2015年8月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
無料ブログはココログ

ランキング

« 『井崗山』18話~23話 | トップページ | 中国映画・ドラマで学ぶ中国語(2) それは、食べられません。 »

2010年11月 7日 (日)

『西安事変』28話

※11月8日一部訂正あり

あらすじ

 華清池襲撃と同時刻の12月12日朝5時、東北軍は省憲兵隊を、西北軍は中央高官が泊まるホテルを襲撃。

 省憲兵隊主任の雷剣邦は、部下の金徳茎の助けで逃亡を図るが、結局捕まってしまう。ホテルでは就寝中の中央高官が次々捕まり、同じホテルに泊まっていたアグネス・スメドレーは事態を知りたがるが、西北軍将校に止められてしまう。

Cap1125_3

西安事変の現場に居合わせるアグネス・スメドレー 

 張学良楊虎城は、無事に西安を制圧し要人を捕られたことを喜ぶ。しかし肝心の蒋介石が未だに捕まらないとの報告に衝撃を受け、張学良は華清池襲撃の劉多茎になんとしてでも蒋介石を保護するよう厳命する。

 孫銘九らは捜索の範囲を周辺の驪山に拡大。しかし、時はすでに朝の八時となっており、そろそろ南京に西安の異変が伝わる頃であった。張学良はもしもあと一時間して蒋介石を確保できない時は、自分を殺して罪を免れるよう楊虎城に告げるが、楊虎城は張学良を一人で死なせはしないと言う。

 驪山を捜索中の劉圭五は、蒋介石とともに逃亡したはずの蒋孝先を発見。しかし蒋孝先は蒋介石の居場所を言わず、業を煮やした劉多茎はこのまま逃げられるよりは、と山に火を放つ準備を始める。

 と、そこに蒋孝先の弟で、同じく蒋介石と一緒に逃げていた蒋孝鎮が捕まり連行されてくる。孫銘九は気弱な蒋孝鎮に銃を突きつけて蒋介石の居場所を言わせようとし、さらに止めに入った蒋孝先を射殺する。

Cap1129

蒋介石の居場所を吐きかけた蒋孝鎮(弟)を止めに入って撃たれる蒋孝先(兄)

 8時45分。張学良は別室に篭り、高福源に銃を渡して9時になったら自分を射殺してくれるよう命令する。

 兄を目の前で殺された蒋孝鎮はついに蒋介石の居場所を教えてしまう。孫銘九らはその洞窟に駆けつけ、もはや隠れきれないと悟った蒋介石はおとなしく洞窟から出てくる。

Cap1126_2

岩の間に潜んでいた蒋介石

孫銘九らは礼を以って蒋介石を迎えるが、今回の反乱が張学良の命だと知った蒋介石はそのまま気を失う。

Cap1127

蒋介石に跪く東北軍

 9時。張学良は高福源に引き金を引くよう命じ、高福源は泣きながら命令を実行しようとする。しかし、寸でのところで蒋介石確保の知らせが届く。

Cap1130

計画の失敗を悟った張学良は部下に自分の射殺を命じるが・・・

自宅で知らせを待っていた趙一荻も張学良が死ななかったことに涙を流して喜ぶ。

 楊虎城は、要害の地に駐屯する部下の馮鉃哉に初めて事態を伝え、中央軍の侵攻に備えるよう命じる。しかし馮鉃哉は楊虎城のやり方に反発し、西北軍から離反して中央軍に協力することにする。また西安に近い洛陽にいた東北軍の幹部も張学良からの電報で事態を知り、そのまま洛陽の中央軍に知らせてしまう。

 東北軍と西北軍の幹部たちは、対外向けに声明を出すに当たって、今回の事態に何と名をつけるべきか悩む。結局、「起義(義挙)」や「兵変(クーデター)」と言う言葉ではなく、「兵諌(武力で主君の過ちを諌める)」という言葉が最適だとして採用する。

 



感想 

 今回は、西安事変勃発記念で1話単独紹介です。

 とは言っても、あれこれ感想を言うには野暮な気もしますね。あらすじだけで充分語りつくされているというか。

 28話の完成度は高かったです。西安事変の臨場感をうまく描けていました。これ1話だけでも一つの独立した作品としてやっていけるのではないかと思います。

 ただ、なにしろ西安事変は有名すぎです。なので、この回のドラマとしての見せ場は、午前9時までに逃亡した蒋介石を確保できなければ計画は失敗したとして張学良は自殺する、という前提の中で蒋介石を探しまわるという点。蒋介石は見つかるのか? 張学良は助かるのか? という点が焦点となるわけですが・・・・・・この時点で蒋介石が見つかることも張学良が死なないことも(「西安事変」なんてドラマをわざわざ見る)視聴者はすでによくわかっているので、いまいちハラハラできないんですよね。

 まあ、これは歴史モノの宿命ですが(事件の結末や有名人物の生死の行方が読者/視聴者にあらかじめわかってしまっているということ)。

 なので、この手の誰でも経緯を知っている有名事件に対しては、キャラクターを個性的にし、かつ歴史ファンの心をくすぐるトリビア的エピソードを効果的に使う手法を用いるのがいいのでしょうね。前回あった「ふとんがまだ暖かい」→「蒋介石はまだ遠くに逃げていない」も、歴史ファンにとっては「そうなんだよね~、そういう話もあったね」「来た来た、このネタ」と思えて楽しめるんですよね。

 が、今回は「蒋介石が見つかるか張学良が死ぬか」という点に重点を置いてしまい、そのため小ネタはほとんど扱われませんでした。せいぜい西北軍が中央高官の泊まるホテルを襲撃した時に、アグネス・スメドレーが客として居合わせてその現場を目撃する、という史実ぐらい。

 意外にも、蒋介石が慌てて逃げたため入れ歯を忘れたとか山中の洞窟に隠れていたのを東北軍兵士に気づかれ誰何されたのに答えなかったのであやうく撃たれそうになったとかいうエピソードもなかった。どうもこのドラマではあまり蒋介石を情けなく描くのは避けているように思えます。

 しかし、そうは言っても、もし西安事変をよく知らない人が見れば「蒋介石が見つかるか張学良が死ぬか」のテーマは、構成が巧みなので非常に緊迫感を感じることができたのではないかと思います。特に、張学良が死を決めた午前9時が容赦なく刻一刻と迫ってきてるのに、蒋介石が見つかりそうで見つからなくて、これもう間に合わないんじゃない? って思えるような描き方して、最後は一分一秒を争うことになって・・・・・・・というふうにもどかしさとハラハラ感、そして最後にホッと一息つける展開はうまかったですね。


 もう一つ、印象的なシーンと言えば、蒋介石の甥で侍従長で弟の蒋孝鎮とともに蒋と逃亡していた蒋孝先が、東北軍に射殺されるシーンですね。蒋孝先自身は、学生を弾圧したり蒋介石の権威を借りて若いくせにいばったりと、死んでも同情する気にはあまりなれない人物なのですが、問題はその殺され方。

 確か、史実では蒋介石が逃げる時間を稼ぐため襲撃部隊と銃撃戦をして死んだはずだと思うのですが(このへんちょっとうろ覚えで不正確)、ドラマでは捕まった後に撃ち殺されていました。さすがに蒋孝先といえども、戦闘中ではなく捕まって無抵抗の状態で殺されるを見るのは後味悪いですね。

 蒋孝先は性質の悪い人間で方々で恨みを買っていますが、蒋介石を守ろうという気持ちは強く、決して東北軍に蒋介石の隠れ場所を吐こうとはしませんでした。しかし、一緒に捕まった弟の蒋孝鎮は気が弱く動揺していて、東北軍も意思堅固な兄よりこっちは少し脅せば吐きそうだと思ったのか、蒋孝鎮の方に銃をつきつけて詰問します。

 兄の蒋孝先は必死に弟に何も言わないよう叫びかけますが、気の弱い弟は引き金を引かれかけて、蒋介石の居場所を吐いちゃう五秒前みたいな状態に。蒋孝先はそれを阻止するために後先考えず飛び出して、弟と彼を脅迫している兵士(孫銘九かな?)の間に割って入ろうとしたところを撃ち殺されます。・・・・・・つーか、ここは自分のせいで兄を目の前で殺された弟が可哀想なシーンですね。

 それだけ東北軍も切羽詰った状況だったわけですが、少し気になるのはなぜ蒋孝先の死を戦闘中ではなく、わざわざ史実を変えてまで捕まえた後に殺すという後味悪い描き方にしたのか? しかもなぜ視聴者が兄を目の前で殺された蒋孝鎮の恐怖と嘆きに同調しかねないような描き方なのか?

 やはりこのへんに私は西安事変を「英雄的行為」として手放しで賞賛するような描き方をする気はない製作側の意図を感じるわけです。もちろん<手放し>で賞賛していないからといって、製作側が西安事変を否定的に見ているという意味ではありませんし、西安事変に至るまでに人々の苦悩とそれにともなうやむにやまれなさ、歴史の必然的帰結みたいなものは今までの話で充分描かれていたと思います。

 しかし、その一方で西安事変のある側面、すなわち「(その主張の内容いかんに関わらず)自己の主張を暴力を以って通す」という側面、その暴力性をドラマ中に書き込まずにはいられなかったのではないか。その一種の象徴、視聴者が西安事変に無条件でコミットしてしまわないための「躓きの石」として、蒋孝先の射殺というエピソードがあったのではないか・・・・・・と私は邪推するわけです。(や、これはちょっと私が以前からそういうふうに考えていたからそう見えるだけかもしれませんが)


 さて、「西安事変」で無事(笑)蒋介石もゲットできたわけですし、あと残り8話、どうなることでしょうね。すでに西北軍の分裂も始まっていて、なにやら暗雲たれこめてますよ~。

 


ピックアップ場面

張学良「西安で事を起こしてから、もう数時間経った。おそらく南京方面も異変に気がついて、すぐに何らかの反応を起こすだろう。・・・・・・今、八時だ・・・・・・もしあと一時間待って委員長が見つからなかったなら・・・・・・私は自分の首を差し出そう・・・・・・虎城兄にはそれを南京に持っていって罪を免れ、この件はすべておしまいにしてほしい。もし内戦を止めるどころか、新たな内戦を引き起こすことになるなら、この張学良は千古の罪人ということになる」

楊虎城「・・・・・・張学良。ならば、必要な首は二つだ」

 蒋介石が捕まらなくて絶望的になる張学良。決行前にも、もし失敗したら楊虎城は自分の首を差し出して災難を免れればいい、と冗談半分で言ってかえって楊虎城を激怒させたものだが、今回は張学良も本気。罪を一人でかぶり楊虎城に反乱を起こした自分を捕まえさせ彼が共犯だということを隠そうというのだ。

 それに対する楊虎城の反応がなかなか漢だ。「必要な首は二つ」つまり張学良のだけでなく自分のもだということ。張学良一人に罪を背負わせて死なせはしないと。

 漢だ、楊虎城。


 ところで、史実、と言うか後に張学良が証言したところによれば、蒋介石が捕まらなかったことを知った時に張学良は青ざめて「虎城兄、自分を逮捕してあなただけでも助かって」とドラマと同じように訴えたのだが楊虎城には「いやっ、落ち着け! まず蒋介石の車が残っているか確認するんだ」と現実的な対応をされてしまった、とのこと。

 ・・・・・・まあ、確かにいきなり諦める前に確認すべきことがいろいろあるよね。ドラマ版の張学良はやたらしっかりしていて冷静なので、充分な時間待った後で落ち着いて「自分、死んだほうがいいと思うんだけど」って言って楊虎城もしんみり対応しているバージョンもこれはこれでステキだけど、すぐに挫折する張学良にいかにもしっかり者の楊虎城が苦労している史実版もまた乙ですな。どっちもOK。



以下、11月8日訂正。

 上で史実上の蒋孝先の死は戦闘によるものと書きましたが、ちょっと気になって『西安事変』(長野広生/三一書房/1975年)をひっくり返してみたところ、彼は戦死ではなくていったん逃亡途中に捕まった後、連行されて射殺されたとのこと。まあ、史実を変えていたわけではないけど、やっぱり全体的に見て印象深く後味悪いシーンであることは変わらないでしょう(ドラマ中では彼の悪事がほぼ描かれていなかったし、やっぱり弟が可哀想だ)

 ちなみに長野広生の『西安事変』によると

「彼が蒋孝先だということがひと目でわかりました。彼は憲兵隊第三団団長として北平にいたとき、愛国学生三千人余を、殺したり捕らえたりしました。その青年たちに替わって復讐したのです。いけませんか?」

(中略)彼は藍衣社の一員であり、蒋介石の権力の確立、独裁化を推進する血縁のアクティブの一人であった。

 北平の抗日学生運動は中国共産党につながるものと見なし、蒋孝先はその弾圧の忠実な実行者であった。

(中略)

 復讐してはいけないのか? と反問する劉圭五の言葉は、北平における学生の感情が、東北軍のなかに伝わり、襲撃という非常事態にさいして火が吹いた感じがする。

とのこと(ただ、この本も古いし諸説あるようなのではある)。ドラマはドラマで良かったが、この復讐何々のあたりを焦点化してもまた興味深い話になったと思う。

« 『井崗山』18話~23話 | トップページ | 中国映画・ドラマで学ぶ中国語(2) それは、食べられません。 »

『西安事変』(TVドラマ)」カテゴリの記事

歴史人物」カテゴリの記事

辛亥革命~抗日戦争」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1302395/37534988

この記事へのトラックバック一覧です: 『西安事変』28話:

« 『井崗山』18話~23話 | トップページ | 中国映画・ドラマで学ぶ中国語(2) それは、食べられません。 »