2015年8月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
無料ブログはココログ

ランキング

« 映画・ドラマで学ぶ中国語(3) クライミング・イン・ザ梁山泊 | トップページ | お知らせ »

2011年2月22日 (火)

『狙撃手』総合案内

Cap137_4

種類:TVドラマ(全25話)

放映:2009年

監督:高希希

シナリオ:王宛平,丁丁

俳優:佟大為(竜紹鉄),于濱(洪大春),矢野浩二(芥川拓石),李依暁(九児),毛孩(石頭),邵峰(文軒)



評価

ストーリー:★★★★☆    人物造形:★★★★★

エンタメ度:★★★★★    文芸度:★★★★☆

萌え度:★★★★★★★★    総合お勧め度:★★★★★

※萌え度はゲージを振り切りました



簡単あらすじ

 中央軍(国民党軍または国府軍)の竜紹鉄は、ドイツの軍事学校で学んだ天才的狙撃手であったが、戦争に慣れることができず鬱々と退役する機会を待っていた。そんな彼の前に、生き別れの婚約者・蘇雲暁が上官・文軒の妻なって現れる。時を同じくして部隊内で深刻な情報漏えいが発生し、竜紹鉄はスパイとして文軒に疑われる。

 一方、日本軍は竜紹鉄に対抗するため、天才的スナイパー・芥川を当地に派遣。芥川の参戦によって、戦場は「死神の饗宴」とも言うべき悲惨さを増す。竜紹鉄は一心に自分を慕う少年兵・石頭や奇妙な信頼関係で結ばれた八路軍戦士・大春、ままならぬ恋に落ちた女八路・九児とともに戦いの中で成長していく。


入手可能ショップ:クイックチャイナ(http://www.quick-china.com/movie/detail/dj15913.html



解説

・舞台

 抗日戦争を題材にしたドラマ。部隊は山西省と河南省の境近くにある「中条山」付近。中国で言うところの「中条山戦役」、日本でいうところの「中原会戦」が行われた場所であり、ドラマ中で当該戦役が再現されている。

・歴史的背景

 1927年の国共分裂以来、革命路線の違いをめぐって十年間の内戦を続けてきた国共両党は、西安事変を機に内戦を停止し「抗日民族統一戦線」を結成。中国共産党の紅軍は「八路軍」として国民党政府軍に編入されるものの、指揮権は共産党が保持する。抗日戦争中、国民党政府軍は「正面戦場」で日本軍と大規模戦役を展開し、共産党は「敵後戦場」で日本軍の後方や占領地をかく乱した。国民党と共産党は抗日戦争中も「摩擦」と呼ばれる軍事衝突を何度か繰り返したが、基本的に終戦まで統一戦線を堅持し、共同して日本軍とあたった。

・中国と日本の軍隊編成

 中国の軍隊序列と名前、および相当する日本軍の序列は以下の通り。

軍ー師(師団)ー旅(旅団)ー団(連隊)ー営(大隊)ー連(中隊)ー俳(小隊)ー班(分隊)


・ドラマ中での国民党軍・八路軍・日本軍

 ドラマ『狙撃手』の舞台となった中条山付近には大きく三つの勢力、すなわち国民党政府軍,八路軍(および抗日根拠地政権),日本軍、が存在している。この三者の関係の妙がドラマを理解する上で重要なのでやや詳しく説明する。

 三勢力のうち日本軍は県城と呼ばれるその地方の中心都市を占領し駐屯。国民党軍と八路軍はその周辺の郊外・農村部をそれぞれ分け合うようにして駐屯している。また国民党政府軍があくまで臨時首都・重慶の中央政府の指揮下にあるのに対して、共産党は八路軍の担当地域内に抗日根拠地を築き独自の政権を運営している。ドラマ内での中条山付近の国共両党は互いの駐屯場所を尊重し、作戦行動上相手の区域の通過が必要な場合は、事前に通告し共同行動を申し出あっている。

具体的な駐屯部隊とその設定は

国民党軍→段之凡旅長というベテラン軍人率いる「段旅」が駐屯。中央軍,国民党軍,国府軍と呼ばれる。衛立煌がトップの第二戦区に属する。

 段旅長は軍事的な観点から八路軍との共同作戦に積極的であり、たびたび八路軍に武器弾薬を援助し、作戦の援護を依頼している。段旅には中央から特務組織「軍統」の文軒という男が派遣されており、情報管理・スパイと親共者の摘発を任務とする。文軒は軍事作戦の際には段旅長の部下だが、彼が「軍統」としての任務を遂行する時には段旅長と言えどもそのやり方に口を出すことはできず、両者は微妙な関係にある。

 段旅に所属する登場人物は、竜紹鉄(主人公・少佐),段之凡(段旅トップ),文軒(軍統),蘇雲暁(軍統),石頭(学生兵),銭国良(上等兵),方儀球(一等兵)。

八路軍→林団長という元教師出身の団長率いる「林団」が農村部の抗日根拠地に駐屯。統一戦線を堅持する立場から段旅との極めて良好な関係を維持することを重視。

 林団に所属する登場人物は、洪大春(連長),林団長,九児,二勇,大刀,胡子叔。

日本軍→いかにもたたき上げっぽい大野連隊長率いる「大野連隊」が県城を占領し駐屯。長年、段旅・林団と対峙を続けている。芥川は関東軍特殊部隊から派遣されて来ている。

 大野連隊に所属する登場人物は、芥川拓石(少佐),大野連隊長,岡崎。


・監督とテーマ

 監督は日本でも放映された/されている『上海灘』『三国志 Three Kingdoms』を手がけた高希希 。高希希監督は『狙撃手』のテーマは「反戦」だと言って以下のように述べている。

まず戦争の本質とは何か考えた。この戦争は中国人にそして世界中の人々に極めて大きな災厄をもたらした。この戦争と私達はどう向き合うべきか? 私の理解するところでは、戦争には勝者はいない。(中略)それゆえ戦争は中国人に巨大な苦痛をもたらした。そして日本人にも大きな苦痛をもたらした。彼らは侵略者ではあるけれども、その点においては同じである。私はそう思うゆえに、ある希望をこの作品のテーマに込めた。それは、私たちに必要なのは平和であり、戦争はいらない、武器を捨てよう、ということだ。このような反戦の心を持ってテーマと向き合い、それをテーマにこめた。私たちはこのテーマが価値あるものとみなされ、あるいはテレビドラマのテーマの一つとして浸透するよう願っている。(http://ent.qq.com/a/20090928/000429.htm

 私は、戦争という残酷な時代において愛は贅沢品であると思う。まさしく、愛が贅沢なものになってしまうということを描くことで戦争がいかに残酷なものであるかを表現しようと思った。今の若い人々に言いたいのは、平和を守ろうという言葉は理念の上ではとても簡単である。だから私はドラマ中でいくつもの愛情物語を引き裂いてみせた(中略)実際、私達はヒロインを女神のような存在として設定した。美しく、無垢で、純潔であった彼女が最後、戦争によって破壊されたことは、人々の胸にショックを与えたことであろう。このような感情を通じて、「狙撃手」を通じて、武器を捨て、戦争を捨て、私達は平和を守らなければならないのだと訴えた。(http://ent.qq.com/a/20090928/000429_4.htm




参考サイト
http://baike.baidu.com/view/32412.htm(中国語サイト。「狙撃手」内の下の方にある「内地電視」項目をご覧ください。



以下、腐女子的な内容となります。

 








・女性シナリオライターは腐女子? 

  このドラマ、監督は男性であるが、シナリオは重厚な戦争ものであるにも関わらず、珍しく二人の女性が担当している。うち一人・王宛平は60年代のう余れで軍隊経験もあり、おそらく彼女が軍事面での描写を担当しているのではないかと思われる。

 問題はもう一人のシナリオライター、丁丁だ。彼女はなんと1985年の生まれ、つまりこの『狙撃手』のシナリオを担当した時点で、まだ20代半ば。おそらく彼女が非軍事場面の担当、つまり登場人物同士の人間関係やら愛情物語の部分を担当したのではないかと思う。で、やはり問題なのは、その人間関係、特に男同士の関係だ・・・・・・はっきり言ってヤバイ・・・・・もう何がヤバイか言い尽くせないほどヤバイが、端的に言えば、「このシナリオ書いた奴腐女子だろ」と思わざるを得ないほど”狙っている”描写だらけだ。彼女はドラマのノベライズを担当しているが、TVでも見る人が見れば相当際どい表現がさらに際どくなっているその本を一読して、一人の”腐”として確信した、彼女は”仲間”だ。(具体的に何がどうなのかは、各話紹介過程の中で話していきます)

 もちろん、例えば共産党員(男)と国民政府軍エリート(男)の恋愛関係などというものをTVでも小説でも描いた日には各方面に角が立ちすぎることは明白なので、表向きは男同士の友情だ、民族の大同団結だ。ちゃんと目くらまし用にヒロインも投入されているが、まあ、わかる人にだけ分かればいい、ということだろう。そしてちゃんと中国の腐女子の中にもその裏設定を的確にキャッチしてくれた子がいる。以下のブログ、その名も「三角之《狙撃手》」という記事で熱く語られているが、その一部を紹介してみよう。彼女は最初、見るとはなしに見ていたTVで偶然、最終話近くの話を見ていたたという・・・・・・。

 登場人物間のだいたいの関係もわかり、私はだんだんこのドラマに興味を覚えてきた。そしてあの日本軍の士官がこう言ったのだ。「私には竜紹鉄が必要だ」←この一言を聞いたとたん、私は少し焦った。なぜ焦ったのかは知らない、言うなれば私の”腐”の本性が何かを感じ取ってしまったのだろう。(中略)

 私は固く決心した、このドラマ、全部見よう、と。

 ドラマの舞台は抗日戦争時代の中条山と呼ばれる地方で、2つの陣営に分かれた三つの勢力、共産党・国民党・日本軍が登場する。ここまで見ればもう分かると思うけど、つまりこのドラマは三角関係の話というわけ

http://hi.baidu.com/jn62750370/blog/item/6232bc8701c3503466096ebe.html

 いやいや、共産党・国民党・日本軍が出てきて「ここまで見れば分かると思うけど」で、このドラマを三角関係の話と断ずる腐女子の飛躍力がすごい。

 ところで、彼女は「三角関係」としているが、確かに共産党の大春と日本軍の芥川が、主人公の竜紹鉄を取り合うというのが裏設定のメインになっているのは私も認めるけど(←認めるなよ。あと、共産党の男と日本軍の男が国民党の男を取り合うって何の暗喩だよ)、でも実際には「八角関係」ぐらいには余裕でなっている。

 つまり主人公で驚異のフラグ率を持つ竜紹鉄が総モテ状態で、彼をゲットすべく男女も敵味方の別も仁義も無い争奪戦が繰り広げられる話だと思う(←思うって・・・・・)。私のカウントしたところによれば、この争奪戦に参加するのは全部で7人。内分けは国民党から4人,共産党から2人,日本軍から1人、男性5人,女性2人というところ。カップリング形態もロミジュリ,憎しみ愛,ほのぼの愛,年下部下の下克上愛,Wツンデレ愛と腐女子視聴者のさまざまな需要に対応。視聴者は自分の好みのキャラと主人公の関係の変化に一喜一憂しながら、最終的に誰が竜紹鉄をゲットするか手に汗握って見守るという楽しみ方ができるというわけ。

 用意されている好感度アップイベントもベタながらツボを抑えているものが多く、やはりこの女性脚本家は日本で萌えの真髄について研究でもしてたんじゃないかと思うしだい。

 ちなみに私の応援カップリングは大春×竜紹鉄です。

« 映画・ドラマで学ぶ中国語(3) クライミング・イン・ザ梁山泊 | トップページ | お知らせ »

『狙撃手』」カテゴリの記事

オリジナル人物」カテゴリの記事

抗日戦争」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1302395/38679411

この記事へのトラックバック一覧です: 『狙撃手』総合案内:

« 映画・ドラマで学ぶ中国語(3) クライミング・イン・ザ梁山泊 | トップページ | お知らせ »