2015年8月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
無料ブログはココログ

ランキング

« 2010年2月 | トップページ | 2010年4月 »

2010年3月

2010年3月25日 (木)

西安事変7話~8話

7話~8話あらすじ

 上海の病院にお忍びで東北の民族運動家・杜重遠を訪ねた張学良。これから自分はどうすべきかと尋ねる張に杜は、共産党との連携も考慮に入れるべきだと諭し、八・一宣言(注1)を教え、張を動揺させる。

 西安に戻った張学良を楊虎城は迎えに行き、張はその心遣いをありがたく思う。張は楊に、蒋介石は東北軍のために何もしてくれない、と不満をもらす。

 楊虎城と西北軍は、東北軍に同情し、直羅鎮戦役で戦死した将兵の追悼会で遺族のために慰問金を用意する。中央政府から半ば見捨てられたようだった張学良と東北軍は、彼らの恩情に深く感謝する。

Cap088

思わず泣きそうになる張学良

 一方、共産党は抗日のために国民党内の開明派と連合する方針を固め、まず楊虎城と連絡を取ることにする。

 蒋介石は、共産党が政府に服従するなら彼らと交渉する用意があるとし、秘かに宋子文に、彼の姉で自身にとっても義姉だが政治的に対立している孫文夫人・宋慶麗と連絡を取り、仲介役になってくれるよう頼む。

 一方で戴笠には、今こそ共産党を徹底的に叩き潰すべきだと語る。戴笠は、東北軍の中で内戦停止一致抗日の思想が急速に広がっていると報告し、張学良も共産党と通じるかもしれないと言う。しかし、蒋介石は不確実なことを言うな、と戴笠を叱る。

 故郷を失った東北の学生たちのために西安に東北大学を再建した張学良。しかし校長として訪れると、学生自治会長の柳葉児に、あなたは東北を取り戻すために何をしたのかと責められてしまう。

 戴笠は西安に向かう飛行機の中で、西安の軍統の責任者・復興社の剣邦に三つの懸念事項を話し合う。一、楊虎城が共産党と接近するかもしれないこと。二、張学良の側近で東北軍の情報を統轄する李青山をこちらに取り込むこと。三、西安における日本の諜報活動が活発化している、「天狼」を使って「嫦娥」に協力を頼むこと。

 張学良と楊虎城は、突然西安にやって来た戴笠を警戒しつつ、歓待する。

 東北軍の情報部は「八条」と名づけている謎の諜報員が発した暗号をキャッチするが、どうしても解読できない。ただ、暗号の作り方から中国人ではないこと、二種類の暗号を使い分けることから二重スパイではないかと推測する。

 元・大陸浪人の日本人・鐘笑天の元には、先日とは違う謎の男が訪れ、かつてのように我々に協力し、日本の暗号を解読して欲しいと頼み、鐘笑天は承諾する。楊虎城夫妻と買い物に出かけた趙文青は、書店で鐘本鶴と再開し、楽しく語り合う。鐘笑天は、彼女が楊虎城の養女であることに注目する。

 一方、戴笠は李青山を買収することに成功する。

 共産党は楊虎城と連絡を取るため、紅軍の汪峰を派遣することにする。毛沢東は彼を労い、エドガー・スノーからもらった万年筆を贈る。羊売りに変装した汪峰であったが、しかし職業に似合わない高価な万年筆を持っていたため、関所の保安団に疑われてしまう。

 楊虎城宛ての密書を見つけられた汪峰は、自分は楊虎城が共産党に派遣した極秘の特派員だと偽り、保安団の信用を得る。しかし、運悪く復興社に繋がる憲兵隊の金徳茎にも見咎められ、身分を明らかにするため当地の県知事である党伯弧の元に連れて行かれる。

Cap093

けんぺいたいがあらわれた!(右はじが汪峰)

 党弧伯は楊虎城に連絡を取るが、もちろん楊はそんな特派員は知らない。復興社の人間につけいれられたくない楊は、彼らを憲兵隊の手に渡すよう命じてしまう。

 汪峰は怒りにまかせて帽子を党伯弧に投げつけ、金徳茎らに連行されていく。




感想


東北軍と西北軍

 それまで自分達の縄張りに入ってきたよそもの(しかも日本に故郷を追われた負け犬とも思って軽蔑している)として嫌悪していた張学良と東北軍に同情し始める楊虎城と西北軍。

 政治的意図もあるのだろうが、少なくともかなり本気で彼らの身の上に同情しはじめているようでもある。流浪の身であり中央から冷たい仕打ちを受けていた張学良や東北軍にとっては、本当に心に染みたことだろう。張学良が楊虎城に手を取り、東北軍が西北軍に敬礼し、西北軍が返礼を返す場面では、少なくともその瞬間には両軍のわだかまりが消え、心が重なったように見える。

Cap086

手を取り合う張学良と楊虎城


怒涛(?)の展開

 一方、共産党は積極的に楊虎城と連絡を取ろうとし、汪峰を派遣するのだが、羊売りとして疑われないよう完璧に変装したのに、高価な万年筆を持っていたため疑われてしまう・・・・・・アホかと思った。

「こんな高価な万年筆、西安にだってない」と関所の保安団は言うが、いや、まったくその通り。なんで一介の羊売りがそんなもん持っているんだって話だ。

 その後、汪峰は機転を利かせて保安団の信用を得るが、今度は実に悪いタイミングで保安団より立場の強い憲兵隊が現れ、県知事の下に連れて行かれ、彼が楊虎城に確認を取り・・・・・・

 このあたり、一つ危機が解決したかと思ったら、次々に新手の危機が訪れる展開でおもしろい。最後、楊虎城がうまく察してくれて楊の特派員という汪峰の偽の身分を保証してくれるのか否かももどちらにも転びそうな描写で、予断を許さないつくりもうまいと思う。

 普通だともう楊が察してくれる以外、汪峰らが助かる方法はないので、楊が救ってくれるのかと思いきや・・・・・・意外にも救ってくれずに最後の頼みの綱も切れてしまう。

ええ、もうどうしようもないじゃん、いったいどうなるの? という続きが気になる展開に。

 そしてラスト、汪峰が自分を救ってくれなかった県知事に帽子をぶつける場面がある。怒りを表す手段として極めて自然な動きだが・・・・・・・実はこの帽子の中には・・・・・・。

 この汪峰の最後の行動に隠された意味は、この段階では視聴者にしかわからず、ますますこれが次にどんなふうに話に繋がっていくのかと期待を持たしてくれる。

 この汪峰の身分保障問題は、ここまでの話の中では、もっともハラハラさせてくれる場面だと思う。

Cap094

連行される前に汪峰が投げつけていった帽子の中には実は・・・



超アットホームな楊虎城一家

楊家の買い物風景・・・・・・。なにこのアットホームぶり。

Cap091

楊の服がセンス的に、趙文青の服が時代的におかしい件について

 第二夫人の買い物の警備のために、店の近くの道路を勝手に封鎖してしまったどこぞの張学良とはえらい違いだ。



※注1:八・一宣言。1935年、中国共産党がモスクワで発した抗日民族統一戦線宣言。反蒋介石を前提にしながら、それまでの方針を転換して愛国的民族資本家なども含めた抗日戦線の結成を全国に呼びかけた。

 

2010年3月24日 (水)

『天安門』総合情報

Cap256

映画(112分)

製作:中国電影

公開:2009年(建国60年周年献礼作品)

監督:葉纓(葉大鷹の改名)

シナリオ:王兵

役者:潘粤明(田英震)、大塚匡将(上野)、徐嘯力(小馬列)、信鵬(双喜)、白琳(老郭)

※英文字幕つき

評価(5段階)

ストーリー:★★★★☆      キャラクター:★★☆☆☆

文学度:★☆☆☆☆        エンタメ度:★★★★

萌え度:★☆☆☆☆        総合お勧め度:★★★★☆



あらすじ

 共産党の勝利が確定し、建国宣言が迫る1949年9月。解放軍の抗敵劇団舞美隊の隊長・田英震に重要な任務が下る。

 栄えある建国宣言は北京の天安門広場で行うことが決定されているが、長い間放置されていたため天安門とその周辺は荒廃し放題。田英震の任務は、建国宣言の日までに天安門を修復し、立派に飾り付けること。

 彼がその任務を受けたのは1949年9月3日・・・・・・建国予定の日までわずか28日しかない。次々と発生する問題に日本人を含む仲間達と立ち向かっていく田震英であったが、式典の直前になってどうしようもない事態が起こる。この危機を乗り越えるため、田らは北京の路地裏のどこかに潜む清朝時代の伝説の職人を探しに行く・・・・・・。



感想・解説・評価

 個人的な話だが、この映画は私が中国に来て始めて映画館で見た最初の映画・・・という超私的に思い出深い作品。


 まあ、それはどうでもいいとして。

 難しいことは抜きに気軽に楽しめる映画だと思う。あまり重い気分にもならず、ポップコーンを食べながら見て、見終わった後は「ああ、なんかおもしろかった」と思える、そんな作品。


 内容としては1949年10月1日の中華人民共和国建国式典の裏話。すっごい大事な式典なのに、その準備に与えられた期間は28日! わ~どーしよう! と登場人物たちがドタバタする話。まさしくフィクション版「プロジェクトX」!


 葉大鷹監督は、TVドラマ『西安事変』で監督をやった人でもある。両作品に共通することは、監督のエンタメに徹しようとする姿勢だ。変に教訓的にしようとせず、重苦しくしようとせず、それでいて人間ドラマもちゃんとある。

 ともかく観客にこの作品を見ている時間は、確実に楽しんでもらおうという監督のプロ根性を感じるのだ。


 ただ、この作品がエンタメ作品として大成功しているかと言えば、ちょっと残念な点も多い。

「荒廃しきった天安門を28日間で完璧に飾り付ける!」という絶対的な命題の下で、登場人物たちがドタバタするのがこの作品の核心だが、どうもいまいちそのドタバタ感が弱い。もっとそこを強調したほうが良かった。

 また個々のエピソードももう少し何か大げさに描いても良かったと思う。これといって突き抜けるものがないのだ。


 まあ、それでも何はともあれ、小ネタながら安心して観れる娯楽作品である。革命ものもドンパチ撃ち合っているばかりではなく、こういうネタがあってもいいだろう。


 ちなみにこの作品は、建国60周年の2009年10月1日の
28日前・2009年9月3日に公開された。つまり作品中で、主人公が任務を受けた日と連動させているという演出だ。



入手可能なショップ

・現代中国映画上映会

http://www1.parkcity.ne.jp/gentyuei/dvd_vcd.htm

・書虫

http://www.frelax.com/cgilocal/getitem.cgi?db=book&ty=id&id=TAM0313974

・クイックチャイナ

http://www.quick-china.com/movie/detail/dj16577.html

にほんブログ村 映画ブログ アジア映画(韓国以外)へ
にほんブログ村

2010年3月22日 (月)

『天安門』(前編)

あらすじ


 建国の日を目前にしたある日、人民解放軍の抗敵劇社舞美隊隊長の田英震は、上部に呼ばれ北京の天安門に連れていかれる。

 
 長年の混乱で放置されていた天安門とその周辺は荒廃し放題。しかし、建国宣言はこの場所で行うことが決定された。上部の張部長は「今からここが君たちの戦場だ」と天安門の修繕と装飾の任務を田英震に与える。

Cap243

天安門


 その日は
9月2日、建国式典まであと28日であった。


 天安門の荒廃ぶりに辟易とする田の部下たち。しかし天安門の修繕のため、多くの兵士・工人が派遣されてきたのを見てやる気を出し、みなでどう飾り付けるか話し合う。

Cap246

天安門の上で旗を降り勝利を祝う少馬列


 田英震は大量の紅い布を求めて天津の工場に行くが、共産党が政権を取ったことで、紅い布はどこでも品切れであった。しかし解放軍幹部の聶栄臻から直接電話を受け、建国式典用だと知った工場長は田に布を融通してくれる。だが、その電話の主は、田の部下で日本人の上野
、彼のためを思って聶栄臻の名を騙っていたものだった。
 
 張部長は、幹部の名を騙ったことで田を厳しく叱責し、改めてこの任務の重要さを説く。


 田の部下・双喜は、子供たちに歌を教える女教師を双眼鏡で見て一目ぼれする。しかし、彼女を探し出すことができず、仲間達にからかわれる。

Cap248

子供たちに歌を教える謎の女性


 上野は、嫁問題で盛り上がる仲間たちの輪からはずれ、日本に残してきた家族を想う。それに気づいた田英震は「必ず再会できる」と上野を励ます。


 着々と作業は進んでいたが、北京市民があんなのはちっとも美しくないと言っているのを聞いて田はショックを受ける。このままでいいのかと思い悩むが、他にいい案も出ない。


 作業を手伝う第四野戦軍の兵士たちは、田らの抗敵劇社舞美隊は自分達と違って戦闘にも参加しない気楽な部隊だとからかう。それを聞いた田の部下・小馬列は激怒し、天安門の屋根の上でケンカを始めてしまう。田英震は現場に駆けつけようとするが、工事用の足場が崩れ、落下してしまう・・・・・・。




感想



 田英震が上官に連れていかれた場所・・・そこは荒廃しきった天安門であった。


 上官は言った。


 「今からここが君たちの陣地だ」


 気楽な部隊と揶揄される田の部隊に突如与えられた以外な任務。


 彼に許された時間は28日間。


 仲間達と力を合わせ困難に立ち向かっていく田。


 だが思ってみなかった問題が発生した・・・・・・。




 プロジェクトX風に(古っ! って言うかこんなんだったけ?)。

Cap251

石獅子もおめかし


 と言うわけで、建国大典裏話映画です。



 建国を題材にした映画と言うと、とりあえず国民党とドンパチやるのが主流の感がありますが(聞いた話だと建国大典を潰そうとする国民党特務から式典を守る諜報戦映画ってのもあるようだ)、今回出てくるのは「抗敵劇社舞美隊」という聞きなれない名称の部隊。


 私も「抗敵劇社舞美隊」と言うのが何かはよく知らないが、たぶん劇や歌で部隊を慰問したり民衆を啓蒙したりするのを主な任務としている部隊なのだろう。


 あまり戦闘に関わらない彼らは、解放軍内でやや軽んじられてしまっているようだ。実際、戦闘を担当する部隊から揶揄されている場面もあり、それに対して田英震の部下が激怒し、ケンカになっている。


 そんな田の部隊に与えられた「君たちの陣地」こそ天安門。田が天安門修繕の過程で部外者の口出しに対し「ここは俺たちの陣地だ」と言う場面があるが、軍人でありながら非戦闘員である彼らの鬱屈した感情をよく表していると思う。



 さて、その映画の冒頭では荒廃しきった天安門の様子が田の目を通す形で映される。


 人通りもなく、カラスの群が住みつき、ところどころ色あせて崩れかけ、もちろん毛主席写真も飾られておらず・・・・・・。


 にぎやかで、色鮮やかで堂々としていて、正面には毛主席の写真。中国人であれば(でなくても)誰でもすぐに思い描けるであろう光景とあまりと言えばあまりに違う天安門の光景。

 その「荒廃ぶり」を強調するのは、ややわざとらしくもあるが、観客を映画に引き込む絶好の演出である。このへん、実にうまいなぁ、と思う。

Cap244

天安門が!



 大量の紅い布が必要なのに、(共産党が政権を取ったため)各地で紅い布が品切れ状態と言うのも、ああなるほどと思えるエピソード。


 しかもそうやって共産主義国家の建国式典にふさわしい装飾にしようとし、巨大な鎌と槌(ソ連国旗のデザインにあるような共産主義の象徴的記号の一つ)のオブジェを飾っていたら、見物していた北京市民たちから衝撃の一言が。


「なにあれ? ダッサイw」


 いや、さすが北京っ子。センスが鋭い。


 何か北京人って上海人とはまた別のセンスの良さを持っている気がします。


 上海人が流行の最先端に鋭いなら、北京人は新旧に関わらず本質的な美に対するセンスが鋭いというか。老北京の矜持みたいなものがあるのかな? しかも自分がセンスいい格好をするのはもちろん、他人のセンスにも厳しいような・・・・・・。


 ともかく市民のそんな声にショックを受けた田はこのままの装飾計画でいいのか真剣に悩み始めます(これではまるで共産党がダサい集団のように北京っ子に思われてしまうではありませんか(笑))。

Cap250

このままでいいのか思い悩む田



 さて最後に意外な注目ポイントを。



 田の部隊に「上野」という名の兵士がいて、なにかやたら日本人風な変な名前だな、と思っていたら・・・・・・本当に日本人だった


 建国大典の準備に日本人(例えば満洲崩壊後に帰国することができず、解放軍に参加した人たち)も関わった、という話は聞いたことがありましたが、まさかそのエピソードをわざわざ採用するとは! びっくり。


 ちなみにこの上野は、戦後帰国できなかった日本人ではなく、「日本人反戦同盟」の人だとのこと。「日本人反戦同盟」とは、抗日戦争中に共産党の捕虜となった日本兵で構成され、同胞に反戦を呼びかけた人々のことです。つまり日中戦争時代から解放軍(当時は八路軍)に参加していたという設定。


 しかも「反戦同盟」の一般的なパターン、つまり捕虜になった後に参加したというわけではなく、戦時中に反戦的な主張したため日本にいられなくなり、中国共産党の元へ行った、という過去のようです。


 しかしとてもそんな大胆な行動をした人とは思えないほど、上野という人は落ち着いていて冷静で控えめだけど実はみんなから信頼されている、という人物として描かれています。なかなか興味深い設定だと思います。

2010年3月21日 (日)

『天安門』(中篇)

あらすじ


Cap254

意識不明の田英震の元に駆けつけた部下たち

 頭を打った田英震は、意識が戻った時、天安門に巨大な美しい灯篭が掲げられていた夢を見たと言う。

 田の部下たちは、北京市民の意見を聞いてまわり、巨大な灯篭を目玉にした新しい装飾案を作る。中国の伝統的な美を取り入れた新しい案を張部長も歓迎する。

田英震らは、長い歴史を持つ北京の工芸職人に協力を仰ぎ、巨大な灯篭を作ってもらう。しかし出来上がった灯篭の大きさはまだまだ不十分で、かえって不恰好になってしまった。
 
 田は張部長から厳しい叱責を受け、なんとしても巨大な灯篭を用意するよう厳命される。

 
 しかし工芸職人たちもあれ以上大きな灯篭は作れないと言う。頭を抱える田英震に職人の一人は、自分たちよりもかつて清朝に仕えていた職人たちこそ最高の技術を持っている、彼らに頼んでみては? と提案する。

 
 かつて宮中に仕えた職人達が集まる銭湯にやってきた田たち。時代の移り変わりも我関せずの老人たちと、しばしかみ合わない会話をした後、やっと新しい国ができて建国式典が行われることを理解してもらう。

 
 老人たち話から、蘭老人こそ最高の灯篭職人であったと聞き彼を探し出すが、すっかり高齢の蘭老人はいまいち要領を得ない。それでも丁寧に頼みこみ、承諾してくれた蘭老人を天安門に連れて行く。

 
 皇帝陛下の歩く道だから、と天安門の前で拝跪しようとする蘭老人を何とか天安門に連れ込み、詳しく説明する。

Cap268

「しきたりを破ると雷に打たれる」と天安門の前で拝跪する蘭老人

だがその後、蘭老人は自分には無理だと言い出し・・・・・・。



感想



あいかわらず手厳しい北京っ子


 今の天安門の装飾をどう思うか? とあちこちで北京市民に聞いてまわる田英震の部下たち。特に革命的なモチーフにこだわっていた小馬列も、自分の喧嘩のせいで田隊長が怪我をしたのを反省したのか、だいぶ考え方が柔軟になったようだ。さて、北京市民たちの反応は、


「あんまり見目が良くないね」「ちょっとごちゃごちゃしている」「あの屋根の上の紅旗がね・・・・・・」「「全体的に見て装飾が多すぎだよ」


 とあいかわらず手厳しい。どうやら北京っ子は、華美なものよりシンプルでシックなものが好きなのだろうか?


 その結果、屋根の上に乱立させていた紅旗や、鎌と斧のオブジェもやめ、代わりに大灯籠やもともとあった石柱などを生かす、中国の伝統的美を取り入れた装飾案に。





北京の妖精(?)さんたち


 最大の目玉である「大灯籠」を作る技術を持つ職人を探すため、田英震らは北京の路地裏にある銭湯に行くことに。


 以下、銭湯ならではのうれしいサービスカット。セクシーな入浴シーンがあるよ!






Cap264

すみませんでした!



 彼らはかつて清朝に仕えていた工芸職人たちで、
時代の流れなどどこふく風。頭が19世紀末からあまり変わらないため会話もいまいち成立せず、路地裏の銭湯に
一日中浸かり歌を歌って朝から晩まで過ごしている妖怪ジジイ・・・・・・もとい北京の妖精さんとでも呼ぶべきご老人たちだ。



老人1「人民解放軍の軍人さん? あなた方は、つまり八旗(清朝の軍隊)の一部なのですか?」

田英震「いえ、私たちは人民の子弟兵です」

(中略)

田英震「たとえば、第一野戦軍,第四野戦軍とか言いまして、軍区に分かれているのです。私たちは晋察冀軍区の者です。全国が解放されたら、八つの軍区が制定される予定です」

老人たち「ああ、やっぱり八旗の方でしたか」

 
 さらに、彼らとの会話で驚愕の事実が発覚。


老人「聞くところによると、もうすぐ建国するそうですね? 国の名前はなんと言うのですか?」

上野「国の名前ですか? 国の名前はまだ討論しているところですが、どうも中華人民共和国という名に決まりそうな気配ですよ」

 ちなみにこの日は、1949年9月20日。おいおい、建国まで10日を切ってまだ国の名前が決まってなかったのかよ。(単に下は知らなかっただけかもしれないが)


 こんな調子だったが、ともかく建国式典のために灯籠職人を探していることを理解してもらい、蘭老人という最高の灯籠職人を紹介してもらう。

Cap265_2

果たして灯籠作りを引き受けてくれるか ・・・・・・と言うより生きているかどうかが心配だ、この人。



 
それにしてもこの老人たち、放っておくとあと百年くらいは銭湯に浸かっていそうだな・・・・・・。





老北京の底力


 さて、映画中で職人を集めるため田たちは北京の路地裏に赴くが、この一連のシーンでは職人たちの技の一端も見ることができる。

Cap257

これは小玲瓏。手のひらサイズだが、ちゃんときれいな音が鳴るように細工されている。

Cap267

そして鈴虫の籠(名前はわからなかった)。


この小さな籠の一つ一つに鈴虫を入れて鈴なりにし(数十個はあった)、鈴虫の音色を楽しむ趣向かな?



 こうして見ると、清朝のお膝元だったせいか、北京って工芸職人の街なんだなぁ、というのがよくわかる。

2010年3月20日 (土)

『西安事変』4話~6話

第4話~6話 あらすじ

 楊虎城のかつての戦友の娘・趙文青が両親を失い、西安にやってきた。楊は彼女を養女として迎える。張学良の元には東北大学の学生たちが来訪し、東北を取り戻すため何もしない張を非難する。

 趙文青は学生たちに襲われる日本人の少年・鐘本鶴を助ける。一方、かつて大陸浪人だった鐘の父・鐘笑天が経営する書店には、謎の男が諜報活動を依頼しに来ていた。

Photo_7

楊虎城の養女・趙文青と日本人の少年・鐘本鶴は魅かれあう

 紅軍の捕虜となった高福原は怪我の治療を拒んでいたが、紅軍副指令・彭徳懐にその態度を厳しく叱責される。国民党の会議に出席する張は紅軍との戦闘を一時停止するよう命じるが、王以哲らの部隊が戦端を開いてしまう。かえって彭に対して信頼感を抱くようになっていた高は、東北軍を迎え撃つ彭と抗日について語り合う。


 紅軍は東北軍を直羅鎮という村に誘い込む。南京の張学良は紅軍が戦わずに敗走した知らせに喜び、直羅鎮を占領した牛元峰率いる部隊も夜間、油断して宴会を開く。そこに紅軍の奇襲を受け、部隊は惨敗。牛元峰は投降を拒み、部下達を故郷の東北へ帰してやってくれるよう紅軍へ頼んで銃で自殺する。

Photo_8

直羅鎮の勝利は紅軍の運命を変える

蒋介石は落ち込む張学良に対し、東北軍の惨敗をなじる。張学良は東北軍を援助し、戦死した将軍の家族に慰問金を出して欲しいと訴えて「戦死名簿」を渡すが、蒋介石は見ようともせず張学良は大いに傷つく。

Photo_9

戦没者名簿を見ようともしない蒋介石に大いに傷つく張


 さらに楊虎城の部隊を追い出して西安を東北軍に渡してもいいと言うが、張は「私が骨を埋める場所は東北です」ときっぱりと言い出て行く。一方で、蒋介石は楊虎城に対し「東北軍はおまえの西安を乗っ取ろうとしている」と言って張への不信感を煽ろうとするが、楊は離間策を見抜き、かえって落ち込む張に同情する。



 落ち込む張学良を楊虎城は慰める。楊は、蒋介石は東北軍のために何もしてくれないだろう、と言うが、蒋介石を信じる張学良は一笑にふす。しかし日本が突きつけた排日活動の取り締まりや欧米との接近をやめて日本と親善すること,満州国を承認することなどの「対華三原則」に対して政府が交渉のテーブルに着くことを知って驚愕し、中国を日本の附庸国に貶めるものだ、と非難する。


 一方、蒋介石は軍統のトップ・戴笠(ドラマ中では雨濃の名前で呼ばれる)を呼び出し、張学良の監視を強化し、張と楊虎城が親しくなりすぎるのを阻止するよう命じる。また、ソ連の中国支持を期待し、共産党が反政府武装闘争をやめ中央に服従するなら彼らと交渉の用意があることも伝える。


 結局、蒋介石自身の命令によって、東北軍には補充もなければ戦死者への慰問金も出ず、さらに敗北した部隊の番号も取り消されることになる。深く傷ついた張学良は上海に行き、友人の宋子文や青帮のトップ・杜月桂らに不満をぶつける。宋は「蒋介石に帰順したことを後悔しているか?」と尋ねるが、張は「あの当時、日本からも自分を支援して東北の王にするという申し出があった。今の溥儀と同じになれる機会があったが、自分は中国人だ、と言って拒絶したのだ」と応える。


 杜月桂は上海の有名な算明の先生を張に紹介する。その先生によれば唐の時代に中国の未来を予言した書が書かれ、今日の日本の侵略を示唆する言葉もあったと言う。また十二月の半ばにまた何か大きなことが起こる、と予言し、みなを不安がらせる。


 杜月桂は西北を経由して外モンゴルへアヘンを密売することを黙認することと引き換えに、上海での張が秘密の行動をできるよう保障する。張は、趙一荻とともに病院に入院中のある人物のもとを訪ねる・・・・・・。

 




感想

 


 楊虎城の養女となる張文青や謎の情報工作員らしき大陸浪人の親子、東北の女学生などオリジナルキャラクターも登場し、話はますますおもしろくなってきた。全36話と聞いて最初は西安事変で36話も使って何をするのか疑問だったが、この分なら最後まで充分楽しめそうだ。

 

 このような実在人物を主人公とする歴史ドラマにオリジナルキャラを登場させるのは、近年の中国ドラマでよく見られるが、残念ながら「登場させただけ」なものが多い。しかしこのドラマでは、それぞれ個性や役割を持ちながらしっかりストーリーに絡んでくるようだ。それでいて史実とオリジナルのバランスを崩し、実在人物の活躍を霞めてしまって歴史ファンを失望させるようなことも今のところ心配なさそうである。

 


 本編では、半ば異様とも言える陰湿さで張学良を精神的に追い詰める蒋介石、それでも蒋介石を信用しようとしながら傷ついていく張学良、張学良を警戒していたはずなのにいつのまにか彼に同情し気遣う楊虎城、と西安事変の裏にある人間関係の基礎が出来上がっていく。


 蒋介石は張学良の前では「楊虎城を追い出して西安をおまえにやってもいい」と言う一方で、楊虎城に対しては「張学良は西安に居座るつもりかもしれない」と言って両者の離間を図るなど、その政治的ないやらしさがうまく表現されている。


 しかし、貧農から苦労を重ねて西北軍のトップにまでなり、荒波すぎる政治策略の波を今までかいくぐってきた楊は簡単にはのせられない。逆に張学良と連携を深めようとし、蒋介石への注意をさりげなく促すが、かえって張学良は自分は蒋を信頼していると楊に訴える。しかし、それは半ば自分自身に言い聞かせているようでもあった。一方、楊は彼が殻に閉じこもり自分の意見を受け付けない様子を見ると、それ以上説得はせず今はこれまでとすぐに話を引っ込める。政治家として未熟さが目立ちまくる張学良と人情家でありながら政治的な駆け引きの呼吸もうまい楊の対比が浮き彫りになる。

Photo_10

落ち込む張学良を慰める楊虎城

 
 一方、張学良いじめが目立つ蒋介石だが、彼も別に単なる「売国奴」としては描かれない。彼は彼なりに反共意識に規定されながら、中国のことを真剣に考えているように描かれている。

続きを読む "『西安事変』4話~6話" »

『天安門』(後編)

Cap289

左から順に小馬列,上野,田英震,老郭,双喜

※以下、映画『天安門』ラストまでのネタばれがあります。

続きを読む "『天安門』(後編)" »

2010年3月18日 (木)

『井崗山』2話~6話

第2話~6話あらすじ

 八・一南昌起義を起こした共産党は惨敗し、朱徳沢譚らとともに軍を率いて落ちのびる。一方、毛沢東らは軍旗も作り、意気盛んに秋収蜂起を行い一時的に成功するが、国民党の大部隊の攻撃にあえなく失敗してしまう。

Photo_15

軍旗を制定した毛沢東たち

 現状で、都市を基盤にした武装蜂起は不可能であることを痛感した毛沢東は、攻めがたく守りやすい天然の要塞・井崗山に篭り実力を養おうと提案する。軍の幹部達はこの案に大反対するものの、一人、総指揮の廬徳銘が毛沢東を支持し、井崗山に向かうことにする。しかしその途中で伊整壁という保安団の罠にかかり、国民党軍の待ち伏せを受け、廬は戦死する。理解者の死を嘆く毛は他の幹部達に当たり、自分達を罠にかけた男を自ら殺そうとするが、羅栄桓に止められる。

 その後、毛らは三湾という村で部隊を休ませる。ここの村人は皆、伊整壁保安団に連れ去られていたが、逃げ出し戻ってきた鐘大竜方小風いう若い夫婦が家族の仇を討つため、紅軍に入ることを希望する。一方、毛は兵士達に帰りたいものには路銀を渡して家に帰る許可を出し、革命への意思が堅固な者だけで軍を再編する。   

 毛沢東は井崗山を実行支配する緑林の英雄にして共産党員の袁文才に自分達を迎え入れて欲しいとの手紙を送る。袁文才は同じく井崗山の首領である王佐とともにこの申し出に困惑するが、義妹である少女英雄の賀子珍に押し切られる形でともかく使者と会うことにする。しかし袁は使者との会談が失敗した場合は、彼らを射殺する目的で部下達を付近に忍ばせる。

 会談の使者には毛沢東自身が従者を二人だけ連れ現れる。三人だけで会いに来たことに驚く袁はどこかに大部隊を潜ませているかもしれないことに警戒し、また金を与えて紅軍が井崗山を根拠地にすることを断ろうとする。そこに袁が毛を暗殺しようとしているのではないかと心配する賀子珍が乱入して場が混乱するが、結局、紅軍から大量の銃を贈られ、さらに毛に自分のやってきたことを評価された袁は態度を改め、井崗山に紅軍を迎え入れることを承諾する。

2_3

衝撃の出会い(笑)毛と袁の会談の場に乱入する賀子珍

 




感想


……まあ、率直に言って、あんまりおもしろくない。すでに2話目にしてそんな予
感がしていた。 

 いろいろ問題点はあるが、何より「動き」が無いことが最大の欠点だろう。延々と会議をしている場面ばかり続くのは勘弁してほしい。

 それでも私が何とか我慢して見続けたのは、後に記すようにちょっと腐女子的な理由からだが、それでも5話目から少しおもしろくなってきた。と言うのも井崗山の首領・袁文才がなかなかおもしろいキャラだからである。

Photo

袁文才、字(アザナ)選三


 日本などで出ている中国近現代史関係の本では、よく井崗山の首領・袁文才と王佐を地元の山賊の親玉のように描いているものがある。それも大筋で間違いではないが、農村部などで秘密結社が普通に存在する中国の「山賊」を日本的なイメージのそれで考えてはいけない。『水滸伝』などに見られるように、徒党を組んで山に篭り自治的な社会を作る彼らは時代のアウトローであり、反体制であり、しばしば義賊的な性格を帯びて民衆に慕われる存在でもある。

 その二人の首領のうち、王佐はいかにも無教養で荒っぽい無法者といった感じだが、袁文才は落ち着きがありもの静かで教養もある男と描かれている。実は彼はもともと読書人で教師を志していたが挫折し、井崗山に登ったのだ。・・・教師になるのに失敗したから山賊になるというのもなんだかすごいが、まあ、中国の「山賊」の概念はそれほど日本的なものと違うということだ。  同格の首領とは言え、文盲の王佐は教養ある袁を大変尊敬している。袁はインテリくずれであるにも関わらず、そんな王佐を馬鹿にすることなく、抗争で怪我をした王を優しく労わるなど二人の絆は固い。

 また、袁は後に毛沢東の二番目に妻となる賀子珍と義兄妹らしい!

 史実はどうだったかわからないが、賀子珍の姉が袁の妻なのだという。

 この賀子珍は当時は1617歳のはずだが、これがまたものすごく気が強く、口の減らない少女で袁文才も彼女に振り回されているようだ。

 あまりの賀子珍の口うるささに「おまえは俺の嫁か?」とツッコんでいるがまさしくそんな感じでも全然違和感ない(笑)

 まあ、とりあえず気が強く無鉄砲な妹に振り回される苦労性の兄という感じ。

 実際、毛沢東に大量の銃を贈られてあっさり彼を歓迎してしまったり、小娘の好き勝手に頭を痛めながら許容してしまったりするあたり、根は素直でいい人なんだと思う。

4_3

インテリががんばって荒くれ者たちの親分をやっている感じ

 で、賀子珍の方だけど。

 彼女は二丁拳銃の使い手で、それはいいのだが、何かあると話も事情も聞かずとりあえず銃をぶっ放す過激な少女なのだ。袁文才も夜道でいきなり彼女に銃を突きつけられた。「あなたと義兄弟の縁を切るわよ」と賀子珍は袁を責めるが・・・・・・挨拶代わりに義兄に銃を突きつける女とはむしろ縁を切ったほうがいいのではないかと思う。

 でも基本的に人懐っこいので、機嫌がいいと袁文才に「姐夫(姉の夫に対する呼称)」と子供っぽく甘えてみたりと可愛らしいのだが。

Photo_17

夜道で義兄に銃をつきつける賀子珍





ピックアップ場面


 
毛沢東ら紅軍を迎え入れることを渋り、王佐と相談しに行った袁文才を賀子珍が待ち伏せし問い詰めるシーン(5話)

賀子珍「あなた、こんな夜に王佐の所を訪ねていって、また何かでたらめなことをするつもりでしょう」

部下「子珍・・・そんな話は」

賀「黙りなさい! 私はあなたと話しているんじゃないわ!……選三兄さん(※袁の字)、はっきり言わせてもらうけどね、中央委員の毛沢東はもうすぐそこまで来ているのよ、あなたの所に手紙も来たんでしょ、なのに迎え入れないつもり? ……(袁を叩いて)ちょっと聞いてるの?」

袁文才「おまっ!」

賀「あなたは読書人(知識人)のくせに礼儀もわきまえてないの!しかも共産党員でもあるのに」

袁「それは、おまえとおまえの兄貴に入党させられただけの話だ。ここには党の実態なんて何もないじゃないか、俺に何の関係が・・・・・・うわっ!」

賀(袁のえりくびつかんで)「袁文才同志! そんな言い方はやめなさい! もう一度そんなことを言ったら、あなたと兄妹の縁を切るわ!」

袁(怒って去って行く子珍の腕をつかむ)「子珍!」

賀(袁の腕を振り払って)「今、党の中央委員はそこまで来ている! そしてあなたは共産党員! さあ、彼らに会うの会わないの!」

袁「…………ああ、会うよ。会えばいいんだろ、子珍」

賀「……その場逃れのごまかしじゃないでしょうね」

袁「違う、ちゃんと会うさ」

賀「天にも地にも誓って破らない?」

袁「誓う誓う、もう何にでも誓ってやるから」

賀(笑って)「じゃ、帰るわよ!」

袁「おまえ、俺の嫁か何かのつもりか? まったく俺は何だってこんな義妹を持ってしまったんだろうな・・・・・・」

 

6_3  

賀子珍に頭があがらない袁文才

 


 と、こんな調子(笑)

 16,7の小娘に頭が上がらない山賊の首領っていったい・・・・・・

 袁文才はすでに入党しているらしいが、この様子だとそれも賀子珍に押し切られてしまってのことなんだろうなぁ。

続きを読む "『井崗山』2話~6話" »

2010年3月10日 (水)

『西安事変』2~3話

あらすじ


 陝西省の省都・西安楊虎城らに歓迎される張学良。歓迎会の場で張学良は、少しでも早く共産党を殲滅し、その後日本を倒して東北に帰りたい、という希望を楊に語る。

 
 しかし官製の歓迎ムードの中で、酒場で東北軍と西北軍の士官による喧嘩が発生する。西北軍に気を使う張学良は、喧嘩を起した士官たちを鞭打ち刑などの厳罰に処す。西北軍の幹部らは鞭打ち刑という処罰を不思議に思うが、馬賊時代からの伝統でまた日本の武士道の影響を東北軍が受けているためだと理解する。

Cap036_3

東北軍伝統の鞭打ち刑を受ける兵士たち

 対共産党殲滅戦のための西北軍・東北軍の合同会議で、張学良は東北軍の主力と西北軍の一部をどこに駐屯させるか采配する。また西北軍と摩擦を起さないため、東北軍は一部隊を残して西安市外に駐屯することとした。

 
定められた駐屯地に向かう東北軍の部隊。しかしそこには西北軍の大事な財源である炭鉱があり、元からそこにいた西北軍の部隊は駐屯地を明け渡そうとしない。彼らに威嚇され、東北軍は一時撤退するしかなかった。

Cap037_2

駐屯地を明け渡さず東北軍を追い返す西北軍

  西北軍の幹部たちは「自分達は軍費を自分達で賄ってきた。あの炭鉱の場所を明け渡してどうやって兵士達を食わしていくのか」と言って、摩擦を起した現場の士官を擁護する。

 一方、西安市内でも東北軍の要人の買い物のために道路を封鎖して西北軍の士官を足止めするなど、互いに対する悪感情が増加していた。そんな中、復興社(※1)の西安事務所所長・雷剣峰は、西北軍の一部が阿片の密売をしている疑惑を掴んだ。

 両軍の摩擦を解消するため、張学良と二人だけの会談をする楊虎城。その場で張学良は、雷から西北軍阿片密売疑惑の情報が極秘に自分の元に届けられその調査を依頼された、と告げ楊を驚かせる。雷は自分にこの件を調査させて両軍の摩擦を大きくするつもりだ、と分析した張学良は、西北軍は無関係ということで処理すると言い、楊の感謝を得る。

 南京ではますます中国の主権を侵す日本にどう対応するか蒋介石らが協議していた。また米英独からは、中国政府が日本の南進を防げないのならば華南地方に軍を派遣して広州の実力者を擁して新しい政府を作り、自分達で中国における権益を守ると脅される。蒋介石は列強のあまりに傲慢な列強に激怒し、焦りを募らせる。

 共産党の支配地域に攻め入った東北軍。しかし、紅軍の激烈な抵抗によって惨敗。高福源団長は戦場を離脱するが、一人の紅軍兵士にどこまでも追いかけられてついに捕虜になる。





感想

 
 お互いに気を遣いあう東北軍と西北軍の幹部たち・・・実にわざとらしくて笑える。そしてやはりと言うか、早々に両軍の間でトラブルが。どちらかと言うと東北軍の兵士は酒に酔った西北軍から絡まれたのに、厳罰の鞭打ち刑に処せられる。

 そんなに西北軍に気を遣っているくせに、一方では張学良の第二夫人の趙一荻の買い物の警備のために西安の街の道路を封鎖してしまう・・・えっ? そっちの方がまずいんじゃ? まあ、これはあれだな・・・たぶん張学良には悪気はなかったのだろう。生まれた時からお坊ちゃんだった彼には下々の者の感覚がわかっていないんだろうな・・・・・・(←よけい悪い)。 

 しかし、トラブルはそんな兵士レベルに留まらない。共産党殲滅のため東北軍が駐屯するはずだった場所を西北軍が武力を用いても明け渡しを拒む。そこは西北軍の財源である炭鉱であったからだ。西北軍の幹部の言葉は切実だ。 

「楊主任、よく考えてください。我が軍は名義上は中央軍に帰順しています。しかし、彼らは我々の軍に自給自足をさせているのですよ。この何年も兵士たちの給与は、みな私たち自身で賄ってきました」 

 当時、中華民国の名の下に統一されていた中国の内部がいかに複雑だったかがよくわかる。 



 そして中国が日本の南進を阻止できないなら、軍を派遣して中国南部を占領して自分達の権益を守るとか言い出す欧米諸国・・・・・・。 

 や、これ史実でもこういう話があったかどうかは知らないけど、本当なら相当むかつく話だよな。こいつら何様のつもりかよって思う。こんな連中が、当然ながら反帝国主義に燃えて過激な行動に走る中国を「暗黒大陸」とか言うんだったら、おまいらの精神構造の方がよっぽど暗黒だよなぁ、と思った。あと、日本の南進を阻止したいんだったら、中国じゃなくて日本に言えよ、とか。そんなに権益を守りたかったらいっそ日本に軍を派遣して新しく政府を作るのが中国を占領するよりよっぽど筋が通っているよ・・・とかちょっと思った。 



 笑える場面。


 紅軍に惨敗して何故か一人で逃げる東北軍の高福源をこれまた何故か一人で「逃げるな! 紅軍は捕虜を優待する!」とか叫び続けながらどこまでもどこまでもどこまでも・・・・・・追いかける紅軍の少年兵。山を越え高粱畑を掻き分けまた山を越え延々ともうお互いふらふらになりながら延々と続く二人だけの鬼ごっこ。なかなか笑える。

Cap067

東北軍の高福源を追いかける紅軍少年兵



エドガー・スノー登場!


 汽車の中で張学良のいる西安へ向かう東北の学生たちの写真を撮るエドガー・スノー。確か『中国の赤い星』の中にも東北の学生たちと知り合う場面があったような気が(今、手元に本がないのだが)。

Cap045_3

西安へ向かう東北の学生たちを取材するエドガー・スノー
 だがこの場面で納得いかないのは東北の学生たちが『松花江上』を朗らかに歌っていることだ。

 この歌は日本によって故郷・東北(満州)を追われた多くの人々の切実な想いを歌った歌である。当時の中国で広く歌われていた。

この歌には、「愛郷心」などと言う言葉ではとても表現しきれない、あたかもそれは根ごとむりやり大地から引き剥がされた木と同じような苦痛を、そしてその苦痛が大きければ大きいほどよりいっそう増す故郷への恋慕の情が込められていると思う。歌の内容はもちろん満州という特定の地のことであるが、しかしこの歌に込められた想いは、例えばパレスチナ難民のイスラエルに占領されて帰れない故郷を想う心をはじめ、現代の多くの寄る辺ない難民たちの心をも代弁できるであろう。

言わばこれは暴力によって故郷を奪われ、流浪を重ねるすべての難民たちの故郷(それは確かに特定の土地であるが、自らが難民ではなく人間らしくいられる場所という意味も持つ)への心の底からの恋歌(ラブ・ソング)だと言える。

・・・・・・それを遠足に行く時の歌みたいに歌われては・・・・・・。





用語解説

※1復興社:中華民国の特務機関の一つ。軍統とも言い、国家や国民党ではなく蒋介石個人に徹底的な忠節を誓う傾向が強い組織。ドラマ中では後に蒋介石に帰順した東北軍や西北軍の監視、両軍への共産党の浸透や両軍が親密になることを阻止する役目を負っているようだ。

続きを読む "『西安事変』2~3話" »

« 2010年2月 | トップページ | 2010年4月 »