壊を防ぐというよりも、パニックが広がりその結果全員が犠牲になるのを避けるのが目的、というスタンスで描かれている。

 小説版ではこの時の竜の心境がこう描かれている。

 これはいったい誰のあやまちだ? 自分はとうとう彼を連れ帰ってやることができない。(P29)

 ・・・・・・・竜は、戦いの前に不安がる新兵&老兵たちにそう約束していたのだが、結局そのうち一人は己が射殺しなければならない事態に。 

 そして杜占明が撃たれたことで、兵士達はそのショックでパニックが一応収まるのだが、一番ショックを受けているらしいのが撃った竜紹鉄。撃った後、すぐに「衛生兵!」って言って自分が撃った杜占明を救助に行かせてるよ(後で明らかになるが、竜はわざと心臓をはずし杜占明が助かる余地を残していた、結局助からなかったが)・・・・・・なんかいろいろやりきれない場面。

 まあ、一つ不満があるとすれば、「敵前逃亡兵の即決処刑」(督戦問題?)で、撃った側に同情の余地を残していることかな。私は、やはり「敵前逃亡は唾棄すべきもの」という軍隊的価値観には批判的であるべきだと思っているので、「パニックを抑え、被害を軽減するために仕方なかった」という流れだったのがちょっと気になる。

 でも少し見方を変えれば、嫌悪感を引き起こす射殺シーンと、他に選択の余地はなかったという状況、そして撃った側の苦悩を組み合わせて描くことで、そのような嫌悪すべき状況がどうしても起きてしまい、しかも誰も救われないのが、戦争であり軍隊の本質の一つなのだ、ということを描こうとしているような気もする。そう、「敵前逃亡兵の即決処刑」という否定すべき事態は、しかし戦争・軍隊の中で必然的に起こる事態であり、だからこそ戦争・軍隊を安直に肯定してはいけない、と言える。

 なにしろ、皆を救うため一人を犠牲にするという苦渋の選択をしたのに、結局最後はみんな死んだ(石頭ら4人を除く)というオチだったものなぁ・・・・・・・

 

 で、パニックは静まったものの、さらに戦況は悪化し、部下達が次々芥川に殺されていく。激しさを増す砲撃と泣き叫ぶ石頭の泣き声が反響するシーンは秀逸。

 そしてやっと規定の時間となり、竜は撤退を命令。しかし、その途上の闇の中で、生き残っていた部下達も一人また一人と竜紹鉄の目の前で芥川の狙撃によって殺されていく。この闇の中のどこからかわからない攻撃で一人ずつ消されていくのはちょっとホラーっぽいよね。もう少しホラーっぽく描けば良かったのに、と思う。芥川もわざとなのかなんなのか、部下から殺していって竜は最後まで残しているあたりえげつない。



 その結果、あれだけ苦渋の選択でみなの犠牲の拡大を防ぐため杜占明を撃ったのに、最後に残ったのは自分も入れて5人だけ。しかもそこで日本軍に追い詰められて、死ぬ前に一人でも多く日本兵を道ずれにしようと白兵戦に突入する。

 竜と銭国良は今までできるだけ石頭を守ってきたが、もはやそれはできない。二人は何より若くして死に赴かなければならない石頭の運命を無言で哀れみ、そしてやはり無言で怯える石頭に銃剣を装着して自分達とともに最後の突撃に出るよう促す。自分も一緒に死ぬから怖くはない、とでも言うように肩に手を添える竜紹鉄に石頭も半泣きの態で銃剣を装着する・・・・・・この時の表情が秀逸。



 結局5人は大春の部隊のおかげで救われるのだけど、杜占明は駐屯地の病院で死亡し、張脆が竜紹鉄が撃ったことを広めたため、戦場に行かなかった兵士たちの間で竜紹鉄の評判はますます下がる。

  その後、段旅長から「あの日本軍の狙撃手(=芥川)をこのままにしておいていいのか、と言われて、竜紹鉄は軍に残る決意を固める・・・・・・このへん「全員生還させる」と約束した部下達を一人一人芥川に殺されていったのがそうとう堪えたのだろう。芥川を何としてでも倒す、と動機づけ(及び運命的な結びつき)ができた感じ。




ピックアップシーン

 台詞やりとりの見所は多くあるが、とりあえず三箇所をピックアップ。

 任務から帰還した竜紹鉄は段旅長に退役を申請するが、あっさり棄却(申請書を見もせず丸めて捨てました)。「この任務を終わらせたら退役させてくれるって言ったのに!」とか騒ぐ竜だが・・・・・・いや、段旅長はあの時はっきりと「考えておく」って答えたのだよ? それを「承諾」だと解釈していたとは、もう竜も甘い甘い・・・段旅長も騙しやす・・・・・いや扱いやすよね。
 その時の竜と段旅長のやりとり。

竜紹鉄「私にはなんの戦功ももういりません! ただ退役したいだけです」

段旅長「どうしてそんなことが認められるかね? 君はすでに戦区の英雄だ。私も戦区長官も退役など許可しないだろう」

竜「・・・・・・旅長、だめです。あなたは医務室のあの負傷兵のことを知らないのですか? あの新兵、心臓近くを打ち抜かれているあの新兵・・・・・・あれは私が撃ったのですよ、私が自分の手で彼を殺めたんです。私の手は彼の血で汚れている!・・・・・・私は二度とあんなことはできない。毎晩、眠ることもできません。私が任務に行けば、周りの人間はみな死ぬんです! 私もまた自分を殺すでしょう。わかっているんですか!」

段旅長「小兄弟、今君は思い詰めすぎているんだ。そんな話が文軒参謀長の周りに伝わったらどうする? 彼のことを考えるのはもうやめなさい」

竜「あなたは私の言うことがわからないんですか? いまや将兵たちの誰もが私を虐殺者だと罵っているんですよ!」 

段「おまえは一般兵士か!? おまえは彼らとは違う立場にいるのだ! 杜占明の件は私もすでに知っている。君のやり方は正しかった。一人の責任ある士官であれば誰でもあのような時はああしなければならない!・・・・・・他にどうしろと言うのだね。私は長い軍歴の中で、戦場で処刑した逃亡兵は一人二人ではない! その中には中隊長や大隊長もいた! 今は戦争なのだ。断固としていなければ、何もかも終わりになる。わかったか!」

竜「・・・・・・どうあっても私を退役させてくれないのですか? ・・・・・・ならば私は自殺します。あなたの目の前で死んでやる!」

段「君には無理だ」

竜「なぜ無理だなどとわかるのですか! ここまで追い詰められたなら俺はなんだってできます!!」

段「いいや、君にはできない。なぜなら君は私と同じ運命だからだ。死ぬのならそれは日本人と戦った果てでなければばらない! 敵と戦った結果でなければならない!!・・・・・・だから、君は自殺などできない。君は天性の軍人であり、英雄だ。それが君の運命であり、責任であり、光栄なのだ。辛くても耐えられなくてもその運命から逃げてはならない。君はただ耐え、踏みとどまらなければならないのだ!」

竜「・・・・・・」

段「加えて、日本軍現れた極めて恐ろしいあの狙撃手・・・・・・恐らく彼は君を倒すためにここにやって来たのだ。君以外に、誰があの狙撃手と戦えるというのかね?・・・・・・彼を倒せば、私も君の退役を認めよう」

 なんだかだんだんよくわからなくなってきたが、退役させてくれなきゃ自殺してやる、とまで言い出す竜紹鉄・・・・・・いや、本気でこの人軍人に向いていないと思うのが(逆に言えば逃亡兵を殺して夜も眠れなくなるようなまともな感覚を保持しているのだが)、段旅長はあくまで軍人の論理でそれに対する。

 私、いまいち段旅長の立ち位置がわからない。善良で開明的、そして竜の理解者かつ保護者という感じで竜も全面的に信頼をよせているのだが(だからこうも本音を話せるのだ)、けっこう狡猾な気もするし、少なくても竜紹鉄を自分と同じ職業軍人の論理に取り込もうとはしている。段旅長だって自分の言っていることが正しいわけではないことを自覚しているけど、戦争中で自分達は軍人なのだから仕方ない、というスタンスなのだろう。また竜が大事なゆえに、戦場で生き延びさせるためその甘さを是正しようとしているようにも見える。

 で、竜紹鉄は軍に残ることを了承してしまうけど、実はこれ、段旅長の論理に飲まれたわけではないようだ(それは後の回でさらにはっきりする)。とりあえず段旅長の軍人の論理の是非は保留。決定打だったのは、芥川が実は自分を狙っていたという可能性。芥川を倒せるのは自分しかいないという義務感、そして自分が狙われていたため部下達は全員死んでしまったという業ゆえ。竜の決意と芥川との運命的な因縁が印象づけらえる。



 しかし、軍に残ることを決意した竜紹鉄は、どういうわけか彼に軍を辞めて欲しくてしかたない蘇雲暁から激しい批判を受ける。

蘇「あなたってあいかわらず世間知らずの大少爺(若旦那,ボンボン)ね! この旅の上から下までいったいどれだけの人があなたなんか死んでしまえばいいと思っているか知らないの?」

(略)

蘇「あなたは戦いが終わるたびに、出て行きたいと泣いたり喚いたりしていた。でも本当にあなたが出て行きたいと思っていたなら、誰も止めることはできなかったはずよ。結局、あなたは出て行かない。あなた、自分の手は戦士たちの血で汚れている、って言ったわよね。あなたは苦しんでいる、自分を責めている・・・でも本当はそうじゃない。本当はあなたは楽しんでいる、興奮しているのよ。兵士たちの言っていることは少しも間違いじゃない!あなたは天性の殺戮者なのよ!」

竜「うるさい!」

蘇「・・・・・・私の言う通りだったみたいね。すぐに激するんだから。あなたは周りに影響を受けすぎるのよ。それで、きっと簡単にあなたが最も嫌うような人間に変わってしまうわ。・・・・・・私はやっぱりここを出て行ったほうがいいと思う」

と、なんとも強烈な一撃。 

 でもこういうことを言う人も必要だったのだろう。基本的にドラマなので主人公の苦悩が視聴者に伝わり、それに同情ができるような造りになっているが、しかし戦争を厭う彼が本当に「楽しんで」いないかどうか、提起する必要はあった。一人の優秀な狙撃手として、殺し殺される戦場の危険さに興奮したことはなかったのか、敵兵を仕留めることが少しも楽しいことではなかったかどうか・・・・・・

 芥川を倒すという目的のため結局軍に残ることを決めた竜紹鉄に対する批判的見解、視聴者の主人公に対する同情と共感に躓きを与えうる場面である。


 

 さて、視聴者の見解はともかく、ドラマ中では元々孤立していたのに、杜占明を撃ったことでますます部隊内で孤立していく竜紹鉄。しかし、意外なことに理解者がいた。

 任務を終えた大春は八路軍に戻り、林団長ら団幹部に任務の報告と竜紹鉄がいかにものすごい狙撃手であるか説明する。林団長らもそれで竜紹鉄に興味を持つのだが、

政治委員「大刀から聞いたのだが、その竜紹鉄という士官は逃亡兵を射殺したのかね」

大春「はい。ただ一発で心臓に命中させたんですよ」

政治委員「それはなんとも恐ろしい腕前だな」

大春「さらにとんでもないことにですね、心臓の中心を撃ち抜いたわけじゃないんですよ。俺は一緒に撤退した時に見たんですけど、心臓からわずかに数ミリだけ離れたところを撃たれていました。血もほとんど流れていなかったし・・・・・・俺が見たところあの逃亡兵は助かると思いますよ」

 何気に竜紹鉄は逃亡兵を殺すつもりはなかった、とかばう大春。・・・・・・まあ、結局杜占明は駐屯地の病院で死んだのでこの見解ははずれたわけだが・・・・・・興味深いのは次の会話。

林団長「大春、君はこの件についてどう思うかね」

大春「・・・・・・団長、その質問は俺も帰り道でずっといろいろとよく考えていました。あなたが聞きたいのは、もし俺が同じ状況に置かれたら、部隊の混乱を収めるために何をすべきか、ということですね」

林団長「・・・・・・」

大春「・・・・・・俺も同じことをします。ああゆう状況では、彼を撃つ以外に混乱を収拾する術はありません。・・・・・・でもとてもつらい思いをすると思います。あの逃亡兵はまだ子どもでした。入隊したばかりの学生兵だったんですよ。くっそたれの中央軍、あんな学生を戦場に動員しやがるなんて」

「おまえが同じ状況に置かれたらどうする?」との問いかけに一瞬間を置いて「同じことをする」と答える大春。ここには、竜紹鉄を「殺戮者」「味方殺し」と非難する段旅の一般兵士たちと根本的なスタンスの違いがある。

 大春は「自分が同じ状況に置かれたら」と、何よりもまず竜紹鉄と同じ立場になって考えた。しかも林団長に問われたから急いで考えたのではなく、「帰り道でずっと考えていた」とあれこれと思索した果ての回答である。その思索の中で逃亡兵を殺さずにすむ方法も考えてみただろう。そのような方法を採りたいわけはないのだから。しかし考えても考えても他に方法はなかった。

 だから大春は、「自分も同じことをする」と答える。この台詞の前に一瞬の間があり、さらに苦虫を噛み潰したような顔で言うのである。この一瞬の間に大春の苦渋と決意が感じられる。その苦渋と決意は、実際に行動を起こした竜紹鉄の痛みと決断にリンクする。杜占明を撃ったのは大春ではない。しかし、それはたまたま運よくその場面に立たされたことがないからだけにすぎない。しかし、大春は「自分が同じ立場だったら」と考えることで、実際にそれを実行し、罪と業を背負った竜紹鉄と同じ位置まで自ら降りていこうとしたのである。

 しかし、ここまでならまだ段旅長と同じだ。段旅長もまた長年の職業軍人生活の中で「処刑した逃亡兵は一人どころではない」と言っている。それが苦渋に満ちたものであり、しかし責任ある立場としてやらねばならないことだと竜紹鉄に教え諭している。段旅長も竜紹鉄を「味方殺し」とは非難しないし、同じ立場に立ったことさえある。

 だが、大春が決定的に違うのは「でも、とてもつらい思いをすると思います」の一言だ。これは自分が同じことをしたらつらい思いをする、ということだが、図らずも竜紹鉄の現在の心境を言い当てている。同じ立場に自ら身を置いたことで、大春は竜紹鉄の感情をも追体験した。これが単に自分だったらつらい、というだけなのか、自分だったらつらいしならば今竜紹鉄もつらいはずだ、まで含んでいるのかはいまいちはっきりしない。しかし、擬似体験として「つらい」と感じ、その感情を肯定するなら、契機さえあれば容易に竜紹鉄の心境を察することもできるだろう。

 実際に竜紹鉄は「つらい」のだ。「毎日眠れない」「二度とあんなまねはしたくない」と段旅長に訴えていた。しかし、それに対して段旅長は「思いつめすぎだ」「今は戦争なのだ。断固としていなければならない」と叱咤するだけだ。段旅長だって竜のつらさはわかっているはずだが、「戦争なのだから」そのつらさは乗り越えなければならない、でなければ生き残れないとしか言わない。確かにそれは竜紹鉄を戦場で生き延びさせるためのアドバイスではあっただろう。

 しかし、大春ははっきりとまず「つらい」という感情を率直に吐露し、その「つらい」と感じることそれ自体を肯定した。仕方なかったとはいえ、戦争だからとはいえ、つらいものはつらいのだ、と。竜紹鉄が段旅内で唯一信頼している段旅長にさえ否定された「つらい」と感じる心を拾ったのが大春だったのだ。



 だが、ここでちょっと考えなければならないことは、例え仕方なかったとはいえ、またそれが撃った側にどんな痛みをもたらしたとはいえ、撃たれた側の杜占明の痛みにはとうてい及ばないということである。自ら竜紹鉄と同じ立場に立ち、その行為と感情に寄り添い肯定する大春は、撃たれた側からみれば同じ加害と罪悪を共有していることになる。同じ立場に立ち、心情を共有する、とはそういうことだが、その点も大春はわかってはいるだろう。だからこそいろいろと考え続け、それがどういう意味かを承知し、一瞬のためらいを置いた後で、それでも応えたのだから。


 竜紹鉄の痛みに寄り添い、その重みと罪を分け合おうとする。今度もこれが大春のスタンスとなっている。

 さて、なんか深刻な場面ばっかりなのでちょっとなごみ系な場面を。

 深夜、いずこかへ向かう大春ら八路軍の面々。

兵士一「俺らの勝手な行動、ばれたら批判大会にかけられるぞ」

二勇「批判大会はめんどうだなぁ」

大刀「おまえが嫌なのは大会じゃなくて、反省文を書かされることだろ? 大丈夫だよ、おまえが一文字も字を書けないなのは戦区中が知っているさ」

兵士二「俺らが黙っていれば誰にもばれないさ」

大春「・・・・・・あのなぁ、俺はやぶ蚊の大群でも連れてきている気分だぜ。帰りたきゃ帰れよ、俺一人で行くから」

兵士たち「いえいえ、俺らも行きたいです、行きましょ行きましょ・・・・」

 批判大会は中国共産党の伝統文化ですなぁ。若い兵士たちには「めんどくさい」の一言で切られましたが。まあ実際にめんどいんでしょうな(実際には「煩」という言葉が使われていて、この「煩」はいろんな意味に取れるのですが、話のノリからして「めんどい」という訳が一番な気がしたので)

 なんとなくアットホームでなごむ八路軍の面々。でもこんな深夜にどこ行くの? 勝手な行動って?





今週の芥川君

 さて、何かと話題の芥川君だが。

 段旅の調査により、彼は「元関東軍特殊部隊」の出身と判明。やっぱり何だかよくわからないが、とりあえずすごそうな響きである。竜紹鉄も直接会ったことはないものの、ドイツの軍事学校時代に教官より(芥川はその教官の友人との設定)噂を聞いており、「銃王」「殺人機械」と評していた。

 
 で、4話よりその芥川君の天上天下唯我独尊ぶりの本領を発揮しはじまる。

 作戦が失敗し芥川君に「計画が台無しだ! いったいどう責任を取ってくれるんだ!」と怒鳴りつける大野にあっさり一言。

「(大野旅団長の)情報が間違っていました」

と実にふてぶてしい態度でふてぶてしい一言。当然、大野は「私の情報に間違いはない!」と怒るが

「必ず! あの謎の狙撃手が何者かを洗い出すのです」

と、もはや大野の言葉など聴いておらず、さっさと自分の言いたいことだけ言って去って行ってしまう・・・・・・。

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目力がすごい芥川君


 その後、落ち着いた大野と日本軍内に中央軍か八路軍のスパイが入っているのではないかと話し合い、大野は一週間以内にスパイを見つけると約束する。その一方で芥川君は大胆不敵にも直接段旅に乗り込み、段旅長を暗殺する計画を立てる。どんだけだいたんな人なのでしょうか。そして

「中国の諺にこういうのがあります。盗賊を捕らえるにはまず頭目から、と」

 この後ドラマ内で恒例となる芥川君の「中国の諺シリーズ」、記念すべき第一回です。


 しかし大野は落ち着いていさえすれば極めて慎重な良き上官でした。芥川君の非常識な作戦に対してもまだ日本軍内のスパイが摘発されていないから危険だと常識的に諌める。しかしそれに対して芥川君は実にわざとらしい声で

「一週間以内にスパイを見つけるはずだったのでは?」

と言い、あからさまにフッと笑い声を出して、唇の端を一瞬小さく歪め(このへんの演技が絶品)

「もう一週間経ちましたが?」

と、上官をあざ笑います!!

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上官をあざ笑う芥川君


 しかし大野はよっぽど人間が出来ているのがやや憮然たる声で「期日までに回答は出す」とだけ言う。

 いや、ほんと、芥川君みたいな部下を持つと何かと大変なようです。(芥川君は関東軍から(?)派遣されてきているので、もしかしたら大野とは上官―部下の関係にないのかもしれませんが……一応大野に対して警護使っているけど、単に年齢が上だからだけかもしれない……が、この二人は上官―部下としておいた方が何かと面白いので大野上官と部下の芥川ってことで)

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