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2010年4月 7日 (水)

『西安事変』9話~10話

第9話~10話あらすじ



 県知事・党伯弧汪峰が投げつけていった帽子の中から、毛沢東楊虎城に宛てた密書を見つけ驚愕する。党伯弧は楊虎城に電話するが、戴笠と会談中であった楊は戴が聞いている場で指示が出せず電話を切ってしまう。事情を知らない党伯弧は何度も電話をかけてしまい、戴笠は不審に思う。

Cap163

ものすごい悪いタイミングでかかってくる電話(左が戴笠)


 汪峰はすでに憲兵隊の金徳茎によって車で西安に護送中であった。党伯弧は汪峰を強奪しようとするが、中央の憲兵隊の車を西北軍が襲うことはいくらなんでもまずい。その時、保安団の一人が「馬上飛、あの土匪に協力を頼みましょう」と提案する。・・・・・・それからしばらくして、山道を進む金徳茎ら憲兵隊の車は馬に乗った土匪の集団に襲われる。

Cap164

土匪集団に襲われる憲兵隊の車


 楊虎城は腹心の部下・斌丞に、もし汪峰が共産党の使者であれば彼らの提案に耳を傾ける用意があることを話す。ただし当分張学良にはこのことを秘密にしておく。一方、張学良の元にも杜遠重の紹介で劉鼎という共産党員が派遣される。劉鼎の主張にとりあえず賛同した張学良は彼を客人として迎える。

張学良は腹心の部下に、かつて軍閥同士が争っていた時代に民衆の苦しみを見ていかに自分が内戦を憎んでいるかを語り、劉鼎を紹介する。一方、汪峰と会談した楊虎城は共産党の内戦停止と西北抗日連合政府案に賛成する。

鐘本鶴は、凍結した湖でスケートをする趙文青を見かけ、氷の上でささやかな楽しい一時を過ごす。

1936年2月、共産党は、抗日のため山西省に進軍する。陝北の留守番組である周恩来は、東北軍の捕虜のリーダーである高福原と語り合い、なぜ東北の日本軍と戦わずここで紅軍と戦うのかと詰問する。高福原は周恩来の主張を正しいと認めながら、自分は東北軍として生き東北軍として死にたいと紅軍への加入は拒む。しかし、自分を帰してくれれば内戦を停止するよう張学良を説得すると言う。

 蒋介石の元には、紅軍が怒涛の勢いで進軍してきているという山西からの電報が次々と届く。政府首脳の中には、山西の閻錫山はふだん山西のことに口を出すなと言っていたのだから放っておけと皮肉る者もいるが、蒋介石は中央の軍を山西に派遣することを決める。

 ソ連と国交回復の秘密交渉中であった陳立夫は、もし日中が開戦する時はソ連は国民政府を支持し中共を支援しないというソ連要人の非公式の話を伝える。一方、戴笠は張学良の身辺に共産党員がいるようだと報告するが、蒋介石は信じない。

Cap169

お互いの腹をさぐりあう張学良と楊虎城


 一方、山西省に閻錫山を訪ねた張学良と楊虎城は、なぜ紅軍の主力が山西に進軍し陝北を手薄にしている時に彼らを攻めないのかとお互いに聞きあい、相手も共産党と接触があるのかどうかさぐりあう。そこに閻錫山も加わり、さらに話は深まるが、まだ誰も核心には触れようとしない・・・・・・。




感想



 汪峰が投げつけていった帽子から毛沢東の密書を発見する党伯弧。汪峰は、連行される直前、怒りにまかせて帽子を投げつけるという自然な動作を装って一番大事な密書だけは守ったのだ。自分が捕まっても党伯弧が、楊虎城に渡してくれることに望みを託して。

Cap162

手紙の差出人に驚愕する党伯弧


 ドタンバでなかなかの機転と言えよう(しかしこんな機転がきくなら、最初から高価な万年筆を所持しているなんてアホなミスを犯すなよ・・・・・・)。憲兵隊長の金徳茎もせめてもう少し特務として頭が回るなら、帽子もちゃんと回収していただろうが・・・・・・。




ピックアップ場面


 さて、密書は守られたものの、事情を知った楊虎城にとって、汪峰の身柄が憲兵隊から復興社に渡ってしまうのも大問題だ。しかし、すでに憲兵隊が護送中の汪をどうやって取り戻すか? 保安団の一人が思いついた考えが実におもしろい。

党伯弧「どんな手段を用いても汪峰を取り返せ! 憲兵隊を襲ってもかまわない!

保安団1「襲う? 中央の憲兵隊の車を? そんなことをしたらそれこそまずいですよ

党伯弧「・・・じゃあどうしろというんだ」

保安団2「県長! 覚えていますか? ずっとあなたを悩ませてきたあの馬上飛を?」

党伯弧「馬上飛?」

保安団1「あの土匪の馬上飛ですよ!

党伯弧「・・・ああ」


 中央の憲兵隊の車を西北軍が襲うなんてやばすぎる→なので、土匪に協力を頼んでみた。

 というなんともフリーダムで豪快な解決法。いっそ爽快とも言える名場面だ。

Cap165

土匪のやったことですから私ら関係ありませんby西北軍


 ・・・・・・ところで、この時憲兵隊を襲った「馬上飛」軍団のメンバーは全員覆面をしていて顔がわからないが、一人明らかに女性の声が聞こえる。女土匪がメンバーにいるのか? どうやらそんなおいしい設定を持っているらしいこの「馬上飛」軍団も今後もドラマに絡んでくる気配が濃厚である。(・・・・・・まさか今後、彼らに救われた共産党員の汪峰がこの「女土匪」と恋に落ちるなんてベタだけどそれゆえにおもしろい展開があったりするのだろうか?)

 どうやらこのドラマは、<西安事変>をネタに可能なかぎり風呂敷を広げるつもりらしい。



 続いてのピックアップ場面。


 陝北から黄河を越えて山西省に進軍した紅軍。これは歴史的には『東征』というやつで、最終的には失敗するのだが、一時は怒涛の勢いで山西省の三分の一を占領した。十話のラストで張学良と楊虎城が「どうして東北軍(西北軍)は手薄になった共産党の根拠地を攻撃しないのか」と腹のさぐりあいをやっていたが・・・・・・確かにこの時期に紅軍が本拠地の守りを完全に手薄にして山西に進軍できたのは、東北&西北軍と事実上停戦協定が結ばれていた、と考えるべきだよね。・・・・・・私も今さら気づいた(笑)


 で、蒋介石の元には、山西から次々と「急電」が届くのだが、この時の様子が紅軍の戦闘の場面を直接的に描くより、よっぽど「紅軍の怒涛の進撃」をうまく表現していると思う。(いろんな地名が出てきてわかりにくいが、黄河を越えたら山西省、とだけ理解していただければ。あと、彭→彭徳懐,林→林彪)

蒋介石(秘書に)「読み上げなさい」

秘書「はい。・・・『急電。蒋委員長。昨夜、紅軍が突然三交鎮を攻撃しました。ただ深夜のことで天候も悪かったため敵軍の数は不明です。すでにいくつかの地点から黄河を越えようとしています。我が方は防衛体勢を整えました。指示をお願いします。中陽県守備旅団旅団長 温玉如』

『急電。蒋委員長。紅軍はすでに4千人から5千人が黄河を越えました。輸次に集結していますが、その意図は不明です。中央からの指示をいただきたい。 綏遠 傅作義』

『急電。蒋委員長。綏署主任秘書、梁化之より報告いたします。敵の渡河地点が判明しました。北は三交、南は辛関一帯で、徐海東の部隊と毛沢東の部隊の一部から成り、その数は7千人から8千人にのぼります。すでに柳林,中陽,石楼にまで進入しました』

『急電。蒋委員長。毛,彭,林などの部隊はすべて黄河を渡り終えました。我々はどのような対処をすればよいか、指示を請います。高桂磁』

『前線より急電。敵は徐海東の全部隊、および毛,彭,林の部隊の大部分および劉志丹の部隊です。約1万5千の敵が、黄河を渡り終わり山西に向けて・・・・・・』

蒋介石「もういい」

Cap168


 文字でこう書いてもいまいちわからないと思うが、電報を読み上げているのは戦場からはるか遠い蒋介石の南京の自宅であるのに、この場面にはとんでもない緊迫感が漂っている。

 もちろんこれらの電報はいっぺんに来たわけではなく、蒋介石が集まった政府高官に情況を説明するため読み上げさせているのだが、こう一気に畳み込むように読むのは「紅軍の怒涛の進撃」を演出する上で非常に効果的だと思う。しかも集まって黙って聞いている高官たちの顔色がどんどん悪くなっていく様子も場を盛り上げる(もちろん彼ら自身の気分は盛り下がっているのだが)のに役立っている。(まるで格闘漫画の観客役のようなポジションだ)

 この場面といい憲兵隊を土匪に襲わせるシーンといい、この監督は本当に「よくわからないけどついワクワクしてくる」場面を作るのがうまいと思う。




※歴史解説

・閻錫山の山西モンロー主義:

 閻錫山は山西省の軍閥。彼の軍隊は晋綏軍などと呼ばれる。北伐により中華民国が蒋介石の政府の下に統一されてからは、表向き閻錫山は国民政府の高官、晋綏軍も政府軍の一部になった。しかし閻もその軍勢も中央の政策とは一定の距離を保ち、特に山西省の経済建設においては独自の計画を実行していた。中華民国の地方軍(蒋介石の直系以外の軍)は一般的に独立性が高いが、閻錫山はその代表格と言えよう。この閻錫山の「山西モンロー主義」は、抗日民族統一戦線の結成と抗日戦初期の戦いに重要な作用をもたらした。

 ドラマ中でも「中央とも共産党とも距離をとっていたかった」と言って紅軍の進攻や政府軍の進駐を歎く場面や中央政府高官が「いつも山西のことは山西にまかせろと言っているくせに」と皮肉る場面がある。

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