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2010年8月

2010年8月31日 (火)

『地道戦』中篇

あらすじ

 地下道の存在に気づいた日本軍は、地下を煙攻めにし、林霞たちは穴を布団などでふさいで煙の侵入を阻止する。だが、日本軍は今度は大量の水を流し込んでくる。

Cap914

 住民の隠れる地下道に水を流し込む日本軍

 このままでは全員溺れ死んでしまう、と民兵隊長の高伝宝は、屋内のカマドに設けた入り口から皆を地上に逃がすことにする。出口のある家は日本兵が占拠し、カマドを使って略奪した食料を調理していたが、高伝宝は外の日本軍に気づかれることなく彼らを倒す。

 一方、高平庄が包囲されたことを知った越区長は、彼らを救うため周辺の村の民兵を総動員して「麻雀戦」を発動。「麻雀戦」で日本軍が混乱する隙をついて、高伝宝は山田指揮官を狙撃し、負傷させる。山田は復仇の念に燃えるが、ひとまず退散する。

Cap1037

 高平庄を救うため、近隣村の民兵らによって麻雀戦が発動される

 期待をかけていた地下道がかえって危険だったことに落ち込む高伝宝。しかし、もう一度毛沢東の「持久戦論」を読み直し、ただ隠れるためだけに地道を使うという消極的な考え方が間違っていたことに気づく。高伝宝は地下道を隠蔽だけでなく、積極的に攻撃のために使え、さらに防毒,防水,防火などの「五防」を備えた高度なものに改造することにする。

 村人たちの工夫で、地下道も村も攻撃にも防御にも適したものへと生まれ変わり、趙区長は彼らを褒め、さらに作業を助けるため「武工隊」を派遣するという。

 しばらくして「八路軍武工隊」を名乗る6人の男たちが村にやってくる。歓迎する村人たち。しかし、彼らは傀儡軍の湯司令によって地下道の構造を探りに来た漢奸の偽武工隊であった!

 高伝宝は彼らが偽者だと見破るが、冷静を装い、地下道を見せて欲しいという欲求をかわす。そこに偽武工隊と連動して日本軍の部隊が村を襲いに来る。高伝宝はうち3人を地道の中に招きいれて倒すが、地上の三人が民兵や新村長の林霞を人質にとってしまう。

 だがそこに趙区長と崔連長が本物の武工隊を率いて現れ、偽武工隊を捕らえ、日本軍を追い返す。村に残った崔連長は日本軍の報復に備え、高伝宝らと迎撃態勢を整える。




感想

 前回、村を救う希望となるはずだった「地道」は、あっさり日本軍に弱点を看破されてかえって村人を危機に陥れてしまった。だが、失敗したからと言って、必ずしも間違いだったわけではない、やり方がまずかったのだ。

①「秘伝の書」から秘策を得た!→②実行してみた→③失敗した!→④この方法はだめなのかと落ち込む→⑤いや、もう一度「秘伝の書」をよく読んでみよう→⑥改良だっ!

という展開。定石しか踏んでいないが、物語としてメリハリのある実に良くできた骨組みではないだろうか? 一言付け加えるなら、秘策がいきなり失敗するのではなく、一度は大成功を収めるが、二度目はパワーアップした敵に破られこちらも改良を迫られるという展開の方がきれいに決まったような気がする。

さて、今回の見所は。



見所1、ストーリーを盛り上げる麻雀戦の発動。

 高平庄が日本軍に包囲されたことを知った趙区長は急遽近隣の民兵を招集し、麻雀戦を発動することにする。

 すでに地道が失敗した高平庄は自力での状況打開が不可能。その彼らを救うべく趙区長が命令を下し、各村の民兵がいっせいに行動を起こして、日本軍をかく乱するシーンの盛り上がりっぷりは見事だった。

 ところで民兵たちにはまともな武器がない。なので、できるだけ大声を上げるなどして大部隊を偽装するなどさまざまな方法で日本軍を騙す。

その方法の一つがこれ↓

Cap1038

これは木にドラム缶(ブリキ缶?)を吊るし、中で爆竹を爆発させているシーン。なんと、こうすると爆竹の爆発音が銃声のような音になるのだ!


ドラム缶の中で爆竹をすると銃声と同じ音がする。

さすが「軍事教育映画」とも言うべきトリビアである。




見所2、偽の八路軍

 危機を脱し、失敗を教訓に地下道を改良した高平庄を区の隊長らは褒め、彼らの作業を手伝うべく八路軍の武装工作隊(武工隊)を派遣してくれることに。

 ところがその情報が敵に漏れたらしく、この機会に乗じて高平庄の地下道を調べるべく、傀儡軍から偽者の武工隊が派遣されてきたのだ。

Cap1041

本物と見分けがつかない「偽武工隊」 

や、ここで「偽者」ネタを持ってくるとは、これまた定石だが、話が盛り上がることこの上ない。この「偽者」は偽造の命令書まで持っていて、ちょっとやそっとでは見破れない。このまま主人公たちは騙されてしまうのか? と観客をハラハラさせる良い演出である。

 ちなみに「軍事教育映画」的には「スパイには気をつけましょう」というメッセージなのだろうか?

 

 さらに、偽武工隊の一部は地下道に招きいれ、そこを利用して倒したはいいが、地上では女性村長の林霞らが人質に!

 その危機を解決したかと思ったら、今度は再び日本軍が大挙して村に押し寄せてきた!

 と、畳み掛けるように危機的展開が続くのも、この映画がおもしろい理由だろう。




見所3、なんかかっこいい音楽

 さて、定石を踏みつつ息もつかせぬような展開のストーリーだけでなく、音楽も多いに映画を盛り上げる。

 基本は革命歌っぽいメロディーなのだが、それが中国楽器を用いて、中華風かつ民謡的な音楽に仕立て上げている。これが河北の農村を舞台した戦争映画のストーリーと絶妙にマッチしている。(・・・・・・このへん、言葉で説明してもあんま伝わらないと思うが)

 また要所要所で2つの挿入歌も歌われる。

 一つは『毛主席的話児記心上(子どもたちよ、毛主席の話を心に刻め)』・・・・・・はかなり本気でどうでもいいとして、二曲目の『地道戦』が流れるシーンの盛り上がりぶりは異常。中国で映画関連の名曲の一つとされるのも納得。



おまけ

Cap1040

あいかわらず、主人公の妹の萌えっ娘ぶりが異常だ。村の女たちに子ども扱い(子どもだが・・・・・・)されてふくれっ面になる場面なんか時代を先取りしすぎかと・・・・・・。




地道百景2

 
↓は物語中盤で示された、「地道」設計図。

Cap918

地上から降りてきた敵は側面の隠し穴から攻撃する、落とし穴を設ける、煙を遮断する、流し込まれた水は井戸に流れ込むようにする、井戸の水を汲み上げる機械を使って土を排出・・・・・・などさまざまな工夫が見られる。

Cap919

さらに村それ自体をそこに踏み込んだ敵に対する「罠」に改造。家々の壁はもちろん、屋根や井戸にさえ設けた射撃口で四方八方から敵を狙撃。しかも狙撃者は危険になれば各家に作った地下道を通じて別の家に移動し攻撃を再開するので、敵はその姿さえも見ることができない。

Cap916

↑落とし穴の底で罠を作成中。

Cap1043

↑実際の地下道の断面図。敵をこの複雑な地下道の中に誘い込んで倒すこともできる。



歴史解説

麻雀戦とは?→民兵が用いた戦術。数人の小グループを何組も作り交代で延々とヒットアンドランを繰り返し敵を疲弊させる(民兵に振り回されて疲弊したところを正規軍が攻撃する)、大声や爆竹などで大部隊を偽装し敵を驚かせて撤退させる、偽の攻撃を繰り返す(そして敵がどうせ今回も脅しだろうと油断したところで正規軍が本物の攻撃を行う)、など貧弱な武器で日本軍をかく乱する臨機応変な作戦全般を指す。

武工隊とは→今度調べます・・・・・・(なんとなくわかるが説明できるほどではない)

2010年8月30日 (月)

コメントレスです

まとめて&だいぶ遅れてですみませんが、いただいたコメントへのお返事です。

・2010.7.29、ブログの説明とお願いへのコメント

訪問ありがとうございます。マニアックな情報ですが、必要としてくださる方のためにがんばって発信していきたいと思います。お気軽に遊びに来てください。

・2010.8.13、『地道戦』総合案内へのコメント

こちらこそブログにコメントありがとー。そっちのHPにもまた遊びに行くよ!コミケ、私ももう2年も行ってない・・・・・・今年の冬も申し込んでないな~。

・2010.8.30、『晩鐘』中篇へのコメント

いえいえ、お忙しい中、遊びに来ていただきありがとうございます。最初のコメントですが、確かにこちらには届いていませんでした。残念ながら今回のが初めていただいたコメントとなっております・・・。猫発言が有名な小柄な某エライ人の萌え話、聞きたかったのですが・・・・・・。

DVDの件ですが、どうぞお気になさらずに。ニコ動の情報もありがとうございます。

後で、またメールします。

2010年8月28日 (土)

『晩鐘』中篇

あらすじ

 隠し弾薬庫は、谷間の洞窟の中にあった。捕虜の日本兵は、すでに日本は降伏した,出てきてみんなで日本へ帰ろう、必死に中の隊長に呼びかけるが、かえって入り口をバリケードでふさがれてしまう。八路軍の5人も相手が武装しているためうかつに近づけない。

Cap952

「中隊長!戦争は終わりました!一緒に日本に帰りましょう!!」と叫ぶ捕虜の日本兵

 捕虜の日本兵は声が枯れるまで呼びかけ続け、ついに洞窟の日本軍部隊も降伏に同意する。飢えた彼らに与える食料を用意する八路軍の5人。ためらいながらも、自分たちは決して口にできない卵も入れてやる。

 しかし、洞窟から出てきた日本兵は31人であった。上官の一人に連れられて出てきた兵士たちは八路軍の食料を貪り食う。だが、肉を渡した時、突然上官は吐き出してしまう。

Cap955

八路軍が与えた食料をむさぼり食う日本兵たち

 その時、洞窟の中から一人のボロボロの服をまとった中国人の女が飛び出してくる。5人は女を助けるが、日本兵たちは洞窟に戻ってしまう。隊員の一人は洞窟の中には「32人」しかいないと言って、中国人を無視した捕虜の日本兵に憤りをぶつける。

 日本軍に捕まっていたその女は、日本兵たちが飢餓のあまり一人の中国人を殺して食べたこと、さらにまだ二人の中国人が捕まっていることを伝えて事切れる。隊員の一人は憎悪のあまり洞窟の入り口を機関銃で撃つ。

 5人はこのまま日本軍が投降しなければ洞窟を攻撃することを決め、捕虜の日本兵はすでに声も枯れながら呼びかけ続ける。排長は単身洞窟に向かい、捕らえている二人の中国人を解放するよう迫る。

 日本軍は二人を連れ出すが、どちらも極限まで痩せ細り虫の息になっていた。その無残な姿を見て隊員たちは改めて怒りを募らせる。

Cap960

日本軍は捕らえられていた二人の中国人を解放する



感想

 捕虜の日本兵の必死の説得もあってか、意外とあっさりと(でもないけど)洞窟から出てきて、八路軍の食料を受け取る日本兵たち。

 「隊長殿! 一緒に日本に帰りましょう!」と叫び続ける捕虜の日本兵の姿が痛々しかったが、ともかく一件落着かと思えた。

 上官に連れられて出てきた日本兵たちは、ただひたすら上官の命令に従い続ける。歩けと言われれば歩き、座れと言われて座る。彼らは、飢餓状態が極限に達しているというのに上官の許可がない限り、目の前の食料に誰も手をつけない。徹底的に「個」が消しさられているようである。そしてひとたび許可が出れば、獣のようにむさぼり食う・・・・・・。

 八路軍の5人が与えた食料の中には、彼らが決して口にできないであろう高級品(当時)である卵や肉類もあった。それを日本兵らに与えるのを躊躇した後、結局渡す。しかし、日本兵たちももっとも高価である肉は自分たちが食べず、上官に渡す。

 が、肉を見て吐き出す上官。ここからが、急展開の始まりであった。

 突然、洞窟の中からボロボロの服をまとった女が叫びながら飛び出してきて、日本兵たちは再び洞窟の中に逃げ帰ってしまう。

 服装がボロボロだったことから、最初、洞窟の日本兵たちに性暴力を受けていたのかと思ったが・・・・・・洞窟の日本兵たちは飢餓の余り捕らえた中国人を食べていたのだという衝撃的な事実が明らかになる。

 この事実の暴露、そして再びの洞窟立て篭もりで、この後、映画は見る者につばを飲み込むことも許さないような異様な緊張感に包まれていく。

Cap953

 洞窟の暗黒の中に潜む日本兵たち

 日本の降伏を是とせず、頑なに立て篭もり続ける日本兵たち。もしかしたらそれは、天皇や国家への忠誠や信念を貫徹する行為として賞賛される可能性もあったかもしれない。しかし、彼らはそのために捉えた中国人を食べていた。何の関係もない他者を踏み台にしていたのである。

 聖戦と言い、天皇や国家への忠誠と言う。そんな一歩間違えば「美学」として語られかねない日本軍の戦いが、中国をそして無数の踏みにじられた他者の上に成り立っていることをこの映画は明らかにする。

「一緒に日本へ帰りましょう!」という被害者としての一兵士の血の叫びと、「(洞窟にいるのは)32人だと? 中国人は人じゃないのか!」と加害者として糾弾される声が交差する映画なのである。

2010年8月26日 (木)

『晩鐘』前半

あらすじ

 1945年、日本は無条件降伏。絶望した中国の日本軍のある部隊は全員で焼身自殺を決行する。

Cap876 

集団焼身自殺を前に、一人一人の兵士の名前と出身地を記録し伝書鳩に託す 

一方、八路軍遺体埋葬部隊の5人は、各地を転々とし、地雷撤去も行いながら、仲間の遺体を埋葬して回っていた。

 八路軍兵士の遺体を一人一人手厚く埋葬する5人。一方、カラスに狙われる日本兵たちの遺体をどうするか迷った末、排長はまとめて埋葬してやることにする。しかし中にはその処置に不満な隊員も。

 各地を旅する中で、5人はさまざまな戦争の傷痕を見てやりきれない気持ちになる。隊員の中には日本軍に強姦され自殺した妻を持つ者や、家族全員を殺された者もおり、どうして投降した日本兵を殺すことができないのか、という疑問が渦巻く。

 ある廃寺を今夜の宿にした5人。しかし、その中には一人の衰弱した日本兵が倒れていた。複雑な気持ちで手荒ながらも水を飲ませ、食料を食べさせてやる5人。

 やがて意識が回復したその日本兵は、日本がすでに無条件降伏したことを知らなかった。彼は32人の日本兵が食料が尽きたまま弾薬庫に立てこもってそこを守っている、彼らに食料を与え救ってほしいと5人に頼み込む。

Cap950

部隊の仲間に食料を与えてほしいと懇願する日本兵



感想

しょっぱなから、日本の敗戦のショックで集団焼身自殺を決行する日本兵たち、という衝撃的な場面から始まる。

彼らは「日本兵」として組織の一員として死に赴くのだが、その前に(おそらく集団自殺を提案した上官自身の命令で)一人一人自分の「本名」と「出身地」を述べていく。「組織」の一員として死ぬことを決めた者たちが、その直前に「個人」としての自己を主張する場面だが、しかしそれは「集団自殺」に何も影響を及ぼすことなく、兵士たちは<粛々>と灯油をかぶり炎に焼かれて死んでいく・・・・・・。

 ただ、彼らの「個人」としての名は紙に記され、日本まで届けて欲しいと願われた一羽の伝書鳩に託されたのみ。

Cap877

・・・・・・でもさ、このシーンって衝撃的でいいシーンなんだけど、本編とのエピソードと全然関係ないんだよね。いや、この映画が描こうとしているテーマとは密接に関わりあるけど・・・・・・映画としてこういう手法はどうかな?

 さて、やっと本編。

 本作の主役は、八路軍は八路軍だけど遺体埋葬部隊というちょっと風変わりな任務を負う兵士たち。・・・・・・なるほど、そういう部隊って確かに必要だよね。花形ともいうべき(?)戦闘部隊ではなく、そういう部隊を主役に設定したのもこの映画の特色であり、テーマともあっているのだろう。

 で、この部隊の任務である戦死兵士の埋葬シーンが丁寧に描かれているのだが、同じ場所にあった八路軍兵士と日本軍兵士の遺体の扱いの違いがはっきりと描かれている。

 彼らは、仲間である八路軍兵士たちのために、一人一人の墓を作ってやっている。その遺体の扱いも丁寧で、例えば重くて遺体を引きずってしまっていると、別の隊員がかけつけ遺体の足を持って運ぶのを手伝う。つまり、抗日のために命を落とした兵士の死体を引きずる=粗末に扱う、ことなどあってはいけない、と隊員全員が心から思っているというわけだ。

Cap1029

八路軍兵士の遺体を埋葬する 

そして八路軍兵士の埋葬を終えた後、そばにあった日本軍兵士の遺体をどうするか、というのが問題に。すでに遺体の側には、カラスが集まってきて狙っている。このシーンまでセリフらしいセリフがないが、それでも隊員たちの「日本兵の遺体など放っておけ」という雰囲気と「さすがにこのままではカラスの餌食にさせてしまうのは哀れだ」という感情が交錯しているのが伝わってくる。

 結局、彼らの隊長である排長(小隊長)は、しばしの逡巡の後、彼らも埋葬してやることにする。だが、日本軍兵士のためには大きな穴を一つ掘って、そこへ機械的に投げ込んでいく、という八路軍兵士の遺体に対するのとは対照的な扱いとする。中国を侵略し仲間を殺した相手への憎悪と、遺体となってしまった彼らへの憐憫や人道主義との葛藤の果ての妥協策なのだろう。だが、それでもどうしても埋葬を手伝うのを拒否した兵士もいた。彼の妻は、戦時中に日本兵に強姦され自殺してしまったらしい・・・・・・・。

Cap882

日本軍兵士の遺体を埋葬する

 日本軍に対する憎悪と、人道主義の間で揺らぐ彼らの心情が、やがて日本軍の投降を巡って、緊迫した心理劇を形成する要素の一つとなっていくのである。 



ピックアップ場面

Cap1030

無数の墓に囲まれ、それぞれの思いに浸る5人

小柄な八路軍兵士(どれだけ多くの寡婦が残されたことだろう。これから、俺が結婚する時は、寡婦を娶ろう)

ヒゲの八路軍兵士(俺の妻は、9歳年下だった。今年33歳になるはずだ、まだ子どももいない。帰ったら、きっと子どもを作ろう)

大柄な八路軍兵士(俺の嫁は、井戸に飛び込んだ。日本兵に辱められて。日本兵のくっそったれめ! なぜ、あの捕虜たちを皆殺しにしてはいけないんだ?)

痩せた八路軍兵士[排長を見て](彼の家族は、全員死んだ。この8年、彼は一度も泣くことはなかった)

 各地で戦争の傷跡を見、遠くで泣き喚く寡婦の声を聞きながら、どうしようもない気持ちに浸る5人。

 妻を日本軍に強姦され、自殺で失った男の「なぜ、あの(投降した)捕虜たちを皆殺しにしないのか?」という問いと、排長の「この8年、彼は一度も泣かなかった」という事実が、見る者に迫ってくる。

 なぜ、殺してはいけないのか? なぜ?

 答えを出せないまま、彼らは廃院で一人の日本兵と出会う・・・・・・

2010年8月24日 (火)

『晩鐘』総合案内

Cap874

放映:1989年

製作:八一電影

監督:呉子牛

シナリオ:呉子牛,王一飛

出演:陶澤如(八路軍排長),孫敏(捕虜の日本兵),劉若鐳(ヒゲの八路軍兵士),葛亜明(大柄な八路軍兵士),葉楠秋(小柄な八路軍兵士),周琦(痩せた八路軍兵士)

※排長→中国語で小隊長のこと

受賞歴:第9回金鶏賞(最優秀監督賞,最優秀主演男優賞,最優秀助演男優賞,最優秀撮影賞)受賞,第39回ベルリン国際映画祭銀熊賞、他

※金鶏賞:中国で最も権威ある映画賞

評価:(5段階評価、最高5つ星)

ストーリー:★★★       人物造詣:★★★★

文学度:★★★★★      エンタメ度:

萌え度:            総合お勧め度:★★★★★

入手可能ショップ:現代中国映画上映会

※入手は難しいと思われるが、日本語版が出ているらしい→http://movie.goo.ne.jp/movies/p16102/index.html


簡単あらすじ
:抗日戦争終了直後、戦闘で死亡した仲間の遺体を埋葬するため各地を転々とする八路軍の遺体埋葬部隊。彼らはある廃院で一人の衰弱した日本兵を発見する。その日本兵は近くの洞窟に仲間の日本兵32人が投降を拒否して立て篭もり食料も尽きている、彼らに食料を与えて欲しいと訴える。しかし、八路軍が案内された洞窟では恐るべき事態が起きており、徐々に狂気に侵食されていく・・・・・・


簡単解説
:抗日戦争終了後、武器庫を守るため投降を拒否する日本軍部隊と投降を呼びかける八路軍の遺体埋葬部隊との極限でのやり取りを描く。

第五世代の監督である呉子牛の5作目。その傑作ぶりから中国の最も権威ある賞・金鶏賞を総なめし、ベルリン国際映画祭りでは中国作品として始めて「銀熊賞(審査員特別賞)」を勝ち取った。

 派手なストーリー、個性的なキャラクターもないが、圧倒的な迫力と映画の底力を見せ付けるようなすばらしい作品である。

 全体的に見る者に著しい緊張感を強いる映画である(注:褒めている)。特に開始50分~1時間後のいったん問題が解決したかと思われた直後の急展開からラストにいたる緊迫感がほとんど異常なレベルだ。

 この映画は「静寂」と「闇」に満ちており、その中で狂気が醸成されていく。水の音,わずかなみじろぎ,虫の羽音・・・・・・見る者はまるで闇夜の中を行く小動物になったかのようにわずかな音や(映画の中の)気配にいつの間にか神経過敏にさせられ、怯えさせられてしまう。

 思うのだが、こういう映画は日本人こそが作るべきであった、と思う。この映画の主題は「(一般的な)戦争の狂気」という<普遍的>なものであることは間違いないが、同時に「日本軍」という<固有の組織>が持つ愚昧さもきちんと描かれている。それはことさらに日本軍を悪く描こうというわけではなく(←私自身はべつにそのことに意義はないが)、中国人の記憶にある日本軍や歴史家などが史料や証言に基づいて検証した日本軍という組織・・・・・・つまり史実に沿って造詣したらこうなった、ということであろう。また同作品では一歩踏み込んで、その愚昧さの理由の一つを「天皇の軍隊」という側面に求めているように見える場面もあるが、その点はやや掘り下げが甘いのが残念だ。(私としては、明確に<日本軍>についてしかも史実に即して描かれている時に、その問題や犯罪行為を、その他の国々の人ならいいが、<日本人>自身が「戦争(一般の)狂気」「軍隊の業」とか捉えてしまうことは、厳に慎むべきことだと考える)

 また映画では、そのような愚昧な組織に取り込まれた一般の日本兵たちの被害者性と加害者性がくるくると交代しながら描きだされる。特に集団自決を迫られた彼らが闇夜の中で「荒城の月」を歌う場面は、この作品の名場面の一つである。

 そして映画ではその日本軍の思想と美学(天皇への忠誠や生きて捕虜の辱めを受けずなど)が他者をまきこんでいかなるおぞましき事態を引き起こしたかを象徴的に明らかにする。・・・・・・やはりこのような映画は日本人自身が作るべきだったのであり、それが日本人によってなされず中国人によってなされたことに、戦後日本の問題がある。

 一方で、この映画には冒頭やラストに衝撃的だがストーリーとまったく関係ない意味不明なシーンもあり、ラストの結末も見る者の想像力に期待しすぎな面があり、そこが作品として大きな欠点だと思う。

 

2010年8月23日 (月)

『地道戦』前半

※本作品の紹介では、緑=抗日側、赤=実在人物、青=日本軍,傀儡軍の人物を示します。


あらすじ

 冀中(河北省)平原のとある農村・高平庄。異変を感じた村人たちは、即座に非戦闘員は避難体勢を、民兵は戦闘体勢を整えた。

 その時、会議のために外に出かけていた村長が民兵に担がれ戻ってくる。

Cap102

風に揺れる一面の穂が印象的なシーン

重傷の村長は日本軍の大掃討が始まったことを伝え、一冊の本を渡し、あくまで抵抗を続けることを訴えて息を引き取る。村人たちは村長の思いを継ぎ、戦闘に備える。

 1942年、太平洋戦争の勃発に伴い、戦争のための物資の確保に狂奔する日本軍は、冀中の抗日根拠地に「掃討」と言う名の大規模な物資略奪を行い始めた。――すなわち「五.一大掃討」の始まりである。

 圧倒的に優勢な日本軍の攻撃に、民兵たちも非戦闘員を逃がすのに精一杯で、それでも多くの犠牲者が出た。さらに日本軍は拠点として平原各地に砲楼を建て、根拠地を細かく分断。このような状況では遊撃戦を行うのは不可能に近くなった。

Cap10

村に侵攻する日本軍と逃げ送れた村民

 民兵隊長の高伝宝ら村の民兵たちは状況に苛立ち、とりあえず地雷を埋めて日本兵を吹っ飛ばそうとするが、村の婦女救国会の林霞にその軽率な行動を咎める。高伝宝の父・高忠老は、村長が残した毛沢東の抗戦パンフレットと区長からの指示で、村に元々ある単純な地下道を改良して一つにつなげ、地道戦を行う計画を立てる。

 さっそく総出で地下道の改良を進める若者たち。別々に掘っていたのが一つに繋がった時は大いに喜び、また敵に見つからないよう入り口の隠蔽方法などを工夫する。

Cap897

反対側から掘られていた地道と繋がった

 しかし中には牛娃のようにこのような作業に疑問を持ち、戦闘を希望する者もいた。

 地道が完成すると、婦女救国会の女性たちはその効果を示すため、地道を使って高伝宝をからかい、牛娃も地道の効果を理解する。

 日本軍に協力する偽軍の湯指令は、日本軍の指揮官・山田に高平庄が抵抗を続けていることを告げ、山田は夜を待って村を襲うことにする。

 夜、見回りに出ていた高老忠は日本軍が村に侵入したのを見つけ、鐘を鳴らして村人に危険を知らせ撃たれてしまう。村人たちは急いで地下道に避難する。村に一人の姿もないことに山田は彼らが地下に隠れたと推測し、村中を掘り起こすように命じる。




感想

 この映画は非常に続きが気になるように構成され、見るものをしてワクワクさせる要素がふんだんに投入されている。

 そのおもしろさは文字で書き表してしまうと伝わらない、と言よりも拍子抜けするようなものかもしれない。またその「要素」というのも冷静に見れば、実にベタなものだ。

 だがやはり実際に映画を見ていた時には、非常にワクワクさせられた。言ってしまえば、結局のところ人を楽しませる映画の演出とは、ありきたりでベタなネタにしか帰結しないのかもしれない。それでもそれらをこうも巧妙の配置させるのは一筋縄ではいかないし、それをやってのけたこの監督の手腕はやはり賞賛に値する。


冒頭

 OP映像は、カメラが音楽に合わせて複雑な地道の中を突き進んでいくシーン。中国の人々が作り上げた「地道」そのものの迫力とユニークさに加えて、人の心を掻き立てるような勇ましい中国風革命音楽的なBGMが合わさり、見る者の期待を否が応でも煽る演出となっている。このOPだけで掴みはOKである。

 本編は、いきなり危険を知らせる鐘が鳴り響き、村の民兵たちや婦女慌しく広場に集まる・・・・・・・この場面の緊迫感はただごとではない。まさしく日常生活と戦闘生活が容易に交差し入れ替わる「戦場の村」という感じであり、まさに日常から戦闘へ移り変わる瞬間が描かれている。

Cap1023

危険を知らせる鐘が鳴り響く中、集まる男女民兵たち


秘伝の書?

さて、この後、抗日政権の村々の会議に参加していた村長さんが帰ってくるのだが、帰途(会議中?)日本軍に襲われて虫の息。村人たちに一冊の本を託して息を引き取る・・・・・・。

 日本軍の大掃討と高度分散配置に抗日闘争は行き詰まり、高伝宝ら男性民兵らはネガティブな気持ちに・・・・・・そんな時、村長が残した本のことを思い出す。そこにはこの閉塞的な状況を打開する秘策が!!

 や、これなんて少年冒険活劇もの?

 「秘伝の書」とか「謎の巻物」に書かれていた秘策(情報)で状況打開! いいですね、このノリ。しかも「死者が残した」という設定で倍率ドーンです。

 総合案内で「戦前の少年冒険活劇」のノリと書きましたが、別の例を出すと『宝島』的と言ってもいいかも・・・・・・あの作品に「秘伝の書」的ネタがあったかは思い出せませんが(「宝の地図」はあったけど)、雰囲気的には通ずるものがある。

 で、この「村長の残した本」ってのが、毛沢東の『持久戦論』というオチなのですが(村長は会議でもらったんだな)・・・・・・まあ、そのへんはスルーしましょう。



地道百景1

 私がこの映画に魅かれるのは、映画自体の出来の良さもあるが、抗日闘争の研究でやっぱり「地道戦」という闘争形態そのものにも魅かれているというのがある。

 で、映画で描かれた「地道」を3回に分けて紹介したい。

 「地道」は、まず住民の避難用として有ったため、一番身近でばれにくい場所、すなわち自宅のカマドの中に作られた。

 例えば、↓こうして自宅のカマドの中にもぐると・・・・・・

Cap1027

↓馬(ロバ)小屋に出ます(笑)

Cap899

これは便利(?)だ!

 ↓はおもしろシーン

Cap898

サ×エさん!?

ちなみにこの女の子は主人公の妹なのだが・・・・・・何と言うか・・・・・・なかなかステキな妹属性キャラなのだ。おませで気が強くて、からかったりもするけど(上のシーンもそう)お兄ちゃん大好きっ娘。もちろん超可愛い。60年代の抗日映画にこんなすばらしい妹萌えキャラが存在するとは! 侮れない・・・・・・。




歴史解説

5.1大掃討:1942年5月に日本軍が主に河北省の抗日根拠地に行った大侵攻作戦。それまでたびたび「掃討」は行われていたが、この時のものは開戦後最大規模のものであった。これによって根拠地や八路軍は大きな損害を受けた。

 これを期に、日本軍は波状的な掃討作戦を行い続ける。その過程で、いわゆる三光作戦と呼ばれるにふさわしい住民虐殺などが起こった。そもそもこのような「掃討」作戦は抗日勢力の戦力を削ぐというのが表向きの目的ではあるが、実際には(あるいはもう一つの目的として)住民から農作物などの物資の略奪するためであったとも言える。そのため収穫期などに行われることが多かった。


高度分散配置
:日本軍が大掃討とあわせて採った抗日戦力撲滅のための作戦。広大な華北草原の各所に砲楼(大砲などを設置した拠点)を設置した。

 地域によって基準は異なるが、例えば各砲楼間の距離は10キロ以上あるいは20キロ以上離さないものとし、それぞれの拠点に10人~20人(多くて50人~100人)の人員を配置していた。拠点に配置される人員の構成は、日本軍のみ,日本軍と傀儡軍(偽軍),傀儡軍のみ、などさまざまである。これによって抗日根拠地を細かく分断し、各地域を監視する一方村落間の連絡を遮断し、またすぐに「討伐」に動けるようになった。

 「掃討」作戦と併せてこの高度分散配置は、河北の抗日闘争に著しい損害を与え、1942年より2,3年の間、「最も困難な時期」を迎えることとなった。そのため、しばらくの間正規軍である八路軍の活動は抑え、兵士を柔軟な動きができる民兵や遊撃隊に編制し直し、民兵闘争に力を置いた。

 こうして一旦は成功したかに見えた高度分散配置だが、広大な華北平原の無数の拠点を維持するため膨大な人員を必要とし、太平洋戦争末期まで多くの日本兵が中国に釘付けにされる原因の一つとなった。さらに44年以降、少人数しか配置されていない各拠点は、困難期を乗り越え力をつけた八路軍や民兵のかっこうの標的となり次々攻略されていった。

 

2010年8月22日 (日)

『八路軍』2話~4話

あらすじ

 平型関の戦いに備える八路軍一一五師の戦士・劉宝和は、副師長・聶栄臻から優秀な宣伝員として趙栓柱を紹介される。趙の任務は三味線を武器に、歌で部隊の士気を鼓舞することであった。

Cap1023

三味線と歌で舞台を鼓舞する趙栓柱

 平型関で一一五師は日本軍を奇襲し、熾烈な白兵戦を繰り広げる。長時間の激戦の末一一五師は勝利を収めるが、戦場の狂気にあてられた趙栓柱は半ば正気を失い日本兵の死体を叩き続ける。趙は劉宝和によって正気にもどされるが、二人はあまりのむごたらしい戦場の様子に言葉を失う。

 一方、閻錫山は次の戦いで劉伯承率いる八路軍一二九師を正面から日本軍に当てようと計画する。しかし、一二九師の戦力では正面決戦は不可能であり、総司令官の朱徳は国民党軍は正面戦場、共産党は遊撃戦争を担当するという国共両党の取り決めを守るよう話し合いに行く。

 周恩来,第二戦区長官・衛立煌,閻錫山らは山西省省都・太原防衛について話し合う。周は毛沢東の戦術案を話し、衛の賛成を得るが、閻は自分の意見に固執して退けてしまう。 賀竜率いる八路軍一二〇師は、太原防衛線の一環として、雁門関で日本軍の補給線を切断する作戦を計画する。

 出征大会で、王鉄錘は自分の村が日本軍に襲われた時の様子を話し、戦士たちの復仇の意思を高める。しかし支給される武器の少なさに不満を持った王鉄錘は、老紅軍である指導員が持つ大刀を欲しがるが、逆にその態度を叱責されてしまう。

Cap893

銃弾は軍帽に入れて支給してもらいます、一人十発まで?

しかも、村で鍛冶職人をしていたことを買われ、戦闘には参加せず騎兵隊のために蹄鉄を打つ任務を与えられる。戦場で英雄になることを夢見ていた王は大いに失望し、戦場へ向かう仲間をうらやましがり自分が鍛冶職人の家に生まれたことさえ悔やむ。

 激戦の末、雁門関戦に勝利した一二〇師。その中で指導員が犠牲になり、王鉄錘は自分の浅慮を恥じ、これからは裏方の任務でも全力を尽くすことを形見の大刀に誓う。

 一方、太原の最後の防衛線である折口を国民党軍は全滅覚悟で必死で守るが、陸と空からの攻撃で多大な犠牲を出し、ついに日本軍に突破されてしまう。折口陥落によって閻錫山は太原陥落も時間の問題となった、と絶望する。

 日本軍の空から爆撃が戦闘の上で大きな障害になっているとして、八路軍一二九師は日本軍が建設した飛行場を探し、つぶすことにする。

 劉茜茜は飛行場の場所を探るため、学生時代の交友関係を利用して、今は日本軍の協力者になっている王晋財を訪ね、張黒白は護衛のため一時的に僧侶に戻って同行する。張は、「黒白」という名を奇妙に感じる一二九師の幹部たちに、いつか「黒水白山」と呼ばれる東北の地を取り戻すことができるようにと願って、父母が日本軍に殺される前につけたのだと説明する。

 劉茜茜と張黒白はうまく王晋財の客となるが、実は王は二人の正体を見抜いていた。劉茜茜の危機に、張黒白は僧侶の「不殺」の戒を破って王を殺し、飛行場の地図を手に入れる。

 一二九師は夜の闇にまぎれて日本軍の陽明堡飛行場を奇襲。

Cap903

129師の陽明堡夜襲

 飛行場と二十四機の飛行機の破壊に成功する。衛立煌は八路軍の総司令部を訪れて彼らを賞賛し、その戦術思想を学ぶ。連勝に沸く世論であるが、毛沢東はやはり太原の陥落は時間の問題と考え、抗戦継続のため山西に抗日根拠地を築くことを提案。

 太原を失うことにパニックになった閻錫山は、八路軍に娘子関の戦いに協力するよう強要する。それは困難な要請であったが朱徳は共同戦線のことを考えて承諾するものの、自分たちを利用することしか考えていない閻に副総司令官の彭徳懐は怒りを爆発させ、部屋に閉じこもってしまう。八路軍の幹部たちは、また彭徳懐のかんしゃくが出た、と困るが朱徳が説得に行く。




感想

 やばい、おもしろくない!

 そんな・・・・・・何故だ、題材が「八路軍」でなんでおもしろくならない? くそっ、CCTV(国営放送)め・・・・・・。こんなドラマに料理しやがって。

 そう言えば、同じくCCTV作成の『井崗山』も、せっかくの題材を際限までおもしろくなくしていたな。

 どんな題材もつまらなくする国営放送マジック!!

 いやだぁぁ、そんなマジック・・・・・・。民放が作ったドラマに出てくる八路軍の方がよっぽど魅力的だよ、見習えよ・・・・・・ってか

 もう国営放送は民営化したほうがいいんでない?

 さて、一応簡単な内容だけど、上述のように2話で115師,3話で120師,4話で129師が活躍し、それぞれの顔見せ回だったようだ。

 しかし、個々のキャラクターのエピソードにあまりインパクトも個性もないため、ストーリーとして残念な結果になってしまっている。

 その中でもかろうじておもしろいと言えるのが4話。

 これは主要登場人物の5人のうち、張黒白と劉茜茜が僧侶と女学生に変装して情報を探りにいく、というキャラクターが動くエピソードがあったためだろう。(2話の趙栓柱と3話の王鉄錘は、「一兵士」という縛りがあるせいで自由に動かせなくなってしまっている・・・)

 あと4話がおもしろいもう一つの理由は、ラスト付近で「彭徳懐の暴走」があったから(笑)・・・・・・まあ、「暴走」というほどでもないが。

 閻錫山から無理難題をふっかけられ、八路軍の副総司令官・彭徳懐がぶち切れてしまったシーン。

彭徳懐「閻錫山が軍を出さないと言うなら、我々だって知ったことか!」

(怒鳴って出て行く彭徳懐)

朱徳「あっ、老彭、老彭、老彭・・・・・・おいっ、老彭!」

(朱徳の呼びかけを無視して宿舎に帰り警備員に声をかける)

彭「警備員」

警備員「あ、はい」

彭「おまえは出て行きなさい。私は寝る」(帽子を机に叩きつける)

(中略)

(指揮所でため息をつく朱徳)

朱徳「やれやれ・・・・・・あいつめ、なんてことを」

任弼時「老総(朱徳)、焦らないで、私が彼と話してきます」

朱徳「彼は間違っている、誰があいつの間違いを正してやることなんてできる?」

佐権「彭総ときたらかんしゃく持ちですからねぇ」

任弼時「まったくです。あ、老総、とりあえず座ってください。あんまり怒らないで、私が彼を連れ戻してきますから」

朱徳「いや、だめだ、私が行こう」

  彭徳懐(のかんしゃく)キタッーー!

 やっとシナリオの王朝柱も本領を発揮してきたか?

 どうも今まで幹部クラスの描き方が「模範的」すぎて不満だったけど、4話目にして(やっぱり)彭徳懐がやってくれました。

 ぶち切れって会議を投げ出し家に帰ってしまう短気でかんしゃく持ちの彭総がステキ。朱徳をはじめ、司令部の「やれやれ、また彭総か」な雰囲気もいい感じ。・・・・・・つーか佐権副参謀長、達観しちゃっているな(笑)

 さて、家に帰ってしまった彭徳懐をどうやって連れ戻すか。5話目の展開になるが、ここで朱徳総司令の一枚上手ぶり(というより彭徳懐の単純ぶり)が遺憾なく発揮されることになる・・・・・・。



ピックアップ場面

 

 いまいちおもしろくならなかった2話~4話だが、その中でもちょっと良かったのが、2話で平型関の戦いが終わった後、戦場の狂気に当てられてしばしおかしくなってしまった趙栓柱。

 平型関の戦闘が終わった後も正気の状態に戻ることができず、すでに死んだ日本兵の遺体を叩き続けながら、何かえんえんとつぶやき続ける趙柱栓。

 彼がえんえんと唱え続けていた言葉は・・・・・・

「全国人民団結緊 一致来打小鬼子 全国人民団結緊 一致来打小鬼子 全国人民団結緊・・・・・・・・・」(「全国の人民はしっかり団結し ともに小鬼子を倒そう」)

 趙栓柱は宣伝員だ。上の言葉も最も典型的な宣伝文句である。

 そんな宣伝文句をはっきりと場違いな戦場で泣きながらえんえんと唱え続け、日本兵の遺体を壊れた機械のように叩き続ける光景は異様なものであった。

Cap866

 戦場の狂気に取り付かれた趙栓柱

 この時の役者さんの声や表情の演技が、趙が精神の均衡を崩した様がしっかりと伝わるなかなか凄惨なもので良かった。

 趙は駆けつけた戦友の劉宝和によって、何とか正気に返る。それでも「栄光の勝利」の後で、勝者である八路軍兵士が精神の均衡を崩す描写を入れたのは、製作側が戦争そのものが持つ狂気・悪を表現しようと試みたためではないかと思う。

 この時、趙が唱え続けていた言葉として「典型的な士気鼓舞の文句」を選んだのもなかなかのセンスだ。



以下、兄弟萌え腐女子の戯言語り。

林彪兄弟について。

 

 

 

 

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2010年8月18日 (水)

『太行山上』総合案内

Cap856

放映:2005年(160分)

製作:八一電影

監督:偉廉,瀋東,陳建

シナリオ:陸柱国

出演:王伍福(朱徳),工藤俊作(阿部規秀),安娜(アグネス・スメドレー),姜偉(林彪)

評価

ストーリー:★        人物造詣:★

文学度:★          エンタメ度:★★

萌え度:★          総合お勧め度:★

入手可能ショップ:現代中国映画上映会

英文字幕設定可能



簡単解説
:抗日戦争勝利60周年を記念して作られた映画。

 八路軍総司令官の朱徳を主人公に、八路軍総司令部のあった太行山を舞台とし、平関型勝利,根拠地建設,国民党との摩擦を経て、黄土峰の戦いで阿部中将を倒すまでを描く。

 使った火薬100トン、(戦闘シーンなどの)動員人数10万人、戦車800台、人造血液60キロ・・・・・・だそうで。今まで気にしてなかったけど、この映画に限らずよく戦争もので雨あられのように使われている「血」は、やっぱり人造血液だったか。まあ、本物であってたまるかという話だが。

歴史解説

太行山とは?

 華北の山西省と河北省の境にある山脈地帯(一つの山をさすのではない)。

 山西省はまさにこの「山の西」に位置する土地のため「山西」と呼ばれている。

 太行山地区は、西から東にかけて1500メートル~2000メートル級の険しい山々が連なっている山岳地帯。山西省は鉱山資源の豊富な土地だが、太行山(脈)からも鉄鉱,石炭,硫黄などが多く算出する。

 抗日戦争初期、山西省省都・太原の陥落と国民党軍の華北放棄によって、八路軍は長期戦を戦うため、華北各地に抗日根拠地を建設。太行山地区は、山西・河南の境にある太岳山地区と合わせて、「晋冀豫抗日根拠地」を構成する地域である。

 のみならず、抗日戦争の全期間を通じて八路軍の総司令部は、この太行地区内に置かれ、八路軍の抗戦の心臓部とも言える場所であった。



簡単感想、評価
:こ れ は ひ ど い 。

 どこがどうひどいかコメントしようがないほどひどい映画・・・・・・。あまりに見るのが苦痛なので、部屋の片付け(どうでもいいが・・・もう2週間ほど片付けている・・・・・・)をしながら5分刻みで見て何とか見終わった、ふう。宣伝につられて楽しみにしていたのにな・・・・・・。

 なんだろ? 2005年は抗日戦争モノの劣化が激しい年だったのだろうか?(私が2009年に中国で見た抗日モノはおもしろいのが多かったのだが)

 前に紹介した『地道戦』は開始5分で「これはおもしろいっ」というのがわかったけど、この映画は開始10分で「これはダメだっ」というのがわかる映画だった・・・・・・。上の解説を見ればわかると思うが、これはバリバリの「国策映画」。しかし『地道戦』だって「軍事教育映画」という「国策映画」って言えば同じなのだが、充分おもしろかった。この違いはなんだろう?

 以下、ちょっと欠点と美点をまとめてみよう。


欠点

・「国策映画」ぶりがあまりに前面に出て、ウザイことこのうえない。・・・・・・や、私は抗日戦争における八路軍の活躍を充分に評価していますが、こーまで自画自賛されると(史的評価は変わらないものの)ドン引きします。

・ストーリーにまとまりがなくダラダラ長い。前述した通り、この映画は約2時間の長さの中に、平型関の戦い,太原陥落,抗日根拠地建設,国民党との摩擦,阿部中将の戦死、と主要なエピソードだけでもこれだけ盛り込み、さらにその他枝葉のエピソードまで付け加えている。当然、作品全体として焦点になる箇所など逆になくなり、ただ派手なシーンが、派手さだけを売りにワンパターンで次々と繰り出される。さらに息継ぎとなるべき枝葉エピソードもおもしろくもなんともない。

 このように観客置き去りの展開なうえ、緩急もなく単に刺激的なシーンと教育的なシーンを脈絡なく見せられては、うんざりするうえに結果的にどのシーンも印象に残らないということになる。

・朱徳を主役にしたのは失敗。・・・・・・私個人としては朱徳は嫌いではないけど・・・・・・このような映画の主役としてもあまりおもしろくならない。

 朱徳はこの時、党内軍内で飛びぬけて年長者であり、ゆえにいろいろ老成している。また元々の性格も落ち着いて温和で誠実・・・・・・悪く言えば地味とも言えるキャラだ(しかしだからこそ、「紅軍の父」として一癖も二癖もある共産党の将軍たちをまとめ、彼らに信頼され、さらに国民党との緩衝役にさえなれたとも言える)。それに彼は八路軍の「総司令官」なので、ストーリーの中で柔軟に動かすこともできない。

 朱徳の人物像に大胆な改造を加えるか、彭徳懐や劉伯承、鄧小平など個性と知名度があり太行山根拠地とも縁の深い人物を主役にして朱徳は脇役に回ってもらうかしたほうが良かったと思う。



美点

・太行山の雄大な自然を楽しめる(やっぱり山西の自然はいいわぁ~)

・火薬100トンを使っての戦闘シーンは、とりあえずドンパチが好きな人にはおもしろいんじゃないかなぁ?

・林彪が可愛い(朱徳が主役だけど、前半30分の主役は完全に林彪だった・・・でもこれでも大幅に出番が削られたらしい)

・・・・・・うん、むりやり美点もまとめてみたけど・・・・・・こーゆのが「美点」になるあたり、この映画のダメダメさがわかると思う。ロケ地ステキだったなぁ。


2010年8月10日 (火)

『地道戦』総合案内

Cap894

放映:1965年(90分)

製作:八一電影

監督:任旭東

シナリオ:任旭東,徐国騰,王俊益,潘雲山

出演:朱竜広(高伝宝),張勇手(趙平原),劉秀烈(林霞)

評価

ストーリー:★★★★              人物造詣:★★

文学度:★                    エンタメ度:★★★★

萌え度:★★                   総合お勧め度:★★★★★

入手可能なショップ:現代中国映画上映会,書虫



簡単あらすじ
:日本軍の「5.1大掃討」,そして高度分散配置によって根拠地を細断され、かつてない危機を迎えた冀中(河北中部)平原の抗日闘争。高伝宝が民兵隊長を務める村・高家庄では、日本軍の襲撃から避難するため地下道を作った。しかし、その地下道も日本軍に見つかり、危機に陥る。村の民兵たちは発想を転換し、地下道を改造して避難のためではなく積極的に攻勢にでるために使うことにする。



解説,感想:

一言で言おう、おもしろいっ!


うわっ、なんつーか、おもしろい。見せ方も設定も舞台装置も・・・・・・何から何まで理屈なしで作品を盛り上げている。映画見ていて、こんなに素直にワクワクしたのは久しぶりだ。

あえて言うなら、戦前の少年向け冒険活劇モノに似たワクワク感があるんじゃないかと思う(見たことないけど)。もちろん展開やストーリー構成、演出もベタと言えばベタだが、むしろそこがいいのだろう。


テーマが抗日戦争で、しかも製作側はエンタメ作品だとは考えていないみたいだから(←これは近年の抗日モノがもう「エンタメ」としてある程度割り切られて作られていることを念頭に置いて行っています)エンタメとして面白いと(加害者という意味で)日本人として評価するのはいけないとは思うのだが・・・・・・まあ、エンタメとしても充分成功しているのでしょうがない。


ちなみに『地道戦』とは、抗日戦争時代~解放戦争時代に河北省を中心に実際に行われた戦術。河北省は平原地帯が多く、ゲリラ戦にとって重要な身を隠せるような場所が山岳地帯と違って少ないため、地下を利用することにしたもの。詳しくは後で別エントリーに書きます。


あとやはり、文革以前のこの種の映画には一種のすがすがしいパワーがあるなぁ、と思いました。

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2010年8月 8日 (日)

『回民支隊』レビュー

以下、『回民支隊』のラストまでのあらすじ,ネタばれ感想が含まれます。

※中国語字幕もついていない映画のため、ブログ主のリスニング能力では(いつも以上に)内容を誤って理解している恐れがあります。

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2010年8月 5日 (木)

『八路軍』1話

※通常、共産党系人物が赤字で表していますが、『八路軍』においては歴史上の人物とオリジナル人物が混在しており、両者を区別するため、オリジナル人物は共産党非共産党系人物でも緑字で表すことにします。



あらすじ

 1937年8月、日本の本格的侵略が始まったのを機に、共産党と国民党は合作を行う。

 国民党の国民革命軍に組み込まれた共産党の紅軍は、軍服も紅軍のものから国民革命軍のものへ換えることに。しかし、趙栓柱を始め、一部の兵士たちは仇敵の国民党軍に組み込まれることが大いに不満で軍服を換えない。朱徳は、民族のためにも階級のためにも合作は必要だと説き、彼らを納得させ、大雨の中で出征大会を行う。

 Cap848

国民党軍との戦いで傷ついた身体を見せる趙栓柱

 進軍しながら途中の村を襲う日本軍。村人のほとんどが虐殺される中で、王鉄錘馮玉蘭は何とか窮地を脱する。

Cap849

日本軍に襲われた王鉄錘の村

 一方、日本軍の侵攻に遭った山西省の軍閥・閻錫山は、八路軍の山西入りを歓迎する。だが、弾薬支給問題やかつての紅軍の東征の話を蒸し返され、彭徳懐ら八路軍幹部は不快な思いをする。

 閻錫山より平型関で日本軍を奇襲する任務を受けた八路軍幹部らは、この戦いは全国が注目する重要な戦いとして、すでに出発した林彪と115師に必ず勝つよう命じる。

 八路軍に参加するため山西省の太原大学の王教授を訪ねた華僑の女子学生・劉茜茜は、そこで叔父の元に身を寄せた王鉄錘と馮玉蘭と出会う。

 一方、朱徳ら八路軍総司令部の元には、張黒白と名乗る五台山の僧侶が訪れる。東北出身の張は、すでに満州事変の際に家族を日本軍に殺され、その後山西に移って五台山で僧侶になったものの先日の空爆で師も殺された、還俗して入隊し故郷を取り戻すため日本軍と戦いたい、と朱徳に訴える。朱徳は快く入隊を許可し、また戦争が終われば彼の希望通り僧侶に戻れる、と伝える。

 ちょうどその時、王教授に連れられた王鉄錘,馮玉蘭,劉茜茜も司令部を訪れ、案内役の趙栓柱も含めて5人は知り合いになる。

 5人はそれぞれ、趙栓柱は115師,王鉄錘は120師,張黒白は129師,馮玉蘭は115師の医療部隊,劉茜茜は総司令部で無線係へと配属される。

 王教授は自宅で五人の歓送会を開き、家宝の数珠をばらして5つの玉を五人に分け、別々の戦場に行っても五人は一つであり、いつの日か5人が全員そろってここに帰ってくる約束の証とする。

Cap854




感想

 ・・・・・・おかしい・・・・・・あんまりおもしろくない・・・・・・・。

 あれ? おっかしいな。題材が「八路軍」でおもしろくならないはずがないと思ったのだが・・・・・・。しかもシナリオが、革命モノを書かせたらこの人という(注:私が勝手に認定)王朝柱なのに・・・・・・。

 なんというか、全体的にわざとらしさが目立った。特に朱徳ら幹部クラスは「模範的」に描かれているのが嫌に鼻につく。王朝柱の売りは幹部を大胆に個性的に描くことであるのに。

 オリジナル人物である5人が、一つの数珠から玉を分け合った、また全員でこの玉を持ち合って一つに戻そうね(=生きてまた会おうね)、と誓いあうシーンとそのネタ自体はなかなかいいのだが(でもちょっと死亡フラグが立つネタだよね)・・・・・・そもそも5人がそんなことをする必然性が何もないのが問題(汗)

 だってこの5人って、今たまたま行きずりみたいに出会っただけだよね? そんな感動的な約束をしなくちゃいけない絆や親密さはいつどこで出来たのって話し。いかにもネタのための展開があからさまになってしまっているのがなんとも・・・・・・。ここらへんはせっかくのドラマなのだから、5人の出会いを運命的にするような演出をするべきじゃなかったろうか?

 あと、どこで見たのか忘れてしまったけど、この数珠の珠を分け合うシーンに「八犬伝かよっ!」ってつっこみを入れているブログがあったけど・・・・・・や、まったくその通り(笑)。や、こういうネタ自体は好きだしいいと思うのだけど・・・・・・。

 さて、1話を見た時点ですでに嫌な予感(このドラマもしかしておもしろくないんじゃ・・・・・・)がバンバンするのだけど・・・・・・どうなることか?

 以下、このドラマ最大の(私的)突っ込みどころ。

以下では腐女子が読者完全置き去りで暴走しています、ご了承ください。

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2010年8月 1日 (日)

『八路軍』(TVドラマ)総合案内

Cap850


放送
:2005年(全25話)

監督:宋業明,董亜春

シナリオ:王朝柱

出演:柳淵(馮玉蘭),[イ冬]駿(趙栓柱),徐光宇(張黒白),武文(王鉄錘),黄若萌(劉宝和),朱婷(劉茜茜),周建鵬(原田),王伍福(朱徳),桃居徳(彭徳懐),田甫(林彪),徐光明(閻錫山),徐永革(衛立煌)

評価:(見終わってから追記します)

ストーリー:           人物造詣:

文学度:             エンタメ度:

萌え度:             総合お勧め度:


簡単あらすじ
:1937年、日本の全面侵略によって、共産党は国民党と合作し、労農紅軍は三個師団を有する国民革命軍代18集団八路軍に改編。

 日本軍に家族を虐殺された王鉄錘と馮玉蘭,日本に奪われた東北を故郷とする元僧侶の張黒白,女学生の劉茜茜そして老紅軍の趙栓柱の5人は八路軍の中で知り合う。それぞれ別の部署に配属されるに当たって、5人は5つの珠を分け合い、生きて再会することを誓ってそれぞれの戦場に向かうが・・・・・・。


簡単解説,評価
:抗日戦争勝利60周年を記念して、国営放送が力を入れて製作したドラマ。八路軍の誕生から発展まで、すべての流れをまとめた作品は実は本作が史上初。八路軍の戦いを幹部クラスの視点からも一般兵士の視点からも描き出そうと試みた。(以下、全話見終わった後、随時書き足し)


入手可能なショップ
:書虫(http://www.frelax.com/cdrama/



歴史解説

・八路軍とは?

 中国共産党の労農紅軍が、第二次国共合作によって国民革命軍の一部に改編され、誕生した。正式名称は「国民革命軍第十八集団八路軍」。

 抗日戦争初期は一一五師,一二〇師,一二九師という名の三個師団を有した。初期の組織形態,各幹部とその年齢は以下の通り。

総司令官:朱徳(51)

副総司令:彭徳懐(39)

参謀長:葉剣英(40)、副参謀長:佐権(32)

政治部主任:任弼時(33),政治部副主任:トウ小平(33)

一一五師:師長・林彪(29),副師長・聶栄臻(38),政治委員・羅栄桓(35)

一二〇師:師長・賀竜(41),副師長・蕭克(30),政治委員・関向応(35)

一二九師:師長・劉伯承(45),副師長・徐向前(37),政治委員・張浩=林育英(40)※後にトウ小平と交代。

 以後、発展に伴い、各地で軍区,縦隊など多くの新編制が誕生している。八路軍の当初の人数は3~4万ほどであったが、危機的な時期を乗り越えて終戦時には100万に達した。

 主な活動地域は、山西省,山東省,河北省,河南省,チャハル省,绥遠省(最後の2省は現在の内モンゴル)など華北地方。各地に抗日根拠地を築き、社会改革を行いながら、抗戦の基盤とした。

 八路軍の武器は貧弱であったが、創意工夫に満ちたゲリラ戦術,厳格な規律と民衆との親密さによって得た広範囲な支持,高い戦闘意欲によって、華北の日本軍を苦しめ、抗日戦争を戦い抜いた。


参考文献
→実は日本では八路軍や八路軍史が総合的にわかる文献はほとんどない。

唯一なのは

『中国八路軍、新四軍史』宍戸 寛他著/河出書房新社/1989年

だけど、この本は人が殺せる厚さ(笑)なので、本格的に勉強したい人には必読の書だが、ちょっと知りたいだけの人にはまったく向かない。なのでそういう人は

『中国抗日軍事史』菊池一隆/有志舎/2009年

の中の「第5章 毛沢東の遊撃戦構想と共産党戦場」を読むといいかも。

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