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2010年3月22日 (月)

『天安門』(前編)

あらすじ


 建国の日を目前にしたある日、人民解放軍の抗敵劇社舞美隊隊長の田英震は、上部に呼ばれ北京の天安門に連れていかれる。

 
 長年の混乱で放置されていた天安門とその周辺は荒廃し放題。しかし、建国宣言はこの場所で行うことが決定された。上部の張部長は「今からここが君たちの戦場だ」と天安門の修繕と装飾の任務を田英震に与える。

Cap243

天安門


 その日は
9月2日、建国式典まであと28日であった。


 天安門の荒廃ぶりに辟易とする田の部下たち。しかし天安門の修繕のため、多くの兵士・工人が派遣されてきたのを見てやる気を出し、みなでどう飾り付けるか話し合う。

Cap246

天安門の上で旗を降り勝利を祝う少馬列


 田英震は大量の紅い布を求めて天津の工場に行くが、共産党が政権を取ったことで、紅い布はどこでも品切れであった。しかし解放軍幹部の聶栄臻から直接電話を受け、建国式典用だと知った工場長は田に布を融通してくれる。だが、その電話の主は、田の部下で日本人の上野
、彼のためを思って聶栄臻の名を騙っていたものだった。
 
 張部長は、幹部の名を騙ったことで田を厳しく叱責し、改めてこの任務の重要さを説く。


 田の部下・双喜は、子供たちに歌を教える女教師を双眼鏡で見て一目ぼれする。しかし、彼女を探し出すことができず、仲間達にからかわれる。

Cap248

子供たちに歌を教える謎の女性


 上野は、嫁問題で盛り上がる仲間たちの輪からはずれ、日本に残してきた家族を想う。それに気づいた田英震は「必ず再会できる」と上野を励ます。


 着々と作業は進んでいたが、北京市民があんなのはちっとも美しくないと言っているのを聞いて田はショックを受ける。このままでいいのかと思い悩むが、他にいい案も出ない。


 作業を手伝う第四野戦軍の兵士たちは、田らの抗敵劇社舞美隊は自分達と違って戦闘にも参加しない気楽な部隊だとからかう。それを聞いた田の部下・小馬列は激怒し、天安門の屋根の上でケンカを始めてしまう。田英震は現場に駆けつけようとするが、工事用の足場が崩れ、落下してしまう・・・・・・。




感想



 田英震が上官に連れていかれた場所・・・そこは荒廃しきった天安門であった。


 上官は言った。


 「今からここが君たちの陣地だ」


 気楽な部隊と揶揄される田の部隊に突如与えられた以外な任務。


 彼に許された時間は28日間。


 仲間達と力を合わせ困難に立ち向かっていく田。


 だが思ってみなかった問題が発生した・・・・・・。




 プロジェクトX風に(古っ! って言うかこんなんだったけ?)。

Cap251

石獅子もおめかし


 と言うわけで、建国大典裏話映画です。



 建国を題材にした映画と言うと、とりあえず国民党とドンパチやるのが主流の感がありますが(聞いた話だと建国大典を潰そうとする国民党特務から式典を守る諜報戦映画ってのもあるようだ)、今回出てくるのは「抗敵劇社舞美隊」という聞きなれない名称の部隊。


 私も「抗敵劇社舞美隊」と言うのが何かはよく知らないが、たぶん劇や歌で部隊を慰問したり民衆を啓蒙したりするのを主な任務としている部隊なのだろう。


 あまり戦闘に関わらない彼らは、解放軍内でやや軽んじられてしまっているようだ。実際、戦闘を担当する部隊から揶揄されている場面もあり、それに対して田英震の部下が激怒し、ケンカになっている。


 そんな田の部隊に与えられた「君たちの陣地」こそ天安門。田が天安門修繕の過程で部外者の口出しに対し「ここは俺たちの陣地だ」と言う場面があるが、軍人でありながら非戦闘員である彼らの鬱屈した感情をよく表していると思う。



 さて、その映画の冒頭では荒廃しきった天安門の様子が田の目を通す形で映される。


 人通りもなく、カラスの群が住みつき、ところどころ色あせて崩れかけ、もちろん毛主席写真も飾られておらず・・・・・・。


 にぎやかで、色鮮やかで堂々としていて、正面には毛主席の写真。中国人であれば(でなくても)誰でもすぐに思い描けるであろう光景とあまりと言えばあまりに違う天安門の光景。

 その「荒廃ぶり」を強調するのは、ややわざとらしくもあるが、観客を映画に引き込む絶好の演出である。このへん、実にうまいなぁ、と思う。

Cap244

天安門が!



 大量の紅い布が必要なのに、(共産党が政権を取ったため)各地で紅い布が品切れ状態と言うのも、ああなるほどと思えるエピソード。


 しかもそうやって共産主義国家の建国式典にふさわしい装飾にしようとし、巨大な鎌と槌(ソ連国旗のデザインにあるような共産主義の象徴的記号の一つ)のオブジェを飾っていたら、見物していた北京市民たちから衝撃の一言が。


「なにあれ? ダッサイw」


 いや、さすが北京っ子。センスが鋭い。


 何か北京人って上海人とはまた別のセンスの良さを持っている気がします。


 上海人が流行の最先端に鋭いなら、北京人は新旧に関わらず本質的な美に対するセンスが鋭いというか。老北京の矜持みたいなものがあるのかな? しかも自分がセンスいい格好をするのはもちろん、他人のセンスにも厳しいような・・・・・・。


 ともかく市民のそんな声にショックを受けた田はこのままの装飾計画でいいのか真剣に悩み始めます(これではまるで共産党がダサい集団のように北京っ子に思われてしまうではありませんか(笑))。

Cap250

このままでいいのか思い悩む田



 さて最後に意外な注目ポイントを。



 田の部隊に「上野」という名の兵士がいて、なにかやたら日本人風な変な名前だな、と思っていたら・・・・・・本当に日本人だった


 建国大典の準備に日本人(例えば満洲崩壊後に帰国することができず、解放軍に参加した人たち)も関わった、という話は聞いたことがありましたが、まさかそのエピソードをわざわざ採用するとは! びっくり。


 ちなみにこの上野は、戦後帰国できなかった日本人ではなく、「日本人反戦同盟」の人だとのこと。「日本人反戦同盟」とは、抗日戦争中に共産党の捕虜となった日本兵で構成され、同胞に反戦を呼びかけた人々のことです。つまり日中戦争時代から解放軍(当時は八路軍)に参加していたという設定。


 しかも「反戦同盟」の一般的なパターン、つまり捕虜になった後に参加したというわけではなく、戦時中に反戦的な主張したため日本にいられなくなり、中国共産党の元へ行った、という過去のようです。


 しかしとてもそんな大胆な行動をした人とは思えないほど、上野という人は落ち着いていて冷静で控えめだけど実はみんなから信頼されている、という人物として描かれています。なかなか興味深い設定だと思います。

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