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2010年10月22日 (金)

『西安事変』23話~25話

あらすじ

 華清池で温泉に入る蒋介石。同行した楊虎城は内戦停止の説得を試みるが、うまくいかなかった。

 張学良は武術に覚えのある部下・劉圭五を呼び出し、蒋介石を暗殺できるかどうか尋ね、彼に考える時間を三日与える。楊虎城も蒋介石の説得に失敗したことを聞いた張は、今度こそ迷うことなく「最後の手段」に訴えることを楊に告げ賛同を得る。

 柳葉児ら東北大学の学生たちが12月9日に西安市内で抗日を訴えるデモを行うのを許可してくれるよう張学良に頼みに来るが、大事の前であるので張と楊は学生達を止める。しかし納得できない学生たちはデモを強行すると言って去り、張学良は楊虎城に警備名目で部隊を派遣し学生達を守ってくれるよう頼む。

 蒋介石の暗殺を依頼された劉圭五は、親友二人につい相談してしまう。しかし、うち一人は実は省憲兵隊の人間であり、この事を密告しに行ってしまう。雷剣邦は華清池に厳重警備を敷き、密告を知った張学良はこれ以上の猜疑を退けるためいつも通りにふるまうが、学生達は市内で抗日デモを強行した。

 デモの様子を眺める鐘笑天は「日本の大臣たちはなぜ中国の人々の怒りを直視しないのか。かつて大帝国を築き上げたこの国の底力を軽視してはいけない」と本鶴に諭す。

 葉柳児ら学生は、請願のため華清池の蒋介石の元へ向かうことにする。それを知った蒋介石は、学生らを取り押さえ従わない者は暴徒として殺すよう張学良に命令する。さらに甥の蒋孝先に周辺を武装兵で固め、近づくものは射殺するようにも命じる。

Cap1091

学生たちに銃を向ける兵士たち

 蒋孝先の率いる武装兵は、学生達に銃を向け学生達は死を覚悟で請願に向かう。蒋が発砲を命じた瞬間、間一髪で駆けつけた張学良が彼らを止め、学生たちを説得することにする。学生達は命をかけて蒋介石に会いに行く覚悟を語るが、張学良はその情熱に対し自分は一週間以内に応えると言う。

Cap1083

蒋孝先に銃を向けて止める張学良

 学生達から預かった手紙を張は蒋介石に届けるが、蒋介石は学生達をののしるばかりであった。再び騒ぐなら学生らを殺すよう言う蒋介石に張学良は自分に銃を突きつけ、彼らを殺すなら自分も死ぬと迫るが、取り押さえられてしまう。蒋介石は張を対共産党殲滅作戦からはずし、作戦部隊を再編することにする。

 張学良は自宅で趙一荻にかつて東北軍閥時代に内紛を止めるため父・張作霖の時代から師とも仰いでいた部下を殺した時のことを語る。決断がつかなかった張はコインを投げて天意を問うた。天意は三回とも「殺すべし」との結果を出した。しかし今、自分は蒋介石を捕らえ抗日を迫ろうとしているが、かつてのように天意は問わない。これは民心なのだから、と。

  張学良は東北軍の幹部を、楊虎城は西北軍の幹部をそれぞれ集め、ついに蒋介石を逮捕して抗日を迫る計画を打ち明ける。張学良は、自分についてくるかどうか部下に考える時間を与える。結果は全員がついていくことを決心し、張学良はみなに感謝する。その頃、蒋介石は12月13日に西安を発ち、張学良を処分する決定を下すことを国民党幹部らに明らかにする。

 二人は決行を12月13日の早朝とし、楊虎城は訓練の名目で、西安の要所要所に部隊を配置する。張学良は東北軍の情報部を通じて、西安にかかってくる一切の電話を受信し、また必要な時は西安と外部の連琢を断てるよう処置する。

 一方、西安郊外では、省憲兵に張学良の蒋介石暗殺計画を密告した東北軍の二人が雷剣邦に殺された。鐘笑天は独自ルートで張学良が何か事を起こすことをつかみ、南京の特務のトップ・載笠に報告する。載笠は、侍従長の蒋孝先と雷剣邦にすぐに蒋介石を西安から離すよう指示するが、先日の蒋介石暗殺計画騒ぎにふりまわされたあげく何もおきなかったことにこりた彼らは、その指示を軽視してしまう。その一方、雷は張学良と楊虎城の監視を強化することにする。

 楊虎城は、自分が幼い時に清朝に逆らったため処刑された父親の位牌に己の決意を報告し、あなたの息子らしいふるまいをすると誓う。張学良は趙一荻と二人が出会った頃の話をし、彼女に財産を分与してヨーロッパに行くよう勧めるが、一荻は泣き出してしまう。雷剣邦の監視が厳しくなったことに気がついた張学良と楊虎城は、互いに直接会うのは避け、内部にスパイがいることに気づきはじめる。

 趙文青によって楊虎城の家に招待された鐘本鶴に、鐘笑天は楊主任へのお礼だ、といって高価な酒を土産に持たす。本鶴は酒の入った箱を持って楊虎城家に入り・・・・・・



感想

 12月8日から11日正午までの動きが描かれました。(西安事変は12月12日勃発)
 

 個人的には学生たちの12月9日デモとそれを軍に発砲させてでも止めさせようとする蒋介石の様子がけっこうあっさり書かれていたのがちょっと不満かな。このドラマでは張学良が蒋介石の逮捕を決めたのがこのデモ弾圧騒動とは無関係、つまり蒋介石のあからさまな暴挙がまずあってそれによって張学良が愛想を尽かした、という構図は取らないようである。そこに何か監督のスタンス(史観)が見て取れるようでおもしろい。


 あと、展開的におもしろいのは、張学良が武芸に覚えがある部下の劉圭五に「蒋介石の暗殺」を依頼し(本当は劉の覚悟のほどを見極めようとしただけなのだが)、真に受けて思い悩んだ劉は友人にうっかり相談してしまい、その友人がすぐさま特務の省憲兵に密告に走る(笑)という場面。それで省憲兵も、蒋介石の身辺警護の総責任者である蒋孝先も厳重警備を敷くわけだが、張学良はいつも通りに振る舞ってこの危機を回避。そして、禍転じて福となるとのごとく、この後これが思わぬ展開につながっていく。

 すなわち何にも起こらなかったことで、蒋孝先は「俺たちを振り回しやがって」とばかりに省憲兵部を罵倒し、省憲兵部の雷剣邦と蒋孝先の間に大きな亀裂が入った。そして次に載笠から「何か起きそうだから蒋介石を避難させろよ」とか指示が来ても両者は連携しないばかりか、その指示を軽視(つーかスルー)してしまう。まさしく「狼が来た」論理。ここに張学良たちが西安事変を起こすのに有利な条件が生まれた。

 単に張学良の危機かと思われていた「蒋介石暗殺(勘違い)計画」密告事件が、実は伏線となってこんなふうに回収されるとは。なかなか見事なストーリー構成である。

 ・・・・・・しかし冷静に考えれば、せっかく情報を掴んで万が一に備えていた憲兵に対して、何も起こらなかったからって罵倒するのはひどいよね。何か起これば良かったのかよ。何も起こらなかったのは「元々そんな計画はなかった」じゃなくて「事前に万全に備えていたから犯行が断念された」とかちょっとは考慮してあげればいいのにね。まあ、それで罵倒されてうんざりしてやる気をなくす雷剣邦も特務としてどうかと思うが・・・・・・この張学良たちに振り回されぱなしだもんね、そろそろ田舎に帰りたくなっているのかもしれない。




ピックアップシーン

真理

鐘本鶴「父さん、ラジオで聞いたんだけど、今日はどこの大都市でもデモが起きているみたいだ。上海、武漢、北京で日本製品が燃やされて、成都では抗議の焼身自殺をした人までいるって」

鐘笑天「・・・・・・そうだな。東京の大臣たちは誰もが中国人のことをばらばらの砂のようだと言っている。彼らこそこの光景を見るべきだ。私は本当に理解できない。大臣たちはなぜこの国をああも軽く見ているのか。まさか今のこの国を大清王朝の頃と同じだとでも思っているのだろうか? ・・・・・・本鶴よ、覚えておきなさい。おもえがこれから生きていくこの国は、かつて世界最大の帝国を作り上げた。大唐の長安は、今の西安の十倍も大きかった。古代ローマの七倍も大きかったのだ。決してこの国を軽く見てはいけないよ」

Cap1092

デモの様子を眺める鐘親子

 鐘親子は中国名を名乗っているが、二人とも日本人である。鐘笑天は元大陸浪人のスパイで今は国民党特務のスパイ、彼の養子の本鶴の父は笑天の親友の日本軍人の遺児と二人してなかなか複雑な経歴の持ち主である。その二人、特に笑天がしみじみと上のような示唆に富んだセリフを語るこのシーンはなかなか深いものがあった。

 笑天は中国文化に耽溺する本鶴に「日本人の誇りを忘れたか」とか「日本軍人の息子としての気概がない」などと叱ったりしたこともあり、なかなかどういうスタンスの人物なのか分かりづらいが、少なくともこの時、本鶴に語りかけた言葉には彼の真実の思いが込められたいたように思える。

 実は映画『天安門』の日本人キャラ・上野の時も思ったのだが、(まだ二作しか見てないけど)『西安事変』および『天安門』の葉大鷹監督の描く日本人は何とも自然体であり、かつ複雑で、上のようなセリフを言うのも不自然ではない。そんな興味深い日本人像を作るのに長けた監督なのだ。



天意と民心

張学良「私は普段、迷信なんて相手にしない。ただこの件(自分と対立する張作霖時代からの重臣を粛清すべきか)の時だけ、天意とやらに問うてみることにした。それで、私はこの銀貨を出し、もし自分が彼らを殺すのが正しいことだとしたらコインの表を出してくれ、と天にまかせた。最初の一回を投げ・・・・・・そして二回、三回と投げてもコインはすべて表だった・・・・・・当時、私のそばには妻の鳳至がいて、私は彼女に「もう一度、試してみよう。今度は、この張学良が彼らを殺すのは正しいと言うなら裏を出すように天に託して」と。また一回、二回、三回投げたが、私は怖くてコインの面を見ることができなかった。私の代わりに結果を見てくれた鳳至は、泣いた。彼女は言った。「漢卿、あなたは彼らを殺さなければいけない」私もコインを見てみると、やっぱり裏が出ていた。私は深くため息をついた。「これが、天意、か」それから後も私は、自分では決めかねる時に使おうとずっとこのコインを持っていた・・・・・・」

趙一荻「・・・・・・それで、あなたはまた天の意思を問おうとしているの?」

(趙一荻、机の上に張学良が蒋介石と一緒に撮った写真があるのを見つけて)

趙一荻「あなた、まさか蒋委員長を殺すつもり!?」

張学良「黙れ! 俺がいったいどれだけ長く委員長についてきたと思うんだ!? 彼とは親子も同然なのだ、俺が彼を殺せるわけがないだろ。・・・・・・ただ俺は、彼がこれ以上道を誤り、国民から離れていくのを見たくないだけなんだ」

趙一荻「ならなにをするつもりなのよ!?」

張学良「彼を逮捕する。そして抗日を迫る」

(中略)

張学良「私には選択の余地はもうない。これは天意ではない、民心なのだ(这不是天意,是民心)」

Cap1093

張学良と蒋介石のツーショット写真

 1930年、張作霖の後を継いだ張学良は、蒋介石への帰順や日本との関係を巡って老臣と深刻な対立をした果てに、ついに反張学良派のトップ二人を粛清して騒ぎを収めた。二人は祖父の時代から張一族に仕え、張学良にとっても師や叔父も同然の相手であり、張学良は彼らの処遇を自分では決意できず、「天意」に問うてみたともいう。そして違う方法で6回もコインを投げたのに結果はすべて同じ、「彼らを殺し、東北を安定させるべし」という「天意」であった。

 かつて重大な決断を「天意」にゆだねてしまった張学良。その後もいざという時は「天意」を聞こうと考えていたが、西安事変を起こすにあたって、彼はもう「天意」を問おうとはしない。なぜなら「内戦停止、一致抗日」は「民心」なのだから、と。

 「天」から「民」へ。実に印象的な対比であり、東北を追われ西安で人々の心からの声に直面した張学良の変化をよく表している、と思う。




親と子
 

最後に、特に良かったのが、楊虎城がかつて清朝に殺された父の位牌の前に跪き、自分の決意を語るシーン。

楊虎城(父さん、虎城は愚か者ですが、あなたの篤実と義侠心は確かに受け継ぎました。あなたは可老会(中国の民間に広く存在する秘密結社)に参加して清朝に反旗を翻し、ついに逮捕され、しばり首になった。西安の広場での処刑前に、あなたは私に6つの文字を与えてくださいましたね。「良き人に成り、正しき道を行け(作好人 走正道)」その年、あなたは四十三歳で私は十四歳。私はあなたが殺されるのをこの目で見、一人であなたのさらし首を荷車に載せて西安から家に戻った。今年、その私もまた四十三歳になりました。政権は変わりましたが、この国はいまだ安定せず、外国からも侮辱されて続けています。虎城は生涯あなたの遺訓を守り、それを怠ることは決してしません。今この時、民族のため、国家の独立のため、民の生活を安定させるため、私達の祖先のため、そしてあなたのために、楊虎城は事を起こします。禍福を省みず、生死を惜しまず、ただあなたにふさわしい息子であることだけを自己の励みとして)

Cap1090
父の位牌に拝跪する楊虎城

 
 一介の農民であった楊虎城の父は、清朝末期、虎城が14歳の時に反乱軍に加わった容疑で首を切られてさらし者にされた。虎城は残された母と弟妹を養うため兵隊になり、いつのまにか西北軍閥のトップにまでのしあがったのである。

 その楊虎城が中国民族服を着て、父の位牌に拝跪シーンは印象的。

まあ、そんな虎城も娘にはデレデレらしく(笑)、蒋介石逮捕の具体的な方法を腹心たちと話し合っている最中にかかってきた趙文青との電話にすっかり頬をゆるめ、部下どもに見られているのに気づいて、「いやぁ、ちょっと明日娘と一緒に昼食とる約束を。いったん事を起こしたらもうそんなことはできないかもしれないし」と苦しい言い訳をするのだが。

Cap1094

 娘からの電話でニコニコ顔の楊虎城

 しかし趙文青はその昼食会に彼氏の鐘本鶴を呼ぶつもりだ。「うちの娘に恋愛はまだ早い」とかのたまっていた楊虎城にとって、大ショックかもな(笑)

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